プリンセス・プリンシパル 第2話考察 プリンセスの本名はアンジェ。

「もし天使と悪魔がいるとしたら、嘘をつくのはどっちだと思う?」
「それは・・・悪魔じゃないですか?」
「だったら私は、悪魔と友達になりたいわ」
――悲しそうな表情を浮かべた王女とその従者の会話

プリンセス・プリンシパル I (特装限定版) [Blu-ray]

 当たらない考察の時間です。

1.アンジェとプリンセスの出自について

 情報を整理しましょう。まずは第2話で入った情報。

  • アンジェは王国に潜入したばかりの共和国側スパイである。
  • アンジェとプリンセスの容姿は酷似している。
  • アンジェはプリンセスと入れ替わる命令を受けていた。
  • アンジェには炭鉱街についての深い造詣がある。
  • プリンセスは女王にかわいがられている。
  • プリンセスは女王になる野心を秘めている。
  • プリンセスの王位継承権は第4位である。
  • ノルマンディ公はプリンセスの叔父である。
  • アンジェとプリンセスは10年ぶりに再会した知己である。

 続けて第1話でわかる情報。

  • 現在の王国元首は女王である。
  • アンジェは幼い頃炭鉱夫の格好をして王宮が燃えるのを涙を浮かべて見つめていた。
  • プリンセスには幼い頃の家族写真がある。背丈から推測するに5、6歳くらいの頃。
  • 家族写真には子どもが4人写っており、右側に1人、左側に3人。プリンセスは左側である。
  • うち、最も中央に近い席次は右側の女の子であり、続けて左の2人、やや離れてプリンセスの順。
  • 家族写真には大人が7人写っており、中央に恰幅のいい女性。左右にそれぞれ男性2人、女性1人ずつ。
  • 髪の色と席次から察するに、右側の女の子は右側中央寄りの男女の娘。左側の2人は左端側の若い男女の子どもたちと思われる。プリンセスの両親に該当しそうな人物はいない。
  • プリンセスには10歳より年かさの頃の写真もある。一緒にいる人物は幼い頃の写真中央に写っていた女性。
  • ノルマンディ公の部下には人種の異なる者も多い。

 加えて、第1話と第2話を比べてわかる情報。

  • 劇中の写真は全てセピア色だが、現在のアンジェと幼い頃のプリンセスとでは明らかに髪の色味が異なる。
  • プリンセスの家族写真右端の男性は若き日のノルマンディ公である。

 以上から考察します。
 まず、ふたつの写真に写っている女性は現女王と見ていいでしょう。仮にプリンセスの実母であるならプリンセスの家族写真での席次が末席なのはおかしい。彼女が庶子ならそういうこともありえるのですが、女王はいうまでもなく女性なので庶子をつくることは不可能です。家族写真からプリンセスには両親がいないことが推察できるので、女王が後見人になっているといったところでしょう。
 そもそも女王には実子がいないものと推測できます。実子がいるなら普通は家族写真の席次を自分の近くにするものですが、実際に席次を最も近くしているのは明らかに別に両親がいる女の子です。

 とすると、件の右側の女の子は女王の兄弟筋の一人娘ということになるでしょうか。夫と思われる人物の席次が妻よりも中央寄りなので男兄弟の家系。ノルマンディ公は席次をやや離されているので妻の方の兄弟といったところ。
 左側の兄妹については未確定ですね。両親が明らかに若いのですが、左側中央に写っている男性の息子夫婦なのか、あるいは年の離れた末弟夫婦なのかは不明。子どもの年齢が右の女の子とあまり離れていないので、末弟の可能性が高いかな。親の兄弟内での序列が下位だから兄妹の席次も右の女の子より劣っていると。
 プリンセスの両親については不明です。席次からして写真に写っている誰かの子ではないことだけ確かです。何らかの理由で両親を亡くしたのか、あるいは拾い子なのか。・・・他に跡継ぎがいる王族が血縁関係のない子を家族に迎えることはないか。

 チェンジリング作戦のターゲットにプリンセスが選ばれたのは、アンジェという人材以上に、彼女の後ろ盾が弱いという事情があったからでしょうね。女王にかわいがられているとはいえ、本来守ってくれるはずの両親がおらず、王位継承権での序列も低いので親族の援助も比較的薄い。どういうわけか友人も少ない。委員会がこんな大胆な作戦を立案する程度にはお手頃な物件です。
 ちなみに王位継承権第1位はおそらく家族写真右側の女の子。現在女王が君臨しているということは性別による序列の調整はないでしょう。年齢的にも両親の格としても彼女が一番優位なはず。余談になりますが、彼女の後ろ盾にはノルマンディ公もついているものと思われます。

 アンジェは幼い頃から炭鉱で働いていたものと思われます。
 現実の産業革命当時のイギリスでも彼女のような少年重労働従事者は多くいたそうです。イギリスは元々不毛の地なので農村部が貧しく、そのうえ産業構造が急激に変わったせいで収入がさらに悪化しましたからね。親も子どもも出稼ぎ稼業です。ひどい話ですよ。当時は社会権の概念も未発達でしたし。
 ただ、そんな炭鉱労働者がスパイとして見出されるに至る道筋がよくわからないんですよね。炭鉱は産業の要とはいえ田舎にあるのが通例ですし、そうなると情報部とはあまりに縁遠い。アンジェ自ら自分を売り込むような強い動機でもなければ。
 プリンセスと知り合えた理由はもっとわかりません。どんなことがあれば一回の炭鉱夫とロイヤルレディが友人になれるのやら。

2.アンジェとプリンセスの入れ替わりについて

 ・・・ごめんなさい。ここまで書いておいて前提をひっくり返します。いや、私自身ここまで書いちゃってから証拠を見つけたんですよ。

 アンジェとプリンセスが入れ替わっているという説は第1話時点からありました。私もそういう物語だと思っていました。根拠がなかったので上の考察ではぼかしておいたのですが。

 今話にて、アンジェはプリンセスの上着を借りる際、密かに彼女に手紙を送りました。
 「My dear,  Ange / Yours truly,  Charlotte」

 というわけで確定です。
 現在アンジェと名乗っている少女の本当の名はシャーロット。プリンセスがアンジェです。
 入れ替わりの時期的にはちょうど家族写真の頃でしょうか。撮影した時期と入れ替わった時期のどちらが先かは未確定ですが、あの意志の強そうな表情はいかにもアンジェっぽい。髪の色は染めたんでしょうね。だから今のアンジェと幼い頃の彼女は髪の色が違うし、今のアンジェとプリンセスのも違う。アンジェ本来の髪の色は金色です。

 となると、炭鉱夫の格好をした幼いアンジェが燃える王宮を見て涙したのは、そこに両親がいたからかもしれませんね。
 もしこれがクーデターによるものならば、彼女は共和国を憎むはず。ですが現在彼女は共和国側として王国と戦っています。この線は考えにくい。
 では誰がやったのか。当時から彼女と彼女の家族とに敵対していた人物。そして現在彼女が戦っている人物。ノルマンディ公でしょうね。彼は王位継承権第1位の娘の後ろ盾です。(たぶん) 彼が盤石の権力を求めるなら、アンジェが長じる前に潰しておくのが上策です。

 プリンセスがどういう経緯でアンジェと入れ替わったのかは不明ですが、少なくとも彼女たちの間には深い友情があるようです。入れ替わりは敵対的なものではなく、偶然の悲劇か、あるいはアンジェの身を守るために行われたものと考えるべきでしょう。アンジェの身を守るという理由があるなら元王族の娘が田舎の炭鉱夫に身をやつしていた事情もわかります。
 プリンセスは女王になることを望んでいます。もしこれが権力欲によるものなら、しょせん替え玉でしかない彼女にとってアンジェの存在は致命的な急所です。いかに親交があったとしても、彼女だけは真っ先に殺しておかなければならないはずです。
 ですが実際の彼女はむしろアンジェとの協力関係を望んでいます。つまり権力欲ではない。そういえばこの子って国民からの人気が高い割に、どういうつもりかベアトリス以外の友人をつくろうとしていないらしいんですよね。家族という最大の後ろ盾を持たない以上、本来ならそういうところで後ろ盾を増やしていかなければいけないはずなのに。これ、もしかしていずれアンジェに自分の地位を返すためになるべく人間関係を複雑にしない配慮なのではないでしょうか。

 とするとプリンセスの目的は別のところにある。やはりノルマンディ公でしょうか。王族でもないのに王国の実権を掌握しようとしている、しかも植民地の人材を積極的に登用するという不穏な人事を行っている人物。彼が担ぎ上げる女王候補に勝利し、彼を排斥するのが目的なのかもしれません。
 もしアンジェの両親を殺したのが彼だとするなら、これは復讐でもありますね。

 そもそもの話として、世界最大の植民国家であるアルビオン王国が内政分裂をしでかしちゃっていること自体がおかしいんです。戦争で勝っている間は普通内輪もめなんてしません。それが起きるのは戦争が終わったあとか、劣勢のときだけです。実際に分裂したことで他国スパイに付け入る隙を与えちゃっているわけですし、こんなのどんな権力者にとっても損でしかありませんよ。政治的によほどマズったことをしない限りはこんなことになりません。
 プリンセスが王権を望むのにはそのあたりにも何か事情があるはずです。今の政権を廃さねばならない何か差し迫った事情が。王族ながら共和国側を支持するに至った事情が。
 ・・・で、公式サイトを見ると、今の王国では女王の覚え高いノルマンディ公が色々と政治に口出ししているらしいんですよね。またお前か。

 第1話、アンジェは「スパイは正義の味方じゃない」と言いました。嘘つきの彼女が。
 絶対嘘だと思いましたよ、あんなの。大望のない子が冷徹なスパイと心優しい少女のふたつの顔を使い分けてなんていられるものか。
 せいぜい嘘を重ねるがいいさ、悪魔の皮を被った天使。あなたは愛する祖国に巣くう他の天使たちを排斥するため手を汚さなくてはならないのだから。あなたがスパイの仮面の裏に少女らしさを保ちつづける限り、私はあなたを応援します。

シェアする?

フォローする!