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今年は物語全体を振りかえる総括感想に代えて、プリキュア4人の考察用キャラクターシートを公開します。全体の総括は最終話の感想記事でざっくり簡単に語ることになるかと思います。
私は物語のテーマが最も如実に表れるのは主人公格のキャラクター性だと考えています。どのような人物設定で、どのような事件を経験して、どのように成長していったか。各キャラクターをどういうふうに見てきたかを通して、私にとっての『ヒーリングっどプリキュア』がどういう物語だったか、伝えられると思っています。
↓そもそもこれ何?って話は以下の記事にて↓
一覧
1=A+C【誰の役に立ちたいか】
「ラテ様。あなたをお守りするためのこの力、あなたの願いのために使わせていただけますか?」(第20話)
2=B+D【誰に支えられているか】
「ラテはここにいたいラテ。ヒーリングガーデンには帰りたくないラテ。――ラテはここにいるけど、ラテもみんなと一緒にお手当てしてるラテ!」(第20話)
3=B+C【嬉しかった想い出】
「あ・・・。これは何でしょう。心が、私のなかの地球のパワーが、高まり、渦巻き――。いいえ。苦しいのではありません。よくわかりませんが――。それでもあなたの手を取りたいと、どうしようもなく思ったのです」(第20話)
4=A+D【傷ついた出来事】
「私はラテをお守りするために生まれました。私はラテがいればそれで充分なのです。・・・すみません。私、本当はのどかたちと一緒に花火大会に行きたかったのです」(第26話)
A=1+4【がんばっていること】
「そんなことありません。サクヤさんは本当に自然の思いがわかる。――いいえ、わかろうとしている。ここの自然がステキなのはサクヤさんがいるからです。私もここが大好きです」(第24話)
B=2+3【任せてほしいこと】
「お願いラテ! 地球さんからもらったパワー、ラテを守るためより、お手当に使ってほしいラテ!!」(第20話)
C=1+3【よく気がつくこと】
「グレースはテラビョーゲンをつくりたいと思ったのですか? ――そうです。あなたはそんなこと望みませんよね」(第29話)
D=2+4【恥ずかしいこと】
「どうしてなのですか? どうして、大好きな気球がうまくいかなかったのに、先ほどハハハと笑ったのですか? 私とラテはみなさんを懸命に応援して負けてしまったとき、とてもこう、もやもやした気持ちになりました」(第27話)
α=1+2+3+4【守りたいもの】
「“大好き”は悪くありません。ですが、あなたの“大好き”のために、私の、そしてみなさんの“大好き”を傷つけることは許しません!」(第22話)
β=A+B+C+D【変わるべきこと】
「この世界にも、私の心のなかにも、まだまだ知らないことがたくさんありそうですね」(第22話)
γ=α+β+1+A【なりたい自分】
「私には大切なものが増えたのです。ラテだけでなく、みなさんのことも。この町のことも。幸い、私は人間ではありません。きっとこの役目は私にしかできません。ならば選ぶしかないでしょう」(第43話)
上段
1=A+C【誰の役に立ちたいか】
「ラテ様。あなたをお守りするためのこの力、あなたの願いのために使わせていただけますか?」(第20話)
ラテに説得されたとはいえ、当初のアスミはあくまで自分の存在全てをラテのために役立てるつもりでいました。その傾倒ぶりというか、インプリンティングは、以後のアスミの人格形成にも大きく影響を与えていました。
ラテを大切に思うアスミは、ラテが大切だと思うことも大切にしていくことになります。
2=B+D【誰に支えられているか】
「ラテはここにいたいラテ。ヒーリングガーデンには帰りたくないラテ。――ラテはここにいるけど、ラテもみんなと一緒にお手当てしてるラテ!」(第20話)
今作においてプリキュアへの変身は“力不足の自分では叶えられない理想を叶えるため”に行われるものでした。アスミとラテの関係は他の3組と若干異なっていますが、アスミに欠けていたものをラテが補完してくれたことに変わりはありません。
ラテがアスミに示したものは個人としての思い。生まれついての使命しか知らず、自分の思いというものを持たなかったアスミにとって、それはとても鮮烈な出会いでした。以後のアスミが“大好き”を価値判断のベースとして自分の意志を獲得していったのには、実はこのときのラテの思いが深く影響しています。
ラテは自分が地球をお手当てしたいと思うからお手当てするんだと言いました。だからアスミも自分が大好きだと思うもののために戦うようになっていきます。
3=B+C【嬉しかった想い出】
「あ・・・。これは何でしょう。心が、私のなかの地球のパワーが、高まり、渦巻き――。いいえ。苦しいのではありません。よくわかりませんが――。それでもあなたの手を取りたいと、どうしようもなく思ったのです」(第20話)
ラテが示した意志はアスミに鮮烈な印象を与えました。なにせ至上だと考えていた使命の優先順位を、たかが個人的な都合が上回ってみせたのですから。
自分の意志を持つことにどんな意義があるのか、このときのアスミにはまだ理解できていたわけではありませんでした。それでも自分の使命よりラテの意志を優先したいと思えました。その、なんともいえない、だけど圧倒されてしまうパワー。恋に似ているでしょうか。目の前にいる人を、あるいはこの人の持ちものと同じものを、どうしても自分のものにしたいという切実な思い。
名もなき精霊さんがアスミという個別の自我を獲得した最初の瞬間でした。
4=A+D【傷ついた出来事】
「私はラテをお守りするために生まれました。私はラテがいればそれで充分なのです。・・・すみません。私、本当はのどかたちと一緒に花火大会に行きたかったのです」(第26話)
アスミのキャラクター性が端的に説明されているセリフ。
アスミはラテを守るという使命のために生まれました。大切な使命です。ラテを守りたい気持ちは成長して変わったあとのアスミにとっても変わることがありませんでした。
けれどその一方で、アスミはひとりの個人としての思いも獲得するようになりました。このエピソードにおいてラテは特に花火大会に行きたがる様子を見せませんでした。行きたかったのは本当にアスミ自身の気持ちです。いつしかラテと関係ないところですら自分の好悪を自覚できるようになっていました。
中段
A=1+4【がんばっていること】
「そんなことありません。サクヤさんは本当に自然の思いがわかる。――いいえ、わかろうとしている。ここの自然がステキなのはサクヤさんがいるからです。私もここが大好きです」(第24話)
アスミががんばっていたことといえば、人の思いを理解することです。“大好き”から始まって、“うれしい”“おいしい”“かわいい”“くやしい”・・・。教えてもらったことひとつずつを丁寧に咀嚼して、自分なりの解釈で理解し、自分だけの思いとして吸収していきました。
人間ではない自分にはわからないかもしれない。だけど、わかろうと思う。
その戸惑いや不安、理解できる思いが増えていく実感、喜びが、アスミの紡いでいった物語の魅力でした。
B=2+3【任せてほしいこと】
「お願いラテ! 地球さんからもらったパワー、ラテを守るためより、お手当に使ってほしいラテ!!」(第20話)
最初にラテにお願いされました。だから地球のお手当てにも力を振るおうと思いました。もちろん理由はそれだけではなくて、自分のなかに言語化できない感情が渦巻いたからではあるのですが、それが言語化できないものである以上、行動の指針にはできません。
だからアスミが最初に始めたことは、ラテに任されたとおりのこと。本当の意味で自分の意志によって地球のお手当てができるようになるのはもう少し後になってからのことです。
C=1+3【よく気がつくこと】
「グレースはテラビョーゲンをつくりたいと思ったのですか? ――そうです。あなたはそんなこと望みませんよね」(第29話)
アスミはラテが示した強い思いに触発されて自分だけの思いを獲得し、みんながそれぞれの大切な思いのためにがんばっているのを見て、自分も自分だけの大切な思いを育てていきました。
だから、アスミは誰よりも思いのありかたに対して敏感です。“その人らしさ”“その人の本質”ともいえるでしょう。のどかが憎しみに囚われて奇妙な正義感を振りかざそうとしたとき、諫めることができたのはアスミでした。
D=2+4【恥ずかしいこと】
「どうしてなのですか? どうして、大好きな気球がうまくいかなかったのに、先ほどハハハと笑ったのですか? 私とラテはみなさんを懸命に応援して負けてしまったとき、とてもこう、もやもやした気持ちになりました」(第27話)
こちらも人の思いのありかたに敏感なアスミならではですね。現実には自分の思い全てが叶うわけではありません。どこかで失敗したり、くやしい思いをすることがどうしてもあります。
だけど、そういう現実と折りあいをつけるのと“諦めてしまうこと”は、また違います。大好きなものを諦めるということは、自分らしさをねじ曲げてしまうのと同じことです。アスミには納得しがたいことでした。
下段
α=1+2+3+4【守りたいもの】
「“大好き”は悪くありません。ですが、あなたの“大好き”のために、私の、そしてみなさんの“大好き”を傷つけることは許しません!」(第22話)
アスミは“大好き”をベースに人の思いを学んでいきました。“大好き”とはその人らしさ。嬉しいことも辛いことも、人の思いは全部“大好き”に端を発します。
また、アスミはラテの地球をお手当てしたいという思いに触発されて戦うようになりました。それはつまり、ラテが自分の大好きなもの(※ 大好きなお母さんから継承した憧れの使命)のために戦っているということであり、アスミ自身も自分の大好きな何かのため(※ 最初はラテのため、やがて“大好き”を持つみんなのため)戦っているということでもありました。
ならばアスミにとって“大好き”は何よりも大切で、絶対に守らなければならないものということになります。
β=A+B+C+D【変わるべきこと】
「この世界にも、私の心のなかにも、まだまだ知らないことがたくさんありそうですね」(第22話)
初めは地球から授かった使命が何より優先されると思っていました。それが自分の存在理由だと思っていました。だけどそれはアスミがまだ何も知らなかっただけで、ラテや周りの人たちはもっと別のものを大切にしているようでした。
振りかえってみればアスミ自身、ラテのお願いを聞いて自分のなかに言語化不能な感情が渦巻いたことを覚えていました。アスミは普通の人間と違って大切な何かを持っていないのではなく、まだ大切なものの正体を知らないだけ。
だから、アスミはこの物語を通してそれを学習していくことになりました。
γ=α+β+1+A【なりたい自分】
「私には大切なものが増えたのです。ラテだけでなく、みなさんのことも。この町のことも。幸い、私は人間ではありません。きっとこの役目は私にしかできません。ならば選ぶしかないでしょう」(第43話)
最後の戦いでアスミは、のどかや、大切なラテの懇願すらも振りきって、自分の個人的な思いを貫く決断をしました。その体こそ人間ではないのかもしれませんが、その思いが人間と何ら変わらないものだからこそ。
最初はラテを守る使命の延長で、ラテの切実な思いを守るべくプリキュアの戦いに参加しました。ですが、アスミは学習しました。自分のなかに何かを大好きに思う気持ちを見つけ、また自分の外側に大好きになれるものをたくさん見つけてきました。今となっては、ラテのお願いからも独立した、確固としたアスミだけの思いが形成されています。
ラテのお願いに応じたあのときの言語化不能だった感情、今のアスミなら言葉で説明することができるでしょう。“大好き”と。アスミは自分だけの意志で、大好きなみんなのことを守りたいと思うようになりました。
明確にパートナーの庇護下から卒業してみせたという意味では、実は『ヒーリングっどプリキュア』の物語において、アスミこそが最も成長したキャラクターなのだといえるかもしれませんね。
コメント
最終話ですこやかまんじゅうのメガビョーゲンを攻撃できなかったのがギャグ調ですがアスミがなにを大事にしていたのかが端的に表されていましたね。
あと、サルローの言葉をそんな考えもあるのかと聞いていたのがまだ成長途中なのだと感じさせます。
自分と他人がそれぞれ違う意見を持つのは当たり前のことだということを理解できたのは大きな成長ですね。当初の彼女はラテをヒーリングガーデンに連れ帰ろうとして猛反発された理由も理解できていませんでした。
誰かと手を取りあうにしても、誰かと争うにしても、他人の言葉に心動かされるにしても、自分の意志を貫き通すにしても、起点はまずそこからです。