超人女子戦士ガリベンガーV 第79話感想 今、脂肪が熱い(暑い(厚い))。

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生徒役:電脳少女シロ、シスター・クレア、西園寺メアリ

俺の言ったこと全部笑うじゃねえかよ。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「刑務所入ってたのかよ。なあ。女子刑務所入ってただろ」
「面白いよね」
「英二は最高の娯楽だよね」

 バーチャルYouTuber黎明期にデビューし、今なお最前線で活躍の場を開拓しつづけている始まりの人。清楚で暴虐で奇矯で蠱惑的な独特の感性は、誰もの頭を為にする、華やかな魅力に満ちています。一方で共演者やスタッフへ心配りを欠かさない細やかさがあったり、多様な価値観へ理解を示す聡明さもあったりしますが、それらは基本的にギリギリまで相手を追い詰めるためにこそ発揮されるので油断は禁物です。

シスター・クレア

「ははははは。ははは。ふふふ。はははははは。はははははは」

 見た目どおり本当に清楚だという、バーチャルYouTuberらしからぬ貴重なキャラクター。その嘘偽りなく誰から見てもシスターなキャラクター性を買われ、2Dアバターで地上波番組レギュラーという、バーチャルYouTuberのなかでも何気に珍しい出演歴を持っています。普段は一般的な生配信の他、一口動画の毎日投稿も精力的に行っています。

西園寺メアリ

「じゃあ悪魔の女王は主にどういった活動してんの?」
「ああ・・・。お酒飲んでー」
「いや同じこと、ぶっ壊れたかオイ!?」

 割としょっちゅう酔っ払ってるお姉さん。悪魔の女王なので気位が高いはずなのですが、そのくせやたらお酒での失敗談とダメンズウォーカーなエピソードを大量に持っている一面も。優しく包みこんでくれる性格で、たくさん甘やかしてくれますが、そうしているうちいつの間にか逆に甘やかさねば!という使命感に駆られてしまいがちです。くれぐれも距離感と敬意は見失わないようにしましょう。

超難問:脂肪の謎を解明せよ!

特別講師&授業テーマ雑感

 樋口桂先生は文京学院大学に在籍している解剖学の教授です。ガリベンガーVでは骨格標本とセットで登場するイメージがついていますが、どちらかというと筋運動に関する論文を多く書いています。
 コロナ前は小峠教官との濃厚な絡みを持ち芸にしていました。今はなかなかそういうのができなくなりましたが、茶番芝居をノリノリで怪演してみせたり、他の特別講師がたが研究の近況報告していたなかひとりだけ私生活をセルフ暴露してみたり、キャラの濃さはなお健在のようです。

 人類最大の関心事のひとつ、脂肪。ネットで稼ぐためのネタといえば健康・美容・ダイエットが鉄板だそうで、すなわち検索すればするほど怪しい情報が跳梁跋扈! インターネットが魔境であることを再認識させられます。

トピック1:脂肪の役割ってなに?

 先生からは4項目挙げられました。

栄養を蓄える

 これはよく知られた話ですね。
 活動に必要なエネルギー以上の食事を摂取した際、人間の身体は摂取した脂肪分を燃焼させずに備蓄しようとします。このため脂っこい食事であっても全体のカロリー量が適切であれば贅肉になりにくいですし、高カロリー食であっても徹底して脂分をカットしているなら太ることはありません。
 なお、人間の身体は本来炭水化物をメインエネルギーとする前提でできており、さらに筋肉を構成している蛋白質をはじめ各種栄養素を新陳代謝する必要もあることから、太っていれば一切食事しなくても長く生存できるかというと別にそんなことはありません。

衝撃を緩和

 「ズバリ、人当たりです!」

 電脳少女シロの予想は不正解でしたが、心理的ではなく物理的な“人当たり”という意味では当たらずしも遠からず。(※ 本当に?)
 相撲の力士なんかは「脂肪の鎧を着ている」とかよくいいますよね。実際彼らは意図的に皮下脂肪を身につける食事を行っています。ただ、皮下脂肪をつけるとそれだけ体重が増えて全身に負荷がかかるので平行して充分な筋肉も鍛えなければかえって怪我の元ですし、内臓脂肪まで過剰につけてしまうようだと病気を誘発しもします。衝撃を緩和するというのはあくまで健康な肉体があること前提でのお話ですね。

 また、皮下脂肪には身体から熱が逃げることを防ぐ役割もあるとされます。
 熱伝導率で比較すると、骨8.2W/m・K、筋肉1.6W/m・K、血管1.7W/m・K、脂肪0.7W/m・Kという数値になるようです。つまり脂肪は筋肉や血管に比べて2倍ちょっと熱が伝わりにくいということになります。皮下脂肪が多ければそれだけ身体が冷えにくいということですね。ただ、皮下脂肪のつきやすい箇所、つきにくい箇所には大きなばらつきがあるので、たとえばお腹は温かくてもおでこが寒いとか指先がかじかんでしまうとか、アンバランスは起きやすいようですが。
 ちなみに、人体の体温調節機構は汗の蒸散による体表面での吸熱作用によって行われています。当然、内臓が熱を持ったときも汗をかくことでその熱を発散しようとするわけですが、ここで問題になるのもまた脂肪の熱伝導率の低さ。内臓の熱が体表面へスムーズに伝わらないため、いくら汗をかいても体表面ばかり冷えて内臓は熱いままという状況が続いてしまいがちです。太った人に汗かきが多い理由のひとつですね。

内臓の位置を安定させる

 「なんだろう・・・。でも安定したいのはやっぱり精神かな。ふわふわしてると、なんか自分の体触って『ふわふわー』『安定したなー』みたいな」

 発言内容が一番ふわふわしてるシスター・クレアの予想。
 わかりますけどね。二の腕を触るのが気持ちいいのはわかりますけどね。もこ田めめめも最近寝ぼけて自分の二の腕囓ったって言ってましたしね。

 臓器は筋肉と異なり骨格に固定されているわけではありません。そこで内臓脂肪が臓器を梱包材のように包んで位置を安定させているんです。
 内臓の位置が不安定なせいで生じる臓器疾患といえば、たとえば胃下垂ですね。胃の位置が通常より低い位置に垂れ下がることで胃壁に負荷がかかり、消化不良を起こしたり気力が減退したりします。それこそまさに痩せすぎな人の身に起きやすい病気です。
 生活習慣病の原因として嫌われがちな内臓脂肪ですが、意外にこういった病気から身体を守ってくれている側面もあるんですね。

 まあ、だからこそ内臓脂肪が付きすぎると今度は臓器を圧迫して別の病気を引き起こしちゃうってことでもあるんですが。

熱をつくる

 「美しさです。美です、美! やっぱり女性って少し肉付きがあるほうが美しいって私聞いたんですよ」

 西園寺メアリの予想。
 ある程度歳を取った男性は肉付きのいい女性を好むようになる傾向がありますね。まあ、ぶっちゃけ恋愛観にセックスの比重が増えていくからなんですが。お手々つないでお散歩するだけならモデル体型の人相手でも楽しいでしょうが、抱くならふにふにお姉さんのほうが断然気持ちイイですからね! 夜の生活をリアルに考えれば考えるほど、ある程度肉付きのいい女性のほうが自然と魅力的に映るようになるものです。

 さて、ここでキーワード。「白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞」
 実はこれ、今年の2月に新しい研究成果が発表されたばかりの内容でもあります。

 白色脂肪細胞は一般によく知られる、中性脂肪を蓄えるための細胞です。
 これに対して褐色脂肪細胞にはエネルギー生産を司るミトコンドリアが多く含まれており、蓄えた脂肪を燃焼させて熱を発生させます。以前からその存在は知られていたのですが、どういうメカニズムで活動しているのかよくわかっていませんでした。

 今年2月の『Nature Communications』に掲載された京都大学研究グループの発表によると、哺乳類の身体は寒さを感じると脳の視床下部からmiR-33という神経物質を送り出すとのことです。この神経物質を褐色脂肪細胞が受け取ると、褐色脂肪細胞は活動を活発にして熱を盛んに生み出し、寒さに対抗しようとします。褐色脂肪細胞がうまく神経物質を受け取れなかったり、細胞自体の数が少なかったりすると、哺乳類の身体は正しく体温調節できず寒さの影響をそのまま受けて体温を低下させてしまう結果になります。
 つまり、「脂肪に寒さから身を守る機能がある」という話は、それ自体の断熱効果ではなく、褐色脂肪細胞による必要に応じた燃焼活動によって、本当に存在しているということですね。
 また、今後の研究でもし褐色脂肪細胞を人為的に活性化させることができるようになれば、メタボリックシンドロームの治療に画期的な進展をもたらすかもしれないという、夢のある研究でもあります。

トピック2:脂肪はなにを防ぐ?

 「老化を防ぐ?」

 電脳少女シロの回答。
 カサカサと乾いた肌はいかにも年老いた印象を与えてしまうので、適度なふくよかさは若々しい外見を保つために必要なものです。
 ただし、年齢を重ねると基礎代謝が落ち、さらに脂肪の代謝はいっそう顕著に落ち込むことになるので、身体の仕組み的には若いころより太りやすくなります。代謝の遅れた脂肪が酸化して加齢臭の発生源にもなってしまうので、過剰な脂肪はむしろ年老いた印象を強めることにもなりうるので注意しましょう。

 「イライラを防いでくれる」

 西園寺メアリの回答。
 ストレスを感じると、人間の身体はコルチゾールというホルモンを生成します。これは全身各所に生存の危機を伝える役割を担っているらしく、少量であれば代謝を上げて活動的にしてくれますが、あまりに多くなると逆に代謝を下げ、なおかつ食欲を増進させることで、脂肪としてエネルギーを備蓄しようとします。少なくとも人間の身体にとっては脂肪がつくことが安心感に結びついているということですね。

 「なんだろう? 何が防がれたら嬉しいかな。うーん・・・。そうだな。交通事故かな」

 シスター・クレアの回答。
 防げたら嬉しいですね。
 脂肪に衝撃を緩和する機能があることはすでに解説済みなので、ある程度はそのとおりです。マンガみたいにボヨンボヨン弾んでキズひとつ無し、とまではいかないですが。

 キーワードは「レプチン」
 レプチンはホルモンの一種で、食事したとき脂肪細胞から生産されます。これが脳の視床下部に伝わり、そこにあるレプチン受容体と結びつくことで、私たちは満腹感を覚えます。脂肪細胞が多ければそれだけ余剰エネルギーが備蓄されているということであり、つまり多くの脂肪細胞からそれだけ多くのレプチンが放出されているなら、本来なら私たちは多くの食事を摂る必要なく、すぐに満腹感を感じるはずだということですね。

 「ちょっと疑問ってないですかね?」
 「え、ある。ぽっちゃり系のかたは食べすぎないんじゃないかなって」

 ところが、脂肪がつきすぎて体内のレプチン量があまりにも多くなりすぎると、逆に満腹感を感じにくくなります。満腹感はレプチンがレプチン受容体と結びついたときに感じる仕組みになっているので、日頃から常に受容体がレプチンと結びついている状態になってしまうと、この機構が麻痺してしまうんですね。
 こうなってしまうと必要以上の食事を摂っても満たされることがなくなってしまい、際限なくカロリー摂取して、脂肪をさらに増やしてしまう悪循環に陥ってしまいます。

トピック3:体の中で脂肪がつきにくい場所はどこ?

 「肘。肘に肉ついてる人見たことないです」

 シスター・クレアの回答。
 太っている人の体を見ると、たしかに肘の部分は凹んで見えますね。肘に脂肪はつきません。というかついたら曲がらなくなるんじゃなかろうか。

 「唇とか、どう? だってさ、ぷっくりした唇って結構理想なんですけど、あんまり唇に脂肪つける方法って無くないですか」

 西園寺メアリの回答。
 私なんとなく唇の整形手術といえばヒアルロン酸注射ってイメージしかなかったので、唇に脂肪???と首を傾げたんですが、調べてみると本格的な美容整形では唇に脂肪組織を移植するみたいですね。ぷっくりした唇って脂肪だったんですね。知らんかった・・・。

 「関節。なんかさ、手首とかシロずっと細いんですけど、自分の中でも二の腕とかは肉ついたなってときとああいや細いなってときがあるので、なんかこう、肘とか手首とか、関節がある場所ってあんま太んない気がした」

 電脳少女シロの回答。
 この出題だと普通は関節を思いつきますよね。あとは足の甲とか。

 キーワードは「精子の形成」。そう来たか。
 男性諸氏はご存じのとおり、睾丸なんていう急所も急所な器官が体内に格納されずあえて股間にぶら下がってあるのは温度調節のためです。睾丸が精子を形成するのに最適な温度は約32度なので、体内だとどうやっても温度が高すぎになっちゃうんですね。
 体外においても外気温に合わせて陰嚢が伸び縮みすることで温度調整をしています。暑いときはびろーんと広がり、寒いときはシワシワに縮こまって、自然に表面積を調整しているんですね。当然、ここに脂肪がついてもデリケートな温度管理の邪魔になるだけなので、陰嚢に脂肪はつきません。

 樋口先生、さては今回脂肪と熱の関係をテーマにして授業を考えてきたな?
 そして電脳少女シロはじめ多くの女性バーチャルYouTuberがこの手の話題にびっくりするほど耐性がないことを失念していたな? さすがに医学部じゃシモの話題をいちいち気にする学生もいないでしょうし。

 「どこアップしてんだよこれ。バカじゃないの、カメラさん」

 そのあたりしっかり見越していたガリベンガーVスタッフgood jobです。小学生みたいなツッコミ待ちのおかげでみごと場をつなぐことができました。

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