生徒役:電脳少女シロ、飛鮫ナミ、カルロ・ピノ
この番組の放送時間が上がるってことは、俺の人間としての価値が下がるってことですよ。まだ見たことない人にきっとバレちゃうんでね。変なやつらと変な仕事してるってバレますんで。
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↓レジュメがガチなことで知られる私立ガリベン大学↓
出演バーチャルYouTuber
電脳少女シロ
「最終回ってことですよね」
「まああと何回かあるんですけど、3月末まででとりあえず一区切り。――で、4月からですね、この春から枠が上がります!」
「・・・うん? あ、いや、あ! なくならないの? なあああんだあああ!!」
バーチャルYouTuber黎明期にデビューし、今なお最前線で活躍の場を開拓しつづけている始まりの人。清楚で暴虐で奇矯で蠱惑的な独特の感性は、誰もの頭を為にする、華やかな魅力に満ちています。一方で共演者やスタッフへ心配りを欠かさない細やかさがあったり、多様な価値観へ理解を示す聡明さもあったりしますが、それらは基本的にギリギリまで相手を追い詰めるためにこそ発揮されるので油断は禁物です。
飛鮫ナミ
「カニってことはあんまり陸にいなそうなイメージなんで、あ! そうだ、ボタンだ。あ! ブイ!」
「メチャクチャテンパってんじゃねえか。だいたいそんなテンパるような番組じゃないよ」
「ちょっと緊張しちゃって。答えてもいいですか?」
2人組で活動しているはんなま系バーチャルYouTuberの片割れ。サメキャラとして、クラゲキャラの相方にいつも振りまわされています。バーチャルYouTuberは現実の食べものやおもちゃを画面に出しにくく、生身のYouTuberに比べてできる企画の幅が狭いと昔からいわれてきましたが、彼女たちは実写の映像をコンテンツにうまく取り込み、バーチャルなキャラクターとして振る舞いながらバーチャルに縛られない活動をしています。
カルロ・ピノ
「ということで、正解はピノさんのおっしゃっておったとおり、2番3番5番」
「ピノちゃんやっぱすごいね。アンタね」
「ふふふ。クモさんもメチャクチャ好きです。カッコいい!」
こまっしゃくれた動物博士のお嬢様。ガリベンガーVでは生徒席に座っていますが、その知識は本物で、ひとたび語らせるとググった程度じゃ絶対に出てこない高度な知見や最新の研究成果がスルスルと出てきます。これまで3冊の児童書を出版し、水族館の企画展示に参加したことまであります。性格は負けず嫌いで大雑把。なかなか隙を見せることがないですが、うっかりしたとき全力で悔しがる様はとてもかわいいです。
超難問:クモの謎を解明せよ!
特別講師&授業テーマ雑感
小野展嗣先生は国立名誉博物館の名誉研究員です。無翅昆虫類、クモ類、多足類の研究を扱っていますが、特に好きなのはやはりクモの研究のようです。子どものころからとにかくクモが大好きで、丸1日ずっとクモの行動観察するなんてこともあったそうな。
これまで国内外250種もの新種の虫を発見してきました。特に“生きた化石”といわれるハラフシグモに関して国際的に評価される大きな発見をしたようですが、すみません、具体的にどういう発見をしたのかはちょっと調べきれませんでした。進化の起源に関わる内容か、足先でメスのフェロモンを検知している件のどちらかと思われます。『小学館の図鑑NEO』の編纂にも何冊か参加しているようなので、人によっては小さいころから親しんでいる研究者のひとりかもしれませんね。
クモ。なんというか、いろいろ納得しがたい生きものですよね。だって昆虫じゃないんでしょ、アレ。あんなに昆虫っぽいのに。それに、私としてはいつもクモの巣の上でのんびり風にそよいでいるイメージしかないわけですが、東京のほうに行くとアシダカ軍曹とかいうでっかいクモが猛烈なスピードで部屋のなかを駆けまわってゴキブリを捕まえてくれるんでしょう? 去年どうぶつの森をプレイしていたらでっかいタランチュラがこれまた猛スピードでシャカシャカ追いかけてくるし。もう何なの? クモ。よくわからなすぎる・・・。
私のなかのクモのイメージはこんな感じですが、要するに多様な生態がある生きものなんでしょう。研究したらきっと楽しいだろうなというのも何となくわかります。私の場合はまず嫌悪感との戦いから始めなきゃですが。
トピック1:この中で網を張るクモはどれ?
「今のヒントを元にすると、4番はちょっと糸張らなさそうだなっていう感じがして、お尻の大っきいやつが張るんじゃないかなって思って、あーちょっとわかんない、さ、3番と、5と、6もちょっとお尻が大きい気がするからそれで!」
見ているこっちが奥歯ガタガタしてきそうな飛鮫ナミの回答。
お尻が大きいからというのはいい視点ですが、そもそも虫全般、ほとんどの内臓をあのあたりに詰めこんでいるものです。糸をつくる器官が発達していなくても他の器官がお尻を圧迫することが少なくありません。
「2、3、6かなって思いました。理由が、なんか網を張るってことは自分から攻撃に行けないから待ち構えるのかなって思って」
電脳少女シロの回答。
つまり動きが鈍そうなものを選んだということでしょうか。
「2番と3番と5番だと思います。1番はたしか私のおうちにもいるお友達だし、4番はお花とお友達の子だし、6番はたしか違ったと思うます」
かわいい噛みかたをしたカルロ・ピノの回答。正解です。
さすがというか何というか、分類するコツとかそういう話以前にそもそもそれぞれがどんなクモなのか知っている様子ですね。
キーワードは「造網性」。
そのまんまですね。クモのうちおよそ6割の種がこれに該当します。ただし、この言葉はあくまで糸でつくった巣に依存した生活をしていることを示すものであって、造網性以外に分類されたクモが糸を吐けなかったり糸で巣づくりできなかったりするかというと、必ずしもそうではありません。
その他、3割は徘徊性といって地べたを歩いたり跳ねたりしながら獲物を捕らえる生態をしています。残り1割は地中性。地中に穴を掘って獲物を待ち構えます。
1番はアダンソンハエトリ。
日本では最もポピュラーなハエトリグモの一種で、徘徊性です。一般的な家屋にもよく住み着いており、ハエなどを捕まえてくれる益虫として知られています。実は私自身は全く見覚えがなくて、カルロ・ピノや小峠教官の反応にピンとこなかったのですが、それもそのはず、このクモは東北地方にはあまり生息していないみたいですね。ミスジハエトリという茶色いクモならよく見かけます。
ちなみに、徘徊性ではありますがたまに袋状のこんもりとした巣をつくることもあります。
2番はオナガグモ。
造網性です。クモを食べるクモとして知られています。松の葉のような細長い体も特徴的ですが、何より特徴的なのは巣の形状。よく見るような網状の巣ではなく、ほんの2、3本の糸を張っただけの簡素な巣をつくります。当然、普通の虫が引っかかるようなことはまずありません。この巣は糸の上を歩く習性があるクモの仲間だけを狙ってつくられる罠です。逃げ場のない細い糸の上に迷い込んだクモは、待ち伏せしていたオナガグモに粘着性の糸を投げられてあっという間に身動きが取れなくなってしまいます。
3番はオニグモ。
造網性です。体長2~3cmほどの大型のクモで、日頃見かけるクモの巣の大半はコイツの仕業です。近くに草むらがあるエリアだと家屋の軒下や植え込みの間に直径1mクラスの巣をこしらえやがります。夏の間、払っても払っても毎日です。なにやら南の地域だと夜に巣を張って日が昇る前には撤収してくれるのに、東北では張りっぱなしで片付けない傾向があるらしいですね。チキショーめ。
4番はアズチグモ。
主に花などの近くで獲物を待ち構える徘徊性です。つまり花に群がる蝶やミツバチなどが主な獲物ですね。真っ白な姿をしていますが、数日かけて体の色を周囲の花の色に似せることもできます。
ちなみにカニグモ科というのは体つきがカニに似ていることからついた名前であり、別に水辺に住んでいるとかそういったことはありません。
5番はニコヤカヒメグモ。
造網性です。愉快な名前ですが、これは固有の生息域であるハワイ諸島での呼び名Hawaiian happy-face spiderをそのまんま和訳したものですね。笑っている人間の顔に見える特徴的な模様には地域差があり、島ごとにもっと大笑いしているものだったり、ちょっと皮肉げな笑顔だったりと、いろいろな見た目の個体が観察されています。
6番はジグモ。
地中性のクモとしては比較的身近なところでも見つけることができます。地面に穴を掘り、その内部には糸で裏地を張って住み着きます。また、この糸でつくった裏地部分だけ地上に10cmほど伸ばして獲物を捕まえるためのセンサーとして使っています。
袋の内側から突き破って獲物を捕らえるため上顎がたいへん発達しており、人間の子どもが巣から引きずり出してイタズラしようものなら噛みつかれて痛い目を見ることになります。
トピック2:このクモはどのように糸を使う?
問題になっているのはマメイタイセキグモというクモです。ゴツゴツした見た目がピーナツを飴で固めた豆板というお菓子に似ていることから名付けられました。なお、見た目はこの出題に関係ありません。
「輪投げみたいにぽーい、ぽーいって獲物に標的を定めて投げる、みたいな」
電脳少女シロの回答。
実際、クモって獲物を捕まえるときに糸を吹きかけますからね。輪っか状にしてから投げることはないにしても。
「糸を、輪投げじゃなくて、ベタベタしたものを先端につけて放り投げて、かじる」
飛鮫ナミの回答。
かじる。
ほぼ正解ですが、獲物に向かって投げるわけではないのが惜しいところ。
正解は「糸を投げ縄のようにして捕まえる」。
マメイタイセキグモはナゲナワグモの一種です。細かい話をすると、北アメリカに生息するナゲナワグモと同じコガネグモ科のイセキグモ属のうち、ナゲナワグモと同じ投げ縄行動を見せるオーストラリアと日本の一部固有種も通称としてナゲナワグモと呼ばれることがあるという話なんですが、まあ、要するにナゲナワグモの一種です。
ナゲナワグモは糸の先に数個、粘着液の塊の粒をつけたものを空中にぶら下げ、獲物が近づいたときにこれを振りまわします。(※ さすがに投げつけるわけではありません)
なんでまた素直に網をつくるんではなくわざわざこんな労力のかかる罠で待ち構えているのか疑問に感じるかもしれません。実はこの粘液玉、ガのメスのフェロモンに似た成分が含まれているんです。この粘液玉を振りまわすことで、まるでそこに生きたメスのガがいるように錯覚させ、近くのオスのガを呼び寄せているようなんです。
現実にやっていることは投げ縄というよりルアーフィッシングですね。
トピック3:どうしてクモは自分の巣に絡まないの?
「実はちょっと汗っかきさんで、脂がギトギトしてるから、なんかこう、いろんな繊維に引っかかりにくい」
電脳少女シロの回答。
他の虫だとよくあることなんですけどね。アメンボの授業でも似たような話が出ていました。
「実はこう、ちゃんと『これはくっつく糸!』、『これはくっつかない糸!』、『これはくっつく糸!』みたいな感じで覚えてるんじゃないですか?」
カルロ・ピノの回答。正解。
文句なしに完全正解のように思えますが、先生が「ほぼ」と言ったのは、クモは糸の配置を覚えているわけではなく、そもそもどこにどういう糸を配置するのかあらかじめ設計しているというところへの言及がなかったからでしょうか。
キーワードは「糸疣」。
網状のクモの巣は、ざっくりいうと縦糸には粘着性がなく歩行可能で、横糸に粘着液が塗られていて絡みつく構造になっています。
クモの腹の先には糸疣と呼ばれるイボがあります。内部には糸腺という糸の材料をつくる器官があり、これを出糸管という細い管から吐き出すことによって糸を形成しています。特にオニグモのように巣づくりのため高度に進化したクモでは複雑なかたちをした糸疣を持っており、7つの糸腺から7種類の糸を吐き出すようにできています。
ちなみにこの7種類というのは、縦糸用のくっつかない糸、横糸用のくっつく糸、縦横の糸をつなぐ糸、巣を枝や建物などに固定するための糸、引っかかった獲物を捕まえるための糸、卵を包むための糸、その他用途のため粘着する糸、といった具合になっています。
さらに細かい話をするなら、糸の材質自体は7種類どころか11種類もあり、たとえば横糸なら細い糸の表面に粘着性の成分を塗るなど、複数の材質を組み合わせて7種類の糸に仕立てているようです。
オニグモはこの複数の糸を使い分けた複雑な構造のクモの巣を、わずか1時間程度で完成させることができます。しかもつくるときは人間の建築物と同じく仮足場をつくってから実際の巣づくりに移り、巣が完成したら仮足場は解体するという、人間顔負けの洗練された施工を行っているようです。
トピック4:クモの脚の重要な役割はなに?
「やっぱり繁殖って大事だと思うので、異性を魅了するために網タイツとかこしらえて脚を見せつけるんだと思います!」
電脳少女シロの回答。
こういう色気のある話は好きなくせに、前回のような生々しい下ネタになるととたんに受け付けなくなる不思議。基準はやっぱり清潔感あたりなんでしょうか。
「クモの脚って長いのが多い気がするんですよ。こう、伸ばして高いところとかちょっと見て、脚を曲げてサッと隠れたりとか、隠れるために発達した脚なのかなって」
飛鮫ナミの回答。
ほとんどのクモは意外と小さいので、多少高さを稼げたところでどうだという問題がまずありますね。主な天敵は真上から狙ってくる鳥たちなので物陰に隠れたところで大した意味もありませんし。
「私もたまに虫さん捕まえてきてクモの巣にペッと投げると、後ろがわにくっついてもダダダダダってすぐに行くので、やっぱ脚に伝わってる振動なのかなって。センサーみたいになってるんじゃないかなって思いました」
めっちゃガチな観察をしているカルロ・ピノの回答。
当たり前のように高度な回答を出してくるので、先生の要求水準もやたらに高くなっていますね。巣の振動だけじゃなく空気振動まで検知しているところまで言及しろとおっしゃる? まあ、たしかにそこまでできなきゃマメイタイセキグモの投げ縄猟は成立しないわけですけどね。
キーワードは「聴毛」。
基本的にはカルロ・ピノの回答で正解です。クモの目・・・というか、虫の目全般、基本的にあまり性能のいいものではありません。光を検知する能力が弱いので、獲物とそれ以外のものを見分けるのは苦手です。一方で奥行きの距離感を掴むのは得意なので、獲物のいる方向さえわかれば正確な位置に駆けつけることはできるのですが。
視力があまりよくない代わりに、クモは脚の感覚で獲物のいる方向を割り出します。足先に生えている細かな毛で巣の揺れかたを詳細に検知、巣に引っかかったものが生きた獲物かただのゴミかを瞬時に判断することができます。
また、聴毛と呼ばれる特別な毛も生えており、こちらは空気振動を検知して周囲の獲物を見つけることができます。全てのクモが巣で待ち伏せしているわけではなく、徘徊性のものもいるんですから、これは必須の能力ですね。
トピックex:標本を使ってクモを学ぶ
先生がタランチュラの標本を教室に持ち込んできました。
クモは死んで体が乾燥すると小さく縮んでしまいます。このため、標本をつくる際はアルコール漬けにするのが一般的なようです。脆いので基本的にはアルコール漬けのまま瓶詰め。きちんと管理すれば200年ほど保たせることができるようです。
実はタランチュラというのは特定の種のクモを指す言葉ではありません。そもそもタランチュラというのは元々イタリアに伝わる伝説上の毒グモのことです。それが転じて、なにやら見た目の恐ろしいクモを見たらどれもこれもタランチュラと呼ぶようになっただけの話です。
特に大きくて毛むくじゃらなオオツチグモ類のことをタランチュラと呼ぶことが多いようですね。
先生が持ってきたタランチュラはおそらくハラフシグモの一種。原始的な身体構造をしているとのことで、脚全体に長い聴毛が伸びているのが特徴です。足先には地面を蹴るための爪を持ち、さらに特殊な化学物質を感知するための感覚毛もついています。もしこれがハラフシグモであれば、化学物質というのはフェロモンのことですね。ハラフシグモのオスはメスのフェロモンを鼻ではなく足先の毛で検知しているそうです。それから、最初のほうに出てきたジグモと同じく大きな牙を持っていました。長さ1cmほどもあるようです。
ちなみに、タランチュラと言えば危険な毒を持っているイメージが強いですが、実際のところタランチュラに噛まれたことでの死亡事故は前例がないようです。ただし、死亡例がないということは血清など治療体制も大して整備されていないということでもあるので、万一アナフィラキシーショックでも起こしたらその時点で打つ手がなくなる可能性もあります。くれぐれも注意して、先生みたいに気軽に噛まれることのないようにしましょう。
特報
4月からガリベンガーVの放送時間が土曜深夜0時5分に引っ越しになりました。
番組編成用語だと、一般的にこの表記は土曜日の24時5分(日曜日の0時5分)という意味になるようです。テレビで見るかたはもちろん、TVerで最速視聴したいかたにとっても現実的に視聴しやすい、いい時間帯になりましたね。
大変素晴らしく、おめでたいことではあるんですが、私にはちょっと困ったことになってしまいました。
このスケジュールだと記事を書くタイミングがプリキュアと被ってしまいます。日曜日はプリキュアの感想記事を書くだけで大抵力尽きていますし、かといって平日はそもそもパソコンに向かう気力がないこともしばしば。感想記事を続けるのはちょっと難しい感じです。
そんなわけで、3月いっぱいで記事の更新を終了しようと考えています。(※ もっとも、来週は来週でプリキュアの映画があるため更新が遅れること確定済みなのですが)
今後、土曜日の空いた時間は久しぶりに深夜アニメの感想を書くなり、積みまくっているゲームの続きをやるなり、不定期に何かバーチャルYouTuberについて語る記事を書くなり、別のことに活用したいと思います。プリキュアとガリベンガーVの記事にかかりきりで他の話題の幅が狭いというのも、趣味ブログとしてはあんまり面白くないですしね。アイドル部が一番活気づく土曜日の配信、たまにはリアルタイムで観たいしね!
幅広く様々な知識に触れられる機会として、とても楽しく有益な時間でした。(※ いえまあ、記事にしないだけで今後も個人的には調べつづけるけどね)
今後はガリベン大学の公式レジュメを応援してあげてください。
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