HUGっと!プリキュア 第2話感想 できないことを為すために。できることをもっとステキに為すために。

私にできないことがあなたにはできます。あなたにできないことが私にはできます。力を合わせれば、素晴らしいことが、きっとできるでしょう。

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(主観的)あらすじ

 はなたちの通うラヴィニエール学園はただいま超イケてるプリキュアの噂で話題沸騰中! いやー、ヒーローはつらいぜー。クライアス社に未来を奪われると時間が止まり、はぐたんが成長できなくなってしまうそうです。それはいけない! でも安心して! キュアエールは超イケてるプリキュアなんだから!
 だから仲間なんて必要ないと思っていたのだけれど。それはそれとしてはなのクラスの学級委員長、薬師寺さあやは誰にでも優しくて、賢くて、そのうえかわいい! そんなステキなさあやが言うのです。「私にできないことがあなたにはできます。あなたにできないことが私にはできます。力を合わせれば、素晴らしいことが、きっとできるでしょう」 マザー・テレサの言葉。
 そう。確かにさあやははなにできないことができます。はなもさあやにできないことができます。ふたりでしかできないことがきっとあります。だからはなはさあやにお願いしました。さあやちゃん。私と一緒にプリキュアやろう!

 初変身時点では公式サイトに書かれているような暗いバックグラウンドにはまだ触れないんですね。いかにもはならしい視点というか、今話はさあやのステキな魅力に焦点を絞って描写されました。引用されたマザー・テレサの言葉のとおり、まずはそれぞれの「できること」が大切なのでしょう。フレフレさあやちゃん!
 ところで、いきなりプリハートが4つも出てきましたね。追加戦士は毎年のお約束ですから、ひとりくらい早々に予告しておいても問題はないということでしょう。どうせ頭の回る子はオモチャをいじくり倒して自力でシークレットボイスを見つけているでしょうし。

学園のAnge

 さあやが花瓶に生けていた花はパンジーでしょうか。パンジーにしては少し草丈が高すぎる気もしますが、まあ少なくともスミレ科の仲間であることは間違いないでしょう。
 パンジーなら花言葉は「思慮深い」となります。あるいは「あなたのことで頭がいっぱい」。

 さあやはそういう子です。
 「委員長は誰にでも優しくて」「学園の天使と呼ばれているのです!」「おまけに学年で成績一番!」「そのうえかわいい!」
 そうはいうものの、ただ「優しい」だけとはちょっと違う気がします。
 「ひなせくん、吹奏楽部で全国大会が近くて忙しそうだから」
 彼女はただ優しいから周りのみんなに頼られているわけではありません。誰が / どうして困っているのかを正しく把握し、その事情を慮ってくれるからこそ、彼女の優しさは心に響くんです。
 だからこそ彼女の優しさは「賢さ」や「かわいさ」と結びついて語られ、「学園の天使」などという壮大無比な肩書きを与えられるんです。

 「図書室で調べ物? 私も用事があるからちょうどよかった」
 こういうさりげない心づかいこそが彼女の真骨頂。用事があるのは事実でしょうが、こういうことを口に出してくれるかどうかで頼った側の心苦しさは大きく違ってきます。
 「はー。確かにかわいい・・・」
 優しい。それでいて賢い。だからかわいい。

 はなもすごい子ですよ。
 「薬師寺さんはすごいよ。いろいろ丁寧だし、賢いし。私にはできないや」
 優しいだけなら、はなだって相当な善性の持ち主です。転校初日に遅刻する覚悟をしてまでお婆さんを助けてあげられる子です。けれど、そんな彼女でもはぐたんを泣きやませてあげることはできませんでした。
 それは、さあやにできてはなにはできないことがあったからです。はぐたんが何を訴えていて、そのために自分は何をするべきなのか、それをいつも考えていられるかどうかがふたりの違いです。
 はなはそんなさあやのステキにちゃんと気がつける子でした。
 だから彼女はみんなの言う「優しい」を、「いろいろ丁寧」に言い換えてあげられます。

 さあやの本質はそういうところにこそあります。
 だから今話がどれだけ優しさを強調した物語運びであっても、彼女は“優しさ”のプリキュアではないんです。彼女の優しさは賢さにこそ根ざしていて、だから彼女は“知恵”のプリキュアを名乗るんです。

私、そんな・・・。

 そりゃまあ本人目の前にしてあれだけ遠慮なしに褒めちぎられたら誰だって居たたまれない心地がするでしょうけどね。
 ですが褒めている側としてはいっぱい感謝を伝えたくて、いっぱい喜んでほしくて、だからあなたのために心からの賛辞を贈っているものです。
 「私、そんな・・・」
 だなんて、そっぽ向いて謙遜されるとちょっとさびしい。

 「野乃さんは自由な発想があって、なりたい自分の未来があって、私よりずっとすごいよ。私には何もないから」
 謙遜を超えて自己嫌悪までいってしまうとなおさら、聞いている方は悲しい。
 「みんなに優しくできるじゃない」
 元気を出してほしい。だから褒めるんです。
 「それくらいしかできないの。野乃さんみたいな勇気がない」
 優しい人のくせに、こちらの優しさは受け取ってくれない。アプローチを変えないと。野乃はなは元気のプリキュアです。

 「委員長でいいよ」
 「委員長と話してるんじゃないもん。さあやちゃんと話しているんだもん」

 さあやは自分の優しさを当たり前のことだと思い込んでしまっています。だから必要以上に謙遜します。委員長だから。優しいのは当然のことだから。
 違います。私たちは“あなたに”優しくしてもらえたから感謝しているんです。あなたの、ただ優しいだけじゃないステキな心づかいに胸を打たれたんです。優しさそのものではなく、優しいあなたに精一杯の讃辞を贈りたいんです。
 だって、私たちはあなたを「かわいい」と、あなた自身へ親しみを、いっぱい感じているのだから。
 「さあやちゃん勇気あるよ! だって、誰かに優しくするってすっごく勇気の要ることだもん!」
 あなたに勇気がないのなら、私が代わりに見つけてあげましょう。あなたの行いのなかに、あなたの心のなかに、私が見つけてあげましょう。
 あなたにそれができないというのなら。私にはそれができるのだから。

 「褒められたら『ありがとう』だよ」
 謙遜させるために褒めているんじゃない。
 あなたが大好きだから、あなたに元気になってほしいから、私はあなたを賞賛します。

できないこと、できること。できること、もっとステキにできること。

 「私にできないことがあなたにはできます。あなたにできないことが私にはできます。力を合わせれば、素晴らしいことが、きっとできるでしょう」
 慈善家の常として、マザー・テレサにはいくつか黒い噂がありました。
 曰く、資産家や権力者とのつながりがある。曰く、自分の事業をことさらに美化しようと演出していたフシがある。
 いやいや、そんなの当然じゃないですか。
 だってひとりでできることは限られているのですから。
 力ある人の手を借りて聖なる事業を拡大し、自分の善なる行いを広く世界に発信して善性の輪を広げていく。そこにどんな不誠実があるというのですか。
 彼女の残した言葉は今もたくさんの人の心を善なる方向へと導いています。それだけが確かな事実です。

 「プリキュアは私ひとりでやる! はぐたんは私が守る! それに、ひとりの方がカッコイイじゃん。目立つ!」
 このアホの子、たぶん深い考えとかなしに本気で目立つことだけをメリットとして「ひとりでやる」とか言いだしたんでしょうね。
 なにせ前回のキュアエールの超大活躍ってばマジ超イケてましたから。どうせプリキュアは負けないのなら、ひとりでやろうがふたりでやろうが結果は同じ。だったら少しくらい自分のエゴを通してもいいじゃん!
 言ってしまえば単なる増長なのですが、実際この時点ではひとりでやることに限界なんて感じていなかったわけで。そこでダメ押しの最善手を選ぶのではなく自分の趣味にひた走るところ、私、この子のこういうところが大好きです。
 地球のため。みんなのため。それもいいけど忘れちゃいけないもの、あるんじゃないの? なんて。

 ですが、彼女は早々に見つけました。
 自分にはできないこと。他の人にならできること。
 そして何より、ふたり力を合わせればもっとステキにできること。
 たとえば学級新聞です。
 いつもの学級新聞はなかなか興味を持ってもらえなかったそうですが、さあやがプリキュアとマウンテンブルーバードを提案して、はながそれらのイラストを描くと。
 「ふ。イケてんじゃん」
 ほら。さっそく興味を持ってもらえた。

 ちなみにさあやが見せた丸っこいマウンテンブルーバードの画像はヒナのときのものです。
 子どもっぽいってよ、野乃はな。
 ちなみにちなみに、この愛くるしいヒナは成鳥になると、全然印象の違うスタイリッシュで美しい鳥になります。
 よかったね、野乃はな。

 なんでもできる。なんでもなれる。
 ですがそれは今じゃありません。輝く未来のお話です。
 今のはなたちはそういう未来を掴み取るために一生懸命がんばっている真っただ中です。
 プリキュアとしての力はクライアス社を追い払える以上には必要ありませんが、なんでもできる未来へと至るための力なら話は別。そっちはいくらあったって足りるということがありません。
 イケてるお姉さんを目指す野乃はなという人物は、そういうところにならひたすら貪欲です。
 「さあやちゃん。私と一緒にプリキュアやろう!」
 学級新聞が以前よりうまくできたように。あるいははぐたんをあやしたり、怪物をやっつけることが以前よりうまくできたように。
 野乃はなと薬師寺さあやはふたり力を合わせたら、それぞれひとりでがんばるよりももっとステキな未来へと近づける。

 こうして、ひとりでプリキュアして目立つというアホっぽいメリットは、ふたりで一緒に未来を追い求めるというよりステキなメリットによって上書きされました。
 手を取りあいましょう。いつものように。
 過去にも個人的な夢を追い求めたプリキュアたちはいましたが、それでもみんなと手を取りあったことにはかけがえのない価値がありました。
 イケてるお姉さんになりたい。はなの理想とする未来像はごく個人的なものです。必ずしも誰かの手を借りなければ届かないものではありません。
 ですが、みんなと手を取りあえばできないことができるようになるし、できることももっとステキにできるようになるんです。

 「これはお前の未来のためや!」(第1話)
 手を取りあいましょう。いつものように。それがプリキュアになることの一番ステキなメリットです。

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