私はもっともっと大きくならないといけないから! イケてる大人に! カッコイイ大人に!
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(主観的)あらすじ
今日のはぐたんはめっちゃご機嫌ナナメ。ハリーがクタクタなのはともかくとして、このままだとはぐたんがかわいそうです。はなたちは新アイテム・ミライパッドを使ってはぐたんをご機嫌にする何かを探しに行くことにしました。
指し示されたそこにいたのは、はなのお母さんでした。お母さんがはぐたんを抱っこすると、はぐたんはあっという間に眠ってしまいます。さすがお母さん。お母さんは赤ちゃんを安心させるコツを経験として培っているのでした。
お母さんに比べたらはなたちはまだまだ子どもです。だからこそ、みんなの未来を奪おうとするクライアス社は止めなければいけません。めっちゃイケてる大人になるために。はぐたんを守れるカッコイイ大人になるために。
どちらかといえば説明回。あと販促回。ただし物語としてもちゃんと意味があって、今話ではなたちは“自分のために”クライアス社と戦う動機を獲得することになりました。キラキラプリキュアアラモード、魔法つかいプリキュア!と敵が純粋な外敵だった流れが続いたのでちょっと新鮮ですね。
それにしても今話は音楽の使い方が素晴らしかった! 特に日本庭園でハリーが力尽きてからの、抱っこひも初着用から移動動物園に場所を移す流れ。ワチャワチャ感いっぱいなBGMがはなたちの気持ちにぴったりシンクして表情をコロコロ変えていくあのシーン。あの一連の流れって全部まとめて1つの専用曲として作曲されているんでしょうか? よくある演出手法ではありますが、画面と音楽と演技を秒コンマレベルで調和させていくのは大変な手間だとも聞きます。おかげで抱っこひもの活躍がきわめて効果的に印象づけられました。
ちなみにメーカー希望小売価格税込み1944円だそうです。買いましょう。ああいうのは子どもが喜びます。私も弟の抱っこひもを母親から借りて、手近なぬいぐるみを抱っこして遊んでいたものです。しょっちゅう転んで潰していたけれど。
ハリハム・ハリーは眠れない
「昨日の夜からこの調子。ミルクあげて、オムツもちゃーんと取り替えてるのに。泣きたいのはこっちやー!」
お疲れ様です。
「そやなあ、なんかあった気がするけど・・・グウ」
「寝るなー!」
いや、そこは寝かせてあげましょうよ。ハリーだって一晩中がんばったんですから。
・・・と言ってあげたいところなんですが、しかし今話の文脈においてハリーの苦労はねぎらわれるべきものではありません。はながしたようなぞんざいな扱いがむしろ正解です。
だって、努力はどうあれ、結果として彼ははぐたんをご機嫌にしてあげられなかったんですから。
「寝よった。まるで魔法みたいや」
今話において“お母さん”とは、赤ちゃんをあっという間にご機嫌にしてあげられる、魔法使いのような存在として描かれます。
一方はぐたんをご機嫌にしてあげられないハリーはお父さんとしてまだまだ未熟で、むしろはなたちと同じ、子どもの立場なんです。だから彼の努力と苦労は評価されません。はなのいないいないばあが役に立たなかったのと同じに。
このあたり、今話はなかなかシビアです。
「カッコ悪い。『ガキは嫌い』って、あなたも昔は子どもだったんじゃないの?」
スタッフロールで「オッサン」扱いだった人物も、見た目には大人でありながら、はっきりと尊敬できない人物として描かれます。・・・子ども嫌いのくせに移動動物園が来ている公園でサボっている方がおかしいんじゃないですかね?
プリキュアにおいて大人がこういう描かれ方をするのはちょっと珍しいことです。前話のトラック運転手たちのように、大人とか子どもとか関係ない文脈で一般的な人々の負の側面として描かれるならともかく。
まあ、当然のことなんですけどね。だってはなの夢は「大人っぽいイケてるお姉さん」になることなんですから。彼女たちにとって、イケてない大人は大人じゃないんです。
輝く未来の先に待っている大人のイメージは、たとえばまるで魔法使いみたいなお母さん。「なんでもできる、なんでもなれる」を象徴するような人物こそが、はなたちにとっての「大人」です。
野乃はなの未来のために
最初、はなははぐたんを守るためにプリキュアに変身しました。
前話、はなはクライアス社をやっつけないとはぐたんが成長できないことを知りました。
はなにとって、クライアス社と戦うのはあくまではぐたんの未来を守るためでした。
最初、はなは「イケてる大人のお姉さん」ならこうするはずだと考えてはぐたんを守りました。
前話、はなはひとりよりふたりの方がステキなことができると知って、さあやと一緒にプリキュアしたいと考えました。
はなにとって、プリキュアに変身することによる個人的な利益はクライアス社と無関係のところにありました。
今話からは少し違います。
改めて考えて気づかされます。自分にこそ未来は必要だったんだと。
今の自分はやっぱりまだまだ子どもだから。いつかイケてる大人のお姉さんになりたいから。
なんでもできる、なんでもなれる。――そう信じてはいるけれど、それは今じゃない。
「お母さんすごい。やっぱり経験には敵わないね」
「うん。悔しいけど私まだまだ子どもだな」
今のはなにはできないことがたくさんあります。
はなにはまだできないことをカッコよくできる人がいます。
いつかああなりたいと、目標にしたい人がいます。
世界で一番身近なところに、「イケてる大人のお姉さん」の具体像があります。・・・お姉さんと呼ぶにはちょっと年齢がゴニョゴニョかもしれないけど!
未来が奪われて困るのは何もはぐたんだけではありません。
なりたい理想がある野乃はなにこそ未来が必要なんです。
「はぐたんのためにも、私はもっともっと大きくならないといけないから! イケてる大人に! カッコイイ大人に!」
はなにとって、クライアス社と戦うのはあくまではぐたんの未来を守るためでした。
はなにとって、プリキュアに変身することによる個人的な利益はクライアス社と無関係のところにありました。
今話からは少し違います。
野乃はなは、いつか自分がイケてる大人のお姉さんになる未来を勝ち取るために、みんなのためだけではなく自分のためにも、クライアス社と戦います。
HUGっと!
それにしても大丈夫でしょうか。
「赤ちゃんは新しい環境に慣れなくて不安でグズることがある」
「心臓の音を聞かせると落ち着くの。お母さんのお腹の中にいたころを思い出すらしいわ」
今回お母さんが披露した大人らしさ、赤ちゃんを安心させる包容力って、今のはなには最も縁遠い要素な気がするのですが。だってはなさん、元気だけが取り柄のチンチクリンだし。こういうしっとりした大人っぽさ、果たして彼女の手に届くものなのでしょうか。
届くのでしょう。
なんでもできる、なんでもなれる。それは今じゃないかもしれないけれど、未来は無限大、がんばっていればいつか現実にできると、はなは信じてがんばっているんですから。
初めは誰もが無力でした。お母さんだって生まれつきお母さんだったわけじゃありません。お母さんはお母さんになるために努力して、そうしてようやく今のお母さんになれたんです。
結果の見えない努力はなかなか評価してもらえないものです。いかに努力していたって今のはなはチンチクリンだし、徹夜したからってハリーがイクメンとして未熟なのは変わりません。
けれど、未来においてもそうとは限りません。夢は追いかけていればいつか必ず叶うものだといいます。
ならば未来を守りましょう。
がんばるあなた自身がいつか報われるために。
フレフレ私! フレフレみんな!
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