また明日。また、明日ね!
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(主観的)あらすじ
輝木ほまれスカウト大作戦! まつげ長い! イケてる! 天才スケート選手! カッコいい! かわいいもの好き! きゃわたん! そしてなによりイジワル男子をとっちめるその強さ! なかよくなりたーい!
けれど彼女はときどき不意に悲しそうな顔を見せるんです。かつてジャンプに失敗してケガしたときから、ずっと痛そうにしているんです。足よりも、心が。本当は高く跳びたがっているのに。ケガした心はあと一歩のところで未来に届きません。
「フレフレほまれちゃん!」 ほまれがうつむくなら、はなが代わりに未来を信じます。今日は無理でも明日にはきっと届くと、いつまでも諦めることなくほまれの未来を応援します。
またタナカリオンか! 脚本も坪田シリーズ構成が担当して、ミラクルリッチなスペシャル平常回。ボンボンを細かく出したり引っ込めたりするあたり、いかにもアイテムの扱いが巧みな田中さんらしい演出ですよね。
キュアエールのふわふわの髪や長いリボンは横方向にはためかせたとき一番見栄えするデザインとなっています。両手足の小さなボンボン(シュシュ?)も四肢の動きをビシバシ魅せることに一役買っていますね。大きいボンボンだと両手だけが目立ちすぎるので、ああいう疾走感のあるシーンだと確かに一度引っ込めた方がいいんですよね。ダブルスレッジハンマーも両手の指を組むところまで描き込まないとカッコよさ半減ですし。
両手が目立つということで、逆にパンチがインパクトする瞬間にはボンボンがあった方が圧倒的にカッコいい。横方向の動きと相性がいいのもあって、キュアエールは全体的にパンチさせるためにデザインされたプリキュアとなっていますね。
ちなみにキュアアンジュは羽根かざりの小刻みな動きが愛らしいので防御 / いなし担当。キュアエトワールはポニーテールとロングテールなスソが縦方向の大きな動きに向いているので、おそらくキック担当になるはず。このあたりはエンディングダンスでカメラを向けられている振り付けの担当比率からも、意図してそういうデザイン分けをしていることがよくわかります。やー、プロの仕事ですねー。
普段はあんまり作画 / 動画方面は語らないようにしているんですが(ボロが出ちゃうので)、タナカリオン回ですからね。仕方ないですね。
輝木ほまれの力
ほまれは力のある子です。
前話ではぐたんをオッサンから庇い、今話でも小さな子たちのためイジワル男子から公園の使用権を勝ち取りました。さらには子犬のもぐもぐを助け、先生がチャラリートに襲われたときも助けに向かい・・・、この子にはそういう、誰かのために戦う勇気があります。そして実際に戦って勝てる優れた実力があります。
力というもののあり方には様々なかたちがあるかと思いますが、とりあえず今話におけるほまれの力は、ワルモノや困難に敢然と立ち向かえるタイプの力。
キラキラプリキュアアラモードの剣城あきらに少し似ていますね。あちらは強さと愛のプリキュアでした。
けれど彼女とほまれとでははっきり違うところがひとつ。ほまれの場合は感謝されたときのリアクションがほとんど描かれません。前話でもはなの「ありがとうございます!」には特に反応を示さず、即はぐたんきゃわたんモードに移行していましたっけ。これがあきらなら「どういたしまして」と嬉しそうに返す姿がしっかり描かれたものですが。
剣城あきらの場合は人助けをした分だけ感謝を返される、愛の循環が物語として重要でした。他者への献身がそのまま自分自身の幸福にもつながっていく、それが彼女の「大好き」でした。
ほまれはそうではありません。彼女は助けた人の感謝に興味を覚えません。勇気があるから当然として困難に立ち向かい、実力があるから当然としてそれらを打ち破るだけです。それはもちろん賞賛されるべき善性ではありますが、第1話でお婆さんを助けたはなの行いと同じく、物語としては特筆されるほどの要素ではないんです。
この子を語るうえで重要なのは、だから、善性ではなく力そのもの。
実は剣城あきらよりもむしろ有栖川ひまりに近いんですよね、この子の性質。
「お前、天才スケート選手の輝木ほまれだろ!」「なに、有名人か!」「天才で有名人だと!?」「逃げろ! 有名人には敵わねえ!」
なぜかスリーオンスリーの勝敗よりも肩書きの方が効く。水戸黄門の印籠のごとく。
本来あるべき姿はきっとこっちです。夜空に輝く一番星。誰もが憧れる最高位のダンサー。エトワール。
輝木ほまれの勇気は、実力は、自分のために使われてこそ。デタラメな話ではありますが、直接手を差しのべられるよりもその人そのものが輝いていてくれる方が、周りの人にとっても嬉しいことってあるんです。それを期待されることってあるんです。
「輝木・・・。お前のスケートを始めて見たとき、俺は感動した。お前の姿に元気をもらった気がしたんだ。輝木ほまれ、お前はスターだ!」
いわゆる“ヒーロー”というもので、私個人としては大嫌いなあり方なんですけどね。その期待感は行きすぎると呪縛になったり、一転して失望に変わったりするので。
「また泣かせてしまった。俺はなんて不甲斐ない教師なんだ・・・」
こんな感じで。
「やめて! ごめん、今の私には・・・」
こんな感じで。
輝木ほまれは優れた力を持っていながら、自分自身に失望していました。
トゲパワワ
そういえばはぐたんの泣き声とともに時間が止まったのは何だったんでしょう。
HUGっと!プリキュアにおいて、時間が止まるというのはすなわち未来が失われたということ。どちらかというとクライアス社側の目的に属する、忌むべき現象のはずです。赤ちゃんである=未来を必要としているはぐたんの能力とは考えにくい。
あれはむしろ、はぐたんが泣いたせいで一時的に時間が“止まってしまった”と理解する方が正確な気がします。
面白いのは、そのくせはなたちにとっては良い結果に結びついたこと。迫り来るボールから守られたり、風に飛ばされた履歴書を捕まえられたり、車に轢かれそうな子犬を助けられたり。
これらの出来事がこれからどういう意味を持つのか今から楽しみですね。なんとなくGo!プリンセスプリキュアみたいな価値観の転換がされそうな。
「心がトゲトゲして」「何もやる気が出ない・・・」(第1話)
最初、これがピンと来ませんでした。トゲトゲしているならむしろ周りに対して攻撃的に、むしろ活動的になるんじゃないかと。
今話でようやく理解できました。心のトゲトゲって、他人ではなく自分自身に刺さるんですね。
「なんて不甲斐ないんだ、俺は・・・」
これまでと違い、今話の被害者が抱いたネガティブな思い(トゲパワワ)は、誰かを憎むような、周りに当たり散らすようなものではありませんでした。それでもこれまでと同じようにオシマイダーの材料にされていました。
「明日への希望よ、消えろ! ネガティブウェーブ!」
誰かと衝突するのが悪いのではなく、その思いがネガティブであること、非建設的な考えに心が支配されてしまうことそのものが問題だというわけですね。先生が厳しいとグチを吐くのは取り組むべき課題から目を背ける行為。どちらが道を譲るかで口論するのは円滑な問題解決と真逆の行為。だらだらといつまでもクダを巻くのはこれからどうするかを考えないのと同じ行為。
それでは輝く未来へ臨むことができなくなるから。
・・・ますます時間が止まってしまったことをポジティブに解釈するのが難しくなるなあ。(プリキュア視聴者には割と良くあること)
かつて、ほまれの他にもプリキュアへの初変身に失敗した子がいました。yes!プリキュア5の水無月かれんです。
責任感の強い彼女は周りから頼られ、期待されるあまり、自分自身にはプリキュアになる動機がないまま変身しようとしました。「夢」をテーマとして扱っていた当時のプリキュアとして、そのときの彼女はまだ資格に欠けていました。プリキュアになるという行為は彼女自身を傷つけるものでしかありませんでした。彼女が本当に変身できるようになったのは彼女自身が「みんなを守りたい」と心から願うようになってからです。
「プリキュアって・・・。なんでそんな・・・」
ほまれは痛みを知っています。がんばって、戦って、それで失敗したときに夢見る心がどれほど自分を傷つけるものかを知っています。戦いのなかでプリキュアがどれほど痛みを感じているのか想像することができます。
ですが、普段からこういう戦いを繰り返しているはなが屈託なく笑えている理由に関しては想像が及びません。ほまれは痛みに耐えかねて自分の夢の舞台から逃げました。痛い目にあうのなんて誰だってイヤです。だから夢見ることをやめました。夢見る心が自分を傷つけるなら、夢に関わらないようにした方がずっと楽です。それなのに。
「プリキュアは諦めない!」
それが、はながいくら傷ついても笑えている理由だろうか。彼女は“プリキュアだから”傷つくことに耐えられるんだろうか。プリキュアになればそういう強さが身につくのだろうか。私でも、変われるだろうか。
それは確かにポジティブな思い。輝かしい明日へ臨むアスパワワではあるでしょう。
ですが、その強さは今じゃない。
今の自分、好きですか?
こんな自分が明日も続いていてほしいと願えますか? こんな自分が続いている明日が、本当に輝かしいものだと信じられますか?
今の自分と全く別の自分になれるだなんて、そんな都合の良い話はどこにもありません。私たちは知っています。
今日と明日は連続しています。明日の私は今日の私の続きです。私たちは知っています。そういう事実を、経験としてすでに知っています。
だって、昨日と今日も連続していたんですから。
水無月かれんがプリキュアに変身できるようになったのは、彼女自身が「みんなを守りたい」と心から願うようになってからです。プリキュアに変身してから変わったのではありません。
何でもできる。何でもなれる。
けれど、それは今じゃない。今じゃないなら、どうせ未来でもない。
「無理。私・・・、跳べない」
トゲパワワ。
フレフレ
あなた自身が信じられない未来を、他の誰が信じてあげられるでしょうか。
できます。
「フレフレほまれちゃん! フレフレ先生!」
あなたのことを大好きな人なら。
あなたが今持っているステキな力を信じている人なら。
「ほまれちゃん、私まだよくわかんないけど、でも、負けないで! 負けちゃダメ!」
あなたは力ある人です。あなたは負けない人です。
はなは見てきました。今日のほまれがどれほどステキな人だったのかを。
はなは知っています。ほまれが負ける明日は今日と連続していないことを。
何にそんなうつむいているのかは知りませんが、知らない私にとってあなたはとっても強い人です。
何でもできる。何でもなれる。
あなたなら、いつか。
「ほまれちゃん! 先生も! フレフレ! ハート・フォー・ユー!!」
あなたが信じてくれないのなら、あなたが信じてくれるようになるまで私が代わりに信じます。
はなはアホの子です。
「どわー! ・・・じゃなかった! めちょっく!」
「めちょっく! は『めっちゃショック!』の略なの。イケてるでしょ?」
こんな謎単語がイケてると本気で思っています。
イケてる大人のお姉さんならこういう言葉づかいをすると信じて、今からムリヤリ使いつづけています。まさかこんなのを意識的に口癖にしようとしていたとは。キミの「イケてる」とはなんぞや。
アホの子です。
ですが、この子は妙なところで賢くて、大切なことだけはちゃんと理解しています。
今日と明日が連続しているということを。昨日までの積み重ねが今日の自分をつくっているということを。未来は無限大、今日の努力で明日はいくらでも変えられるということを。
前髪あんだけ伸ばすまで何ヶ月かかると思ってんだ。
「フレフレほまれちゃん!」
はなは知っています。ほまれの背中がいつも光り輝いていることを。
彼女はいつも陽の光から顔を背けていて、太陽のある方と反対方向ばかり向いているから。彼女の後ろを追いかけているはなにはその背中が輝いて見えます。
昔のほまれは天才スケート選手でした。誰もが憧れるエトワールでした。
だったら、そのまばゆい星の輝きは未来にもずっと続くはず。
昨日と今日は連続していて、今日と明日も連続しているんだから。
そもそもはなはすでに見ています。ほまれの瞳が光り輝いているところを。
「ほまれちゃん!」
「・・・ちゃん?」
いつも陽の光から顔を背けていた彼女がふり返って、太陽のある方を向いてくれたから。
星のように輝くその瞳が彼女にとても似合っていたことを、はなはすでに見ています。
「ほまれちゃん。私、ほまれちゃんと仲良くなりたい! またね!」
だから。今日と明日が連続しているのなら、明日の彼女もきっと輝ける。
「また明日。また、明日ね!」
諦めません。あなたを応援することを。あなたと仲良くなることを。あなたの輝く瞳をもう一度見ることを。絶対に諦めません。
野乃はなはプリキュアです。
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