HUGっと!プリキュア 第6話感想 体験のテーマパークへようこそ!

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毎日毎日ひとつひとつの仕事を一生懸命やることが、お客様みんな、家族の未来の幸せをつくる。

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(主観的)あらすじ

 デートしよう! プリキュアが3人そろった記念として、はなたちはホームセンターに遊びにいくことにしました。広くて、何でも置いてあって、ホームセンターやばくない? ホームセンターいいんじゃない?
 しかもなんと、お花屋さんの仕事を体験できるチャンスまでありました。人手が足りなくて店員さんが困っていたのです。はなたちはさっそくお手伝いしてみますが、これがすっごい大変。失敗してお客さんを怒らせてしまうことも。けれど、みんなを笑顔にできるお仕事はサイコーでした!
 ホームセンターの店長でもあるはなのお父さんは言います。仕事は大変だけれど、ひとつひとつ一生懸命やることがお客さんの未来の幸せをつくる。そうできることが働く自分自身の幸せでもある。
 お仕事ってサイコー! もっといろんなお仕事をしてみたいと思うはなたちでした。

 ミライパッドの販促回。ハピネスチャージプリキュア!のプリチェンミラーと違っていきなり何でもできるようになるわけではなく、あくまでコスチュームが変わるだけのお仕事体験なんですね。 「なんでもできる! なんでもなれる!」と謳いつつも、実のところそれは今の話じゃありません。HUGっと!プリキュアはそういう物語です。未来を輝かせるため、むしろがんばる今に視線を向ける物語。
 ・・・なので、正直にいうとミライパッドのこの遊びがどんなふうに物語に落とし込まれていくのかハラハラしていました。だって、今なんでもできちゃうと未来を夢見る理由がなくなっちゃうじゃないですか。かといってミライパッドを無力にしてしまうと今度は肝心のオモチャが魅力的に見えなくなっちゃいますし。
 意外と両立できるものなんですね。というよりはディレクターの手腕か。ちゃんと職業体験遊びが魅力的に見えるように描きながら、はなのお父さん(職業人)の口から物語として重要になりそうなテーマまで語らせてくれました。遊びと物語を密接につなぐ。良い販促回でした。

ホームセンターにはなんでもある

 「ほらほら、服もアクセサリもスポーツ用品もなんだってあるんだよ!」
 そうはいうもののインターネット通販が隆盛をきわめた昨今、旧来の実店舗運営は品揃えでも価格でもなかなか優越することができずにいます。あちらは広い駐車場や通路、店内レイアウトが必要ありませんからね。そこにかかるコストの分だけたくさんの商品を倉庫に詰め込めるわけで。実店舗の経営者としてはなかなか難しい状況です。
 ですが、実店舗はインターネット通販にあらゆる点で劣っているのか、実店舗はすべてインターネット通販に淘汰されるのかというと、実際のところ案外そんなことはなかったわけですよ。経営が立ちゆかなくなったお店もたくさんありますが、むしろ売上げを伸ばすお店もたくさん出てきました。
 たとえば生鮮品はその場ですぐ手に入る即時性がキモなので、スーパーなんかは比較的影響が少なくて済みました。あとは外食とかスポーツジムなんかも元気ですね。そのあたりは誰でもイメージできることかと思います。
 ただ、意外とホームセンターや電器店なんかの郊外型大型店舗にも成功しているところが多かったりするんですよね。品揃えとか、価格とか、それこそ従来ウリにしてきた要素がインターネット通販に思いっきり食われちゃったというのに。

 「あら! すごい! 充実のラインナップ! このフィット感、それに軽い!」
 女子中学生がインパクトドライバーなんて何に使うんだ。青いプリキュアの宿命としてネタキャラ感を醸しはじめたさあやのキャラクターはともかくとして。
 結論からいうと、こういうところがホームセンター成功の秘訣だったんですよね。
 「充実のラインナップ」といいますが、アイテム数自体はどうやったってインターネット通販に劣ります。それでもこのラインナップこそがホームセンターならではの魅力だったんです。たくさんの商品を一目で見比べることができて、しかも実際に手に取って確かめられることが。

 「あー、気持ちいい! ほまれ、屋上で寝るのもいいけどベッドもいいよ」
 性能を比較するだけならインターネット通販でもできます。カタログスペックくらい大抵はどこのサイトにも書いています。使用イメージをアピールする紹介文も実店舗には不可能なくらいたっぷり載せられています。
 ですが、結局のところ“体験”と“情報”は別物でした。実際に目で見て、手に持って確かめることはホームセンターでしかできなかったんです。もちろんちょっと触ってみただけではわからない性能もあります。モーターの品質とかバッテリの持ちとか。そこはインターネット通販の方が優越します。しかしそれはそれとして、ホームセンターにしかない魅力も確かにあったわけですよ。

 「ホームセンターやばくない?」
 「ホームセンターいいんじゃない?」

 ホームセンターをデートスポットとして使うはなのセンスはなかなかにナナメ上ですが、ですがここには確かにここでしか味わえない魅力があります。
 インターネット通販の隆盛によって品揃えと価格という優越性を喪失したホームセンターでしたが、近年は体験性という新たなウリを前面に押し出して存在意義を再獲得しています。品揃えでも価格でも勝てないくせにどんどん郊外化、大型化が進んでいるのはそういうわけです。ひとつの商品に対して空間をふんだんに活用したほうが体験の価値が上がりますからね。

 何の話かって? もちろんプリキュアの話ですよ。

おしごといろいろ!プリキュアミライパッド

 「ミライパッド・オープン! お仕事スイッチ・オン!」
 ハピネスチャージプリキュア!のプリチェンミラーでは探偵や忍者のコスチュームを着ただけで専門技能を自在に扱うことができましたが、ミライパッドはそうではありません。“ミライ”という名を冠しているくせにプロフェッショナルな未来を先取りさせてくれません。単にコスチュームを着るだけ。単に職業体験ができるだけです。

 「いろんな夢への扉開いてみたら、グッとくるドリーミーなハート描いて飛び出そうよ」(ED)
 ミライパッドはあくまで夢への扉。きっかけです。
 なんでもできる、なんでもなれる。そうはいうものの、それは今じゃありません。遠いいつかの輝く未来でのお話です。今のはなたちはあくまで無力な子どもで、大人のようなプロフェッショナルな技能はまだ修得していません。
 ただ、チャレンジすることならできます。本当はそれだってなかなかできることではないのですが、困っているお花屋さんを助けようとするはなの善性と行動力、そしてミライパッドがそれを可能にしました。
 「きっかけは目の前にいっぱいあふれて、ええとどうしようかな。ファイト1・2・3!」(ED)
 これも輝く未来をつかむための現在の努力。私たちは子どものころの様々な経験を経てどんな大人になりたいのかを考えてきたわけですが、そのそもそもの経験を得ること自体にも努力を必要とします。

 さて、あなたに(あるいはあなたのお子さんに)ミライパッドを使いこなすことはできるでしょうか。
 もしもあなたが主体的な努力を行える人であるなら、ミライパッドはあなたにステキな職業体験をする機会を提供してくれることでしょう。そうじゃないとしても努力をはじめるきっかけにはなるはずです。職業体験って、すっごいワクワクするじゃないですか。
 「お手伝いします!」「ふつつか者ですが」「がんばります」
 心がときめいたら勇気を出して踏み込んで、チャレンジしてみたらいいんです。「女は行動力!」 プリキュアとは一切関係ない場でどこかのシンデレラガールもそういう言葉を家訓に掲げていました。プリキュア流には「女の子は誰でもプリキュアになれる」というべきか。
 「仕事というものを経験するのもいい勉強だ」

 「グッとくる“好き”のチカラ信じて、いつかぎゅっと抱きしめたくなるんだ。そんな未来をHUGっとね!」(ED)
 未来へ臨むあなたの努力を具体的な経験として昇華するために。
 あるいはあなたが未来を夢見るためのきっかけを得るために。
 あなたがあなたらしく輝ける未来をつかむために。
 ミライパッドが提供する職業体験はきっとあなたの未来の役に立つでしょう。
 税込価格10584円。3月17日、ちょうど映画の封切りと同日に発売予定です。(自主マーケティング)

スケート選手になりたい子がお花屋さんを職業体験する意義

 「ミライクリスタルホワイトを手に入れること。明るい未来を消すこと。それが私らクライアス社のオ・シ・ゴ・ト」
 そんなの仕事だなんていわせない。
 だってはなたちは今日体験したんです。仕事というものがどういうものか。仕事というものが何のためにあるのか。大人たちがどうして大変な思いをしてまで毎日仕事に取り組んでいるのか。それを目で見て、肌で触れて、学んだんです。

 お花屋さんはただ店先に花を並べているだけの仕事ではありません。
 「花ってすごいわよね。ああやって周りを明るくしたり、みんなを笑顔にできる」
 けれどそれは花がそこにあるからってだけの力ではありません。
 「花は生きてるの。愛情を持って接してあげて。そうすれば花は必ず笑顔をくれる」
 「床が濡れてるってどういうこと? 滑ったら危ないじゃないの! こんな花屋じゃ花もかわいそうね」

 花がみんなを笑顔にできるのはお花屋さんがいるからです。お花屋さんが花の世話をして、花をきれいに並べて、お店そのものもきれいに掃除しているからこそ、花はただそこにあるときよりもっとステキなパワーを発揮できるんです。

 「いいのよ。怒られるのも大事な経験」
 体験してみなければわからないことがあります。失敗してみなければわからないこともあります。

 はなの掃除が不充分だったとき、お客さんの笑顔は失われました。そこに花があるにもかかわらず。
 花はあのお客さんを笑顔にすることができませんでした。
 だからそういうとき、お花屋さんは申し訳ない気持ちになります。花のパワーを引き出してあげられなかったから。お客さんを笑顔にしてあげられなかったから。
 みんなを笑顔にしているのは花だけの力ではなく、お花屋さんが仕事をしているおかげでもあるんです。

 「いろいろまわったけど、ここの花が一番きれいで元気だったわ」
 逆にお花屋さんがきちんと仕事をするとお客さんは笑顔になります。
 ちなみに、よく見てみましょう。お客さんが笑顔になったとき、お花屋さん自身も嬉しそうに笑っていました。お花屋さんの仕事はお花屋さん自身も笑顔にするんです。
 今日、はなはそういうことを学びました。

 近年、ホームセンターは店内レイアウトを考えるときに体験性を重視することが多くなっています。たとえば同種の商品を一目で比較できるよう空間を広く使って並べたり、本物の部屋のようにたくさんの家具をひとつの空間に配置してみたり。
 お客さんはそれら商品を目で見て、手で触れて、それを使う未来の自分の姿を想像するでしょう。ただ品物を並べてあるだけではイメージできなかったような、豊かで具体的な未来像を。
 商品そのものにはなかった、ホームセンター店員の仕事によって生まれた付加価値が、そうして初めて発生するんです。
 「パパのお仕事って大変だね」
 「まあね。けど毎日毎日ひとつひとつの仕事を一生懸命やることが、お客様みんな、家族の未来の幸せをつくる。パパそう思ってるんだ。それってパパの幸せでもあるからね。つまりサイコーってこと!」

 はながお花屋さんの職業体験から学んだことはホームセンターでも同じように適用されるわけです。

 今日、はなたちはお花屋さんで職業体験をしました。
 今のところはなたちは将来お花屋さんになりたいと思っているわけではありません。ほまれに至ってはすでに別の夢を心に決めています。それでもこの体験には大きな価値がありました。お花屋さんで体験したことはホームセンターでも応用できるようでした。
 はなたちは今回“仕事をすること”それ自体の意義を学ぶことができたわけです。

 なんでもなれる、なんでもできる。そんな輝く未来をつかむために、はなたちは今いろんな努力をしています。けれどそれは特定の夢に向かって専門的な経験を積むこととは限りません。ひとつの体験には様々な状況にも応用できるような普遍的な価値が内包されています。
 なんでもできる、なんでもなれる。そのために、なんでも挑戦してみるし、なんでも学んでみるんです。将来何をやりたいのか決めている子にとっても、何をしたいのかまだ決めかねている子にとっても、あらゆる体験はすべてムダじゃないのですから。
 たくさん体験した分だけあらゆる未来に近づくことができます。

 なんでもなれる、なんでもできる。いつか、必ず。

 翻って、クライアス社のいう仕事観は、はなが今日学んだ仕事の意義とは大きく矛盾します。
 あらゆる仕事は自分を含めたみんなを笑顔にするためにあるものです。未来を幸せなものに変えるためにあるものです。誰かを傷つけ、みんなの明るい未来を奪うことが“仕事”であるはずがありません。
 お花屋さんでの職業体験が、プリキュアとしてクライアス社と戦わなければならない理由をまたひとつ見つけてくれました。

 なんでもできる、なんでもなれる。そんな未来をつかむため、今できることをしましょう。
 未来が無限大なら今できることだって無数に存在します。そしてその全てがあらゆる未来の幸せにつながっていきます。
 未来に邁進するあなたのためのベストガジェット、プリキュアミライパッドは税込価格10584円。3月17日発売予定です。(まだ言う)

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