ルールー。家族になろう。
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(主観的)あらすじ
ルールーがはなの家にホームステイしに来ました。ということははなはホスト! 一生懸命おもてなししなきゃ! ルールーは天才だしスポーツ万能だしモテるし、超イケてる! だけど、ひとりで何でもできるせいか、どんなことにも全然興味を持ってくれません。せっかく用意したサプライズパーティも大失敗。なんだか壁を感じる・・・。
そもそもが間違っていたんです。はなはホストの仕事としてルールーを喜ばせないとと思っていました。ちょっとくらい辛いことがあっても仕事だから我慢しなきゃと。でもルールーはゲストである以前に家族でした。家族になりたいと思える子でした。だって、はなはルールーのことが好きだから。
クライアス社のスパイとしてプリキュアの力の秘密を探りに来たルールーは、そんなはなに少し興味を抱くのでした。
もどかしいお話でした。プリキュアは諦めないヒーローです。一度決めたことは最後までやり通す。それが基本スタイルで、そのやり方でうまくいきます。そういう物語に慣れていました。だからこそ、粘り強くがんばろうとして空回りしてしまう姿や、気疲れして諦めかけてしまう姿は胸に来ますね。正直どんなバトルよりも観ていてしんどかったです。
ですが、プリキュアは諦めないヒーローです。あくまでそこは変わりません。何を諦めたくないのか、どうすれば障害を打破できるのかに気がついて、きちんと乗り越えてみせたはなはやっぱりカッコいいですね。
“(今は / ひとりでは)なにもできない、なににもなれない”野乃はなと、“(もうすでに / ひとりでも)なんでもできる、なんでもなれる”ルールー・アムールの対決はこうして幕を開けました。
なんでもできる、なんでもなれる
教科書は一晩で暗記。テニスはボールを破裂させるほどパワフル。おまけに男子にモテモテ。
「す、すすすすすすすす、すっごーい! もう超イケてるんだよ、ルールー! 天才だし、スポーツ万能だし、モテるし!」
案の定はなのハートにスマッシュヒットでした。ルールーって、はなの憧れるイケてる大人のお姉さんそのものですもん。目をハート型にしなかっただけ自重した方。
まるで憧れが具現化したような存在のはずなのに、どうしてでしょう、はなはルールーに付き合いづらさを感じてしまいます。
「ルールーって、何でもできちゃうからなかなかおもてなしできなくてさ。それにさ、いつもよく私といるでしょ? せっかく違う国に来たんだからみんな仲よくした方がもっと楽しくできると思うんだよね」
初めは付き合いの悪さが欠点で、そこをなんとか改善してあげたら良くなると思っていました。
「そもそもなぜ歓迎会を? 挨拶なら初日に済ませたはずです」「私はわかりやすく伝えているつもりですが」「気持ちですか。理解不能です」「謝る必要もありません。私は私の意見を述べただけですから」
けれど、どうやらルールー自身はそこに不都合を感じていない様子。はなやみんなを嫌っているわけでもなく、どうやら単純にルールーが人付き合いを好まない性格をしているだけなんだということがわかります。改善も何もありません。
単純にはなとはタイプが違うだけなんです。こればかりはどうしようもありません。
「そりゃ勝手に歓迎会したのはこっちだけど・・・」
たとえば自分自身が輝きたいと志向するほまれは、ルールーの言い分を理解しても自分と違う考え方である限りなかなか割り切れません。
「みんなでワイワイしたくない人もいるよね」
たとえば自分よりも他人を思いやろうとする性向が強いさあやは、どちらかというとルールーの意志を尊重しようとする立場です。
ほら、身近な友達ふたりですらそれぞれタイプが違う。そしてはなはそのタイプの違いを均すべきだとは考えていません。このままのふたりだからこそ大好きな友達です。
だとしたら、付き合いづらいのもルールーが悪いわけではありません。ルールーはあくまで完璧でイケてる女の子。ああいう個性というだけ。単純に自分とタイプが違いすぎるだけとしか言いようがありません。
じゃあ、一緒にいるのを諦める?
いいえ。プリキュアは諦めません。それでも、なんとかうまく仲よくならなくちゃ!
「とにかく、なんとかなるって!」
「ルールー。今日の小テストも満点だったね!」
「内富士先生、今度はもーっと難しい問題にするって言ってたよ」
「あー・・・、でもそれじゃ私が0点になっちゃうなー・・・」
「あはははは。あはは、あ、はは・・・」
まだこの子が超イケてるって思えていますか? 本当に?
ホスト x ゲスト
「明るくて素直で、みんなアンタみたいな子、好きでしょ」
「そんなことないよ。おっちょこちょいだし、グイグイ行きすぎてヒかれちゃうこと多いし」(第5話)
はなだって、別に自分が誰とでも仲良くなれる人間だとは思っていません。
それなのにどうしてタイプの合わないルールーとそこまで仲よくなりたいのかといえば・・・。
「外国の人をウチが面倒見るんだ。これってホームステイってやつだよね! いっぱいおもてなししなきゃ!」
これはホームステイだからです。自分はホストで、ルールーはゲストだからです。
そういうふうに考えると、なんだか無性にワクワクしてきたからです。
たとえイマイチタイプが合わなくたって、ホストとゲストの間柄である以上はそんなの関係ない!
ゲストが喜ぶようにいっぱいおもてなししてあげるのがホストのお仕事!
いつかイケてる大人のお姉さんになるために、なんでもやらなきゃ。なんでもできなきゃ。
「どうだった? お仕事体験は」
「うん、すごく大変だった。だけどみんなの笑顔、最高だった」(第6話)
ルールーと会話するのはしんどいこともあります。
だんだん顔を合わせるのが辛くなってきました。
でも、いつかのお仕事体験のようにがんばって笑顔にしてあげることができれば、最後にはきっと最高の経験になるはず。
「そうだ! パパ。今度ルールーと一緒にお出かけしない? 遊園地とか! 昨日のは気に入ってもらえなかったけど、それなら喜んでもらえるかも!」
はながルールーと仲よくなりたいのは、自分がホストの仕事を成功させたいから。
今は一緒にいてちょっと辛い相手だけど、これがうまくいけばお互い楽しくなれる。
お仕事ってそういうものだから。
・・・そんなふうに思っていましたっけ?
うん、まあ、“仕事”っていう言い方は私が勝手に補足していることなんですけどね。
ですが今話のはなのルールーへの接し方はどうにも義務感に支えられている部分が強くて、友だち付き合いというよりは仕事っぽく見えるんですよね。
友達と一緒に過ごすのって、本当なら自分が楽しいからそうするものでしょうに。はなは自分が一方的に苦労を被っても、それに見合う楽しい時間を共有してもらえなくても、それでも「楽しいよ!」って顔をしてルールーと接します。きっとそのうち良くなると、根拠のない願望を当てにして。
どんなブラック企業だ。
さて。はながルールーと仲よくなりたいのは、自分がホストだからでしたっけ?
違いますよね。
その関係に望むもの
「はな。そのがんばり方はちょっと違うんじゃないかなあ」
今はしんどくても未来にはきっと良くなる。そんな打算的・先行投資的な人間関係があるものか。・・・あるけど。仕事でなら。
でも本来はなとルールーの関係は仕事によるものではありません。ホストだのゲストだのははながひとりで勝手に規定した関係性です。自分で勝手に自分をしんどい立場に追い込んでいただけです。さっきまで感じていたルールー相手の辛さに意味などありません。
「ホストの前に、今、同じ屋根の下で暮らしている僕らは何だい?」
空想を取りはらってフラットに。私とあなたの関係を、ありのまま素直に捉えなおしてみれば、それは。
あれだけ辛い思いをして、それでもまだルールーが超イケてる子だと思えていますか?
思っています。
はなにとってルールーはあくまで天才で、スポーツ万能で、そのうえモテる、超イケてる女の子です。
「一緒にいて疲れないの?」
「え? ううん、全然」
色々とうまくいかないことだらけだったのに、それでもほまれに「疲れないか?」と聞かれたときは、よどみなくそれを否定することができました。
「そっか。ルールーはゲストじゃないんだ」
「わかったみたいだね」
「ルールー、呼んでくる!」
お父さんのおかげで自分の間違いに気付けたとき、たったそれだけで今すぐルールーに会いたくなりました。
ルールーのことが好きだからです。
余計な考えを取りはらった本来のはななら、イケてる大人のお姉さんみたいなルールーのことを好きにならないはずがないんです。
「ルールー。家族になろう」
好きだから。もっとよく知りたいから。
仕事という義務感からではなく、元々家族だから仕方なくでもなく、はなは自分の意志でルールーと家族になることを望みました。
「私たちタイプ全然違うし、ぶつかることもあるかもだけど、なんとかなるって」
「なんとかなる根拠があるのですか?」
もしそれがふたりの関係を仕事に当てはめたからではないのなら。
ああ、そうか。好きだから未来を信じられるんだ。
好きな人と一緒の家族になれる。それは絶対に毎日楽しくて、明るい未来になるはずのものだから。それを無意識に最初から直観していたからこそ。
だからほまれに同じことを聞かれたときも無根拠に「なんとかなる」と言い切ることができたんです。
「ルールーが好きだから」
現在と未来は連続しています。
これは、はながルールーの家族になるための物語。
最初ちょっぴり付き合いづらく感じていたのはルールーのせいではなく、はなが余計なことを考えてしまっていたためでした。
と、いうわけで。
「今日はこれまでに比べて私に話しかける生徒の数が80%減りました。理由はわかりませんが、おそらく昨日のことが関係しているのでしょう。特に問題はないのですが」
「調査対象ではない相手にどんな印象を持たれても影響はない。しかし、野乃はなが私に話しかける回数も半減している」
「私は、間違ったのでしょうか?」
はたして本当にルールーの方には悪いところがなかったのか、それを問い直すべきははなではなくルールー。
今日とは違う別の物語で語られるべきことです。
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