笑顔。涙。きゅっとする胸の奥。そこにココロきらめく。
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(主観的)あらすじ
おかえり、ルールー! それはよかったのですが、でもルールーは悪いことをしたとか、心がわからないとか、色々気にして浮かない顔をしています。
その一方で、なにやらえみるが大騒ぎしています。プリキュアの正体がはなたちだということを知ってしまったみたいです。
はなたちの一日をを追いかけるルールーとえみる。えみるは改めて思います。ルールーと一緒にプリキュアになりたいと。けれどルールーはなれないと考えます。えみると違って人間らしい心を持っていないから。
えみるはなんとかルールーを元気づけたいと考えるのですが、本当に自分にそれができるのか自信を持てません。けれど、プリキュアであるはなが言うのです。「私はその気持ちを応援するよ!」 その言葉に背中を押されて、えみるはルールーを歌に誘います。
「ずっと、ずうっと友達」 重なるふたりの歌声には心があふれていました。
ルールーは心がよくわかりません。それについては前話で散々葛藤したとおり。ところで、一方のえみるは極度の心配性のためになかなかやりたいことを自由にできずにいる子でした。エキセントリックな言動のせいでなかなか気づいてもらえないんですけどね。
そのふたつの思いが重なっていきます。時計というメタファーを借りて。
心とはどういうものなのでしょうか。HUGっと!プリキュアは、たとえばひとつの答えを提示します。「なんでもできる、なんでもなれる」 心とは、自分のため、みんなのために、未来を信じる思いです。
止まった時間
17:55
ルールーがはなたちの元に帰ってきました。
「とにかく、帰ってきてくれてよかった!」
もちろんはなたちは大喜び。
「やはり私は帰れません」
けれどルールーは浮かない顔。
「私はあなたの母・野乃すみれの記憶を操作して家に潜入しました」
いけないことをしてしまいました。
「もちろん記憶は戻します」
当然、償わなければなりません。
「しかしその結果、私は100%家を追い出されるでしょう」
その償いは自分を不幸にするでしょうけれど。自業自得です。
どうせ過去は消せないのですから。
「はな!」「ルールーちゃん!」「無事だったのね! よかった」
償いの時間です。・・・怖い。
「行くよ」
けれど、どうしてかはなは陰りのない笑顔で手を引くのです。さあやとほまれも同じ笑顔で見守るのです。まるでこの先の未来が見えているみたいに。
17:59
「あれ? 私・・・。そっか。全部思い出した」
私は100%家を追い出されるでしょう。アンドロイドの分析はいつも正確でした。
「ごめんなさい。本当に、私――」
――けれど。
18:00
ぎゅーっ。
「ケガはない、ルールー。そう。よかった。じゃあ帰りましょう」
アンドロイドの分析は外れました。
「前にポトフをつくろうとして、失敗しちゃって。でもとっさの思いつきでカレーにつくり直したの」
「名づけて『ママの復活カレー』!」
わかりません。
「想定外です。どうして私を受け入れてくれたのでしょう」
「そんなの、ルールーが好きだからに決まってんじゃん」
わかりません。
ルールーには、どうしてこんな明るい未来が訪れうるのかわかりません。
翌17:02
はなたちだけでなく、えみるにも自分がアンドロイドだと知られました。
「今度から秘密は無しなのです。私たちは親友です。隠しごとは無しなのです」
「ルールー。私と一緒にプリキュアを目指しましょう。ルールーはきれいでカッコよくて、強い“心”を持っているのです」
えみるは、それでも変わらず親友だと言います。心があると言います。
わかりません。ルールーにはわかりません。どうしてこんな明るい未来が訪れうるのか。
時計が進みます。
17:05
「無理です! 私はアンドロイドです。きっとプリキュアになれるのは、あなたのような“人”です」
けれど、ルールーはそんな未来に着いていくことができません。
15:00
ルールーははなの歌の練習につきあっていました。
音楽は心を自由に羽ばたかせることができるそうです。
ルールーも一緒に、と誘ってもらえました。
「おか・を・こ・え・い・こ・う・よ。くち・ぶえ・ふき・つ・つ――」
15:00
「ルールー。音程はとても正確です。ですが、その、心に響かないというか・・・」
ルールーの時間は進みません。
ああ、そうか。
やっぱりはなたちは私と違うんだ。だからアンドロイドの分析が及ばない未来へ進んでいくことができるんだ。
そんなの、とっくにわかっていました。
「すべてが想定外。チャラリートの活動を停止せず・・・何故? 解析不能」(第12話)
「わかっているのです。あなたたちの力の源は“心”。それが私の回路にバグをつくった」(第17話)
ルールーの分析に誤算を引き起こすのは、いつだって心でした。
はなたちはルールーにも心があると言ってくれましたが・・・。
でも、ルールーにはわかりません。ルールーには着いていくことができません。
はなたちに何が見えているのか。はなたちはどうして未来へ進んでいけるのか。
「無理です! 私はアンドロイドです。きっとプリキュアになれるのは、あなたのような“人”です」
「私は、一生懸命なかわいらしい“心”を持っているあなたが、とてもうらやましい」
ああ、そうか。
やっぱり私には心が無いんだ。
足踏み
えみるは慎重すぎる子です。
「ストーップ、なのです! 石! あと一歩で石につまずいて、転んで、坂を転げ落ち、泥まみれになるところだったのです! ハイキングはとーっても危険なのです! ハイキングに行きます。お弁当を食べます。そしたらデザートのミカンが転がって、追いかけてるうちに迷子になって、二度とおうちに帰れなくなる、そんな未来が待っている――なのです!」(第9話)
ありとあらゆる不幸な未来を想定して、その対策を過剰にしすぎて、ハイキングに行くだけなのに大荷物をこしらえたり、みんなが楽しそうに歌っているところに参加できなかったり、かえってみんなの楽しみを壊してしまったり。難儀な子です。
そんな自分を思い知るたび悲しくなりました。えみるはただ、みんなの楽しい時間を守りたいだけなのに。
だからプリキュアに憧れました。人知れず恐ろしい怪物からみんなを守ってくれているヒーロー。それは、えみるがやりたかったことそのものでした。
えみるは繊細な子でもあります。
「家でギターはダメなのです。お兄様が嫌がるので。ギターは女の子が弾くにはふさわしくないと言われて・・・」
お茶ひとつ淹れるにも女性の手を借りるべきだと考える、時代錯誤にもほどがある困ったお兄さんですが、それでもえみるは反論することができません。相手に食ってかかるのではなく、自分の楽しみを我慢しようと考えてしまいます。
本当はプリキュアみたいに変わりたいのに、変わることを諦めてしまっていました。
「そうでしょうか。あなたが声をかけた人は皆笑顔になっていました」
「なんなのですか、あの人は! あなたは先ほど言いました。ギターは自由だと。カッコいいのだと。最も愛するものだと。それをあのように否定するなんて!」(第15話)
だからルールーに憧れました。誰かの気持ちを受け止められるそのカッコよさ、誰かのために怒ることができるその強さに、この人となら自分も変われると思いました。
この人と一緒なら、私でもプリキュアになれる気がする。
「ルールー。私と一緒にプリキュアを目指しましょう」
なれる気がした、のに。
そのルールーが落ち込んでいたなら、今のえみるに何ができるというのでしょう。
えみるは慎重すぎる子です。繊細な子です。
そのせいで新しいことをするためにルールーを必要としているのですから。彼女にいてもらえなければ、えみるは何をするにも不安な気持ちだらけです。
「ルールーに元気を出してもらいたくて。でも、うまくいくかわからないのです」
ねえ、ヒーロー。こんな私なんかに何ができる?
「私はその気持ちを応援するよ!」
ヒーローはえみるに元気を分けてくれました。
「大事なのはえみるの気持ちでしょ」
「ダメならそのときまた考えればいいじゃん」
大丈夫だよ、と。不安にならなくてもいいんだよ、と。
「フレフレ! えみる!」
あなたの未来が明るいことは、私が信じてあげるから。
だから、勇気を出して。
一緒に未来へ進もう。
ルールーを一緒の未来へ連れて行くためにも。
時間が動きだす
15:00
今日もまたクライアス社が誰かのトゲパワワを狙ってきます。
15:00
今日もまたオシマイダーが街で暴れています。
15:00
クライアス社の幹部が止まった時計を踏んづけて、どうせお前はプリキュアになれないと、明るい未来が訪れることを否定します。
「あるのです!」
そんなの認めてやるもんか。
「ルールーには心があるのです!」
時間が止まったりするもんか。
「“心”があるから、悩んでいるのです!」
「“心”があるから、音楽をステキだと言ってくださいました!」
「“心”があるから、私たちは親友なのです!」
ルールーは自分だけ未来に進めていない気がして、だから自分には心が無いんだと考えました。
ですが、人間だっていつも未来に進めているわけではありません。
雨が降れば雨宿りしなければなりません。石があればつまずくこともあります。迷子になったり、不安になったり、諦めたくなったり、悲しい気持ちになったり、誰かの助けを必要としたり、ときどき未来を信じられなくなったり。
それだって、“心”があるからそう思えるんです。“心”があるから、心がトゲトゲして胸が痛むんです。
かつてルールーは止まった時間のなかで人間たちを管理する仕事をしていました。
けれど、はなたちと出会ってそういう仕事に戻ることができなくなりました。
それが“心”です。なにかをしたい、なにかになりたい。明るい未来を夢見たくて、明るい未来が訪れることを信じたくて、だから夢見て、信じて。だから過去の過ちばかりに気を取られていられなくて。ただ、ただ、輝く未来を追いかけたくなる。
そのどうしようもなくあなたを揺さぶる強い思いこそが、心です。
なんでもできる、なんでもなれる。いつかきっと。
だから今、なにかしたい、なにかになりたい。
一緒にプリキュアしたいし、一緒にプリキュアになりたい。
あなたの内から心があふれてくるのを見たならば。
さあ、今度こそ。
「友情の、邪魔するなー!」
15:00
止まった時計をブッ壊せ!
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