デリシャスパーティプリキュア 第26話感想 みんなが嫌いだっていうピーマンでも、みんなでおいしく食べるために。

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私は食べることが好きだし、初めてのものでも食べてみることにしてるの。そのほうが楽しいから。コメコメもピーマン大王と仲よくなれたら楽しいんじゃないかしら。

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「ここねのやくそく! ピーマン大王への挑戦」

Lead Character:がんばったひと

ここね

Major Happening:大きなできごと

 ここねは子どものころからピーマンが苦手だった。しかし同じようにピーマンを苦手になりそうなコメコメのため、まずは自分が食べられる手本を見せることにした。だが、長年のトラウマはそうそう簡単に解けるものではない。試行錯誤の果て、ピーマン農家の愛情を見学することでついに食べられるようになるのだった。

Sub Questions:小さなできごと

何でも食べられると楽しい

 マリちゃんはどんな料理でもまず食べてみることにしているという。そのほうが楽しいからと。
 思えば、ここねも人付き合いを億劫がらず友達をつくるようになってから毎日が楽しくなった。さらに今、コメコメのためにピーマンを克服したいと思うようになっている。挑戦が挑戦を呼び、そのたびに楽しみもどんどん増していくことを、ここねはすでに知っていた。

Battle Depiction:どんなバトルだったか

 強いパワーを持ち、なかなか攻める隙のない転がり攻撃を得意とするウバウゾーが相手。逃げるばかりでは一向に状況を打開できなかったため、ここねが勇気を出して反撃を仕掛け、形勢逆転の起点をつくった。

I’m curious !:気になるポイント

スペシャルデリシャストーン

 スピリットルーに使われているデリシャストーンは、マリちゃんとフェンネルしか持っていないはずの特別なデリシャストーンだという。つくれる人がいなくなったため3個目などありえないはずだが・・・?

 ・・・というか、マリちゃんブラペより強かったのか。そういえばデリシャスフィールドを生成できるのマリちゃんだけだもんなあ。

 「まずはピーマンの苦みを抑えるか」
 「そんなことできるの?」
 「繊維に沿って切れば細胞が傷つかないから比較的抑えられる」

 ピーマンが苦く感じられるのには、クェルシトリンというポリフェノールとピラジンという香り成分が関わっています。
 クェルシトリン単体では苦いというより渋い味のはずなんですが、ここにピラジンの青臭い香りが合わさることで、不思議と人間の舌には苦く感じられるようになるんだそうです。鼻をつまんで食べるのって意外に理に適っていたんですね。

 なのでピーマンの味が苦手なら、拓海のいうとおりまずは2つの成分が表に出てこないよう細胞を極力壊さず調理するのがコツ。
 また、ピラジンはメイラード反応によってアルキルピラジンという香ばしい香りの成分に変化するので、じっくり時間をかけて加熱してみるのもひとつのアプローチ。肉詰めにしてとろとろになるまでオーブン焼きするといいかもしれません。その理屈だとハンバーグに混ぜ込むのはメイラード反応を起こせないので案外悪手? いわれてみれば私も混ぜられるのは嫌いでした。
 最近ではこどもピーマンといって、肉厚な唐辛子みたいな形状のピーマンも開発されています。畑でここねがコメコメに見せていたやつですね。これはクェルシトリンの含有量が通常のピーマンの1/10しかないので全然苦くないです。スーパーにはなかなか出回りませんが、今くらいの時期に道の駅をまわるとよく見かけます。無ければ万願寺唐辛子やパレルモ(イタリアンスイートペッパー)で代用してみてもいいでしょう。

 ピーマン、おいしいですよね。

それぞれの戦い

 「マリちゃんも言ってたの。何でも食べられると楽しいって。だからコメコメにもその喜びを知ってほしくて。私自身もみんなと楽しめることを増やしたい。みんなで過ごす時間は楽しいから」

 「私は知りました。ニンジンには育てる人、料理をする人、たくさんの限りない愛情が詰まっていることを。そう。ニンジンは愛の結晶! 克服すべき敵ではなく愛すべき友なのです!」(『ドキドキ!プリキュア』第37話)

 想像以上に『ドキドキ!プリキュア』第37話と同じ流れになっていた今話。
 妖精の手本になりたくて克服するのも同じ。気持ちだけではどうしても食べられなかったのも同じ。嫌いなもののことを知るために畑で収穫体験をするのも同じ。農家の愛情を見て食べられるようになるところも同じ。苦手意識が怪物として擬人化される描写まで同じ。
 ただ、主役のキャラクター性が違うというだけで、同じ筋書きでもここまで違うお話になるものなんですね。

 『ドキドキ!プリキュア』の円亜久里は実践される愛のありかたを学んでいくキャラクターでした。知識として愛とは何かを知っていながら、圧倒的に経験が足りていなかったため、彼女は様々なかたちで表れる愛の姿をひとつひとつその目で見て学んでいきました。
 苦手だったニンジンもそのひとつ。彼女は収穫体験を通して、特に農家の人の(※ やたら暑苦しい)愛情に深い感銘を受けていました。

 対して、ここねの収穫体験では農家の人の愛情も大きかったものの、それに加えて収穫体験そのものの楽しさが強調して描かれます。

 「ここね、ピーマン大丈夫パム?」
 「うん。収穫が楽しいから少し慣れてきた」
 「なるほど。ピーマンの知識を得ることで親しみを覚えるという戦法か」

 「コメコメ。見て」
 「かわいいコメ!」
 「本当。どれもこれもかわいいし、とっても美しいわ」

 ここねは“分けあうおいしさ”のプリキュアだからです。
 友達を必要とせず、ずっとひとりだった彼女は、ゆいに出会って友達と一緒にごはんを食べる楽しさを知りました。友達が増えるたび楽しいと感じられる出来事の幅もどんどん広がってゆき、このあいだなんかは人生初のキャンプ体験まで楽しめました。

 なお、これまではどちらかというと、ここねの側から友達に分けていくことの楽しみが描かれてきました。
 今回はその逆。農家の人からここねへ楽しさを分けてもらうかたちとなります。
 だからこそ、今作のテーマが愛じゃないにも関わらず、収穫体験の楽しさに加えて農家の人の愛情まで言及されるんですね。彼らはピーマンに愛情を持っているからこそ、ピーマンを収穫したり食べたりすることに喜びを感じている。だから彼らと同じ喜びを共有するためにはまず同じ愛情を持たなければならない。同じ愛情でも亜久里のそれとはまた少し違った趣旨です。

分けたり分けられたり

 「コメコメを離して!」
 「私の苦みに勝てるニガ?」
 「だったら、絶対にピーマンをおいしく食べてみせる!」
 「ニガー!」
 「いっただっきまーす!!」

 そんなわけで、今話は他の人からピーマンをおいしく感じる気持ちを分けてもらうお話です。ここねがひとりしかめっ面でピーマンに挑んだところで当然ながら何の成果も得られません。ここねはもともとそういうキャラじゃありません。

 「コメコメ平気?」
 「コメ・・・」
 「コメコメはお留守番じゃなかったメン?」
 「ここねががんばってるから自分もピーマンと仲よくなりたいんですって」

 ですが、それがムダな努力だったかといえば少し違います。
 分けあうおいしさのプリキュアは、たとえばこういうかたちでも自分の思いを周りと共有していくわけです。
 孤軍奮闘だったように見えても、それを見て感化される友達はいる。
 ここねが農家の人の愛情に感化されたのと同じですね。分けあうおいしさは双方向性。分けることもあれば分けられることもある。

 「そんなことより、まずはピーマン料理のレシピッピを狙うでごわす」
 「てゆーか、人の話を全然聞いてない・・・。まあいいでしょう。でもなんでピーマンを?」
 「おいどんの頭のなかに抹消したい料理のリストがあるでごわす。そこに『苦くて嫌いだ』とあるでごわす」

 ピーマンは苦くておいしくない。
 そう思う人は実際います。味覚が鋭敏な子どもならなおさら。

 でも、だからといってピーマン料理がなくなってしまってもいいかといえば――。

 それに反論できる理屈が、この双方向性の分けあうおいしさ。

 「レシピッピを返して!」
 「なぜでごわす? 苦いピーマン料理がなくなればみんな嬉しいはずでごわす」
 「そんなことない! ピーマンはおいしいよ!」
 「栄養も豊富だ!」
 「食物繊維もあるし!」
 「ビタミンCも含まれている!」
 「美容にもいいわ!」
 「それに、農家さんの愛情も!」

 ピーマンなんておいしくないという人は確かにいるでしょう。もしかしたらたくさんいるかもしれません。
 それでも、一方ではおいしいという人だって確かにいるんです。

 ただし、これだけではただの二項対立。単に相容れない価値観が人々を分断してしまうだけの話でしかありません。

 ここで出てくるのが分けあうおいしさ。
 ここねはおいしいと感じる人の思いを共有することができます。農家の人から気持ちを受け取って、さらにコメコメへと広めることだってできるんです。
 ひとりでもピーマンをおいしいと思う人がいてくれたなら、ただそれだけで、みんながピーマンをおいしく食べられる未来をつくることができるでしょう。

 「私は食べることが好きだし、初めてのものでも食べてみることにしてるの。そのほうが楽しいから」

 「どんな食材もお料理も、なくなっていいものなんてない!」

 だからこそ、たとえみんながおいしくないというピーマンであっても守る価値が出てくるわけです。
 おいしく食べられるようになる道はいくらでもあるのだから。そして、おいしく食べられたほうがごはんは楽しくなるのだから。

 「はむ。――おいしい!」
 「やったね、ここねちゃん!」
 「カッコいいパム!」

 「食べてみる?」
 「コメ。・・・はむ。――わあ。おいしいコメ!」
 「わー!」

 「ほい。チンジャオロースーできたぞ」
 「それじゃ私たちも一緒に」
 「いただきまーす!」

 友達と一緒の毎日が楽しくてしかたないここねの世界は、みんなを巻きこみながら、また大きく広がっていきます。

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    コメント

    1. 亀ちゃん より:

      今日はピーマンを芙羽 ここねがコメコメのためにも頑張って食べては克服する話でした!!
      我が子にはピーマンを食わず嫌いする子が本当に多く食べさせるのに苦労するお母様も本当にたくさんいますね!!
      ですが今日のデリシャスパーティプリキュアを視て、頑張ってピーマンを食べるようになる子供(大多数が女の子)が1人でも増えると本当に幸いな話でもありました!!☆☆♬
      で、デリシャスパーティプリキュアとマリちゃんが、スピリトルーに対して、ピーマンのことで、次々と正論を言い返すのには、うなずけるし、大人にはピーマンを口にすることに対する勇気をもらった感じになりますね!!☆☆♬

      >で、プリキュアとは無関係な雑談で言いたいことは
      愛媛県現伊予市双海町の(季節料理)魚吉は、私が小6の時に初めて行ってから、大人になってもクリームソーダを注文して飲んでいます!!
      1番最近は、7月18日の海の日に、鯛そうめんを注文するがテラにセットで、注文して、やっぱりその魚吉のクリームソーダはシックリ着ましたね!!☆☆♬
      だから愛媛県の双海の魚吉では未来永劫シックリ来る味わいのクリームソーダに、旨味も感じられるようになると、鬼に金棒なので、1番早い時は、来週の土曜か,2週間後の日曜に、その魚吉でクリームソーダを注文した時は、シックリ来る味わいを継続した上で、旨味も感じられるようになっていて欲しいです!!

      • 疲ぃ より:

          逆にこんな感じで「子どもにピーマンは合わない」ってイメージを植えつけられるせいで食べられない子が増えるって言う人もいますね。身に覚えがあるので私からはなんとも。それで食わず嫌いしていたのも、それで食べられるようになったのもどっちも経験があります。

         野菜嫌いの場合、栄養の話をされても別にピーマン以外から栄養を補えばいいじゃんって話になっちゃうのが難しいところなんですよね。これが卵嫌い、肉嫌い、魚嫌いとかだったら少し話も違ってくるんですが。この手の解決方法が収穫体験になりがちなのもそれなりに必然というか。

    2. ピンク より:

      あまりにもピーマンを連呼された結果、めちゃくちゃ重要なはずのスペシャルデリシャストーンの話が吹っ飛びましたw

      ピーマンを「苦い」とか「嫌い」と表現することはありますが、「怖い」というのは多分今回初めて聞きました。
      エナジー妖精のコメコメはほかほかハートを元に生まれた存在なので、一般的な人間以上に「なんで食べ物で嫌な思いをするんだ?! 意味わからない!!」と感じたんですかね。

      今までブンドル団が明確な理由を以ってターゲット選びをするとき、ざっくりまとめると
      ゴーダッツの好きな料理であるor幹部本人たちがそれを好き好んでるor(場所を選ぶにあたり)客観的に高く評価された商品である……と、概ね『ゴーダッツに献上する価値がある』と見做した場合でした。

      それが今回、むしろ「抹消したいから」とかいう理由でピーマンの肉詰めを狙ってきたのは少し驚きましたね。
      スピリットルー本人はゴーダッツに諸々献上するという最終目的より、目先の料理がおかしくなる現象の方を重視してるんでしょうか。
      というか食事そのものすら無意味と見做すくらいなら、いっそ放置してくれりゃいいのに……何をプログラムされたか知りませんけど、なかなかお節介なロボットです。

      • 疲ぃ より:

         アンチはファン感情の一形態っていいますから。迷惑きわまりない話ではありますが。
         設定上、レシピッピが集まってくるのは食べて喜んでいる人がいる場所ってことになるわけで。スピリットルーみたいに根本的な感性がズレてるキャラクターじゃないと、そこガン無視するのは難しいでしょうね。

         私も昔はここねみたいに苦手なもの(ちくわだったかな?)を1粒1粒取り除いてから食べるってことをやってたんですが、「苦い」「嫌い」とかじゃなくて「恐い」になる気持ち、少しわかります。
         取り損なうと吐き気がしちゃって。というか何度か吐いたこともあって。自分でもそうなるのがわかってるから必死に選りわけてましたねー。あれは、うん。確かに恐怖。ちなみにアレルギーとかではありません。

    3. 東堂伊豆守 より:

      コメコメと芙羽ここねの苦手な食べ物がピーマンだったから「収穫体験で親しみを覚えるようにする」てな手法が使えたわけで、もし二人の苦手な食べ物が豚肉とか牛肉とかだったらどうするつもりだったんでしょうね?屠殺体験させる、のか……?
      いや、我等が食の勇者・和実ゆいだったら「デリシャスマイル~」と目を輝かせるかもしれませんが。
      「おばあちゃん言ってた。食べるって“命を頂戴する”ってことなんだって。だから感謝を込めて「頂きます」って言わなきゃいけないんだって」
      さて、フェンネルとローズマリーが所持するデリシャストーンがスペシャルデリシャストーンなのに対して、ブラックペッパー/品田拓海が父・シナモンから譲り受けたストーンは(無印)デリシャストーンであることが明かされたわけですが……「シナモンがクッキングダムを出奔した後にスペシャルストーンが実用化された」ということなのか、はたまた「出奔当時19歳の若造に過ぎなかったシナモンにはスペシャルストーンを使用する資格が与えられていなかった」のか。
      あるいは……「スペシャルストーンはパワーが大きいぶん耐久性が低く、“無事これ名馬”をモットーとするシナモンはあえて無印ストーンにこだわっていた」のか。だとすれば、最初の戦闘でローズマリーのデリシャストーンが壊れてしまったのは「スペシャルストーンの扱いに慣れておらず、無印ストーンと同じ要領でアクセル開けた為にエンジンブローしてしまった」と説明がつくほか、一年前にデリシャストーンを譲り受けただけで、ろくに訓練も受けていない拓海くんがデリシャストーンを扱えているのは「耐久性や扱いやすさに優る無印ストーンだから」とみることも出来るわけで……。
      ……あ、それではスペシャルデリシャストーンを埋め込まれたスピリットルーどんの運命は……?!

      • 疲ぃ より:

         肉類ダメな人も意外といますよね。食肉加工の現場を見せたところで逆効果なのがわかりきっているので、普通に食べかたの工夫で克服しているイメージです。臭みを消すとか、ウェルダンまで加熱するとか、脂身を徹底的に切り取るとか。
         個人的にオススメなのは自分で料理してみることですかね。一番嫌悪感の強い生肉の状態から自分のコントロール下に置けるので、多少は安心して口に運べるようになります。

         スペシャルデリシャストーンに関しては、まがりなりにもフェンネルは近衛隊長で、マリちゃんはレシピボン捜索隊長ですから。レシピボンは象徴としての国宝ではなく現実に世界中の料理を支配できる力を持っているわけで、その捜索に国の威信をかけるのはむしろ当然・・・、というかむしろマリちゃん以外の派兵や後方支援が無いのは何なの?ってレベル。運転免許を取得できたあたり見えないところで外交官かスパイが仕事してる可能性は無きにしも非ず。

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