バーチャルYouTuber LiLYPSE オリジナル曲の短評。

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 なお、私は2nd LIVE『反彩星層EGOIDEAL』がサイコーだった勢いと衝動でぺしぺしキーボードを叩いているだけであって、正直こういうのマトモに語れるほどの音楽的教養なんて全然持っていません。

 色々迷ったあげくその後も結局加筆したりとかなんとかしていますが、相変わらずその信憑性たるや何をかいわんや。

【Origin-1:反響】反響∽波形Synchronicity

昏い闇の奥に手を伸ばして 繰り返し 繰り返し 伝う声に 応えた魂が響き合う

 初演は『Virtual Music Award 2021 SUMMER』。

 鮮烈なロック伴奏に、激しくもシンクロしたダンス、きわめて技巧的な歌唱。この曲ひとつでLiLYPSEとはどういうアーティストなのか一発でわかるナンバーです。
 とりあえず最初はこれを聞け。次は『ボッカデラべリタ』のカバーだ。

 何気に歌詞もLiLYPSEの物語の(※ おそらく未公演部分まで含めた)あらすじを端的に歌っていたりします。ファーストライブより1年も前に発表された曲なんですが、そのころからすでに構想があったんでしょうね。
 とはいえ、ストーリーライン自体はあくまで“お互いを必要としながら高めあう”というシンプルな内容です。別にライブを視聴しなくてもその魅力は充分伝わることでしょう。

 ちなみに私は「閉じた壁の向こうへ」のところの壁を触る→叩いて硬さを確かめる→殴って突き抜けていく、という一連の振りつけがすごい好き。

【Origin-2:反転】Tea∞Party

苺のような唇 蜂蜜のような艶髪 混ぜ合い二人はひとつ

 初演は『Life Like a Live! 3』。

 キャラクター間の接触表現が技術的にまだ難しいバーチャルYouTuberとしてはきわめて珍しく、暁おぼろが暁みかどを抱きしめるポーズから始まる一曲。曲中も手を繋いだり手のひらを合わせたりと、野心的なダンス表現をいくつも盛り込んでいます。前後でのフォーメーションが多いところも特徴のひとつ。

 ダークな曲調とともに、お互いを食しあう内容の詞が歌われます。お互いがお互いの血肉となったとき、“私”や“貴方”とはどちらの存在のことをいうのだろう? そういう疑問を抱きつつ、いずれにしてもお互いがお互いを愛しく思っていることだけは真実。そういう歌ですね。

 古式ゆかしい百合小説のような、背徳感と耽美に満ちた世界観。『反響∽波形Synchronicity』がLiLYPSEのアーティストとしての個性を切り出した楽曲であるならば、こちらはLiLYPSEのキャラクターとしての世界観を描いた楽曲ですね。
 私には百合嗜好が無いのであんまり深いこと語れませんが、そういうのが好きな人にはずっぷり刺さると思います。

【Origin-3:反語】ロベリアに口吻を

I pray for you こんなにも唯純粋に咲いているロベリアに最愛の口吻を

 初演は1st LIVE『反実仮想ARCHETYPE』。

 降り注ぐ陽光のようにきらびやかな音の粒がはじけるジャズナンバー。伸びやかな高音での歌唱と跳ねるように軽いステップとが合わさり、総じて純真無垢な少女らしさを感じさせる構成になっています。
 そういう瑞々しさと対照的に、歌詞のほうはキリスト教世界観における原罪思想を思わせる内容。とはいえLiLYPSEには宗教的な要素は無いはずですし、ここは単純に“理不尽な罪の意識”くらいに受け取っておいたほうが日本人の感覚には馴染みやすいでしょう。

 ちなみにロベリアの花言葉は「悪意」。ロベリアは可憐な花ではあるんですが、アルカロイド系の猛毒を持っているんです。実際に口づけはしないでください。

 自らをロベリアの花に喩え、世界を祝福で満たす代わりにこの世の全ての罪を一身に引き受けた少女たちの物語。彼女たちはその身の不幸を少しも呪わず、ただ全ての人を、そして神をも愛した。その美しさ、その気高さを讃えられることを誇りとして、罪に塗れた自分たちすらもいつか天国へ上れることを祈りつづける。

【Origin-4:反獄】金魚蒔絵の水飛沫

知恵を欲しがる哀れな羊 外の世界に焦がれて 抜け出した檻の先で嘆く

 初演は1st LIVE『反実仮想ARCHETYPE』。

 三味線がジャンガジャンガと暴れまわる、いわゆる和ロックというやつです。ほぼ全編がクライマックスといった具合で畳みかけてくる暴力的な曲展開が特徴。
 ダンスの面では激しい振りつけの割にどこか閉塞感を感じさせるのが面白いところ。どこか、というか具体的に振りつけが左右舞台袖側に伸びないんですね。腕を思いっきり動かすときはだいたい中央側か正面。舞台と客席とを隔てる格子型の舞台装置と相まって、本当は大きく動いているはずなのに縮こまって見えるんです。

 歌詞ははっきりと『反実仮想ARCHETYPE』から『反彩星層EGOIDEAL』へ橋渡しする物語を歌っています。
 何者かの企みにより記憶を失い暗闇のなかで目を醒ましたLiLYPSE。ふたりは歌の力で外の世界へ脱出することを望むものの、手を伸ばせば伸ばすほどに心かき乱す試練が襲い来ます。いっそ暗闇のなかで満足していたら平穏なままでいられるのに。
 それでも彼女たちは、結局窮屈な座敷牢から正面方向に開いている出口へと手を伸ばさずにいられないわけです。

【Origin-5:反比例】Moonlight

わたしを見てね わたしだけをね わたしを愛して わたしだけを愛して

 初演は2nd LIVE『反彩星層EGOIDEAL』。

 暁おぼろのソロ曲。タンゴ調といえばいいのでしょうか、小気味いいリズムとともにメロウでロマンティックなメロディが展開。ここに暁おぼろならではの蠱惑的で滑らかな歌声が乗ることで、まるで可憐な妖精が舞っているかのような美しい情景がイメージされます。
 ただし、やたらまっすぐこっちばかり見つめてくる目力の強さにはくれぐれも注意。開き直った依存体質ほど怖いものはありません。

 暁みかどと暁おぼろ両名の新衣装で髪飾りとしてあしらわれているのはフジの花。花言葉は「けっして離れない」「恋に酔う」「確固たる思い」など。フェイズ1に入ったふたりの新しい関係性をよく表していますね。

 エイドスが「自我(エゴ)を獲得したあの子たちに次に与えるものは、そう、自律(コントロール)だ」と言っているように、2nd LIVEを終えた今の彼女たちは芽生えたばかりのエゴイズムに振りまわされていて露骨に不安定。はっきりとふたりだけの閉じた関係性を求め、歌っているこの曲は特に不安をかき立てられます。とはいえその強い感情の発露自体がまたとても魅力的なので困ってしまうのですが。

【Origin-6:反抗期】ラブ!エビバディ!

この世の全部が大好き だから全部ちょうだい

 初演は2nd LIVE『反彩星層EGOIDEAL』。

 暁みかどのソロ曲。現状、カバー曲を除いてLiLYPSE唯一の媚びっ媚びなアイドルソングでもあります。暁みかども普段のキャラとはまた少し違う仔犬のようなキャンキャンした歌声で歌唱。ただでさえあの手この手で騒ぎまくるやかましい曲なんですが、もちろんファンの期待どおりダンスやワイプ演出まで抜かりなくうるさい全方位カイザーピンク仕様になっています。どんどんやれ。

 暁みかどと暁おぼろ両名の新衣装で肩のタトゥーになっているのはヒガンバナ。墓所に咲く花として「あきらめ」などメランコリックな花言葉を持つと同時に、その鮮烈な花姿から「独立」「情熱」といったパワフルな花言葉も併せ持っています。

 ドストレートにあたまわるい歌詞にときたま妙な語彙が差しこまれるあたりマジ暁みかど。
 歌っている思い自体は暁おぼろの『Moonlight』同様問題だらけのエゴイズムなんですが、アイドルがファンを愚民呼ばわりして搾取宣言するのは割とありふれた光景なのでそこまでヤバいと感じない不思議。むしろアーティストなんてものはファンに依存せずどんどん自我をさらけ出してナンボなものなので、ほんとエイドスは良い仕事をしました。

【Origin-7:反省】セレストラスト

何処が正解か 誰が不正解か 解らないから探す未完成

 初演は2nd LIVE『反彩星層EGOIDEAL』。

 高めのBPMにテクノ音源を織り交ぜた音の洪水で文量多めの歌詞を流し込むタイプの楽曲。なんて名前で呼ぶのかは知らないですけど、VOCALOIDの流行とともに流行りはじめて今ではすっかりスタンダードになったやつですね。

 それぞれのエゴイズムを探求した2nd LIVEのラストを飾るにふさわしい楽曲になります。
 「正解」や「正義」などと呼ばれる一般的な価値観に疑問を抱き、答えを出せない自分は不完全だとしながらも、それでも答えを決められるのは自分だけとする決意表明。不遜で、挑発的で、気高いですね。

 タイトルはCelestial(天上の)+trust(信用)あたりをくっつけた造語でしょうか。暁みかどと暁おぼろは太陽と月の巫女。間奏でも公転運動を模したような振りつけがありましたね。
 空から剣が降ってくる演出がなされましたが、正義の女神像が秤と剣を携えているように、一般に剣は力の象徴です。有無を言わさず他人を従わせる力。どんなに公平な判断、どんなにすばらしい思いがあったとて、それを押し通す強さが伴わなければ悪徳に蹂躙されて終わりです。もちろん暴力はなるべく避けるべきでしょうが、その場合は自分の道を切り開いて絶対に折れない強い意志が、なおのこと必要になるはずです。だから、多少悪い部分が垣間見えていたとしても人間にエゴイズムは必要になるんです。

【Origin-8:反語】ロベリアに吐瀉を

I look down on you こんなにも欺きながら咲いているロベリアに非ぬ量の吐瀉を

 初演は3rd LIVE『反躬治星AUTONOMY』。

 『ロベリアに口吻を』と対をなす曲。『口吻』に違和感を覚えた部分は『吐瀉』で補完され、『吐瀉』で奇妙に感じる部分は『口吻』で納得できる構造です。
 豪雨のように隙間なく音符が並べられた破滅的なジャズナンバーで、ボーカルも伴奏もきわめて主張が強いです。3分半の間お互いを傷つけあわんばかりに荒々しい応酬が続きます。
 ダンスの面でも『口吻』とは対照的。『口吻』が向かいあう場面で『吐瀉』は背を向けあい、『口吻』が胸を反らして天を仰ぐ場面で『吐瀉』はうずくまって地を見下します。『口吻』のダンスが仲睦まじかったぶん、『吐瀉』は2人で踊っているはずなのに孤独さを強く感じることでしょう。

 あらん限りの言葉で世界を侮辱し、そこにある偽善と蒙昧をひたすらに哀れむ主人公。しかし、彼は世界のことを憎みながらも、けっしてその醜い感情を人間に向けることがありません。きっとあなたは彼のそういう部分にある種の高潔さを感じることでしょう。
 最後にぽつりと救いを祈るその姿は『ロベリアに口吻を』で歌われた聖人によく似ています。

【Origin-9:反魂】ROLLiNG DOLL

嗚呼 狂え 咲かして 君へ 嗚呼 動け 枯らして 全て

 初演は3rd LIVE『反躬治星AUTONOMY』。

 一瞬だけフェーズ1の姿に戻ったLiLYPSEが再びおどろおどろしいフェーズ-1の姿で歌い、『反躬治星AUTONOMY』の最後を締めくくりました。初演では投影される歌詞の大部分が墨塗りとなる演出も。
 このライブのテーマとなっていた“自律”のありようを歌っています。世界の何もかもを信用することができず、自分自身ですら何者かに運命を弄ばれているように感じ、ただ唯一信じられるものは自分のエゴだけ。その頼りなさ、そしてやるせなさ。表題の『ROLLiNG DOLL』は打ち捨てられたオモチャをイメージしてのものでしょうか。

 彼女たちのその感情を反映して、伴奏は弦楽編成の重々しいバロック調。荘厳さよりもまず息苦しさを感じることでしょう。聞いているだけで全身にかかる重力が増すかのようです。
 ダンス面ではロボットダンスというか、糸の切れかけたマリオネットや錆びついたオートマトンを思わせる、あえてぎこちなくした動作が多く取り入れられていますね。意図は(おそらく)言わずもがな。しかもこれがまたフェーズ-1の姿によく似合うこと。

 「完全明瞭な私の心」「不完全明瞭な君の心」と対比的に歌われていますが、上記のとおり、実際のところこの物語の主人公は自分自身のことすらも大部分を信用していません。彼女は自分を信じるための担保として、「誰か」あるいは「君」と呼ばれる存在から向けられる思いに頼って生きていたためです。
 逆をいうなら、彼女が真に自分を信じられるようになるためには、一度は信用できないと見限った自分以外の誰かをもう一度信じてみることが必要となることでしょう。

【Origin-10:反芻】annuLus

「生きていて。」 その願いには 祈りのような意味さえあって

 初演は4th オンラインライブ『反射星雲REBELLION』。

 表題の「annulus」は“輪”という意味の英単語です。意味が似ている「ring」に比べると学術用語として用いられることが多いでしょうか。また、語源的にも「ring」は“取り囲むもの”といったニュアンスが強いのに対し、「annulus」は“小さな輪”“円環”と、あくまで形状をその本質としています。

 「反芻の歌物語」と称していることからもわかるとおり、これまでLiLYPSEが歩んできた道のりをなぞる歌です。固定された振りつけはほぼ無し。星空のもと水面を見下ろしているような瑞々しい伴奏と、思いが溢れ出てしかたない歌声とをシンプルに味わいましょう。

 アイデスら複数勢力の陰謀に弄ばれてこれまで数奇な運命を辿ってきたふたり。
 そんな彼女たちにとって、「生きていて」「そばにいて」などという素朴な願いはエゴイズムでしかありませんでした。決定済みの運命であるかのように“正しく”感じられた道にあったのは破滅と絶望ばかり。お互いの幸福を望む思いはキレイゴトでしかなく、しかも誰のために祈るのかといえば結局のところ自分のため。

 ですが、そもそも自分の人生を自分の意志で自由に決められる人が果たしてどれだけいるものでしょうか?
 ままならない運命に翻弄され、たくさん傷つき、たくさん悩んだLiLYPSEが手繰り寄せた答えは「君」。それはエゴイズムかもしれませんがふたりともの救済。ほとんど唯一、彼女たちが自由意志によって得ることができた、今の自分の人生における希望でした。
 物語は未だ道半ば。実際のところ彼女たちのその運命、その選択、その希望が真実かどうかも未確定です。けれど、答え合わせをしに行こう。
 これはそういうふうに前を向くようになった、ふたりの歌。

【Origin-11:反逆】Regimentation

「愚民ども! 日輪に焼かれよ! 月光に狂え!」
「停滞は死だ! 諦めは死だ! 生き恥を晒すな!」
「笑って死ね! 屍山血河の上にこそ花は咲く!」
「進め! 進め! 死を踏み越えて、今奮い立て!」

 初演は4th オンラインライブ『反射星雲REBELLION』。

 表題の「regimentation」は“連隊編成”を意味する言葉です。連隊というのは――、軍隊や兵科によって定義がまちまちなのですが、往々にして1000人規模の大集団のことです。それだけ大勢の兵士をまとめあげるという話ですね。

 この楽曲は「REBELLION(反逆)」を冠するライブの最後を飾りました。
 暁みかどと暁おぼろが死の淵から挑んだ反逆は、愚民(=LiLYPSEファン)たちの支持を充分に得ることができず、一度失敗してしまいました。彼女たちはそれぞれ自分の真に望ましい在り方を改めて見つめ直し、そして、再起します。これは遂に完成をみたふたりの「反逆の歌物語」。

 “連隊編成”と題するだけあって、地の底から響くような重々しい軍楽調。
 この楽曲においてまず、なんといっても第一に印象的なのは「オーオー」と響きわたる鬨の声でしょう。今後有観客のリアルライブでこの鬨の声に自分も参加できたら、きっとどんなにか嬉しいことだろうと感じさせる、この熱気こそが楽曲の中心です。
 この楽曲において主人公はLiLYPSEではありません。主人公は私たち愚民。曲も、歌詞も、パフォーマンスも、全てが愚民視点で構成されています。

 AメロBメロでは主君たる暁みかどに、側近の暁おぼろがかしずく様子がダンスパフォーマンスとして表現されます。ところが、ここでのふたりの位置関係は客席と平行。舞台芸術の世界では通常、こういうシーンにおいて観客にキャストの視点を共有させるために少し斜めからの位置取りをするものなのですが、ここでは清々しいほどにド平行です。見つめる立場の私たちにとってはどうしてもどこか他人事のような、一枚壁を隔てられたような印象を抱かされてしまいます。
 実際、これまで4編のLiLYPSEの物語はひたすらふたりの関係性を中心に掘り下げられてきましたから、そこに愚民という存在はさほど重要ではありませんでした。
 愚民たちはただ見守っていただけ。悩み苦しむふたりを哀れみ、愛おしく思いながらも、その手は彼女たちのところにけっして届かない距離にありました。

 私たちはもう充分に知っています。
 彼女たちが何を欲しがっているのかを。
 私たちはもう充分に知っています。
 彼女たちが何を辛く思っているのかを。

 そうして溜めこんだところに継ぐサビ。ここでLiLYPSEのふたりが私たちのいるほうへ振り向くんです。
 声を上げよと。
 ともに進もうと。
 ついに、私たちの出番が来たわけです。もう見守るだけの立場ではなく。

 愚民たちがLiLYPSEを愛すればこそ、愚民たちがLiLYPSEとともに在ることを望めばこそ、この楽曲の主人公は愚民たち自身になっていきます。これはそういう歌です。

【EX-1】りりっぷすの歌

LiLYPSE! LiLYPSE! ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!
LiLYPSE! LiLYPSE! ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!
LiLYPSE! LiLYPSE! ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!
やっぱり最強! りーりっぷす! しゃあ!

 1st ワンマンライブ『反天抗星PRAGMATISM』に先駆けてYouTubeで発表された楽曲。

 コール特化の脳直ピーカンソングであり、ライブに参加するなら是非とも覚えてから現地へ赴きたい愚民たちの宿題曲。
 LiLYPSEの自己紹介も兼ねているので今後の合同ライブでの披露にも期待が持たれます。

おまけ: アイデスの名前について

 アイデスの元ネタはおそらくギリシャ神話の冥府の神・ハデスの異名のひとつ、アイデース(目に見えない者)じゃないかと思われます。被ると姿を消すことができる兜を持っていたんだとか。ちなみにハデスの他の異名としてはプルートゥ(富める者)、エウブレウス(忠告する者)などもあります。
 なおこのハデス、死者の国を支配してはいますがけっして悪神というわけではありません。むしろ主神ゼウスの兄弟であり、世界を分割統治する盟友であり、ときどき地上の神々に手を貸すこともあったといいます。ただし、やはり古代ギリシャ人の感覚でも死を司る神の話はあんまりしたくないものだったらしく、力ある神の割には神話での登場頻度は意外と少なかったりするようですね。

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