わかったよ。そこまで言うならやってやる。ただし条件があるぜ。私があんたを殺したら、私も一緒に死んでやる!
癒やし系美少女 ユーニ
第7話 動き始める刻
Lead Character:がんばったひと
ノア
Major Happening:大きなできごと
エヌの“後悔”
エムはノアとミオの存在そのものが自分たちの後悔の証だと言っていた。
アイオニオンの人々はやり残したことがあるから人生を繰り返し、満足に生ききったなら成人の儀で人生の全てを終える。メビウスになってなお生まれ変わるほどの後悔とはいったいどれほどのものだろうか。この人は本当に諦めたがっているのだろうか。
・・・なんてことを今回書くつもりだったが、考察記事がボリューミーになったのでエヌの話は次回まわし。
女王メリア・エンシェント救出
アイオニオンのあらましをひととおり教えてくれたニアと違い、メリアが教えてくれたことはただひとつ、メビウスの正体。けれどこれこそが物語の核心でもある。
それにしてもこの人つくづくヒロインムーブが似合わないな。男前すぎるし覇気がありすぎる。顔は可憐なのに。
Sub Questions:小さなできごと
アシェラ覚醒
アシェラがやたらめったらバトルジャンキーなのは前生の記憶が原因だった。1000年前執政官に処刑された瞬間のフラッシュバック、その強烈な忌避感が、彼女に戦死という死にざまを渇望させていた。
それにしても言ってることやってることはクリスと一緒なのにどうしてこんな物騒な感じになるんだろう。
ゴンドウ覚醒
シャナイア関連でもキーパーソンのくせに自分は自分で親子問題というおいしいテーマを抱えている人。覚醒イベントではターキンの親子愛に触れることになった。自分が子どもの立場だからこそ、親という生きものがどれほど気高いのか見えてくる。子どもだからこそ、継ぐべきものがはっきり見える。
ナギリ覚醒
ほんの少しの巡りあわせの違いで生きる道が大きく変わってしまった双子の物語。名前をつけてあげたかった。絆というのは血脈でも、霊的なものでもないのだろう。お互いに思いあうからこそ絆はつながっていた。
ナギリはこれからも二号のことを思いつづける。だったら、ふたりが生きているかぎりいつでもまた絆はつながるだろう。
エセルとカムナビ覚醒
いや発生条件わからんわ! その1。(※ だって普段エセルは同行してないじゃん!)
エセルは他人を思いやるうちは仁者としてふるまいつづけるくせに、自分事となるとどこまでも戦闘狂。その塩梅がつくづくどうにかしてて、今回死地に同道したいと自ら望んで大人になった。カムナビともどもホントお人好し。そして修羅。
トライデン覚醒
いや発生条件わからんわ! その2。(※ だって野戦スープつくるくらいなら外食するもん!)
とぼけた爺ちゃんが不意に見せる涙。(※ 見せてない) 戦友が残したものは味噌なんていうしょうもないものだったが、そこには溢れんばかりのロマンと、友情、なにより想い出が詰まっていた。・・・使うに使えないよ、こんなの! せめてトライデンのほうから献立リクエストしてくれ!
考察的なこと
アイオニオンの成り立ち
「交わりの日まであと300日」
「ええ。私たちは互いの英知を結集してあれをつくった」
「ふたつの世界が交わるときに備えて」
『ゼノブレイド』の二神が争う世界。『ゼノブレイド2』のアルスト。2つの世界のルーツは私たちが生きる世界と同じ、地球や銀河系があるこの世界でした。
滅びに向かいつつある世界でクラウスという若い科学者が多元世界の接続実験を試みた結果、元の世界はゲートと呼ばれる超常的なエネルギー体を挟み、2つに分れたのでした。
だからでしょうか。クラウスが逝去し、ゲートもまた逸失した今、2つの世界は再び1つの姿に戻ろうとしています。
もしそのまま2つの世界が衝突してはいずれの世界も消滅してしまうことでしょう。そこで、2つの世界の女王は対抗策を用意したのです。
「私たちの全てがあそこにある。記憶も、魂も」
「私たちは消え、そして生まれる。それが終焉なのか、始まりなのか、誰にもわからない」
「時が決めてくれるでしょう。私たちのこの行いの真の意味を」
オリジン。世界の消滅を越えて命をつなぐための方舟。2つの世界の英知を結集してつくられたオリジンには、2つの世界に存在する全情報を収集し、世界の消滅圧に耐え、その後再び2つの世界を再生する機能が備えられていました。
唯一無二の天変地異なので実証実験は行われていません。ぶっつけ本番です。それでも、2つの世界を存続させるためには自分たちでつくったオリジンを信じるしかありませんでした。
いいえ。
世界の再生は成されませんでした。それどころか消滅自体が起きませんでした。
2つの世界が衝突し対消滅しようとするその瞬間、時が止まったのです。
メビウスの力によって。
メビウス――世界の消滅を目の当たりにして未来を恐れるようになった、人々の恐怖心によって。
2つの世界が入り混じった状態で停止したその中途半端な岩塊は、アイオニオンと呼ばれるようになりました。
ウロボロス=ブレイド同調
「ブレイドの中核であるコアクリスタルは、外界からの淘汰圧や人間の生命体としての情報だけでなく、その人間との間に培われた経験や、感情までをもロゴスとプネウマへ送る機能を持っている。送られた情報は蓄積され、新たな進化コードをコアクリスタルへと送り返す。送り返された進化コードはさらなるブレイドを生み出し、そのブレイドはやがて巨神獣となり、次なる生命体を創出してゆく――。命の記憶の循環を私はつくりだしたのだ」(『ゼノブレイド2』最終話)
創造主クラウスが『ゼノブレイド2』の世界に放った“コアクリスタル”には2つの機能がありました。
ひとつは世界中に遍在し、ありとあらゆる生命情報をそのなかに格納すること。もうひとつは自身が観測した体験や感情を中央演算素子(※ トリニティプロセッサ)へ送信し、全世界で共有すること。
『ゼノブレイド2』の物語において、コアクリスタルはこの2つの機能を効率的に運用するため、相性のいい人間と同調して“ブレイド”という亜種生命体の姿を取り、生涯を共にしていました。
おそらくは、オリジンに両世界の全情報を余すことなく集積させるにあたって、このコアクリスタルの技術が転用されたのでしょう。
おかげで(※ 『ゼノブレイド』『ゼノブレイド2』両物語のエンディングから100年も経っていないであろうわずかな時間で)両世界の対消滅までにオリジン完成を間に合わせることができました。
そして、オリジンがメビウスに制圧されてしまったとき、女王ニアは対抗するための切り札として、このコアクリスタル本来の機能を復活させたのでしょう。
記憶の集積と共有、そのうえに成り立つ異質な生命体同士のパートナーシップ。
アイオニオンではそれがインタリンクというかたちで発現したようです。
終の剣=モナド
「君は未来視によって何度か因果律を書き換えてきた。本来死ぬはずであった人たちの命を救ってきた。・・・完璧なものなんて存在しやしない。それは悲しいことではあるけれど、そこから学び、新たな一歩を踏み出すこともできる。ザンザのではなく、君たち自身の足でね」(『ゼノブレイド Definitive Edition』第17章)
『ゼノブレイド』の世界において創造主クラウスは“モナド”と呼ばれる剣を振るっていました。
モナドは見た目こそ一振りの剣でしたが、その本質はもっと偉大な権能、因果律を書き換えられるところにありました。すなわち、世界の進んでゆく未来を自由に決められる力。人の運命を自由に変えられる力。
ただし、クラウスが因果律を占有できていたのは彼が圧倒的に巨大な力を有していたからというだけに過ぎず、実際のところモナドはありとあらゆる人間全てが心のなかに持ちあわせているものです。
端的にいうならモナドとは希望を信じる意志。夢は追いかけていればいつか叶う(かもしれない)、望む未来を目指すひたむきな努力は運命を変える(可能性がある)。そういう、私たちにも馴染み深い思いの力のことなんです。
『ゼノブレイド』の世界は神様がその力を意図的に濫用し、そしてその神様に対抗するために人間たちもまた神のモナドを真似たモナドレプリカの製造技術を得た世界でした。
おそらく、世界の衝突という人知を越えた大災害を耐えきり、オリジンをその向こうの未来へ運ぶために、この望む未来をつかみ取るモナドの技術が必要だったのでしょう。
オリジンがメビウスに制圧されたとき、女王メリアは自身のモナドと感応させたオリジンの破片をノポン族に託し、魔剣ラッキーセブンを鍛えさせたようです。いつか、この魔剣と感応して己のモナドを使いこなす人物が再び現れることを期待して。
「出なくて当然も。ノアはまだラッキーセブン抜いてないも。うんと前に『どうにもならなくなるとき、本当に必要なときが来る』って言ったも。きっと今日がそのときも。最後の最後の、最後のそんときまで、諦めちゃダメも」(第5話)
「かたちなんて飾りも。人間もウロボロスも変わんないも。抜く前からメビウスの力、効かなかったも? ラッキーはただのきっかけも。本当に大事なのは――」(第6話)
第2話でノアがとっくに魔剣ラッキーセブンを抜刀していたはずなのにも関わらず、リクが「まだ抜いていない」と言っていたのは、そういう意味だったんですね。
ラッキーセブン自体は単に極端に切れ味がいいだけの刀。これを使って本当に抜いてほしかった剣は別にあったというわけです。
流れの外へ
「無力だな。その程度の力でこの流れ、変えられるとでも思ったのか? 流れのなかにある者よ。委ねよ、お前の全てを」(第6話)
「脅威なのさ、因果の流れの外にある存在が。ザンザやメイナスが生み出した生命は永き年月の果て、流れの外に出ようとしている。それは彼らの滅びを意味している」(『ゼノブレイド Definitive Edition』第17章)
メビウス・ゼットがよく使う「流れ」という言葉。実は「流れ」という言葉は『ゼノブレイド』の物語でも象徴的に使われていました。人間のモナドが神様の決めた因果律を超越しつつある状況を説明する言葉として。
『ゼノブレイド』世界の神様が人間を押さえつけて因果律を我がものとし、そしてさらに多くの人々との絆を束ねたひとりの少年が神の因果律をも超越して見せたように、モナドの使い手という存在はもはや世界の理に縛られることがありません。
だからこその“終の剣”。モナドはこのアイオニオンを終わらせられる唯一の力になりうるんですね。
コロニーオメガでミヤビが記憶を取り戻すという奇跡が起きたのも、ノアとミオが無意識に因果律を改変させた結果なのでしょう。
黒い霧=“光”
「お、お前たち、許さない。ゆ、ゆ、ゆ・・・? か、体が!? 何、これ。な、なんで動かな――!?」
「黒い霧!? まさか、消滅現象か!? ノア! ここにいたら巻きこまれる!」(第4話)
アイオニオンではあちこちに黒い霧が発生し、そしてその地域では消滅現象が発生するようになるんだそうです。
世界の消滅。今になってみればこの現象の正体はもう明らかですね。
世界は完全に停止していたわけじゃなかったんです。メビウスの力をもってしても時間は少しずつ進みつつあり、世界は現在進行形で消滅への一途を進んでいます。
ところでこの黒い霧は制限時間を超過してインタリンクしつづけたウロボロスやメビウスの身にも発生していましたね。
これも当たり前といえば当たり前の話です。ふたつの世界が交われば消滅するのが本来の運命なんですから、ふたりの人間だって交わりすぎれば消滅するでしょうとも。
ただし、インタリンク自体は必ずしも悪いことばかりではありません。
世界の消滅は光を生み、そしてその光を利用して女王メリアと女王ニアは世界観通信を実現していました。ふたつの交わりは消滅現象とともに未知のエネルギーをも生みだすというわけです。
だからウロボロスは強いんですね。対メビウスの切り札にもなりうるほどに。あとアナイアレイターもか。
ふたりの女王が不老である理由
「何も。何もする必要はなかった。ただ、ただ世界をその場その時に留め、閉じた時間のなかを永遠に漂うことが彼らの願いだった」
「この世界は静止した時のなか、永遠の今を選択した思いによってつくられた」
この世界がアイオニオンとなってから少なくとも1000年以上が経過しています。
ブレイドであるニアの寿命ははっきりとわかりませんが、ハイエンターであるメリアの寿命はせいぜい人間の5倍。400歳程度までしか生きられないはずですし、人間の年齢感覚をそのまま5倍に引き延ばしたペースで老化するはずです。
なのに、メリアの外見年齢はせいぜい人間でいう30代そこそこといったところ。
まあ、説明はつきますよね。
だってアイオニオンの時間は停止しているわけですから。
アイオニオンはあくまで停止した時間のなか、メビウスがつくった理に従って終わらない戦争を繰り返しているに過ぎません。
そして、ふたりの女王はアイオニオンが成立する前から存在している人物。最初からメビウスの理の外にいるわけです。
そりゃあ・・・、老けないはずですよね。
ふたつの世界が衝突しようとした瞬間から、この世界の時間はほとんど進んでいません。
ちなみにニアが胸を撃たれても死ななかったのは単純にブレイドとしての性質です。胸のコアクリスタルを破壊されないかぎり彼女は基本的に死ぬことがありません。(※ 色々複雑で不明瞭な死亡リスクもありますが)
メビウスが戦争を始めた理由
ケヴェスとアグヌスに生まれた人々の寿命はわずか10年です。彼らはその生涯を戦争に捧げ、そして死んでいきます。
メビウスが命をつなぐための糧となるために。
では、どうしてメビウスは戦争で散っていく命なんてものを必要とするのでしょうか?
その答えはおそらく1000年前の成人の儀にあります。
あるいは黄金のコロニーにあります。
ヨランがコロニーラムダでつくった泥人形にあります。
そしておそらくは、メビウスの正体にこそあります。
「実は成人の儀なんてものがなかった時代もあったのさ。それでも成人した兵士を讃える儀はたしかにあった。――何をしたと思う? おくりびとではなく執政官の手で命を終わらせる。つまり、処刑だよ。命の輝きを捧げる儀式、といえば聞こえはいいか。実際は敵のブレイドで殺される以上の死と屈辱が待っていたのさ」
かつて、成人の儀とは執政官の手による処刑のことをいいました。
現在のように盛大に葬送されるなんてことは、本来のメビウスのありかたからすれば考えられないことでした。
1000年前、人々は戦争で死のうが10年生き延びようが、最後は死への恐怖のなかで命果てるように運命づけられていました。
「上がってる最中ってさ、すんごく輝くんだよ。命。もう最高! だけど上がりきっちゃったらあとは下がるだけ。そしたら役に立たないもんね。だから刈り取るの。最後の抵抗を見せる、最後の命の輝きをね」(第5話)
黄金のコロニーも同様。
人を自発的に戦わせるにはモチベーションとなるものが必要でしたが、目標を達成したあとの安堵はメビウスにとって不要なものでしかありませんでした。メビウスたちはなるべくむごたらしく、残虐に黄金のコロニーを蹂躙していたようです。
「なんで送るのかって? ――結果的に泥人形だったとしても、あのとき俺たちは戦いを選び、倒した。それは変えようのない事実だ。送られるものがいようといまいと、ケジメはつけなくちゃな」(第3話)
ところで、アイオニオンにおける“命”の定義は物理的な生命活動のことではないようです。
その証拠に、ヨランがつくった泥人形が相手であってもおくりの旋律は反応を示しました。
ノアたちおくりびとが人生哲学として直観していたように、その本質はむしろ思いのほう。死にゆく人の思い、残された人の思い。その眩いばかりの意志の閃光こそが、この世界における“命”でした。
「ゼット、か。ゼットは、あれは人ではない。思いなのだ。誰もが抱く不安、恐怖、そういった思いが集い、人のかたちを成したものがゼットだ」
そして。メビウスとは人間の恐怖がかたちとなった存在だということです。
つまり。
彼らは恐怖心として生まれ、だからこそその存続のためには新たな恐怖心を集める必要があったわけです。
「よい輝きでしょう。我々メビウスは長きにわたってこの世界とともに存在してきました。しかし、長すぎるがゆえ多くはその存在の意味を失い、世界とともにゆっくりと疲弊している。――命の輝きが必要なのです。今以上の輝きが。この世界を救うために」
「そして気付いたのです。灯火も人も、その最後に最も強く輝き、きらめきを放つ。これこそが我らの最高の糧なのだと。そう。私の最高傑作ともいえるのがこの火時計。命が最も輝く最後の1年、刹那を生み出す究極の火時計、輝煌の火時計なのですよ」(第6話)
恐怖なんて、何度も何度も同じものに直面しているうち次第に慣れていくものですからね。
アイオニオンはほんのわずかながらも時間が進みつつある世界なので、メビウスたちの恐怖も最初に発生したときのままいつまでも不変というわけではないのでしょう。
メビウス・ワイがコロニーオメガで新たな火時計を開発していたのも、この世界に新機軸の恐怖を発生させるためだったものと考えられます。
メビウス・エー
以上。
ここまでひととおり設定の再確認と考察を行ってきましたが、これでノアが望む未来のために斬るべき真の敵の姿が見えてきましたね。
目下の敵は未来が怖くてしかたがないビビリ野郎、メビウス・ゼット。
そして、その向こうに横たわるアイオニオンです。
消滅しそうでいつまでも消滅しない、あんなものがいつまでもここにあるから怖がりさんたちが怯えたままなんです。さっさと消し去って、人間の絆の結実たるオリジンが未来を勝ち取る勇姿を見せつけてやればいい。
あれが本当にうまく稼働する保証はありません。ですが、メリアとニアが信じているなら私も信じるに足りますし、そもそもノアたちの願いを叶えてあげるためにはあれにうまくやってもらわなきゃどうしようもない。
「世界が命を縛るなら世界を断つ! それだけだ!」(第6話)
真の敵はメビウス・エー <Aionion>。
私たちゲームプレイヤーはシュルクとともに神を斬り、エルマとともに英雄を斬り、レックスとともに絶望を斬り伏せてきました。
今度は世界を斬りましょう。
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