ぐらんぶる 第2話感想 お兄ちゃん気質と妹気質。

苦手意識は変わらないけど、次はもっと近くで見てみたいかな。――ありがとうな、千紗。

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(主観的)あらすじ

 古手川千紗(20歳)。伊織が下宿している古手川家の次女で、伊織(20歳)と同い年です。ダイビングのインストラクターを目指しており、父親の勧めでPeek a Booに入会することになりました。大学生特有の乱痴気騒ぎが大の苦手なシャイガールです。
 というわけで、一瞬でPeek a Booの色に染まった伊織は順調に彼女からの評価を落としつつありました。半分くらいは先輩たちの悪ノリのせいですが、残り8割はどう考えても伊織の自業自得というほかありません。AVマニアでアニオタで腐男子でストーカーな伊織の部屋は離れに隔離されることになりました。
 さて、そんな些末な問題はともかくとして。
 今日はPeek a Boo新入会員のための初心者教習です。泳げない伊織はまず水に慣れることからはじめますが、これがなかなか意外とうまくいかず、伊織はあっさりとダイビングへの興味を失ってしまいます。千紗は伊織のことが嫌いでしたが、彼が水の中に興味がないと言うのはもっと気に食いませんでした。
 伊織は千紗の姉の菜々華に誘われ、水族館に出かけることになりました。どうやらそこに千紗が見せたがっているものがあるようなのです。それは、トンネル水槽でした。まるで水の中に潜ったような幻想的な光景は伊織の水の中への関心をひっくり返すほどの魅力に満ちていました。
 千紗も菜々華も、Peek a Booの先輩たちもそう。彼らは自分の好きなものの魅力を知ってほしくて、だからあれほど熱心に伊織をダイビングに誘ってくれていたのでした。

 スタッフロール、「伊織の部屋の貼り込み素材」ってなんだよ。・・・とも思ったんですが、今どきだと逆にこういうのは外注した方がトレンドを取り入れやすいんでしょうね。pixivとかtwitterとかの大規模コミュニティもあることですし。特にBLポスターは原作マンガよりも明らかにツボを心得ていらっしゃる。なにそのネクタイ率。あのジャンルってTSF並みにフェチやエロスとの親和性が高いですよね。
 ところでこのペースだと原作第5巻か第6巻までで1クール終了といった見込みですね。ちょっとテンポがゆったり気味な気もしますが、アニメ2期の計画でもあるんでしょうか。

 一般に、末っ子は甘えん坊として語られることが多いようです。
 というかウチの妹もそうなんですよね。甘える対象は私ではなく母なのですが、いくつになっても親元を離れたがりません。北海道に異動になっていた頃すらも毎月帰省していたあの根性には恐れ入りました。現在は片道1時間半かけて毎日実家と職場を往復しています。私なんてお盆休みをもらってもテキトーにごまかして半分くらいアパートでゴロゴロしているのにね。

 って、ウチの自慢の妹の話はどうでもいいんです。(取って付けたようなヨイショ)
 今回の話題は古手川千紗についてです。
 重度のシスコンの姉を持った千紗は、妹というものの一般的なイメージから大きく外れることなく、やはりけっこうな甘えん坊さんでした。

 といっても、いかにも順平が好みそうな萌え萌えキュンなお姉ちゃんっ子というわけではありません。
 「私も参加しなければいけませんか?」
 「私も着替えるんですか?」

 千紗は当たり前のことをわざわざ確認したがる子です。
 それを求められているとわかっていながら、できることなら向こうから「やらなくていいよ」と言ってもらえることを期待して、いちいちこういう含みのある言い回しをします。自分が乗り気じゃないことを察してほしくて。できることなら自分からははっきりと意志表示したくなくて。そのくせ場の空気に流されてやるつもりはなくて。
 こういう甘えかたです。メンドクサイ子ですね。

 「ダイビング、バカにされたままなのも癪だから」
 千紗には強いこだわりがあります。誰が相手でも曲げるつもりがない、一生それを続けたいと思える大好きなものがあります。
 他人が「興味が失せた」と言うことにすらカチンときます。自分の好きなものは他の誰にとっても好きなものであるべきだという、ある種傲慢な世界観を持っています。
 だから。
 「これもう捨てないとダメみたい」
 「伊織がこんな頭の悪い人間になってるとは思わなかった」
 「そんな恰好で話しかけないで」
 「絶対に嫌。言われなきゃわからないの?」
(第1話)
 「だいたい、どうして服を脱ぐのよ」
 「・・・ヘンタイ」

 だから、ある程度近しい人間相手なら平気で暴言を言い放ちます。(困ったことに伊織がたいへんなバカなせいでそのほとんどが正論になってしまうのですが) 自分が不快だと思うことは相手にも間違っていたと認めさせたいんですね。
 基本的に自分の考えかたを相手に押しつけようとするか、それが通用しない相手なら自分は巻き込まれないよう距離を取ろうとします。要するにどんなときであっても自分を通そうとします。他人の影響を受ける気がまったくありません。

 かわいいですよね。
 末っ子。生まれる頃には両親もすっかり子育てに慣れていて、上の兄弟たちも体験から学んだ子どもにふさわしい処世術を教えてくれます。みんなにかわいがられて、なにかとお膳立てしてもらえて、苦労少なく育つことができます。
 だから、千紗のような子は自分を変える必要がありません。よほどのことでなければ周りの方が自分のために変わってくれるからです。
 “甘え”というとちょっと聞こえが悪いかもしれませんが、実際問題私たちの社会は相互の助けあいを前提にしているわけですよ。周りの助力に頼ることはそう悪いことではありません。むしろ他人の助けを求めず孤立するよりかよっぽど社会に貢献できることでしょう。
 「千紗ちゃんはいい子よ。ちょっと素直じゃなくて、不器用だけど、かわいいし、優しいし、柔らかいし、いい匂いがする」
 だから、私たちはこういう子をかわいいと思います。

 「実はね。ここに伊織くんを連れて行くよう言いだしたのは千紗ちゃんなの。――ダイビングを好きになってもらいたいからじゃない?」
 かわいい子のワガママは、ときに本人のみならず周りの人にまで良い影響を与えることになります。
 誰の前でも曲げる気のないその意志は、やがて強い信念として、自分以外の誰かにとってもかけがえのないものになることもあるでしょう。

 まあ、周りに溶け込む気ゼロなのはそれはそれでやっぱり問題なんですけどね。そのあたりについては追々。(たぶんアニメの範囲外)

 長男長女はパイオニアです。特に核家族化志向がすっかり定着した昨今では両親の子育てがまったくの手探りになりがちで、大人の保護から漏れ出た理不尽に子ども自身が対処しなければいけなくなることが多々あります。
 そういう経験を積んで育つからか、長子はマイペースな自信家が多いと語られます。

 伊織はどちらかというとそういうタイプですね。
 いっつもバカやっていて、自分でもバカなことを言っている自覚があるくせに、とりあえず無意味に胸を張りたがります。
 今の自分のありかたが望ましくないと思ったなら環境を変えてでも自分を変えようとするし、理不尽なことを言いだす相手には、それが先輩だろうと逃げずに正面から刃向かいます。(で、負けます)
 「なんとかして奈々華さんの気に入る部屋をつくる必要があります! いいか、奈々華さんは妹の千紗を溺愛している。つまり! 奈々華さんが気に入る部屋とは――」
 「・・・なあ、これはさすがに違うと思うぞ」
 「無駄口を叩かないで手を動かして!」
 「これもう完全にストーカーの部屋じゃねえか」

 良くも悪くもいつも自分中心にものを考えていて、そして意外とこだわりがありません。正しいこと間違っていることの判断は全てその場(のノリ)で決めます。

 本質的にお兄ちゃんなんですよね、伊織って。
 従姉の奈々華と並んで歩いていても“姉弟”って感じがしません。友達とか恋人とかいわれた方がまだ納得できるくらいです。あんだけクソナマイキな発言を繰り返しているくせに。弟ポジションってやつが全然似合いません。

 彼にとってPeek a Booとの出会いは僥倖でした。
 「俺、泳げないんですよ。だから・・・」 
 こういう弱音は伊織らしくありません。第2話の時点でこういうことをいうのもなんですが、この男は酒飲んでフルチン放りだしてガハハ笑いをしている方がよっぽどよく似合います。
 「俺も魚の勉強をしてみようかな。そうしたら水の中も楽しくなるかも」
 インテリぶって自分の情けないところを言い訳している姿はまったくもって伊織らしくありません。自信満々に千紗LOVEマイルームをつくっていたときのテンションとの落差が大きすぎます。
 だから。
 「やってみる前からそこまで否定するな」
 「もったいないぞ」
 「伊織くんは難しく考えすぎだと思うよ」

 だから、彼の生来の流儀にほど近く、しかも底抜けに自由なPeek a Booの思想は、伊織をより伊織らしくす変えるためにうってつけでした。

 このバカ、カッコいいですよね。
 「そうか。誰だって自分が好きなものは他の人に否定されたくない。感動を共有したい。そういう仲間はひとりでも多い方がいい。自分も楽しいし、相手も楽しい」
 伊織って自分でもきっちり主張するくせに、なんだかんだいっていつも相手の考えかたを尊重するんです。すごく柔軟なんです。自分にないものを素直に受け止めて、取り入れるべき発想はこだわりなく取り入れて。
 「・・・そうですね。少し、興味が湧いてきました」
 そうして、だんだん自分らしく変わっていくんです。

兄妹

 伊織と千紗。
 はっきりいって性格が全然違うふたりです。片方は自信家、もう片方は甘えん坊。そりゃ嫌われもする。
 けれど。
 「千紗。はい、これお土産」
 「・・・私がどれだけあの水族館に通ってきたと思ってんの」
 「まあ、感謝の気持ちだよ。俺をあそこに連れて行くよう奈々華さんに頼んでくれたんだろ?」
 「・・・ダイビング、バカにされたままなのも癪だから」
 「そっか。とにかくやるよ」
 「・・・ん」
 「じゃ」
 「ちょっと待って。・・・で、どうだったの? 水のなか」
 「そうだな。苦手意識は変わらないけど、次はもっと近くで見てみたいかな」
 「・・・あっそ」

 けれど、これはこれでまるで兄妹みたいじゃないですか。なんだかんだいってちゃんと気持ちが通じあっているじゃないですか。ハタから見ていてほっこりする関係性じゃないですか。
 自分を変える人と周りを変える人。正反対なふたりはお互いを補いながら、自分らしく日々の暮らしを営んでいきます。

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