オクトパストラベラー プレイ日記その5 トレサ第2章 at クオリークレスト

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へっ。ちょっとは口が達者になったな。じゃあな、もやし女!

このブログはあなたがプレイ済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

今回のバトルメンバー

トレサ(バトルジョブ:盗賊)
プリムロゼ(バトルジョブ:なし)
アーフェン(バトルジョブ:なし)
テリオン(バトルジョブ:なし)

オープニングロール(=妄想)

 トレサはクオリークレストに来ていました。手記によるとここは古くからの鉱山街だそうで、かの冒険者が訪れた当時、もしかしたら金が採れるかもしれないという噂が立っていたといいます。

 「はぁー・・・」
 後ろで男ふたりがゲンナリした表情でこちらを見ていますが、トレサはあえて無視しました。
 とにかく私はたどり着いたんだ! 無事に! 元気に! 健やかに!!

 トレサが街の様子を見るかぎり、どうやら噂は真実だったようです。街は出稼ぎ労働者たちでごった返し、大通りには安価な食事を買える屋台がひしめきあい、そして通りを少し外れた路地では艶めかしい女たちがなにやら客引きをしていました。・・・あれは何の商売なのでしょう? とにかく、大変な活況に満ちていました。

 さてと。しかし困った。
 見たところ飲食屋台は競争が激しいようです。金の利権も当然鉱山主がガッチリ押さえていることでしょう。坑夫向けの宿や生活物資の流通も鉱山主か大商人が仕切っているでしょうし・・・。こういうのは先に金のなる木を押さえた者勝ちだと父が言っていました。遅参者が儲けるのは容易なことではありません。
 でも、なぜでしょう。そこらじゅうにクズ石が山と積まれた町並みを見ていると、トレサにはなんだか、まだまだ商売のタネが残っているように思われたのでした。

 「よーし! 商人の血が騒ぐわ!」
 とりあえず、トレサは今たどり着いたばかりの街をさっそくひととおり見てまわることにしました。
 後ろで仲間たちの悲鳴が聞こえた気がしますが気にしない!
 父から教わった商人の心得三箇条。礼儀。笑顔。“早起き”。商売はスピードが命です!

(主観的)あらすじ

 ゴールドラッシュに沸く鉱山街・クオリークレスト。
 トレサはその街でクズとして捨てられていた石のなかから、磨けば光る輝石を見つけだしました。翠閃石という石だそうです。トレサは急ぎそれら原石を買い集め、丹念に磨き、宝石として売り出しました。
 はじめは物珍しさもあってよく売れていました。しかし、間もなく同じ石を売る同業者が現れ、あっという間にお客を持って行かれてしまいました。
 かの商人の名前はアリー。南方から来た、トレサと同じ駆け出しの旅商人でした。彼はなんといっても口が達者でした。まるでトゥルバドゥールの詩のようによどみなく紡がれるその売り口上は聞く者たちを大いに楽しませ、商品を買うことで得られる明るい未来を容易に想像させ、集まった小金持ちたちの財布の紐を気持ちよく緩めていったのでした。
 トレサは自分の飯のタネを根こそぎかっさらっていった少年の得意満面な顔をやっかみ半分、感心半分に眺めるしかありませんでした。

 けれど、その商売を鉱山主に見つかって事態は急転。
 鉱山主は金のみならず翠閃石の利権まで主張しはじめました。せっかく見つけた商売のタネを奪われたアリーは怒り、鉱山主に食ってかかりました。当然ただでは済みません。用心棒に捕らえられて鉱山主の屋敷に連れて行かれてしまいました。
 同じく鉱山主の横暴にさんざっぱら腹を立てていたトレサは彼を救出すべく、仲間たちとともに屋敷へ殴り込みをかけることにしました。

 屋敷の中。トレサとアリーを前に、鉱山主はアリーが隠していた秘密を暴露しました。
 アリーの父は有名なペテン師だったそうです。しかも最後は逆に自分が騙されて大きな借金を背負うことになったそうな。商売にとって情ほど目を曇らせるものもない。馬鹿な男だ、と鉱山主は彼の無様な顛末を嘲笑うのでした。
 アリーは悔しさに歯がみします。
 トレサはそのやりとりを聞いて、やはりアリーの憤りの側にこそ味方したいと考えるのでした。
 鉱山主が利権をかさに着る商人で、アリーが口の上手さを武器とする商人なら、トレサは人の心に依って立つ商人だからです。人を物のように扱い、あるいは平気で嘲弄する鉱山主を、トレサは許せませんでした。
 用心棒を殴り倒し、鉱山主に膝をつかせます。

 明くる日。アリーは父親の真実を語ってくれました。
 アリーの父親は弁の立つ商人として成功を収めたのですが、やがて同業者に妬まれて根も葉もない不名誉を着せられたのだそうです。アリーはその汚名を雪ぐために、言葉がお客を幸せにするとの父親の信念を受け継ぎ、父親譲りのあの弁舌で商人としての大成をめざしているのだとか。
 トレサとアリーが理想とする商売のかたちはそれぞれ異なりますが、一人前の商人を目指すという志は共通していました。
 ふたりはいつか“大競売”と呼ばれる大舞台で再会することを約束しあい、再びそれぞれの道を歩みはじめます。

 トレサに、ステキな好敵手ができました。

 オマールさん、エラい強かったです。30分ちょいかかりました。
 レベル21推奨のボス戦にレベル17で突入したので当たり前なのですが。いや、だって、せっかく近くまで来た目的地を素通りするのはトレサの旅の動機的に不自然でしょ? (第3章はそもそも街に近づける気がしないので逆に問題なし)

 最初は力押しで戦っていたんですよ。これまで割とヌルかったので。調子に乗って。
 でもたかが300ダメージ程度じゃ何回殴りつづけても敵の表示は一向に黄色くならないし、逆に向こうの通常攻撃1発500ダメージを受けただけでテリオンは沈むしで、もうひどい状態でした。だいぶ多めに用意しておいたはずの回復アイテムも調合素材も底をつきかけました。
 いやー・・・。バフ / デバフって大事よね。
 テリオンの攻撃弱化デバフとトレサの防御力強化バフを併用したら一撃で倒されることはなくなりました。プリムロゼにちゃんと魔力上昇のバフをかけてから攻撃させたら4桁ダメージが出るようにもなりましたね。それとアーフェンの毒付与。継続ダメージって大きいですよね。確率付与が気にくわなくて使うの躊躇していたけれど。
 あとはひたすらテリオンとバトルジョブ盗賊のトレサでザクザクザクとシールド割りつづけて。ダメージはまったく入らないのでマジックスティールダガーのSPを回収できず、プラムが尽きるまでの時間との戦いでした。

 与えた総ダメージの8割くらい、最後の10分間だけで与えたんじゃなかろうか。
 最初は打撃力に欠ける寄せ集めパーティだと思っていましたが・・・存外やるじゃねーかオメーら。

トレサの流儀

 なぜそこで殴り込み!?
 ・・・とか、正直ツッコミ入れたくなりましたが、実際このエピソードにまともな道理を立てようとしたら商売で勝つしかなく、やたら時間がかかるうえにシチメンドクサイ話にしかならず、バトルにもつながりそうにないのでしゃーなし。コンパクトに圧縮された寓話として理解するのが適切でしょう。
 つまるところ今回のエピソードは三者三様の商人としての主義がぶつかりあう物語でした。
 あるいは“他山の石”というか。自分と違う価値観に出会い、敵対したり認めあったりすることで、トレサ自身のスタンスが磨き上げられていきます。

 鉱山主の商売は利権を最大限に活用したものでした。
 土地の権利を暴力で不当に奪ったり、坑夫の無知につけ込んで金を相場より安く買い叩いたりというアンフェアな姿勢は断じて認められるべきものではありませんが、利権を中心に置いた商売のありかたとしてはそう間違った考えかたではないと思います。
 彼は要するに、儲かりそうな鉱山に誰よりも早く、誰よりも多く投資しただけです。投資=暴力みたいなことになっているのはホントアレですが。
 そういうの、トレサだって第1章でやっていたじゃないですか。どの商人よりも早く市場を訪れ、値引き交渉の手間を惜しまず、結果、上等な魚を安く仕入れていたじゃないですか。「品物の買い時逃すようなヘマしたら三流よ」とか言って。
 鉱山主がしていた商売はそういう当たり前のことを大規模に(そしてダーティに)行っただけにすぎません。

 むしろアリーの商売の方が、トレサにとっては縁遠い手法だったのではないでしょうか。
 アリーのやっていたことは要するに顧客サービスによって商品価値を高めることです。実家では仕入れ(BtoB)の修行中で、店先(BtoC)はまだあまり経験したことがないらしいトレサには気付きにくい発想だったことでしょう。看板娘として地元の人々に親しまれていたのが近い要素ではありますが、意図してそうふるまっていたわけでもないですし。

 それでも、トレサは自分のライバルとしてアリーを選びました。
 「“七色の唇”っていわれてな、親父はその話術で稼ぎまくった。話術っていっても嘘だけは絶対に言わねえし、お客は親父の話を聞いて幸せそうに品を持って帰った」
 彼は客に対して誠実であるべきだと考えていたからです。
 「商売にとって情ほど目を曇らせるものはない」
 その点が、他人をモノ扱いする鉱山主とアリーとの決定的な違いでした。

 トレサにとって、そこだけは絶対に譲れないポイントでした。
 彼女は知っているからです。良い商品をつくる人がその商品にどれほどの想いを込めているか。良い買い手に巡り会えることがどれほど商品の価値を高めてくれることか。
 トレサの商売は人と人との絆の存在を前提としていました。
 だから彼女はアリーの父親を嘲笑う鉱山主に腹を立てるし、客に嘘は言わないというアリーは助けようとするんです。たとえ自分の目指す商売のありかたとはまるで違うスタンスの人物だとしても。

 違う価値観と出会ったとき、それでも部分的には共感できるところを見つけたり、逆にどうしても相容れない部分で対立したり。そういう他人との接触のなかで、人は自分の本当の想いというものを発見していくものです。

エンディングロール(=妄想おかわり)

 アリーと別れ、トレサは酒場に待たせていた旅の仲間と合流しました。
 ・・・なんか、空気がおかしい気がしました。

 「良かったなあ。いいダチができてよぉ」
 アーフェンは人目を憚らず男泣きしていました。
 「私はいつでもトレサを応援するわ! 諦めず挑みつづけていれば、きっと報われる日は来るものなのよ!」
 プリムロゼがなぜか燃えていました。
 「お前の商売敵だと思っていたが・・・、邪魔者とは思わないわけか・・・」
 テリオンが感心したようにぼそりとつぶやきました。

 明らかに子どもの成長を見守る親の視線でした。
 「もう! またみんな子ども扱いして!」
 けれど、好敵手の出現を自分と同じように喜んでくれる彼らと一緒に旅ができることが、トレサにとってはなんだか無性に嬉しいことのように感じられるのでした。

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