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プラネット・ウィズ 第8話感想 戦う理由がどこにある。

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今度は私が黒井くんを守ります!

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(主観的)あらすじ

 封印派に下った紅華は思い詰めていました。小瓶を放棄してなお消えない己のサイキックを嘆いて。そして、この過ぎた力に目覚める者たちがこれから増えていくであろう地球の行く末を思って。鷹取紅華は“力”そのものを嫌悪していました。
 一方、宗矢はつかの間の平和をうつむいて暮らしていました。今日はのぞみに誘われてデートに出向いてみるも、街はがらんどう、水族館も閉鎖されていました。これもあの戦いの爪痕のひとつ。のぞみは宗矢が町を守ってくれたと言ってくれますが、宗矢にはやはりその実感がありません。
 再びネビュラウェポン――封印装置の襲撃が始まります。封印派の白石は宗矢に正々堂々戦えと要求しますが、もはや宗矢には戦う理由がありません。シリウスでたくさんの親しい人を失った悲しみはカタキ討ちを終えても和らぐことなく、ずっと宗矢の胸を苛んでいました。もうどうしようもなくて、宗矢は子どものように泣きじゃくります。
 そんな宗矢を見て、のぞみは庇ってくれました。狙われているのは自分たちだというのに。宗矢は思っていたようなヒーローじゃなかったというのに。彼女は宗矢の辛さを思いやって、勝手な期待を押しつけてしまったことを謝ってすらくれました。
 そしてそんな宗矢の顔を見て、通りすがりの虎居も代わりにヒーローをやってくれました。義憤に突き動かされた彼はみごとに再変身を果たして紅華を打ち破り、封印装置も破壊して、立派に地球を守りました。
 戦い行方を見つめる宗矢の前に、再び楽園の民が現れます。月の裏で生き延びた竜を今度こそ倒してほしいと、託すべき望みを携えて。

 3つの無理解が描かれました。
 「なんでか、わかったの。きっとあのとき黒井くんが町を守ったんだって」
 ひとつはのぞみ→宗矢。宗矢の目的はあくまでカタキ討ちでした。本来、のぞみのいうような「町を守るヒーロー」は彼の宿願ではなく、それはあくまでのぞみの好意的な想像、あるいは副次的に発生した宗矢の願望のひとつでした。
 「その少年の関係者たちはこう言った。『そんなことするような子じゃなかった』『おとなしくて優しい子だった』・・・」
 ひとつは普通の人々→非行少年。彼らは少年のことを「そんなことする子じゃなかった」と表現しました。しかし彼は現に彼の意志で力を求め、実際に力を手にしては無敵の充足感を得て喜んでいたのでした。
 「でも閣下。紅華は本当は優しくて、すごく怖がりな子なんです」
 ひとつは羊谷→紅華。実際の彼女がどうあれ、「本当は優しくて、すごく怖がりな子」という表現は紅華の最も忌み嫌うものでした。それはかの非行少年に対して無理解な人々が押しつけたイメージと同じもの。彼女は自分があの少年のようになりたくないからこそ、封印派についたというのに。

 他人なんて勝手なもので、気楽なものです。真実の姿を知りもしない相手に対して一方的に勝手なイメージを押しつけてきます。
 その勝手なイメージ、単にあなたがたにとって都合がいいからそう思うことにしただけじゃないですか。
 特に宗矢なんて、その押しつけられたヒーロー像に影響されて、元々守るつもりじゃなかった町を守ろうとして、うまくできなくて余計に傷ついて。かわいそうじゃないですか。
 まったく、高天原のぞみとは残酷な子です。

 ・・・とは、宗矢自身は思わないんでしょうね。不思議と。
 「なんか、のぞさんっていいヤツだな・・・」

 ところで羊谷ってどうしてああも紅華に同情的なんでしょうね。一応、彼女は自分の実の兄が死んだ現場に唯一居合わせ、そのくせ何もしてくれなかった人物だというのに。その件について、彼は自分が悲しむより紅華のことばかり気にしているように見えます。
 ひょっとして何か負い目でもあるのでしょうか。たとえば、実は自分もあの場にいて、紅華以上に兄の死に直接つながる重い過ちを犯してしまったとか・・・。
 ――という余計な展開予想を私がすると、まあ、だいたい外れます。論理じゃなくて情緒でものを考えているせいですね。

おっぱい

 「このとき宗矢の集中力は極限まで高まった。『おっぱい』。『女の子』。『いい匂い』。『おっぱい』。『柔らかい』。『おっぱい』。『おっぱい』・・・!」
 「だが宗矢はその感覚的情報群のなかから違和感を見つける。見た目二の腕に当たっているおっぱいだが、その柔らかな感触は、肩! これは幻乙杯-マボロシオッパイ-だ!」
 「別に幻でもいいか、と一瞬思った宗矢だが、最終的に宗矢は現実への回帰を望んだ。“おっぱい”。大きいことはいいことだが、童貞にはときに不安すら抱かせる非現実的存在でもあるのだ・・・」

 当ブログをご覧の皆々様方はご存じでしょうか、有史以来も原始以来、あまねく星の海にて等しく紳士淑女を魅了してやまぬは、えもいわれぬソフトプリンな双子火山。その名も芳しき“おっぱい”なるウッシッシを。
 どこに出しても恥ずかしくない立派な平和親善大使にして、どこに出しても恥ずかしいッ! これ見よがしにご立派な The 猥褻物陳列罪! おっぱいいっぱい夢いっぱい! 古くから言い伝えられる戯れ事にも“健全な精神は健全な肉体に宿る”と申しまして。おっぱいというものときたら、ただそこに存在するだけでつくづく! 無慈悲に我々を秘密の花園へとご招待しよる。――いわゆる帰巣本能というやつですな。

 兎にも角にもおっぱいというものはとりあえず良きものにござんすが、我々のような穢れた大人ならいざ知らず、健やかなる童貞諸公においておっぱいは幾分毒気が強う感じられることもござ早漏。汚れっちまった悲しみに、今日もナニがぶっかかるんでしたっけ?
 話が進まないんでそろそろマジメに語りはじめようかと思うのですが、つまるところ宗矢はおっぱいへの恐怖心によって白石の催眠術から脱したわけですよ。おっぱいはけっして恐くなーい。勇気を持てくださーい。

 あなたはもう忘れてしまったでしょう。童貞だったころのあなたにとって、おっぱいというものがいかに神聖だったことを。パッドによる嵩増しなんぞ許すまじと真剣に憤っていたことを。
 エロスに堪能な今のあなたにとってはおっぱいなんぞ細かいことをさておいてただのイヤン、ウッフンでしょうが、童貞にとってはそんな単純な問題ではないのです。童貞にとっておっぱいは尊厳です。なぜなら童貞はまだおっぱいを知らないからです。童貞は生おっぱいを知って初めていっぱしの大人になるのです。生おっぱい知らずんば人間にあらずです。
 だからこそ、童貞初めてのおっぱいが幻乙杯であってはならぬのです。だって恥ずかしいじゃないですか。周りのみんなが本物のおっぱいを語りあっているなかで、ひとりだけ嘘っぱちで塗り固められた幻乙杯しか語れないなんて。そんなの童貞丸出しじゃないですか。
 おっぱいの細かなディテールを語れずして童貞は真に人間になれたとはいえず、従って30過ぎた魔法使いが処女を所望するがごとく、童貞は生おっぱいを渇望します。大きけりゃいいってわけじゃないのです。まずはホンモノ! せめて最初の一杯は生おっぱい! 世の中学校では教えてくれないことも多々ありますが、そのなかでも筆頭はまずおっぱい。惜しげもなく晒した眩いばかりの豊満ボディに秘められた、まったくもっていいご身分。最初は生のおっぱいをよく学んで、人生の全てはそれから即座に即身仏です。わーお! 考えただけで悟りを開きそう!!

 だからどこぞの肉食爺や脳筋親父ならいざ知らず、童貞相手にだけはけっして幻乙杯でお茶を濁してはならぬのです。彼らにとっておっぱい経験が=イコール人間としての尊厳であるかぎり。彼らがおっぱいに過度の期待を抱いているかぎり。おっぱいがステータスなお年頃であるかぎり。人生という名の冒険は続きます。
 ありがとう、ボクらに正義と勇気を教えてくれたでっかい幻。そしてグッバイ、現実の塩辛さを教えてくれた偽りの君よ。
 おっぱいいっぱい夢いっぱい!
 おっぱいいっぱい夢いっぱい!

個人的な問題なんだよッ!

 少々取り乱しました。

 「それより、鷹取紅華。君がなぜ我々封印派に付いたのか詳しく聞きたいワン」
 「もう少し個人的なレベルで話すワン。こちらとしても残り少ない封印装置を貸すのだから」
 「君の人となりを知りたいワン」

 閣下は紅華を信用するにあたって、彼女の大義ではなく個人的な動機に注目しました。
 まあそうですよね。私もそういうものだと思います。
 たとえば龍造寺なんかは“世界中の人々を暴力で平伏させて世界平和を成したい”という壮大な大義を掲げていたわけですが、その彼ですらその発想に至るには“自分の持って生まれた力を呪わしく思う”という個人的な動機が存在していました。
 何のために戦うのかは重要です。
 妄執によって力を求める目的を見失った晴美が暴走し、反対に力を失っていたはずの美羽が晴美を想う気持ちだけで竜に勝てたように。

 「生身のお主に問う。誰の味方で、誰の敵じゃ!」
 「俺は――。俺は俺が味方したい人の味方で、俺が倒したいやつの敵だ!」
(第5話)
 今の宗矢は誰を倒すために、誰を守るために存在しているのだったか。

 「俺は竜の力を持ったあいつを倒した。だから俺の戦いは、復讐は終わった。もう気は済んだんだ。・・・もう飽きた。飽きたんだよ」
 「でも、今はそんな個人的な――」
 「個人的な問題なんだよ!」

 龍造寺を倒すため戦いました。しかしそうしたところで失ったシリウスが蘇るわけではありませんでした。
 町を守るためにも戦いました。しかし結局戦いの爪痕は残り、街も学校も閑散としてしまいました。
 宗矢にとって、あの復讐の戦いから得られたものは何ひとつありませんでした。
 「地球なんか知るか。どうせ俺の星はもう無いんだ。俺の街はもう無いんだ――」
 復讐を成したところで何も得られず、何も為せず、もはや宗矢に戦うための個人的動機なんてひとつもありませんでした。
 「全部無いんだよ! もう、全部、無いんだ。いないんだ! みんなみんな全部無いんだよ! 無いんだ!!」

 「まさか・・・ネビュラソルジャーか!? なぜまだここに? 封印派のネビュラウェポンがこっちに来てるぞ。戦わないのか?」
 「・・・どうした。情けない顔だな。なぜ戦わない。復讐はもういいのか?」

 一度や二度町を守ってみせた程度で勘違いも甚だしい。虎居も。白石も。のぞみも。宗矢は元々町を守るつもりなんてありませんでしたし、ちょっとだけその気になってみたあとの今でも、結局町を守れたという実感はありません。
 たかが十代半ばの少年です。一皮剥けばナマイキざかりのどこにでもいる男の子です。はるか遠くの星から来たといっても、だからといってどこぞのM78星雲の光の戦士たちのごとく正義を為すために地球に来たわけじゃないんです。
 どうしてこんな普通の子に、どうして戦う理由を失った今の宗矢に、どうして地球の命運なんぞが押しつけられなければならないんでしょうか。
 「もういい。戦いたくない」
 何のために戦うにしても。戦いなんて、戦う理由があるやつが戦えばいい。

 「――わかった。よく言った。俺がやる!」
 そうとも。戦う理由があるやつが戦おう。

俺がやるッ!

 そう。虎居になら戦う理由が・・・ありましたっけ?

 「まあ、たしかに。虎居さんに人類の裏切り者は似合わないかもな。あんたいい人だし」
 「何だよそれ。だいたい小瓶もないんだ。敵にも味方にもなれねえよ」

 幼少のころ火事で母親を亡くしたからって、それから10年ほどもかけて消防士になった人がずいぶん気の抜けたことを。
 本来、虎居にとって地球のために戦うというのは、どうしてもやらなければならない戦いではありませんでした。グランドパラディンに所属していたときのように、それを為せるだけの力が支給されていれば話は別ですが、消防士を目指したときのように力を付けるところからはじめるほどの情熱は、彼にだってありませんでした。
 宗矢の近くを通りかかったのだって、たまたま避難の途中だったのか逃げ遅れた人がいないか見回っていたのかはわかりませんが、少なくともネビュラウェポンと戦うためではなかったはずでした。

 それでも、このとき虎居は是が非でも戦わなければならない理由を持っていました。
 「もういい。戦いたくない」
 宗矢が苦しんでいたからです。町を守るヒーローという勝手なイメージをお仕着せられた少年が哀れに思えたからです。
 一度話を聞いてやった程度の浅い縁しかない少年でしたが、それでも地球を守るための戦いに不足していた情熱を補うには、これでも充分でした。
 “地球を守るため”に加えて“ひとりの少年を救うため”が合わされば、たとえ小瓶の力がなくとも虎居が戦わなければならない理由として足りました。
 「――わかった。よく言った。俺がやる!」

 もうひとり。のぞみも戦いはじめました。
 「帰ってください! 黒井くんは今まで町を守りました。守るためじゃなくても、戦ってくれました。だから! 今度は私が黒井くんを守ります!」
 無邪気にヒーローと信じていた宗矢に、本当は元々町を守ってくれる理由がなかったと知ったから。
 勝手に都合のいいイメージを押しつけてしまいました。なのに、彼はこれまでその押しつけられたイメージに沿って戦ってくれました。それが申し訳なかったから。それが嬉しかったから。
 「もう戦わなくていいよ。辛かったね。ごめんね。・・・ありがとう」

 のぞみには元々戦う理由がありませんでした。
 町を襲う不気味な宇宙人が現れても、それと戦うべきは自分ではなく他の誰かだと思っていました。そこにちょうど宗矢が現れたので、優しい彼なら自分たちを守ってくれているに違いないと勝手に夢想しました。
 そのイメージは半分勘違いで、半分しか本当ではありませんでしたが、だからこそ胸を打たれました。
 宗矢は本当は町を守ってくれる理由がないのに、それでも町を守ってくれました。想像していたようなヒーローではなかったかもしれないけれど、優しい人なのは本当でした。少なくとものぞみにはそう思えました。
 ただ優しいというだけで自分に関係ない人たちを守って戦ってくれた人がいるんです。だったら、のぞみにだって戦うだけの理由があるはずです。
 のぞみは宗矢に感謝しています。
 だったら、特に守る理由を持たずに戦ってくれた宗矢よりもよほど戦わなければならない理由があります。宗矢を守るためなら、今度はのぞみが戦わなければなりません。

 初め、宗矢はカタキ討ちという個人的な動機によって戦っていました。今はそれがなくなって、戦う理由を失っています。
 一方で虎居やのぞみは自分ひとりでは戦うだけの充分な理由を持ちませんでしたが、宗矢のためになら戦う理由が生まれました。
 他人なんて勝手なもので、ときによく知りもしない相手に対して一方的なイメージを押しつけてくることもあります。けれどその反対に、よく知りもしない相手のことを思いやって、自ら進んで何かしようとしてくれることもあります。
 自分のために誰かを動かしたり、誰かのためなら自分も動けたり。案外、人は自分ひとりの個人的な動機だけでしか動かないわけでもないんです。
 それこそ、たとえば宗矢がのぞみの押しつけたイメージどおりに町を守ろうとしたみたいに。

 宗矢は戦いに臨む個人的な動機を失いました。
 けれど、もし彼がのぞみの向けてくれる好意や地球での平穏な日々を好ましく思うのなら、それでもまだ宗矢の戦う動機が全て失われたわけではありません。カタキ討ち以外のためにだって、宗矢が戦うべき理由はまだあります。
 「――何もかも今さらだよ」
 いいえ。あなたのために虎居が戦ってくれたように、あなたのためにのぞみが戦ってくれたように。
 もはやあなたはひとりで戦っているわけではありません。

(以下、書いてみたら思いのほか意味わかんなくなった蛇足)
 「別に幻でもいいか、と一瞬思った宗矢だが、最終的に宗矢は現実への回帰を望んだ。“おっぱい”。大きいことはいいことだが、童貞にはときに不安すら抱かせる非現実的存在でもあるのだ・・・」
 幻想なら幻想でもいいじゃありませんか。のぞみがイメージした“町を守るヒーロー”の姿を宗矢自身が好ましいと思ったなら、今一度勇気を出して、その非現実的存在を現実に叶えてみせたっていいと思います。不安に思う必要はありません。
 ふたり心通わせてつくったその戦う理由は、きっとネビュラのいう“愛”というものです。

 ・・・ええい、おっぱいって字面があるとめっちゃ気が逸れるな!

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