えんどろ~! 第3話感想 魔王なんて倒さなくてもいい。

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どうだ、魔王! 悪いことをしたらこのニャンコを連れて帰っちゃうぞ!

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(主観的)あらすじ

 冒険者の基本、クエスト実習! 冒険者ギルドでランダムにクエストを受託して報酬をもらいます。
 ユーシャが受けたクエストはネコ探し! &ネコ探し! ネコ探し! ネコ探し、ネコ探しに次ぐネコ探し・・・。いつものよくわからない豪運のおかげで、ユーシャたちはメキメキとネコ探しの実力を身につけていきました。
 案外悪い気はしませんでした。たとえ勇者パーティがネコ探しのプロになったとしても、かわいいネコたちの力を借りたら魔王だってメロメロになっちゃうかもしれません。
 ・・・まあ、普通のクエストを受けられるに越したことはないけれど。

 そんなある日、ユーシャたちは街で泣いている女の子に出会いました。ずっといっしょに暮らしていたネコが帰って来なくなったそうです。かわいそうに思ったユーシャたちはネコを探してあげることにしました。ギルドを介さない突発クエストのはじまりです。
 さっそく聞き込みをしてみると、どうやらネコは街から一晩くらいの距離にある塔に迷い込んだようでした。RPGのお約束であるザコの色違いボスモンスターとの激戦に辛くも勝利し、ユーシャたちは塔の最上階に捕らわれていたネコを見つけます。けれど、困ったことに高い天井に吊されていて手が届きません。
 そのときセイラが渋々といった感じで弓を取り出し、ネコを吊している糸を射貫きました。仲間にも隠していたことですが、実は彼女は弓の名手なのだそうです。近眼のせいで弓を引くときは眼鏡をかけなければならず、ガリ勉っぽく見えてしまうことを嫌って秘密にしていたのでした。

 クエストは成功。女の子に笑顔が戻りました。さて、・・・ギルドで受託していた本来のクエストに大急ぎで取りかからなければなりません。

 私、どちらかというとオールドゲーマーなので、RPG風の世界に当然のようにギルドとかクエストとかが出てくると「時代が変わったなあ」と思っちゃうんですよね。
 昔のRPGは今回の女の子のみたいに町を散策してイベントを見つける形式が主でした。ギルドがあって、クエストを受注できる窓口があって・・・というのはソードワールドあたりのTRPGの文化であって、コンピュータゲームにこれが輸入されるまでには少々タイムラグがあったんですよね。いえまあ、もちろんコンピュータゲームの方にもメタルマックスみたいにクエスト制のRPGがなかったわけではないのですが。
 今ではすっかりクエスト制が主流になりました。特に根拠のない個人的な見解なんですが、(少なくとも日本国内においては)TRPGでGMとしてシナリオづくりに習熟した人材がゲーム業界で活躍するようになった影響が大きいんだと思っています。人気のシナリオライターってけっこうTRPGプレイヤー率が高いんですよね。やる夫スレとかなろう系とか、ネット上で活躍している物書きさんたちにもTRPG経験者は多かったはず。・・・私も一度でいいからプレイしてみたかった。(特にオチのないお話)

「とはいっても実習用のクエストだから『近くの町へ行って道具を買ってくる』とか『伝言を伝えに隣の村へ行く』とかだと思うけど」
 何気にネコ探し以外全部採取クエストでしたから、セイラさんちょっと難易度低く見積もりすぎでしたね。しかも氷山だの毒の泉だのけっこう初心者には厳しそうな地域もあったり。
 ところでただ伝言だけで終わるクエストって私は『扉の伝説~風の翼~』というフリーゲーム(名作!)でしか見たことがないんですが、探せば意外とあるものなんでしょうか? (ちなみにこのゲーム、ネコ探しもあります)

とりとめなく

「じゃあ今度部屋のカギなくしたら冒険者にお願いすればいいんだね」
「私たちがその冒険者なんだけど」

 ツッコミどころはそこじゃないぞ乙女ども。

「えへへへへ。5枚連続ネコ探しってむしろすごいよねー」
 ゲームならこういうのはだいたい裏路地にあるネコの集会所にいるものなので、まとめて受託はいっそ美味しい。

「ミカエルがいなくなっちゃったの。真っ白で尻尾の先だけ黒いネコ」
 こういう突発クエストは報酬が労力に見合わない方が好きです。ゲーム的に意味のない行動をするのってしっかりその世界に生きている気分になれて楽しい。

薬草
 初期のドラゴンクエストの「薬草」は、攻略本向けの当初の公式設定では貼り薬でした。薬効のある葉っぱにさらにいくつか生薬を乗せたものって設定でしたっけ? それがだんだん食べ物(内服薬)というイメージが強くなっていったのは、おそらくはドラクエ4コマの影響が大きいのでしょう。見た目にわかりやすいからか、面白いからか、どの作者もだいたい食べさせていましたね。
 つまりは公式設定を公式の出版物で塗りかえたかたちになります。おおらかな時代ですね。

「じゃ、ご飯の準備しよっか」
 調理器具をカルタードから出すのはわかります。手荷物を減らすことができるのは冒険の実利のうえでもアニメとしてのご都合設定としてもたいへん便利なことです。
 そっちはまあいいのですが、なぜか食材担当のセイラまでカルタードを使おうとしていましたね。食材のカルタードなんて便利なものがあるのでしょうか? いや、あるのは不思議じゃありません。実際に満漢全席のカルタードがあるわけですし。
 ただこのカルタードというシロモノ、どうやら魔力を充填しさえすれば再使用できる設定みたいなんですよね。つまり食材のカードが1枚あれば永遠に食べていられる。なんて便利な道具なんでしょう。食糧問題解決です。

「そういえばセイラさん、エルフなのにハンマー使ってるスもんね」
 エルフといえば弓使いというイメージは、彼女たちが自然崇拝者だからという理屈から来ています。要は文明の利器である金属製の剣や槍を持たせられないから、代わりに森にある素材だけでつくれる弓をメイン武装としたわけですね。

「このモンスターはかたちがいっしょでも色が違えば全然強さも違うものなんス」
 コマンド型の戦闘だと攻撃力が全然違っていたり魔法を使ってきたりで強敵らしさがわかりやすいんですが、アクション戦闘だとこういうのって元のモンスターとモーションが同じなのであんまり苦戦しないんですよね。いくら攻撃力が高いとしても当たらなければいいですし。

「だって・・・ガリ勉みたいに見られるじゃない」
 どこの野々原ゆずこだ。

誰が為の魔王討伐

 「あとは魔王が出てくるのを待つだけだね。早く出てこないかなー」(第2話)
 ユーシャにとって、魔王討伐は自分を勇者とするための手続きでしかありません。魔王は勇者の対存在。魔王と戦ってこその勇者。ただそれだけであって、魔王に苦しめられている世界中の人々を守りたいとか、そういう強い義憤があるわけではありません。(そもそもマオちゃん先生がまだ何の活動もしていませんし)

 名実どっちもは別に要らない。勇者を名乗れればそれでいい。魔王討伐がしたいわけじゃない。
 なので、彼女の思い描く魔王との戦いはふわふわです。
 「どうだ、魔王! 悪いことをしたらこのニャンコを連れて帰っちゃうぞ!」
 「ええ!? やめてくれ、もうニャンコちゃんなしでは生きていけん・・・」

 彼女の友達も含め、割と本気でこういうふうにできたらいいなと考えています。
 ああ、前話でちらっと語られたあの話、結局どういう内容だったのか聞いてみたい。
 「一番楽しかったお題は“降伏してきた魔王をどんなふうに取り扱うか”だったよ!」
 「ユーシャさんの答えが最高だったっス」
(第2話)

 ユーシャに“勇者”として何かやりたいことがあるとしたら、それは本来魔王討伐とは全然別のところにあるのでしょう。
 「よし、お姉ちゃんが探してきてあげる!」
 「何言ってんの。困ってる人たちを助けるのが勇者じゃない。あれで良かったよ」

 漠然としたヒーロー願望。カッコいい人になれたらいいなというあどけない夢。

 そして友達もみんないっしょに同じ夢を見ています。
 「最高じゃん!」
 「じゃあ、ネコ関連のカルタードを軒並み物色しておくっス」

 もちろんツッコミ役のセイラも別に現実主義者というわけではなく。
 「それで、ツノゴリラの巣に行って説得には成功するんだけど、私が説得したツノゴリラは実は王様候補のツノゴリラで、ツノゴリラの勢力争いに巻き込まれてしまうの! 私はその王様候補のツノゴリラとともに、ツノゴリラ界の腐敗を正す戦いをはじめるの! ・・・」
 揃いも揃って似た者同士で、そんなんだからマオちゃん先生の回想で語られたような惨劇が巻き起こっちゃうわけですね。

 今回、セイラに秘密の特技があることが明らかになりました。
 勇者の剣の謎ビームと同様、その後の魔王との戦いでは一切使われることなかった切り札です。魔王との戦いの舐めプ疑惑にますます拍車がかかってきました。
 そうなると第1話アバンのような顛末からのエンドロールは、やっぱりユーシャたちの望むところではなかったんじゃないかと、毎度の結論に至るわけですよ、私としては。
 この子たち、絶対魔王を倒すことに喜びを感じるような性格じゃないだろうって。

 「――そして君は?」
 「勇者です!」
 「あー、はいはい。いるよね、そういう子」

 割と的を射ているよね、ギルドのお兄さんのツッコミ。
 ユーシャは勇者というものに夢ばかり見ています。

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