えんどろ~! 第4話感想 楽しかった、邪神討伐。

今日は勇者っぽいことができたと思う。みんな、ありがとう!

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(主観的)あらすじ

 夏だ! 海だ! あとなんかサバだ! 夏休みの課題のクエストを名目にして近場の孤島に遊びに行きました。課題なんてホント二の次だったのですが、そこは相変わらずのユーシャたち、遊んでいるうちになんとなーく調査対象のモンスターを次々見つけ、さくっと終わらせました。
 夕食のために釣りをはじめると、スネ毛の生えたサバが釣れました。なんか海底神殿跡で壁ドンしてたら邪神の封印を解いちゃったそうで、サバは哀れっぽくユーシャたちに助けを求めます。

 邪神はサバたちを労働力に神殿を再建し、ここを拠点として世界の破滅を目論んでいました。なんと小難しい言い回しの前口上まで完備。珍しくサバ以外の絵面はガチな強敵でした。
 ですがしょせんはコメディアニメにしゃしゃり出てきた空気の読めないヤカラ。こういういかにもゲームっぽいのは勇者の剣で一刀両断できるのがお約束です。ちなみにしぶとく残った邪神の魂はチビちゃんがおいしくいただきました。

 こうしてユーシャたちは人知れず勇者っぽい冒険を成功させ、夏休みを満喫するのでした。

 ワクワクするような冒険って、結局のところ何があれば成立するのでしょうか。
 頼もしい仲間? 広い世界? 伝説の剣? 平和を脅かす魔王? 凶暴なモンスター? 救うべき哀れな人々?

 私、RPGは大好きなんですが、戦闘要素はあんまり好きじゃないんですよね。
 だってRPGの戦闘システムって大抵それ以外のシステムから独立してるじゃないですか。凝ったゲームになればなるほどエンカウントのたびにいちいち専用の画面に切り替わったりして。あんなもの、カジノにあるカードゲームとかダンジョンの謎解きパズルと同じ、ただのミニゲームじゃないですか。
 そのくせ街のクエストとかダンジョンの宝箱とか、いちいち報酬に戦闘にしか使えないようなものを絡ませようとするじゃないですか。いやいや、私は戦闘で有利に立つために冒険してるんじゃないんですけど。困っている人を助けたいからクエストを受けるんですし、面白そうだからダンジョンに入ってみるんです。報酬なんて畑で採れた大根とかカビの生えた古美術品とかで充分なのに。なんならいい感じのテキストとか気の利いた風景とか見せてもらえさえすればそれが一番いいのに。
 RPGでは冒険がしたいんです。空想をふくらませてロールプレイがしたいんです。モンスターを殴りたかったら最初からアクションゲームを選んでいます。

 けど、実際に一切戦闘要素のないRPGをプレイしてみても、自分の好みに合う作品ってなかなか出会えないんですよね・・・。どこか間延びしていたり、小品すぎてちっとも冒険感がなかったり。
 戦闘要素って意外と見えないところで冒険している気分を支えているのかなって、そういうゲームをプレイしているとふと思います。戦闘ありきの方が不思議とテキストやレベルデザインに魅力を感じやすいというか。
 実際、RPGツクールのデフォルト戦闘のままバランス調整も放棄しているような(そのくせ戦闘要素を廃止しない)フリーゲームのなかに、ときどき琴線に触れる作品が見つかったりするんですよね。

とりとめなく

「あのね。夏休みすっごく楽しみだったんだ。みんなとどこ行こうかなって、ずっと考えてて」
 根っからの引きこもり気質な私は(子どものころは特に)そういう気持ちが全然なくて、夏休みはどこにも出かけようとしませんでした。1ヶ月の夏休みで5回も外に出なかったんじゃなかろうか。家族旅行すら拒否してひとりで留守番していましたね。で、やることといえば毎日だいたいゲームか読書。
 楽しかったです。(日記)

深夜の女子会
 今回は珍しくファイがベッドに寝転がっていません。代わりにユーシャが腰かけています。
 たぶん演出上の都合でしょうね。今話の女子会はユーシャ対他の3人って構図の会話になっているので、この配置の方が自然なカメラワークになります。
 いや、以前も書きましたが普通は家主がベッドに陣取るものだと思うんですけどね。ねえ、ファイさん。

 そういえば今さら気付きましたが、枕元の壁に黄色いドライフラワーが飾られていますね。
 おそらくはミモザという花です。よくあるインテリアなので特段の意図はないと思われますが、一応「友情」という花言葉が託されている花だったりします。

「大丈夫。賞味期限切れてないよ」
 カルタードって腐るのか。
 完全にヤボなツッコミですが、食料をカルタードとして持ち運べるなら重さもかさばりもないんですから、あえて干し肉や硬質チーズみたいな携行性特化の食品に依存しなくてもいいと思うの。せっかくだから塩漬けとか瓶詰めとか、もっと食味のいい保存食をカルタードにしてもいいでしょうに。それならファイも気軽につまみ食いできなくなるし。

水着
 いちいち全員の体型の違いを強調してくるこのフェチズムよ。
 でもぶっちゃけ普段の冒険衣装の方がフェチい・・・。一番フェチいのはパジャマですが。

「砂浜に生息するモンスター、ヒョウザンノイッカクガイっスね。小さな貝と思って蹴っちゃうとめっちゃ痛いっス」
 貝殻の擬態が尻尾側にあるってことは、これ別に疑似餌とかではないんでしょうね。蹴ると痛いだけとはいったいどういう生態なのか・・・。というか尻尾しなやかそうに見えるんですが、これでそんなに痛いのか・・・。

「あれはスイカモドキっス。砂浜に現れるモンスターで、剣で切ると分裂する厄介なやつっスよ」
 ・・・でも、別に攻撃してくるわけじゃないんでしょう?

「・・・これは味噌煮かな」
 『南国少年パプワくん』のタンノくんはよく鍋にされていましたね。
 スネ毛に靴下というスタイルはフェチズムをよく心得たこのアニメらしいセンスだと思います。けっして主張しすぎず、それでいて絶妙なイヤさ加減。海産物のくせになんで靴下を履いてるんだ。水虫菌でも培養してるのか。うしろ泳ぎたくないなあ。

「こんなときこそこのカルタードの出番っス。その名も“水中呼吸”のカルタード! どやぁ!」
 このネタ知っているの、『ファイナルファンタジー7』現役世代くらいじゃないですか?
 今話は妙にオマージュっぽいネタがあちこち散りばめられています。

「貴様らは邪神様の神殿を建てる名誉を与えられた! ありがたく働くのだ!」
 『ドラゴンクエスト5』、セントベレスの大神殿ですね。奴隷時代にプレイヤー自身が働いていたからこそ隠し階段に気付くことができるというギミックが秀逸でした。途中で女の子が倒れるのもマリアというキャラクターのオマージュ。
 カットごとに靴下を履いたり脱いだり、せわしない海産物どもですね。

「我が祈りを妨げるものは誰か」
 燭台に灯がともる演出といい、攻撃無効化のバリアといい、小難しい口上といい、『ドラゴンクエスト3』のゾーマそのもの。その後陳腐に感じるくらい使い古されきった表現なので、直接のオマージュ元はもしかしたら別にあるのかもしれませんが。
 ちなみにスタッフロールを見るとこの邪神、何気にイカクァ(イタクァ)らしいですね。クトゥルー神話に登場する旧支配者の一柱です。wikipedeliaによると大気を象徴する神なんだとか。・・・だからガス状になるのか。なるほどなー。

「世界を恐怖と絶望の闇で覆い尽くしてくれるわ! ふははははははは!」
あーん、ごくっ。
「――これはどういうことだ。世界が闇に包まれている!?」

 よかったね。

「戦闘の後はおいしいご飯!」
「新鮮だからおいしいね」

 海産物を救った直後に海産物を食べるこの度胸。

楽しかったこと

 「身の程を知らぬ冒険者風情が。この世を滅ぼす定めを持った私を傷つけられるのは、同じくこの世界の定めを負いし者だけ。すなわち、あの忌々しき勇者だけよ」
 何故に魔王だけでなく邪神まで勇者の対存在になっているのか。
 ひょっとしてマオちゃん先生が魔王を辞めた影響で代わりの対存在がこの時代に呼び出されるようになっているのかも? とか、色々と悪趣味な妄想が広がりますね。まあ妄想はあくまで妄想であって、どうでもいい話ではありますが。

 「邪神討伐! すっごく勇者っぽい!」
 今回、ユーシャは邪神討伐クエストにすっごく楽しそうに挑みました。
 かわいそうなサバたちを救い、世界の危機を未然に防ぐという目的ももちろんありましたが、第一の動機はあくまで「勇者っぽいことができる!」という思いによるものでした。
 彼女にとって“勇者”とは宿命ではありません。責務ではありません。義務でもありません。そういうしんどいものじゃなくて、そう、すごく単純に“役得”です。
 「だって、私は勇者だから!」
 邪神討伐クエストにウキウキしたのは初めて勇者っぽいことができそうだったからです。勇者にしかできない、勇者が大活躍する冒険になりそうだったからです。それがすっごく楽しそうで、実際楽しかった。

 でも、なんでそんなものがそんなに楽しかったんでしょうか。空気の読めないムダにシリアスな邪神と戦うという、さすがに笑いっぱなしではいられないイベントをこなしてまで。
 ユーシャにとって、“勇者”であることに求めるものはただの肩書きです。そこに付随するであろう名誉その他は求めていません。勇者を名乗ることで勇者っぽい体験をさせてもらえさえすればそれで満足。
 ・・・それって、何が楽しいんでしょうか?

 彼女はこう語ります。
 「みんな、今日はありがとう。海に来たいってお願いだけじゃなくて、サバ魚人さんたちも助けることができた。セイラちゃんが海でクエストしようって言ってくれたからこの島に来られて、ファイちゃんがサバ魚人さんを水揚げしてくれたから邪神が復活したことがわかって、メイちゃんのカルタードがあったから海のなかへ行って邪神と戦えて。今日は勇者っぽいことができたと思う。みんな、ありがとう!」
 今日が楽しかったのは、友達みんなが手伝ってくれたおかげなんだと。
 「何言ってるの、ユーシャ」
 「そうだよ。あたりまえじゃん」
 「そうっスよ。自分たち仲間じゃないっスか、勇者パーティの」
 「――っ! うん! これからもよろしくね!」

 友達の気持ちを直接聞けて、元々ニコニコだったユーシャの笑顔はいっそう輝きます。彼女にとって一番嬉しく感じることはこれなんだということがよく伝わってきます。以前からわかっていたことですが、彼女はこういうのが本当に大好きなんですね。
 友達といっしょに何かをすること。
 友達といっしょに冒険できるからこそ、“勇者”は楽しいんです。

 「ユーシャさん、どうしたっスか」
 「えっとね。前にも思ったけど、こうやって冒険の準備をするのって楽しいよね」

 冒険は楽しい。お出かけは楽しい。クエストは楽しい。勇者っぽいことも楽しい。ただの準備ですらも楽しい。
 友達といっしょにできるのなら。

 ひょっとして『えんどろ~!』の物語がエンドロー“ル”に進もうとしないのは、そういうことなのかもしれませんね。
 冒険の最後がうまくできなかったからとか、魔王も笑顔にしたいと思ったからとか、そういう何かやり残したことがあるせいで物語を終えられないんじゃなくて。
 ただ、みんなといっしょの楽しい冒険をいつまでも終わらせたくないだけなのかもしれません。
 ・・・もし本当にそれだけなら、あんまり褒められた思いじゃないようにも思いますが。

 実際のところ、どう抗ったって楽しい冒険の日々はいつか終わりを迎えることになるでしょう。アニメは1クールで終わりですし、なんかこれ見よがしに魔王とは別の対存在が出張ってきましたし、そうでなくてもいつか冒険者を引退する日が必ず来るでしょうし。
 そういう現実をガン無視して、物語が終わりそうになったらまた新しいループに移るつもりでいるんでしょうか。・・・いや、誰の意志がこの世界をループさせているのかなんて知らないけれども。
 「エンドロールじゃ終わらないんだよ。続くファンタジーのプロローグ。笑いあって、支えあって、まだ知らないストーリーを描いてこう」(OP)
 実際にはたとえひとつの物語が終わったとしても、また新しい物語が続いていくものです。
 その新しい物語を心待ちにできる何か、今の物語を終えて次の物語に踏み出したいと思える何かを、いつか見つけてくれたらいいですね。

 いや、別に誰がループさせてるかだなんて知らないんだけれども。

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