
やっぱり母さんがずっと使ってくれると嬉しいな。

(主観的)あらすじ
シンとラウラたちは新興国・グーラに飛びました。この地にある小さな村にラウラの生き別れた母親が住んでいるらしいのです。ラウラのもうひとりのブレイド・カスミが見つけてきてくれました。
ところが訪れてみるとここも焼け野原。ここグーラのアルスは若く、実りが多いために常に様々な企みにつけ狙われています。焦げた大地の上、ラウラは母の影を探してさまよいます。果たして見つけたものは、見覚えのある小さな組紐。幼いころラウラが母親のために編んだものでした。
母親はたしかにここにいて、ずっとラウラを思ってくれていて、そして、すでに亡くなっていたのでした。
ラウラはその後しばらく村跡に留まりました。なんとなく離れがたかったのもありますし、ちょうどスペルビア皇帝・ユーゴがアデルと同じ目的で村を訪れたことで少々堅苦しい席が設けられたこともあり、そこから逃げるための言い訳でもありました。
そこに、村を焼いた野盗の一味が現れました。頭目はゴウトという人物。かつてラウラの母親を買っていた情夫であり、また、ラウラに狼藉をはたらこうとしてシンに腕を斬り落とされた人物でもありました。
彼はイーラの秘宝であるシンを奪うために初めからラウラをつけ狙っていました。幸いにも危機を察したシンが駆けつけ、追い払ってくれましたが、ゴウトのラウラへの執着はますます募りゆくでしょう。

ブログばかり書いてないで早くもっと遊びたいのですが、情報量が多くてなかなかまとまらず。でも書く。ブログも好きだから。
いやあ、クソッタレな展開が続きますね。思いつくかぎりの悪意という悪意をぶち込んだような世界になっていますね。しかもそのなかでほんのりと救いのようなものも提示されるからタチが悪い。
ええい、そんなにラウラの心を折りたいのか! 鬼! 悪魔! 高橋哲哉!!
組紐
シンのコアクリスタルを盗み出したあの男(=ゴウト)って、ラウラの父親じゃなかったんですね。それでラウラがいるにも関わらず裸だったのか。
ラウラのお母さんって売春婦だったんですね。まあ、こういう世界で女性が子どもを抱えながら生きていく手段なんてそのくらいしかありませんもんね。
もっとも、現実の歴史に当てはめるならそれでも厳しかったりするんですが。中世くらいだとたしか教養のない安い売春婦の相場は1回の食事分くらいにしかならなかったはずですし。現代と違って食品が高価で人間が捨て値だったともいう。
貧民は子どもを捨てるのが当たり前の時代でした。あんまり現実の歴史に即してファンタジー世界を考察するのは良くないのですが、実際この世界でも、たとえばサタヒコは売られた子でしたね。それを考えるなら、ラウラのお母さんはよくぞ我が子を捨てずに耐え忍んだものです。愛深き立派な女性ですね。
ラウラが母親を探していると知ったときは正直「どうせろくでもない母親にラウラが傷つけられるんだろうな」と思っていましたが・・・なんだよ、もっと救いのない展開かよ! やりきれないわ!
組紐というとどうしても『君の名は。』のイメージがちらつきます。あの映画において組紐とは、過去から未来へ連綿とつながる、様々な人が互いに結ばれては離れ、離れてはまた重なる、出会うべき人と必ず出会う、人の世の縁のありかたを示した祭具でした。
今作においてもさしあたっては似たようなモチーフとして捉えてよさそうです。なんかラウラってやたらと武器の組紐を相手に巻き付けたがるし。
本来組紐は装飾具です。つまりは地味ながら美しさに価値を置くだけあって、製作するのに大変な手間を必要とします。ひと折りひと折り、たっぷりと時間をかけながら、幼いころのラウラはどれほどの思いを組紐に折り込んでいたんでしょうね。そして受け取ったお母さんはお母さんで、いったいいかほどの思いを組紐に託していたのか。
「さっきは持ってっちゃったけど、やっぱり母さんがずっと使ってくれると嬉しいな」
ラウラはお母さんに会えませんでした。
けれど、カスミが情報を手に入れ、焼け落ちた村の名もない男が死の間際まで墓を掘りつづけ、そこに形見の組紐が手向けられ、あるいは別の生き残りの少年の口から想い出話が語られて――。
会えませんでしたが、お母さんの愛に触れることはできました。
ラウラにとってこの地での出来事は辛いことばかりでしたが、それでも、きっと、意味はありました。
たくさんの不思議な縁の連なりに導かれたことで。
「まだ新しい墓ばかりだな」
「この方がつくられたのでしょうか」
「・・・どうした?」
村が焼け落ち、すでに墓を詣でに来る人なんていないのに、それでも亡くなった村人たちの墓をつくって死んでいった男。彼は何を思ってこんなことのために命を費やしたのでしょうか。
何にも縛られないヒカリにはまだわかりません。けれど、何かとても大切なことのように思われます。
実際にラウラにとってはかけがえのない縁でした。彼が亡骸と遺品を見つけてきてくれなければ、ラウラがお母さんの愛に触れることは困難だったことでしょう。少なくとも、結果的にこの男の最後の行いに意味はありました。墓に祈りを捧げてくれる縁の人物は訪れました。
「ねえ、この人のお墓もつくってあげない?」
「・・・うん。そうだな」
聞かず聖者
さて、ぼちぼちマルベーニ。
数ヶ月ぶりに顔を見ましたが、相変わらずろくでもないなコイツ。
「そうか、君が。やはり次期イーラ王。使者を送って本当によかった」
何を企んでいるのやら、マジでシャレにならんことを言いよる。
助祭(聖職者としては下から2番目の位階)とはいえ、すでに法王の後ろ盾を得ている身分。そのうえめぼしい実績まである。内実はどうか知りませんが、こんなの外部の人間からしたら次期法王に内定しているようなものじゃないですか。
勝手に「王」とか言うな。事実が口先の後追いをしかねん。
・・・何を企んでいるっていうか、まあ、本編プレイ済みなので考えていることはわかっているんですけどね。
勝手な行動をはじめたメツに世界を破壊されるのを待つのではなく、ヒカリを差し向けることであくまで自分の手引きによって世界を滅亡させたい、といったところでしょう。この人の行動原理は基本的にヤンデレ式です。
この人ほど純粋に神様を愛している人はいません。
「実に興味深い。これぞまさに神からの言葉。――ワシはこれを究明したい。神がこの世界で何をなさんとしてるのかを。それを手中に収め、我が物とすることを」
だから、彼は法王庁に蠢く功利主義者どもが我慢なりませんでした。
神の声を聞けただと? この私を差し置いて、お前らごときが。
神の言を利用するだと? 神に見捨てられた、我々人間ごときが。
「お前もそれを望んでいるのだろう? いいよ。手を貸そうじゃないか」
いいえ。 マルベーニの神様への愛はそんなくだらない私利私欲に汚れてなんていません。
彼はこの世の理不尽に苦しめられている人々を救うため、神様の真意を問いに世界樹を上りました。
そこで世界を破壊しつくすほどの強大な力・天の聖杯を得たことで、声は聞けずとも神様が世界を滅ぼそうとしていることを直観しました。
だから彼は神様の事業の代行者として、世界を滅ぼそうと画策しています。
「君に頼みたいことはただひとつ。私の過ちを正してくれること――あのメツを葬り去ってもらうことなのだから」
メツではなく、自分が滅ぼすのだと。
すべてはただ、このクソッタレな世界をつくった神様への愛を示すために。
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