映画 HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ まだ観ていない人にオススメするための感想

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プリキュアたちから奪った記憶!

とっととみんなに返しなさい!

この記事は未視聴者向けとして、一応ネタバレに配慮しているつもりです。
他の記事はネタバレガンガン踏み込んでいるのでもし興味があればどうぞ。

映画館の様子

 近所のジャスコ(イオン)で、10月27日9:30からの初回上映を見てきました。この映画館としては例年よりも1時間遅い開始となります。
 なんでだろう、って思ってたんですが、なんと今回はいつもの倍くらい観客を収容できる大きいスクリーンで上映されたんですね。一気にキャパシティが増えたため、お客さんをたくさん集めるために初回がこの時間に設定されたわけです。
 一日あたりの上映スケジュールも例年より2回ほど多くなっていました。相当期待がかかってますね。
 ・・・でも相変わらず17時以降の上映はない様子。平日も仕事終わってから観に行きたいのにー。諦めて有給確保しましたけど。

 でもアレですね。初日くらいは8:30開始でもよかったんじゃないかと思います。
 だって超満員でしたもん! まさかこのファッキンクソ田舎にこれほど多くのプリキュアファンが住んでいたとは!
 なんか毎回これ言ってますが、今度こそマックスです。だって地域最大キャパシティのハコが満員になったんですもん。すげーな、おい。

 普段はまずお目にかかれないほどの幼児密度です。会場内が幼児独特の清潔な石鹸の香りに包まれていました。
 オッサンオバサン諸氏はちゃんとお風呂入って、歯ぁ磨いて、洗いたての服に着替えてから観に行くことにしましょう。あの空間はクサいと悪目立ちしますよ。隣の席の子がお母さんと席を交換しちゃいますよ。中年ハートがブロークンアウトしちゃいますよ。
 肩身が狭い思いをするのは第一にあなた自身なので(第二に周りも迷惑なので)、くれぐれも清潔な身なりを心がけましょう。なあ、おい。

 お父さんお母さんがた向けの留意点はふたつ。

 今回の敵はそれなりに不気味です。たぶん予告映像で見るよりはもう何段階か上の怖さです。しかも強くてプリキュアが何度も追い詰められます。しかも使ってくる技が技なので強さがわかりやすい。泣きだす子がけっこういました。
 会場が混みあっていると一旦外に出ようにも身動きが取れなかったりするので、何か泣きやませる手段を用意しておくといいかもしれません。
 まあ今回の映画、全体的に子どもたちのテンションが高いのであんまり悪目立ちはしないかもしれませんが。

 それから、今回の映画は長いです。上映時間70分くらい?で、短編がありません。全上演時間フルにたっぷりがっつり本編をやります。
 作劇的に間延びするってわけではないのですが、一般に5~6歳くらいの子の集中力は(たしか)45分程度しか持続しないとされるので、この長さだとダレてしまう子もそれなりにいます。お子さんの様子をよく見てあげてください。
 まあ今回の映画、全体的に子どもたちのテンションが高いのであんまり悪目立ちは(以下略

ミラクルライト

 今回は短編がなく、前説もごく最低限にサクッと終わっちゃいます。
 最近の短編はミラクルライトのチュートリアルとしてうまく機能していたので、なくなった分いつもよりミラクルライトを振っている子の割合が少なく感じられました。

 ただ、今回は振っている子ひとりひとりがすごく熱心に、夢中になって振っていたのが印象的でした。
 というのも演出がすごくいいんですよね。
 公式サイトのストーリーページに「この秋、映画館へプリキュアを助けにいこう!」と書いてありますが、まさしくそのとおり。今回はプリキュアに強い敵をやっつけるための力を貸すためライトを振るんじゃなくて、再起不能になったプリキュアを直接助けるためにライトを振るんです。
 このわかりやすさが良い。

 ミラクルライト→プリキュアが光る→肉弾戦&必殺技→敵をやっつける・・・といういつものプロセスと違って、
 ミラクルライト→プリキュアが復活する・・・というシンプルっぷり。

 ミラクルライトの効果を振った直後に、しかも目に見えてわかりやすく確認できるので、そりゃあ子どもたちもテンション上がるでしょうよ。プリキュアの役に立ててるって実感が段違いですもん。
 ライトを振るだけじゃなく声まで出してプリキュアを応援する子たちが何人もいました。映画を観てるっていうより、まるでステージショーやキャラクターライブを観ているときのテンションでしたね、あれは。
 見ているこっちまでワクワクしてきましたよ。あれは良かった。実に良いものを見せてもらえた。

 ちなみに短編がなくなったとはいっても、そこそこ早い段階で『ふたりはプリキュア』のふたりを応援する展開があるので、勘のいい子ならそこでライトを振る練習ができるかと思います。東堂いづみはそういうところ抜かりありません。

オールスターズ要素

 タイトルこそ“オールスターズ”ですが、秋映画らしくちゃんと『HUGっと!プリキュア』の物語となっています。例年同様、テレビシリーズと地続きのような、テレビシリーズの総括のような、しっかりしたテーマで考えさせられる脚本でした。
 『ふたりはプリキュア』のふたりも出ずっぱりですが、第22話と同じ感じで『HUGっと!プリキュア』らしい文脈に沿って客演してくれている感じですね。他のプリキュアたちは主にクライマックスで太く短く濃く深く。

 春映画でよく描かれている歴代プリキュアネタは今回ちょっと控えめ。わかる人だけ嬉しくなれる程度でサラッと流していくサクサク仕様です。その意味でも今作はオールスターズというより『HUGっと!プリキュア』の映画。濃いネタが観たかったオールドファンは第37話を100回観返そう。
 ただ、今回は各キャラクターの持ちネタは控えめな一方、各シリーズのテーマをセリフに組み込んで来ているので、私個人としてはそこが嬉しかったですね。ああいうの、春映画だとあんまり考慮されないので。
 特に『キラキラプリキュアアラモード』の終盤を踏まえたいちかのセリフと『Yes!プリキュア』ののぞみのセリフはじぃんときましたね。この2作が好きな方は要チェックです。
 私の大好きな『ドキドキ!プリキュア』は今作のテーマとの関連性が薄めなのでセリフはあっさり。でもその分ベビープリキュアとして長めのカットをもらっていましたし、バトルも相変わらずスタイリッシュでした。これはこれで良し。

 そういえば旧作の3Dモデルが全体的にリファインされて絵柄も近作風に統一されていたような気がしたんですが、もしかしてまた近いうちにオールスターズを復活させるつもりなんですかね?
 (どうせやるってわかりきっていた)来年の春映画のタイトルは“オールスターズ”じゃなかったですが・・・。

想い出

 本作は“想い出”をテーマに描かれます。
 想い出とは何なのか。一緒に過ごして育んできた絆、努力してきた結果の成長。自分の過去にあったあらゆるもの。現在の自分をつくった全部全部みんな。そういうの、私たちはどうやって積み重ねてきましたっけ。
 それを問い直します。

 本作でプリキュアたちはミデンに想い出を奪われてしまいます。
 もし奪われてしまったら、私たちはいったいどうなってしまうのか。奪われた想い出はどこにいってしまうのか。どうしたら取り戻すことができるのか。
 そういうことを考えながら観てみるとより楽しめるかと思います。

 たとえば私とあなたはそれぞれ積み重ねてきたものが違います。これまで見て聞いて感じてきたものがそれぞれ全然違っていて、だから私とあなたは現在違う人間としてここにいます。
 もしあなたの子どものころのアルバムを私が見せてもらえたとしても、私には当時あなたが感じていた感動を正しく理解することはできないでしょう。けれど、それでもきっと、私はあなたのアルバムを楽しむことができると思うんです。きっと何かひとつくらいは共感できることもあるはずだから。
 これが友達同士ならなおさら。昔憧れていたヒーローのことならなおさら。お互いのつながりが深ければ深いほど、いろんな過去が共有されていくはずです。
 だったら、“想い出”って、結局どこにあるんでしょうね。私のなかにあるようで、ところどころあなたのなかにも息づいている。なのにひとりひとりみんな違うのも確か。“想い出”って何なんでしょうね。

 「フレフレ私! フレフレみんな!」
 はなは自分とみんなを応援します。自分のこと全部を信じられていたわけじゃないくせに。他人の事情なんてそもそもろくに知りもしないくせに。なのに、自分とみんなの未来が輝いていることを信じて努力を推奨します。
 その意味。
 その強さ。
 テレビシリーズで描かれてきたはなのプリキュアらしさは今回の映画でも全力で発揮されていきます。

 過去を積み重ねてきた先端に現在があり、さらにその現在の向こうに未来があります。
 ときに誰かと励ましあいながら、ときに誰かと笑いあいながら、私たちは進んでいきます。
 私たちって、そういう自分らしさをどうやってつくってきたんでしたっけ。

 それを問い直します。

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