今は私がやれることをやってみようかなって思って。私らしくというか。――今までありがとう。
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「マヨイノツバサ」
大きな出来事
メインキャラクター:舞
目標
自分の悩みを解決する。
課題
舞は大手広告代理店でグラフィックデザイナーとして働いている。毎日忙しくてなかなか飲みに行けていないが、咲がパンパカパンの移動販売をしているおかげで顔を合わせる機会は多い。仕事ではあまりクリエイティブではない案件を回されることも多いが、舞個人はそれなりにやりがいを感じている。カレシとの関係は冷めきってしまったが、もともと結婚願望が強いほうではなく、正直なところあまりショックではなかった。
周りの人は仕事の愚痴をこぼしたり、キャリア形成に焦ったり、結婚して幸せそうにしていたりする。そういう感情を持たない自分はもしかしておかしいのではないかと、ときどき思う。
解決
咲に相談し、「悩みがないことに悩んでいるんじゃない?」「舞は舞でしょ」とのアドバイスをもらった。
また、のぞみたちが最近プリキュアとしての活動を再開したことを知り、咲とともに自分も協力することにした。中学生以来の、これこそまさに“自分らしい”活動。心が躍った。
ピックアップ
団地
集合住宅だけでなく、道路や公園、集会場、保育所、商業用地までトータルで設計し、基本的には勤務先・通学先以外の生活の全てをその団地内で完結できるようにしてある。逆をいえば周辺市街地へのアクセスはあまり考慮されない。このため、肝心要の入居者数が減って商店の経営が成り立たなくなると、一気に陸の孤島へと変貌する。
運営主体が県や市であることがほとんどのため再開発の動きも鈍い。たまにあるリノベーションも予算的に外壁の補修と水回り配管の更新程度がせいぜいだったりする。
「こんなことするために苦労して美大出たんじゃない」
大学によっては10浪してでも入学を諦めない人がいるのが美大の世界。競争率は高い。
創造性の少ない仕事が本意ではないのもわかるが、ユーザビリティについて専門的な知識を持っているのもまた美大卒ならではなので、こういう仕事で重宝したくなる上司の気持ちもわかる。
BUNBEE
『Yes!プリキュア5GoGo!』第48話にてブンビーカンパニーなる会社を立ち上げていたはずだが、いつの間にか雇われ人に戻っていたらしい。やはりカワリーノが部下では仕事にならなかったか・・・。
現在の職は「ビル整備管理株式会社 ビル管理調査部 主査」とのこと。調査部が独立部門化しているということは結構な規模のゼネコンだろうか?
「主査」というのは一般に係長相当の職位のこと。お役所に多いイメージがあるが民間企業でも取り入れている会社はある。ちなみに、必ずしも係長をやっているわけではない。というか管理職じゃない場合のほうが多いかもしれない。
慢性的な少子高齢化の結果、現在の会社組織では高齢の労働者が多く、相対的に若年者は少ないという逆ピラミッド状の年齢構成になっていることが珍しくない。これにより「年功序列で定期的に昇進させてやりたいが就かせるべきポストがない(管理させるべき部下がいない)」という事例がしばしば発生してしまうわけだが、主査という職位は“管理職相当の待遇だが管理職ではない“ため、このポスト不足問題を解決するのに実に都合がいいわけだ。地方の役所では主幹(係長)1名、主査4名、パートタイム2名などという、冷静に考えると意味がわからない人員構成をしたチームがちょくちょく見られる。
まあつまり、民間企業ながら「主査」の職位がある会社というのは、それなりに歴史があり、キャリアを積んだ社員を持てあましている、雇用の安定した“優良企業“である場合が多いということだ。
なお、もうひとつどうでもいい話をするなら、建設業界には“実際にはその会社の社員ではないのに何故かその会社名義の名刺を持っている人”というのがたまにいる。彼らの正体は一人親方と呼ばれる個人事業主で、その会社と常用的な下請契約を結んでいる立場だ。
というのも、日本の建築基準法はたいへんに締め付けが厳しく、工事のたび会社毎に作成しなければならない書類の量がこれまた非常に多いため、小規模事業者が法律に準じてまともに下請受注しようとすると事務負担に対応しきれなくなることが多々あるのだ。このため、彼らは法の目をごまかすために、普段からあたかも元請企業の社員であるかのように“偽装”してふるまっているわけだ。(そもそも彼らが一人親方をやっている理由自体がゴニョゴニョ)
・・・というわけで、ブンビーがビル整備管理株式会社の名刺を持っていたとしても、もしかしたら彼が今でもブンビーカンパニーの社長である可能性はまだ残っているかもしれない。(※ NHKアニメでそんな社会の闇を堂々と放送するわけあるか)
るみちゃんや篠崎さんのようなわかりやすい“救うべき人”がおらず、校長先生や指導医のようなわかりやすい“憎まれ役”も登場しなかったエピソード。
舞はひとりで悩みます。このままでいいのか、と。周りのみんなと違っていて大丈夫なのか、と。
プリキュアだったころはもっと簡単でした。毎回必ず助けを求める人たちがいて、倒すべき怪物がいました。怪物をやっつけることが、自ずとそのときの悩みを解決する答えに結びついていました。
だけど、大人の世界はそうじゃないんです。
歩くような速さで、時々うしろを振りかえりながら
「そうじゃないの。カレがどうとかってよりも、結婚って何なんだろうなって――。同僚とか、私と同じくらいの子たちは、後々のこと、結婚とか出産とか、あとキャリアとか、タイムリミットがあるっていうでしょう? みんないろいろ考えて、悩んで、決断してるのに、・・・私って普通じゃないのかなって」
言ってしまえば、舞は中学生のころからそういう子でした。
元からこういう子でした。
転校生で、町のことやクラスメイトのことに詳しくないのもあって、みんなが当たり前に知っていることを舞だけが知らないという場面が何度もありました。そうじゃなくても芸術家肌で、絵を描きはじめると誰の声も聞こえなくなったり、悩んでいる友達に意外な視点からアドバイスをあげたり、ときどき盛大な天然ボケをかましたり。
基本的にいつもマイペース。そしてゴーイングマイウェイ。周りの友達とはどこかズレているところが多いユニークな子。それが美翔舞でした。
そういう舞らしいところ、もちろん咲が一番よく知っています。
「でも、舞は今結婚とか考えられないんでしょ? 仕事だって好きなわけでしょ?」
「うん。学生のころ憧れてたのと少し違うけど、やりがい感じてるし――」
「うーん。舞ってさ、みんなみたく悩みがないことを悩んでるんじゃないかな?」
「『悩みがないのが悩み』ってこと?」
「周りの人がどうだとか、周りの人が何を悩んでるとか気にしなくても、舞は舞でしょ。舞は舞が思ったとおりにすればいいんじゃない? 私も応援するからさ!」
そういう舞らしさが咲は大好きでした。性格はまるで正反対。趣味も特技も全然違う。だけど、なんとなく流れ星を追いかけていたら偶然森の奥で出会うような、不思議と気が合う昔からの友達。
何から何まで違うのにどうして友達をやっていけているのかといえば、それはもう、舞が舞だからと言うほかありませんでした。
頭脳明晰で感受性も豊かな彼女は身近な問題で悩むことがあまりありません。代わりに、普通の人ならあまり深く考えないようなことで思い悩むことが昔からよくあったのでした。
ほんと、咲からすれば見慣れたいつもの舞。
「この前の話なんだけど――、やっぱり別れよう。舞の気持ちを聞かせて」
こういうふうに言われてしまうということは、カレシとの関係が冷めてしまったのはコミュニケーション不足が原因だったんでしょうね。
舞の仕事が忙しいこともあって、なかなか会う機会がない。舞が自分のことをどう思っているのか不安になってくる。会えないなりにマメに連絡を取ろうとするタイプでもありませんしね、舞の場合。相手を思うにしてもひとり静かに胸にしまっていそうです。咲と違ってケンカしたことすらないんじゃないでしょうか。
だから、向こうは今の自分の気持ちをはっきり示したうえで、舞の気持ちを知りたいんだと伝えるんですね。誠実そうな人です。
やべえ。私も全く同じことをしたことがあるから今さらながらに罪悪感が・・・。
「メッセージで返すべきなんだろうけど・・・。直接、言いたくて――」
ここで舞が通話することを選んだのは彼女なりの最大限の誠意。
着信した瞬間、きっと向こうもこれから何を言われるのか全部理解できたんじゃないでしょうか。
電話のやりとりからしても落ち着いて話を聞いてくれた様子です。舞の忙しさを気遣ってくれてもいます。切ない。愛情だけならまだ残っているでしょうに、もう熱情は枯れてしまった。
「今は私がやれることをやってみようかなって思って。私らしくというか。――今までありがとう」
ひどいことを言っています。まるで付きあっているあいだは「私らしく」なかったと言わんばかり。それが真実だからなおさらタチが悪い。
舞だって自分がどれだけ残酷な物言いをしているか理解していないわけではないでしょう。だけど、言うべきことでした。彼のために。もはや修復不可能な関係になっても、あくまでこちらの気持ちを知りたいと望んでくれた、最後の最後まで舞を求めてくれた、彼の愛情に報いるために。
大人になったからって、ただちにオトナになれるわけじゃありません。
カレシができたからって、自動的にカノジョらしく変われるわけじゃありません。
周りの大人たちはみんな努力しているようです。何らかの焦りに四六時中突き動かされているようです。
きっとそれは、彼らも大人になったあとで、自分は自ら望んで何者かにならなければいけないんだ、と気づいたからなのでしょう。
今の舞は――、もう少しだけ時間が欲しいと思うのでした。
のぞみやかれんもそうでしたが、かつてプリキュアだった子たちみんな、人並み以上にステキな大人になれているように思います。昔の夢を叶えつつあり、しかもそれぞれ周りに良き理解者がいてくれているようで、人間関係にも恵まれています。
のぞみのところの校長先生、かれんのところの指導医さん、うららのところの演出家さんですら、私から見るぶんにはみんな人格者であるように感じます。普通、期待していない相手にあそこまで踏み込んだダメ出しなんてしません。くるみのところの秘書室長だけはちょっと褒めるところが見あたりませんが、代わりに社長さんが理解ある人っぽかったですしね。
本当ならこの子たち、こんな辛気くさい顔をする必要なんかないんです。
それなのにそれぞれ思い悩むことになっているのは、きっと理想が高いから。高潔すぎるから。
それが悪いことだとは全く思いません。
プリキュアの奇跡を起こせるほど強い心を持っていた子たちです。夢でも希望でも、いくらでも追いかけたらいい。その全部、いつか必ず叶えられると思うから。
ただ――、20歳超えたからって自動的に叶うようなものでもないよねってだけのことであって。
「私、手伝う! あいつらを止めるの。私が心を込めてつくったパンを愛してくれるお客さんを苦しめるなんて、許さないんだから!」
「・・・私も。私も手伝う!」
多少なりともシャドウと戦うべき理由を持つ咲に対し、舞はそういうのを一切持たないままプリキュア活動に復帰することを決めます。
「私がやれることをやってみようかなって思って」。「私らしく」。プリキュア活動は今の自分にとっても、そういうものであるように思えたから。
これは中学生時代の続きの物語。オトナになりきれずにいる大人たちの、ほんのひとときの郷愁、あるいはちょっとした里帰りのようなもの。
かつてプリキュアとは夢の前借りでした。無力な子どもが、いつか理想の大人になれたとき得られるはずの力を、夢現の狭間で行使する刹那の奇跡。それがプリキュア。
今度は大人が自分の子どもだったころの可能性に夢を見ます。
プリキュアに本当の意味で現実を変えられる力なんて無いと思うのだけれど。
それでも、道に迷う彼女たちが自分の心を整理し直すためにはちょうどいいきっかけになるかもしれません。
かつてのぞみがプリキュア活動を通して、自分なりの夢を見つけることができたように。
コメント
「5」組がオトナとコドモの境界線上で惑ってる雰囲気なのに対し、「SplashStar」組はあくまでオトナとして惑い試行錯誤しているって雰囲気で、さらに「5」組の中でもミルク/くるみはオトナ寄りの立ち位置という雰囲気(そもそもミルクは異世界出身者で、異世界からの侵略者への対応は“仕事”の範疇にある)。――――この辺り、元プリキュア達の中で現在の境遇や心境にバリエーションを持たせつつ、同じチーム内では格差・断絶が大きくなりすぎないよう配慮している印象で、原作者東堂いづみの差配が絶妙な感じですね。
また、日向咲と美翔舞は“オトナのボランティア活動”という形で異世界侵略者シャドウとの戦いに臨むようですが、もし彼女達が最後までキュアブルームやキュアイーグレットに変身することなく戦い続けるのであれば、「プリキュアの力」に執着する(どうにも、「異世界侵略者と戦う」ことを「何でも出来ると思えた中学生の頃に戻りたい」という後ろ向きで未練がましい欲望を正当化する“口実”にしている印象が拭いきれない)夢原のぞみ/キュアドリームへの強烈なアンチテーゼとなるのかもしれません。
それから、
今作で夢原のぞみと水無月かれんに変身する力を与えた「タイムフラワー」なんですが――――もしかすると「timeフラワー」と「大麻フラワー」のダブルミーニングなのかも。
大麻解禁論とか医療用大麻とかのメタファーで、「ダメ、ゼッタイ」と「大人の自己責任で、ご利用は計画的に用法用量を守って」の境界線上にあるギリギリな存在、とか。
タイムフラワー、言われてみれば大麻の花に似ていなくもないんですが、まあ・・・どうですかね・・・? 医療用に解禁された以上はわざわざ誤解を招きかねないセンシティブな表現に使うこともないと思うんですが、でもまあ罰則の適用範囲は個人使用にまで広がったわけですし・・・?
いや、やっぱりそこメタファーにするつもりなら蕾まで似せるんじゃないかな!