言ったはずです。あなたをお守りするのが私の使命だと。
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「アンダーグ帝国の優しい少女」
大きな出来事
メインキャラクター:カイゼリン
目標
父親のスカイランド侵攻をやめさせる。
課題
キュアノーブルの力を手にしたエルレインは王都を奪還し、他の国土についてもアンダーグ帝国の侵攻に抵抗できるようになっていた。
そんな状況下でもカイゼリンの父・カイザーは侵略をやめようとしない。彼は力というものの恐ろしさを誰よりも信じていた。いつかスカイランド王国が力をつけたら、彼らのほうからアンダーグ帝国を侵略しに来るだろう。今のうちに叩きつぶしておかなければならないと。
「争いが生むのは涙だけ」と信じるカイゼリンはエルレインとの協力関係を取りつけ、父王カイザーを懸命に説得した。
だが、卑怯にもカイザーはその説得すらもエルレインの油断を誘う策として利用するのだった。
交渉の余地を失ったカイザーとエルレインは互いに激しく憎みあい、争いあう。もはや止めることはできない。
解決
カイゼリンは2人の間に割って入り、カイザーを庇ってエルレインの攻撃を我が身に受けた。娘を愛するカイザーと、友人であるエルレインはその望まぬ展開に驚き、戦いの手を止めた。
傷ついたカイゼリンを救うためカイザーとエルレインは協力関係となり、そしてその命を救えたことによってお互い同盟関係を結ぼうと歩み寄ることができた。期せずカイゼリンの願いは実現したのだった。
だが、その後何かが起きた。
現在のカイゼリンはエルレインとスカイランド王国を憎悪している。
バトル
苦戦
時を戻して再び現代。カイゼリンは今まさにスカイランド王都を滅ぼそうとしている。彼女のの過去を垣間見たましろはその善性を信じ、「夜と朝の間、美しい瞬間に」と叫ぶ。それは300年前、彼女によって実現された和平を象徴する言葉のはずだった。
だが、その言葉を聞いたカイゼリンはむしろ激昂する。
勝利
前話同様のプリキュアとカイゼリンとの力比べとなった。前話ではカイゼリンが圧倒していたが、今回は彼女の傷口が開き、一転してプリキュアの勝利。
カイゼリンはあわや打ち倒されるところだったが、寸前で駆けつけたスキアヘッドに救出された。
ピックアップ
プリキュア・マジックアワーズ・エンド
マジックアワーというのは日の出直前の時間帯のこと。薄明。太陽の光が幻想的なオレンジ色となってあたりを染め、一方で天頂はブルーの深くて鮮やかな色を示す。
まるで魔法のように芸術的な写真が撮れることから写真家たちに愛好されている。
このうたかたの魔法が終わったら本格的に日が上り、長かった夜が終わるとともに朝の時間が訪れるだろう。
傷口
キュアノーブルの致命の一撃によって胸を斬り裂かれたカイゼリンは、アンダーグエナジーの何らかの応用利用によって一命を取り留めた。
見る限り負傷そのものが治癒したわけではない。おそらくは物質化したアンダーグエナジーを包帯や瘡蓋のように用いて一時的に傷口をふさいだものと考えられる。
想像していた展開とちょっと違った!
予想していたよりえげつなかった!
乙女の祈りは実を結び、スカイランド王国・アンダーグ帝国両代表の善性を引き出すことによって両国の和平を実現しました。
一見して完璧で美しいハッピーエンド。けれど現実にはこのとき何らかの禍根が刻まれています。両国の親交が完全に途絶えるほどの重大な何か。今のカイゼリンはそのときの憎しみによって突き動かされています。
さて、ソラは彼女の憎しみの正体を知ることができるのでしょうか。
わざわざ過去に連れていったんだから最後まで教えてあげてよ、マジェスティッククルニクルン!
「あなたは自ら望んでセイファートの試練を受けました」
「・・・今のが、試練だったのか?」
「今、あなたの心に渦巻く思い。それを忘れぬことです」
「何のためにこんな・・・?」
「今のあなたにとって避けては通れぬ道が示されたのです」
「お前はあの少女なのか? ロザージュという、私が斬った――」
「私はセイファートの使者。極光の試練の導き手。私には姿はなく、そして声もない。ここにあってここにない存在。あなたが聞いているのはあなた自身の心に木霊しつづけている声です。――試練を乗り越えし者よ、あなたに極光壁を授けましょう」(『ドラマCD テイルズオブエターニア』第4巻)
「シゼルの怒りがネレイドを呼び込んだ――。そういうことなのか? セイファートの使者さんよ」
「見たものをどのように理解するかはお前次第だ」
「これが最後の試練なのか?」
「そうだ。お前を真の極光術の使い手と認め、極光波を授けよう」(『ドラマCD テイルズオブエターニア』第5巻)
↑は今作のシリーズ構成・金月龍之介氏が20年前以上に脚本を手がけた作品の一節です。(とはいえあくまでゲームを原作にした派性作品であり、大本のストーリーを考えた作者は別にいます)
”自分以外の誰かの過去を垣間見る”という試練を受けた若者ふたり。一方は国を乱していた邪教の信徒の嘆きに満ちた生涯を追体験し、一方は世界を滅ぼさんとする邪神の依り代が世界に絶望するまでの過程を見届けました。
ふたりはそれぞれ当然の疑問を口にします。「この試練にいったい何の意味があったのか?」と。なにせ邪教の信徒である少女はすでに死んでおり、邪神の依り代は今すぐにでも倒さなければ世界を消滅させられてしまうのです。
彼女たちの思いを知ることは、若者たちのこれからの行動指針に何の関係もありません。彼らには今さら彼女たちのためにできることが何ひとつありません。ただただ、信念が鈍るだけです。
しかし、試練の導き手はその問いに明確な答えを示しません。その答えは自分で出さなければならないのだとだけ告げます。
「どうして俺にこんなものを見せたんだ」
「真の極光術は人と晶霊が一体となることで生まれる技だ。己とは異なる思い、異なる立場――、その本質を見抜き理解する力が要る」
「でも! 誰にだってそいつなりの正義があるって、シゼルにさえ戦う理由があるってわかっちまった以上、俺はどうすりゃいい!?」
「為すべきことを為すのだ」
「為すべきこと?」
「――大切な人を、守れ」(『ドラマCD テイルズオブエターニア』第5巻)
この試練は若者たちに、他人に対する慈しみの心をもたらしました。
もともとけっして冷たい人間ではなかったふたり。言われるまでもなく自分が大切に思っている人のことは絶対に守り抜く気概を持ってはいましたが――。それでも、相手の思いを理解したうえで尊重するというところにまでは至っていませんでした。
敵も、大切な誰かも、どこか自分とは相容れないところがある他人だという思いはどうしても燻っていました。
彼らは”本来なら絶対に知りえない誰かの思い”を知ったことで、それまでよく見知っていると思い込んでいた身近な人たちであっても、彼らが自分には伝えようとしない複雑な思いを隠し持っていることに思い当たるようになりました。
たとえ全てを理解することは不可能なのかもしれないとして、それでもその人たちのことを深く信じ、愛することを学びました。
敵対せざるをえない相手にすらも、憎悪や義憤などをぶつけるのではなく、お互いの大切なものを守るため、敬意をもって向きあうようになりました。
”不可知なるものを学ぶ”意義のひとつは、きっとそういう類いのもの。
生きていれば自分には絶対に知りえない事柄なんていくらでもつき当たりますが、それでも知ろうとするか、知らなくてもいいことだと割り切るかの態度の違いは、あなたの生きかたに大きな影響を及ぼすでしょう。
わからないならわからないなりに想像してみることです。「知りえない」は「存在しない」と同じではありません。
今目の前にいる人にはきっと自分には知りえない大切な思いがある。たとえばそれを認めるだけでも、きっとあなたはまた少しみんなに優しくなれるはずです。
前話ではどうしようもなく粗暴な男に見えたカイザー。ですが、今話では一応彼にも彼なりの正義があり、人並みに娘を慈しむ親心がある側面も描かれました。和平が実現した理由のひとつは彼が根っからの悪党というだけではなかったことです。
ソラはますます実感したことでしょう。「話せばわかりあえる」と。なにせ、現在アンダーグ帝国を支配しているカイゼリンの心にも善性があることは間違いないんですから。
しかし、残念ながらソラのその思いは今のままでは叶わないでしょう。
だって、カイゼリンはソラと違って「話せばわかりあえる」だなんて少しも思っていないのです。
カイゼリンはソラの知りえないところで途方もなく深い憎悪を滾らせています。ソラが彼女のその憎悪の根源を知るまで、あるいは想像力がわずかにでも届くまで、ソラの願いが彼女と分かちあわされる日はけっして訪れることがありません。
ソラにはまだ知らなければいけないことが残っています。
理解することです。あるいは、理解しようと向きあうことです。
たとえその答えが自分には絶対に知りえないものだったとしても。
人の体にアンダーグエナジーを注ぐことの意味
「カイザー。あなたの力で傷をふさぐことはできませんか?」
「アンダーグエナジーにそんな力は・・・!」
「いいえ! できるはずです。今のあなたになら!」
エルレインなら知っているはずです。
アンダーグエナジーは、それがその場にありさえすれば、何の素体も必要とせず何度でも怪物として具現化できることを。
しかも、プリキュアの力で浄化されない限りいつまでもその場に漂いつづける、無限のエネルギーであることを。
「ボクが意味もなくランボーグを何度もぶつけたと思ってる? 違う。倒されたランボーグたちのエナジーはこの都に密かに留まりつづけていたのさ。隊長と護衛隊はアレを浄化できないからね。――ああ! 弱い人たちの精一杯のがんばりが全部ムダになってしまった!」(第15話)
カイザーはアンダーグエナジーを自在に操る力を持っていました。スカイランドを蹂躙するために大量のアンダーグエナジーを持ち込んでもいました。
手強く、憎むべき厄介な力でしたが、この場に限っては希望になりえました。
その力を善いことのために用いるなら、きっとカイゼリンの胸に深々と開いてしまった傷をふさぐことだってできるはず。
「――うん? ・・・まさか」
スカイランド王都でランボーグたちの指揮を任されていたスキアヘッドは王国じゅうのアンダーグエナジーが突然自分に知らされていない何かに使われたことを察知し、最悪の可能性に思い至ります。
「あなたからたくさんのことを教えてもらった。でも、知れば知るほど信じられなくなる。『力が全て』だなんて」
「それはこのアンダーグエナジーの海から――、最強の力から生まれた私たちにとって、議論するまでもないこと。『力が全て』なのです」
当時のカイザーとカイゼリンにはまだ知らないことがありました。
おそらくは当時まだ、知識の宮殿にあらゆる知識を収めるスキアヘッドだけしか気付いていなかったアンダーグエナジーの特殊な性質です。
「けっ。これからってところで。人間にアンダーグエナジーを注ぐのはそもそも無理があるんだよな・・・」(第22話)
空中に滞留しているぶんには浄化されるまで消滅することのないアンダーグエナジーですが、生きた人間の体内に長時間滞留させることはできません。すぐに吹き出てしまいます。
ムリヤリ長持ちさせようとするなら、第33話のミノトンのように定期的な補充が必要になります。
「アンダーグエナジーがお前の傷をふさぐ! 失われた血の代わりとなり、お前を生かす力となる! あっはっはっはっはっは!」
「シャララ隊長はアンダーグエナジーによって生かされている。それを浄化してしまったらどうなるだろうねえ?」(第22話)
たしかにアンダーグエナジーをうまく使えば致命傷ですらふさぐことができます。
ただし、その傷を治療するわけではありません。生命活動を維持する細胞の代替となるだけです。
しかも↑にあるとおり、アンダーグエナジーは生きた人間の体内に長時間滞留することがありません。アンダーグエナジーの治療を受けた者はその後いつまでもアンダーグエナジーとともに生きるしかなくなります。
「お前に無価値ではないと証明するチャンスをやろう。――そのアンダーグエナジーを取り込めば強大な力が手に入る。」
「で、ですが! こんなヤバい力を取り込んだら、オレは・・・!」
「そうだ。お前の心はアンダーグエナジーに取り込まれて消滅する。後に残るのは強力な力を持つ怪物だけだ」
「バッタモンダー!」
「呼びかけてもムダだ。ヤツの弱い心は消え、力そのものになるのだ。破壊のみを求める獣にな。アンダーグエナジーは強大だ。使い道のない無価値な存在にさえこれほどの力を与える」(第43話)
そして何より問題なのが、高濃度のアンダーグエナジーを取り込んだ者は理性を失ってしまうということです。
3日分溜めただけのカバトンは辛うじて理性を保っていましたが、スキアヘッドに高濃度のエナジーを注入されたミノトンも、バッタモンダーも、見境のない暴力をふるう怪物に成り果てました。
少なくとも、スキアヘッドの認識ではこうなってしまった彼らが正気を取り戻すことはありえないとのこと。
・・・エルレインの発案によりアンダーグエナジーでの治療を受けたカイゼリンは、アンダーグ帝国に帰還したあと、果たしてどうなってしまったんでしょうね。
スカイランド王国と和解し戦争に出る必要がなくなったはずのカイザーはどうして300年後の今どこにも姿を見せなくなってしまったんでしょうか。どうしてアンダーグ帝国の支配者はカイゼリンに代替わりしているんでしょうか。帝位を継承したところで、彼女は治療に専念していて統治もままならないでしょうに。
「くっ・・・。300年前の傷が開いた。私はいい! お前だけでも逃げるのだ!」
「時が来たようだな。私自らが戦場に立つ、その時が」
「まだです。お体の傷が癒えるまで戦いはお控えください。・・・あなたをお守りすること。それが私の使命」(第44話)
300年経ってなお、未だカイゼリンの受けた傷は少しも癒えていません。
ただし、その割に今のカイゼリンはずいぶんと理性的であるような印象を受けます。ミノトンやバッタモンダーなどはほとんど理性の制御がきかなかったはずなのに、彼女は逆鱗に触れられるまで自分の意志で行動できていたように見えます。
「なぜあなたたちアンダーグ帝国はこんなことをするんですか!?」
「・・・愛する御方がそれを望んでいるからだ」
「えっ――?」(第41話)
それはもしかしたら、彼女の破壊衝動を代行して、欲求を満足させてくれる人が彼女の傍にいたからなのかもしれません。
スキアヘッドも知らないこと
「お前も諦めが悪いようだ。弱い者が足掻きつづけるさまは目障りだな」
「あなたの評価なんかどうでもいい! バッタモンダーを助けるって、覚悟は決めたから! 私は――、絶対に諦めない!!」
「あっ。バッタモンダーの、心の輝き!? お願い、消えないで! ううん、私が照らしだしてみせる! きらめけ! プリズムシャイン!!」
「・・・何?」(第43話)
知識の宮殿に豊富な知識を蓄えているスキアヘッドですら知らない事実がありました。
そういう事実があることをプリキュアたちはすでに知っていましたし、彼女たちの戦いを見届けてきた私たちももちろん知っています。
たとえアンダーグエナジーに侵されて正気を失ってしまった人であっても、プリキュアが浄化すれば元に戻せる可能性があるんだということ。
プリズムシャインを使う以前から、プリキュアはカバトン、ミノトン、そしてシャララ隊長を正気に戻してきました。
「王様と王妃様の呪いを解く方法がわかったの。ランボーグを浄化したときに現れるキラキラエナジー。それをこのミラーパッドに集めれば呪いを解く薬をつくることができるわ」(第16話)
「キョーボーグを浄化すると現れるキラキラエナジーは、壊されたものを直したり、アンダーグエナジーに対抗することができます。スカイジュエルでキラキラエナジーを大量に発生させられれば、ミラーパッドでスカイランドの街を守るバリアだってつくれるはずです」
「それだけではありません。研究がうまくいけばキョーボーグを浄化することだって可能です」
「それは初耳だな。では、我が青の護衛隊でも浄化が可能だと?」
「はい」(第42話)
プリキュアがランボーグを浄化したときに発生するキラキラエナジーには、あらゆる面において、アンダーグエナジーがもたらした破壊の爪痕を元に戻す性質があります。
おそらくはプリキュアの浄化の力自体がキラキラエナジーと同質のものなのでしょう。だからこそツバサはキラキラエナジーを研究することでいずれ青の護衛隊でもランボーグを浄化できるようになると判断したのだと推測できます。
人の意識を奪うアンダーグエナジーの呪いすら解いてしまうキラキラエナジーの力。
それと同じことを、プリキュアはカバトン、ミノトン、シャララ隊長に対して行ってみせたのでしょう。
私たちはそれを見てきました。
スキアヘッドが表舞台で活動しはじめる、そのずっと以前から。
「そうだ、パレット! ミックスパレットを使えばなんとかなるかもしれない。アンダーグエナジーを浄化して、そのあとすかさず回復の技を使う。それなら救えるかも」(第22話)
「きっと大丈夫。信じて待っている人がいる限り、何度だって立ち上がれる。きっとそれが、ヒーローですから」
「・・・良い言葉だ。また会えたな、ヒーローガール」(第23話)
特に、シャララ隊長を治療することができたのは大きなターニングポイントです。
アンダーグエナジーを用いて致命傷をふさぐ。彼女に対してバッタモンダーがやってみせたことはエルレインとカイザーがカイゼリンに対して行ったことと全く同じこと。
もしその治療のせいでカイゼリンが300年治癒しない傷と止むことのない破壊衝動に苦しんでいるのだとしても、プリキュアならそれを癒やすことができます。
プリキュアの浄化の力か、ミックスパレットの癒やしの力のおかげか、キラキラエナジーの作用かまではわからないけれど。少なくともそういうことが可能だという事実だけは、ソラたちがすでに実証しています。
「スキアヘッドにも戦う理由はあるのかもしれません。ですが、どうして誰かを傷つけることができるのでしょう」
「うーん・・・。答えは簡単には見つからないかもね」
「簡単じゃないかもしれないですけど、もっと彼らのことを知れば、きっと答えは見つかると思うんです」(第42話)
もし、ソラたちとスキアヘッドがお互いの知りえたことを全て打ち明けあうことができたなら――。
そのときは今度こそ、対話で解決する道も見つかるかもしれません。
そういう場をつくることが一番難しいんですけどね。実際のところ。
でも、ソラがそういうことをやりたいと願うなら。ただ自分たちのみに迫る危機を打ち払うだけでなく、本来なら知りえないはずの敵の事情にまで踏み込んで、本来なら知る必要すらない、不可知なるものを理解しようと努めるのなら。
がんばれ、ソラ。
それは不可能なことじゃないよ。絶対に。
光も闇も、善も悪も、何もかも一緒くたのこの世界で
「スカイランドはいつの日かトンネルをつくり、ここまで攻め入ってくるかもしれん! 力とはそういうもの!! ・・・お前は余の大事な娘。アンダーグ帝国の皇女。強くなるのだ」
「おう、そこの自分! 自分や自分! ちょう下りて来いや! なにシカトこいてくれてんねん! ――おうおうおうおう! 嬢ちゃんごっつええアクセサリー付けとるやんけ! その上等なおべべといい、さてはお金持ちやろ!! ――文句あるんかいワレ! 見てみんかい! 今の時代、力こそ全てや!!」
一見したぶんには根っからの悪党のように見えるカイザーですらどこかには人間らしい愛情があって、一方で守られるべきスカイランドの国民のなかにも力に酔いしれる悪意の人もいて。
300年前のカイゼリンが毛嫌いしていた「力」とはいったい何なんでしょうか?
単純に”力”とは何かを考えるなら、それはカイザーが振るうような暴虐。あるいは、エルレインが行うような反逆のために必要なもの。もしくは、ソラたちが日々使っているような、大切な何かを守るためのもの。
「無敵だと強くなれない。優しいだけじゃ越えられない。自分らしい弧を描こう」(前期EDテーマ『ヒロガリズム』)
”力”とは、自分の思いを押し通すためにあるものです。
世のなかには自分ひとりじゃない、たくさんの他人がそこらじゅうにいて、私やあなたがワガママを通そうとすると困ってしまう誰かがどうしてもいます。
そういう場合に、他人の都合に束縛されず、自分の思いを押し通すためにあるのが”力”です。
なにも暴力だけとは限りません。
人を説得する言葉の力、何者も怖れず前へ進む勇気の力、真摯に向きあい協力関係を築く優しさの力、ぶつかりあうよりも良い道を探る知恵の力、魅了して自分を気に入ってもらう美しさの力、社会的地位と道理のよさを利用する正義の力なんてものもあります。いずれにせよ、”力”とは周りにいるたくさんの他人との折衝のなかで、自分の思いを叶えるためにあるということに変わりはありません。
私ならそういうふうに答えます。
「やはり、『力が全て』なのでしょうか・・・」
「――私はそうは思いません。だって、戦いが生み出すのは涙だけですから」
数ある”力”のなかでも暴力は極北。他人を傷つけ、押しのけてでも強引に自分の思いを押し通す力です。カイゼリンの言う「力」とはこちらのことですね。
子ども向け番組であるプリキュアシリーズがこれを肯定することは――、これまでもこれからも無いでしょう。
バトルヒーローアニメですからパンチやキックで敵と戦いはしますが、彼女たちが自分の思いを通そうとするときに使うものは、いつだって勇気や優しさの力。暴力以外の力です。
まあぶっちゃけ欺瞞ではあるのですが、少なくともプリキュアが子どもたちに、積極的に暴力の有用性を教えることだけはありえないでしょう。
カイゼリンも暴力を否定します。
それから、エルレインも。
その思想が社会的に正しいかどうかとかそういう面倒くさいところは知ったこっちゃありませんが、少なくとも建設的ではありました。
「『この戦いを終わりにしたい』と言っていたわ。彼女は言っていました。自分が絶対に父親を説得する。でも彼は負けたら自分たちが滅ぼされると思っている。だからカイザーを許してほしい。あなたも戦いを終わりにしてほしい。――そう、頼まれました」
「力」を止めるために、カイゼリンも”力”を振るいます。
スカイランドやアンダーグ帝国、キラキラエナジーにアンダーグエナジー、光に闇、善と悪。多種多様な価値観がひとつところにはびこり、考えかたの異なるたくさんの人が入り交じるこの世界のなかで、どうにかして誰も傷つかない道を模索しようと勇気をふりしぼります。あるいは優しさを、知恵を、娘としての愛らしさを武器に。
「ひとつ訊ねたい。もしこれが貴様をおびき出す罠で、余の部下が今この瞬間、都を襲っているとしたら。――それでも戦いを終わらせたいと、余を許すと言えるか?」
「カイザーッ!!」
「そうだ! それが力だ!!」
それはきわめて困難な道程。カイザーがその存在を認識したうえで、あえて避けた道。同じ道を歩もうとしたエルレインでもたやすく「力」に飲まれてしまった道。
カイゼリンが通そうとしていた思いは、彼女が想像した以上に、はるかに困難なもののようでした。
「あなたからたくさんのことを教えてもらった。でも、知れば知るほど信じられなくなる。『力が全て』だなんて」
「それはこのアンダーグエナジーの海から――、最強の力から生まれた私たちにとって、議論するまでもないこと。『力が全て』なのです」
あれほどカイゼリンのことを思ってくれているスキアヘッドですらはっきりと否定していたのは、その道を歩もうとすることがどれほど困難で、どれほど危険なことであるか、彼にもわかっていたからでしょうか。
「――よかった。私みたいな弱いものでもお父様を守れた。これって、『力が全て』じゃないことになりませんか」
結局カイゼリンが自分の思いをカイザーやエルレインに対して通すことができたのは、自分の身を犠牲にして、それでようやくのこと。
いいえ。
このあと彼女はアンダーグエナジーによる治療を受け、そのせいでアンダーグ帝国とスカイランド王国の仲違いを決定的なところにまで進めてしまう運命にあります。
300年前のカイゼリンは、我が身を犠牲にしてすらなお、いがみあう大切な人ふたり相手に暴力以外の手段で自分の思いを通すことに、――失敗してしまったのでした。
「この夜と朝の間、美しい瞬間に、スカイランドとアンダーグ帝国は和平を結びます!」
光も闇も、善も悪も、何もかも一緒くたの混沌とした世界、どこを見ても暴力を肯定しようとする思想ばかりがはびこるなかで、それでもあえて暴力を否定せんとする理想。そんなもの、結局はキレイゴトでしかありませんでした。
これはカイゼリンの失意の記憶。絶望の記憶。
「『夜と朝の間、美しい瞬間に』! あなたはスカイランドとアンダーグ帝国の戦いを終わらせた! なのにどうして?」
「カイゼリン! 何があなたを変えてしまったんですか!?」
今、再び300年前のカイゼリンと思いを共にする者たちが現れました。
今度はアンダーグ帝国ではなく、スカイランドから。ソラシド市から。
彼女が何に絶望することになったのか、その詳細も知ることなく、漠然とキレイゴトだけを掲げて。
「黙れ!」
「黙りません! 黙りません!! 口を閉ざして、心を閉ざして、怒りに飲まれて戦って――、そんな、そんな戦いが生むのはきっと涙だけだから!!」
いつかの彼女のように。あの日、あのとき、致命的で決定的な失敗を犯してしまった彼女と全く同じ道を辿ろうとしているかのように。
危険を顧みず、危険を冒した結果かえって失意が訪れる未来の可能性を知りもせず、暴力以外の力を使って自分の思いを押し通しさえすればそれでいいとばかりに思い上がって。
「知ったようなことを――!!」
ソラたちのその薄明の空のように美しい思いを、自分と同じ失敗に向かって突き進もうとしている無知なる無垢を、カイゼリンはどうしても認めるわけにはいきませんでした。
ソラたちの思いはまだカイゼリンに届きません。
その思いを通すためには、まだ、ソラたちには知らなければならない大切なことがあります。
コメント
今日は300年前のスカイランドから今現在に戻り、マジェスティック・クロニクルンの第2陣で、カイゼリン・アンダーグのクリスマス前までにおける戦いが終わる話でした
いとこのお姉さんの次女に見てもらいたくて、いの一番にいとこのお姉さんのスマホにLINEする際、プリンセス・エルが「おにしゃんこちら 手のなる方へ」とランボーグに言い放ったのはシックリ着たとLINEしたものでした!!☆☆♬
キュアベースボールギャンブラーと女子寮の寮長(プリキュア=キュアバドミントンギャンブラー)が二人三脚で次々とやられ役を浄化して行く話では、小6の時は、実現しなかった女子寮の寮長と女子寮の寮長の小学生の時の男子の同級生のバドミントンの最終決戦にて、女子寮の寮長が得点を奪い取った時点で、女子寮の寮長の勝利が決まる目前に
「鬼さんこちら 手のなる方へ」
と言いながら、女子寮の寮長の男子の同級生を挑発します
そしてその挙句に女子寮の寮長は小学校の時の男子の同級生相手に積年のリベンジを遂げることに成功しました
だからプリキュア的に感慨深いセリフでしたね!!☆☆♬
それからましろも「こっち、こっち」と言いながら、ランボーグを誘導するセリフもやっぱりシックリ着ました!!☆☆♬
これもプリキュア的に数割感慨深く女児向けプリキュア的な感慨深さもさらに続きました!!☆☆♬
そしてソラ・ハレワタールも「あのカイゼリンが」とこぼしたのもシックリ着ました!!☆☆♬
2006年の夏の甲子園の準々決勝では甲子園における第2戦目となる帝京高校VS智辯和歌山は両チーム合わせて7本のホームランを打ち込み、終わってみると9回の攻防で智辯和歌山が逆転サヨナラ勝ちを遂げた試合では、帝京高校の打線も9回の攻防で初リードを奪い、高嶋監督は諦め顔になったのを駒大苫小牧(南北海道)の香田監督は宿舎のテレビで視ながら
「あの高嶋さんが」
と複雑な気持ちになりました!!☆☆♬
だから私が好きになり続けているジャンル的な感慨深さがあるセリフですね!!☆☆♬
で、次回は来週の日曜がクリスマス・イブで女児向けプリキュアでも毎年恒例であるはずのクリスマスになります
いとこのお姉さんにはむろん、いとこのお姉さんの次女にも、ひろがるスカイプリキュアがどういう終わり方であれ「メリークリスマスでその日が終わって欲しい」といとこのお姉さんのスマホに向けて、LINEしました
さらに今日は岡山県内限定展開のスーパーマーケットであるCO・OPにて、プリキュアのシャンメリーを買おうとしたけど、スパイ・ファミリーのシャンメリーしかキャラクターのシャンメリーしかなかったので、おかやま山陽高校がある地域のイオン系スーパーマーケットのビッグでひろがるスカイプリキュアのシャンメリーを買いました!!☆☆♬
前者では税抜か税込みで230円を超えたけど、ビッグでは税込でも値引きが効いて201円で買うことが出来ました!!☆☆♬
だからWAON払いすると、200円ポッキリの次に丁度良い値段ですね!!☆☆♬
というワケで、いとこのお姉さんの娘達にはいとこのお姉さんのスマホに向けて、久しぶりに両名に対してLINEしました!!
もちろん今年のプリキュアのシャンメリーを買ったのは、私自身が飲みたくて買ったワケです
これは私の現職の管轄の先輩上司には旧年中もこう言いましたし、2年以上前の年末に広島県センターに転勤になった私の現職の会社の元先輩社員にもこのように話し込みます
去年から今年の3月に私の現職の会社を満期で定年退職した元後輩同僚にも話し込んだこともありますね
その人は中学校の時、サッカーが好きでサッカー部に入りましたが…
>前週のアイドルマスターは昨日、TVerでチェックして
私のパパってば。私が着ようとしている衣装のスカートを伸ばそうとしたんですよの直後にひどいと思いませんか?と後付けするワケですが、私は字幕が表示された時点で、シックリ着た服の名前が出たーという感じでしたね!!☆☆♬
その直後に話を聞いた他の女子アイドルがスカートを伸ばすというセリフはより印象的でした!!☆☆♬
>で、やっぱりプリキュアとは完全に無関係なことで言いたい雑談はあり
昨日は岡山市内に行って、岡山市北区のJR津山線の法界院駅から1番近くの天ぷら屋・松木では、1個80円の唐揚げを買い食いしました
やっぱりこの店独特のスパイスはシックリ着ますね!!☆☆♬
また岡山市内に水木と日曜以外の曜日に独りで行った際は、また買い食いしたくなる気分にもなったものです!!☆☆♬
まったくもって普通以下の味わいには落ちぶれず何よりでした!!☆☆♬
それからおかやま山陽高校がある地域のレディ薬局では、シュークリーム風の生地をまとったようなヤマザキのロールケーキは私はヤマザキのパン・スイーツの中では、1番好きだし、いくらでも食べたくなる味わいでもあるので、半額だし、衝動買いしました
私は今まで食べたことないスイーツなどで、値引き中だと衝動買いしてしまうタイプなんですよね!!
それでも今日は家族4人(私のお父様は基本的にスイーツを食べない)で、食べるため、お母様と兄貴と弟と私で1切れずつ食べます
シャンメリーってあれキャラクターごとに味が違うらしいですね。知らなかった・・・。
というかよく考えてみたら私キャラクターもののシャンメリー飲んだことがないかもしれません。ウチでよく買ってたやつ、あれどこのメーカーのシャンメリーだったんだろう? そして何味だったんだろう?
前回ツバサとあげはを置いて行ったことに「何だよ、マジェスティクルニクルンのケチ!」と思いましたけど、さてここからって時に引き戻すのもなかなか意地悪ですね……。
というかヨヨさんが語ったおとぎ話を始めとする、スカイランドそのものからアンダーグ帝国の記録が完全に抜け落ちてるっぽいのが何とも不気味というか。
そんなわけでラスト1ヶ月になってもまだまだお話は広がっていくようですが、とりあえずは来週のクリスマスに集中したいですね。
大人が子供たちに幸せな思い出を振り撒ける、まさにヒーローそのもののイベントだと思うんです。
プリキュアは子どもの時間感覚で描かれているので、たかだか300年で忘れ去られてしまった歴史なんてものが果たして伏線かどうかというと、微妙に予想しにくいところもあるんですよねー。
マジェスティクルニクルン、メタ抜きにいうなら結局あれを見せて何を伝えたかったの・・・?と思うところも正直あったんですが、まさか「この先は私が直接語ろう」スタイルだったとは。(第46話まで視聴済み)
・・・いや、それならそれで間を置かず早く来なさいよ!
プリキュアもちょくちょくサンタさんのお手伝いをしていますし、クリスマスとヒーローの相性ってすごくいいですよね。