わんだふるぷりきゅあ! 第4話感想 これはまだ、最初の一歩ですらないけれど。

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いろはちゃん、もしかして友達になれるかな? ・・・私にはユキがいるし。

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「猫屋敷の猫とまゆ」

大きな出来事

メインキャラクター:まゆ

目標

 友達をつくろうという意欲を持つ。

課題

 まゆは人一倍の引っ込み思案。友達が欲しいという気持ちはあるが、自分から声をかけることはできないし、新しいことに挑戦しようという勇気も持てない。引っ越し前の学校でもいつもひとりぼっちだった。
 ただ、まゆには飼い猫のユキがいる。ユキがいれば友達ができなくても寂しくない。

解決

 まゆには引っ越し初日から気になっている子がいた。いろは。まゆと違って底抜けに明るく社交的、それでいて動物好きというところに親近感もあった。
 実際会って話してみるとまゆのセンスをたくさん褒めてくれて、引っ越してきたばかりの不安を察してプレゼントまでしてくれて、ますますいい子だと思った。

 友達になれたらいいな。そう思った。

バトル

苦戦

 タヌキの子どものガルガルが相手。臆病でなかなか距離が縮まらない。鳥の羽ばたき音を聞いただけで逃げてしまうほど。
 突然道路に飛び出して危うく交通事故を起こすところだった。

勝利

 走ってくるトラックに驚いて身をすくませているガルガルをいろはが道路脇に引っぱり出し、ハンドル操作を誤ったトラックはこむぎが肉球バリアで守ってあげた。
 これがきっかけでガルガルはいろはたちに心を許し、正気を取り戻した。

ピックアップ

チラシ

 せめて何のお店なのか書いてくれ。
 いやまあ、なんかかわいい雰囲気というだけでも覗きに行く人は行くんだけども。(私とか)

交通事故

 田舎の山道ではよくタヌキの轢死体を見かける。他の動物と違い、タヌキには身の危険を感じるととっさに死んだふりをする習性があるから特に轢かれやすいわけだ。肉食動物相手なら死んだふりが有効な場面もあるのだろうが、自動車相手では・・・。
 ちなみに北海道ではイノシシの、沖縄ではウサギの事故事例がたびたび報告されるが、前者は恐怖を感じると逆に突進していく習性によるもの、後者は開けた場所を選んでフンをする習性によるものと、同じ交通事故でもそれぞれ事情が異なる。

 “とにかく臆病”というまるでバトル向きじゃない特性を持ったガルガル。これまでのシリーズではなかなか登場させにくかった怪物を出せるのも本作のバトルの面白いところかもしれませんね。

 タヌキというのはほどほどに木に登れて、ほどほどに泳ぐこともできて、ほどほどにすばしっこく走れて、ほどほどにフェンスなどを噛みちぎることもできるのですが、どの特技もそれを得意とする他の動物には敵いません。器用貧乏。体格の割に弱い動物です。
 昔話などでは“化ける”というイメージを持たれがちですが、それも器用貧乏ゆえに生活痕が他の動物と見分けにくいところから来ているのでしょう。
 そんなタヌキの生態を、ファンタジー設定を交えず怪物化して描くというのは他のアニメではなかなか見られる機会が少ないんじゃないでしょうか。私こういうの好き。

 さて、初変身イベントの前に一度ユキとまゆの掘り下げです。
 ユキは想像していたよりも面倒見がよさそうな感じですね。もっと猫っぽく唯我独尊しているのかと思いきや、まゆをだいぶ甘やかしていますし、こむぎに対しても本気で嫌がっている様子はありません。『キラキラプリキュアアラモード』の琴爪ゆかりみたいな気難しさはなさそうです。
 まゆは・・・、『デリシャスパーティプリキュア』の芙羽ここねほどは拗らせていないっぽいでしょうか。人見知りは激しいみたいですが、自分から壁をつくるところまではいっていないというか。初めて話すいろは相手に無難な受け答えくらいはできているあたり、単純に受け身なだけなんでしょうね。たぶん、いろはに興味を持っているのもその性格ゆえなんだと思います。

 向こうから話しかけてくれる積極的な子。引っ込み思案な子にとってこれほど都合のいい友達はいません。おまけに特技まで見抜いてくれて、自分のことをうまいこと立ててくれるんですから。こちらからは特に何も働きかけなくても全自動で好ましい関係を築いてくれるんですから。
 これからまゆはいろはと友達になるのでしょう。だけどそれは、友達をつくりたいと思っている彼女にとってスタートラインでしかありません。いろはと友達になるだけなら何の努力も必要ありません。何の成長もありません。
 まゆの物語が動きはじめるには、きっともっと、自分から踏み込まなければ友達になれないような相手が必要です。たとえば・・・、こむぎなんかどうでしょうか。人懐こいけれどいろは以外にはそこまで強い興味を持っていない子。まゆと積極的に友達になる必要性を感じにくい子。いろはに新しい友達ができることに、むしろモヤモヤしてしまいそうな子。あの子と仲よくなるためには、まゆも少しだけがんばらなければいけないだろうと想像します。

お気に入りの陽だまりのなかで

 「ユキぃ・・・。はあ。ふわふわ、いい匂い。ユキの匂いって落ち着くー」

 少し困ったような顔はするものの基本的にされるがままのユキ。少なくともイヤそうな様子ではありません。
 彼女と一緒にいると、まゆはいつも不安から解放されることができました。

 「この街、動物がたくさんいるからアニマルタウンって呼ばれてるんだって。ユキ。いっぱい友達できるといいね。――私? もちろん私もがんばって友達いっぱいつくるよ! あ。何その顔」

 「べ、別に逃げてないからね! ・・・急にこっち見るから、・・・びっくりしただけで」(第1話)

 まゆは友達がいない子でした。
 引っ越す前の学校でもそうでした。
 周りのクラスメイトたちがみんな楽しそうに笑っているなか、まゆはいつもひとりで無表情でした。

 だけど、友達が欲しいという気持ちはありました。
 その点で『デリシャスパーティプリキュア』の芙羽ここねとは違っていました。

 「私、ひとりが楽だった。静かなひとりの時間が好き。人と関わるのは面倒だし、すごく疲れるから。でも、あの子と一緒だと心の中で温かいものが、今まで知らなかった思いがどんどん膨らんでいく」(『デリシャスパーティプリキュア』第4話)

 ここねはひとりで過ごす時間に満足していました。
 フタを開けてみれば彼女も本当は友達を欲しがっていたし、友達をたくさんつくることを目標に物語が展開していったわけですが、彼女の場合、当初自分では友達が欲しいと感じていませんでした。

 彼女の場合、友達ができないかぎりひとりで過ごすしかなかったからです。
 両親ともに多忙で、学校だけでなく家でも毎日ひとりぼっち。
 ひとりの時間を楽しめるようになることは、ここねにとって必須の処世術でした。

 まゆの場合はそこが違います。
 まゆにはお母さんがいましたし、何より、大好きなユキがいつも傍にいてくれました。

 学校でひとりぼっちなのはこの際仕方ありません。
 だけど、家に帰ればユキがいる。毎日ユキと一緒に楽しい時間を過ごすことができる。
 それを思えば、学校でさびしい思いをすることくらい、我慢できたのでした。

 ある意味でここねほど拗らせてはおらず、だけど、ある意味でここねより厄介な問題。
 友達がいないことをさびしいと思う感性はあります。だけど、必ずしも今すぐ友達をつくらなきゃいけないとは思っていません。
 「今だけちょっと我慢していればいいだけだ」という発想が常態化してしまっているんですね。

 私は“逃げ場がある”ということが悪いことだとは思いませんけどね。成長の機会を先送りにしているといわれてしまったら、それはそう。

 「知り合いがひとりもいない街でいきなりお店開くって、ママってチャレンジャーすぎ! 私もママのセンス大好きだけど、この街の人たちが気に入るかわからないし・・・、お客さんひとりも来なかったらどうしよう!」

 お母さんが意外にのほほんと構えているの、たぶん今さら不安がっても仕方ないからだと思いますよ。

 友達づくりを先延ばしにしてもとりあえずユキがいてくれるまゆと違って、お母さんはもうとにかくPretty Holicのオープンを楽しむよりほかありません。
 お店が失敗したらそれはそのとき。それとこれとは別の問題です。

全自動お友達

 「これ! すっごくかわいいから気になってて、今日楽しみにしてたの!」

 「私、犬飼いろは。この子はこむぎ。あなたは? ――まゆちゃん。よろしくね!」

 「ここ白い猫ちゃんいるよね? お散歩途中に見かけて。――ユキちゃんっていうんだ! 名前、まゆちゃんがつけたの?」

 「うーん・・・。全然わからないからまゆちゃんにお任せする!」

 「ねえ。まゆちゃんって何年生? ――同い年だ! もしかして湾岸第二中学? ――ウソ、嬉しい! 新学期が楽しみだよ。同じクラスになれるといいね」

 「うわあ、私じゃないみたい! まゆちゃんすごい! メイクもすごいけど集中力もすごいね! ずっと一言も喋らずにやってたよ。一生懸命やってくれてありがと!」

 自己紹介のきっかけづくりも、話題出しも、場の盛り上げも、全部いろはがやってくれました。

 なんとなく、そういう子なんだろうなというのは予想できていました。お散歩中に偶然見かけたユキにまで自己紹介してくれる子だったから。
 なんとなく、きっかけさえ得られれば自分のことを気に入ってくれる子だと予想できていました。なにせ同じ動物好きだから。

 友達をつくることに苦手意識があるまゆにとって、いろはは理想的な友達でした。
 全部向こうでやってくれるうえ気も合いそうな同年代。引っ越ししてきたその日からずっと友達になりたいと思っていて、だけど、やっぱりまゆのほうからは声をかけられずにいて。向こうから声をかけてもらえる瞬間を待ちつづけていました。
 お喋りしてくれてうれしい!

 ちなみに、こむぎもユキに対して似たような人懐こさを発揮していましたが、まゆほどには歓迎されませんでした。むしろ半分迷惑そうな。(一方であれだけベッタベタに距離を詰めても逃げられなかったわけですが)
 ユキも自分から色々コミュニケーションを取りにいく子ですからね。まゆと違ってきっかけづくりに飢えていません。普通に新しく友達になるだけならいいんでしょうけれども。

 「まゆちゃん、またね。また来るし、学校でも会えるね!」
 「・・・学校。うん。――またね」

 さておき、こんないろはなら学校でもまゆに話しかけてくれるかもしれません。
 それはもちろんとても嬉しいこと。まゆにとっては念願叶ったと言ってしまってもいいくらいの出来事のはずです。

 ところが。まゆは何の心配もなく安心して笑顔になることができません。
 いったいどうしてでしょう?

 その答えを、私たちはまゆとは関係ないところですでに一度見ています。

 「いろはー!」「一緒に遊ぼー!」
 「うん! ・・・こむぎはお留守番ね」(第1話)

 まゆではなく、こむぎの視点から。

 まゆのように引っ込み思案な子にとって、1対1の会話機会と多対多のシチュエーションは全然違います。
 目の前に自分ひとりしかいないならこちらに話しかけてくれる子も、他の誰かがいる場では同じように話しかけてくれるとは限りません。(全然関係ないですが、ちなみに私くらいになると一周まわって多対多の場のほうが逃げ場があるので気楽です)
 実際、こむぎがお店のなかに戻ってきたとたん、いろはのお喋りの相手はまゆからこむぎに切り替わっていましたしね。

 言ってしまえばいろはは格上なんです。
 こむぎにとって最近のいろはが自分の知らない世界へ羽ばたきつつある存在だったのと同じように。
 まゆにとって、いろはは圧倒的なコミュニケーション強者。お喋りが成立するかどうか、友達になれるかどうかは全ていろは次第。
 全自動で友達になれそうな相手ということは、自分の側には何ひとつ決定権が無いのと同じです。

 まゆにはまず、自信がありません。1対1の関係でなら自分を選んでもらえる可能性があったとしても、多対多の場でも自分を選んでもらえるかといえば、そんなことは、きっと、無い。
 学校でもいろはに友達として付きあってもらえる自信が、まゆにはまだありません。

 そして、それでもまあいいかな、と、まゆは思ってしまうのです。
 学校でひとりぼっちだったとしても、家に帰ればひとりじゃないから。
 学校にいる間だけ我慢すれば、まゆは毎日楽しく暮らせるから。

スタートライン手前で思う

 「ああ疲れた。けど、ちょっと楽しかったかも。いろはちゃん、もしかして友達になれるかな? ・・・私にはユキがいるし」

 友達になれたらうれしい。

 だけど、自分から友達になるための努力をしようとは思わない。

 もし友達になれなくても、それはそれで困らない。

 だって、私にはユキがいる。

 だから、友達になってくれるかどうかの決定権は、いろはに委ねて問題ない。

 まゆの引っ込み思案な性格は今話において少しも改善することがありません。
 せっかく友達と過ごす時間が楽しいって確かめられたのに、結局挑戦する前から受け身になってしまっています。
 彼女の物語はまだ始まってもいません。

 これはほんのプロローグ。まゆという女の子がこれから何に立ち向かわなければならないのか、今何が問題になっているのか、その大前提を確認しただけに過ぎません。

 プリキュアとは夢の前借りです。
 その意味において、まゆは、自分の夢に手を伸ばそうとすらしてすらいません。
 彼女はまだプリキュアではありません。

 ただ、スタートラインは引かれました。

 「サプライズプレゼント! これあげる。うちのお父さんがサロンでオススメしてるお散歩バッグ。私とおそろいだよ。よかったらこれを持ってユキちゃんとお散歩してね」
 「・・・どうして、私に?」
 「まゆちゃん、ユキちゃん。アニマルタウンへようこそ! これからよろしくね! ってことで」

 まゆとユキのふたりだけで気持ちよくうたた寝していた陽だまり。
 その外には、もっとまぶしくて、もっと暖かな場所が待っていたのでした。

 今日、まゆはそのことを知ってしまいました。
 これからどうするかは彼女次第。

 いろはじゃなくて、まゆ次第です。

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    コメント

    1. 亀ちゃん より:

      今日は3,4人目のプリキュアの本名が発覚した話でした
      猫屋敷は猫ばかりいる建物の中で、我が家ではそう言います
      で、お客さん一人も来なかったらどうしようというセリフはシックリ着ました!!☆☆♬
      プリキュアも登場する高校野球観戦記の中で、モジったセリフがあったと思うと、プリキュア的に感慨深いですね!!☆☆♬
      それからトラックドライバーがハンドルを切ってしまうことがあり、この場合ブレーキを踏んだ方が良いのが日本です!!☆☆♫
      日本は人でも車でも横から出て来そうと思うと、当然ブレーキを踏んだ方が良い国ですよ!!☆☆♬

      >でもってプリキュアとは完全に無関係なことで言いたい雑談は
      ウェルシアが岡山市南区の浦安地区に復活して欲しいですね!!☆☆♬
      ウェルシア岡山浦安店はポイントの借りがあるのでコツコツと返していきたいです!!☆☆♬

      • 与方藤士朗 より:

        亀ちゃん様

        実は先日、猫屋敷という苗字が本当にあるかどうか、検索してみました。
        何と、北海道と岩手県に、合計20名ほどいらっしゃるそうです。
        発症は、岩手県とのことで、猫を飼っていたかどうかはともあれ、地名から来ているようです。

        もう一つ、兎山と書いて「とやま」と読む名字も、大阪市内に10名ほどいらっしゃるようです。

        犬飼さんは全国で1万人以上。愛知と岡山を中心に多数いらっしゃいます。
        漢字を変えて「犬養」となれば、もう、あの総理で有名です。

      • 疲ぃ より:

         動物が目の前に飛び込んできた時点でブレーキを踏もうがハンドルを切ろうが轢いてしまうことは避けられないので、ああいう緊急の場面では車体のコントロールを失わないように直進するのが正解です。絶対に無謀な操作はしないでください。
         劇中にあったような山道はカーブがきつくて見通しが悪いのでなおさらです。1人で死ぬならまだマシなほう。もしあそこに対向車・後続車が来ていたら悲惨なことになっていました。アニメの話題ではありますが、命に関わるところでは現実を見ましょう。
         運転中に野生動物が飛び出してきたら覚悟を決めて轢いてください。田舎で運転免許を取ると一番最初に教わることです。

    2. ピンク より:

      まゆのママがペット同伴を断る際の言い方、なるほど前回のメエメエとは確実に置かれた立場の違いが感じられます。

      女子が新しい交友関係を作ろうとしている裏で、しれっとスマホの番号交換までしてる男子陣がツボでした。
      メエメエのスマホ、なんかやたら可愛くデザインされてますし。どっかで玩具化されるんでしょうかアレ。

      1話時点で「いろはは同学年の子全員に『同じクラスになれたらいいね』と言ってそうだな」とか思いましたが、本当にそんなキャラっぽいですね。
      ともあれまゆの転校というイベントが約束されたので、ますます新学期初日回が楽しみです。

      • 疲ぃ より:

         「店の迷惑だから」みたいな持っていきかたをしないのが強いですよね。店主として許容できる範囲を踏まえたうえで、それでも残る問題点を指摘してくれるのはすごく優しい。

         何気に2眼カメラまで描き込まれてるんですよね、メエメエのスマホ。プレミアムバンダイあたりならスマホカバーを出す展開もあったりなかったり?
         それにしても前話あたりからなんとなく察していましたが、メエメエつくづくおしゃべり好きなんですね。あれもうプリキュアとして知っておいてほしい情報を伝えたいとかそういうわけじゃなく、話し相手に飢えているだけじゃなかろうか。失踪前はニコ様が話し相手だったんですかね?

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