わんだふるぷりきゅあ! 第7話感想 こむぎもそうだった。

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言葉はね、自分の気持ちを伝えるだけじゃない、相手の気持ちを聞くこともできるんだよ。

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「ふたりのフレンドリベラーレ!」

大きな出来事

メインキャラクター:こむぎ

目標

 いろはと自分の気持ちを確める。

課題

 こむぎはいろはに黙って家出してきてしまった。ただ、こむぎはいろはのことを嫌いになったわけではない。むしろその反対。いろはに迷惑をかけて、嫌われてしまったと思ったから距離を取った。
 これから何をするべきかわからず途方に暮れている。

解決

 悟に相談すると、彼はこむぎが置かれている状況をひとつひとつ整理してくれた。
 こむぎはいろはとお話しできるようになって嬉しかったし、いろはも喜んでくれていた。
 こむぎはいろはに喜んでほしくてプリキュアをやっているが、前回は危険なことをして逆に怒られてしまった。
 こむぎはいろはに嫌われたと思っているが、別にいろはの口からそう言われたわけではない。

 悟が整理してくれたことを受けて、こむぎはこれまでのことを振りかえる。
 こむぎの知っているいろはは動物みんなに優しくて、助けるためにいつも一生懸命。
 いろはに助けられた動物たちはみんな喜ぶし、それを見ていろはも嬉しそうにする。
 こむぎも、いろはにとってはそういうふうに助けてあげたいひとり。
 いろははこむぎのことが嫌いになったんじゃなくて、むしろ大切に思ってくれているからこそ怒ってくれたんだ。いろははこむぎを嫌ってなんかいない。

 そしてもうひとつ。こむぎも、いろはが喜んでくれるのを見ると嬉しくなる。
 それってつまり、こむぎもいろはもふたり同じ気持ちでいるってことだ。

 こむぎは改めて、いろはと一緒に動物たちを助けてあげたいと思うようになった。

バトル

苦戦

 前回と同じライオンのガルガルが相手。こむぎは吠えられるとやっぱり足が震えるし、いろはにも来ちゃダメだと言われてしまう。

勝利

 いろははこむぎのことを心配してくれているだけで、嫌ってなんかいない。それがわかっただけで勇気を出せた。
 また、いろはに喜んでもらうため改めて動物たちを助けたいと思うようになったこむぎの心に呼応し、フレンドリータクトはこむぎにも力を貸してくれるようになった。

ピックアップ

戸締まり

 ペットドアから抜け出したのかと思っていたが、どうやら戸締まりはきちんとしていたらしい。
 ・・・それならそれでこむぎは外に出てからどうやって鍵をかけ直したんだ!?

黒幕

 マズルが細く、頬毛がふっくらしていることからおそらくはオオカミ。
 人間に恨みを抱いているということは絶滅したニホンオオカミだろうか。(ただしニホンオオカミは海外のオオカミと違ってマズルが短かったともいわれている)

 畑を荒らすシカやイノシシを狩ってくれることから、ニホンオオカミは人間にとって益獣で、古代神道においては大物主大神(オオモノヌシノオオカミ)と呼ばれる信仰対象でさえあった。国津神の主宰である大国主神(オオクニヌシノカミ)とも関わりが深い。一部の神社では今でも狛犬としてオオカミを祀っている。
 人間との関係が変化したのは江戸時代中期以降。海外から狂犬病ウイルスが侵入したため、野良のイヌ科の動物は人間にとって脅威となり、一転して駆除が奨励されるようになった。明治時代には生息域である山林の開発も進んでさらに数を減らし、明治38年の捕獲報告を最後に絶滅したとされている。

 「僕は世界中の動物のことを知りたいな。この世界にはまだ発見されてない動物がたくさんいると思うんだ。それに、絶滅したといわれている動物もどこかで生き延びている可能性はゼロじゃない! ただ人の前に現れていないだけでね。有名なのはニホンオオカミだね。オオカミって怖いイメージがあるけど、XXX(※ 聞き取れなかった)で大切な存在として神社に祀られてる地域もあるんだよ」(第2話)

 第2話で悟がニホンオオカミの話題を出していたのはそういうことだったのか。

 ちなみに、第1話感想記事でも書いたとおり、プリキュアの力を授けてくれた鏡石も大物主大神と同じく古代神道由来。

プリキュア・フレンドリベラーレ

 「liberale」は“リベラル”のイタリア語綴り。

 なにかと政治の舞台でよく見かけるリベラルという言葉だが、語源を紐解くとそのルーツは古代ローマにあった“自由市民”の概念に行き当たる。
 奴隷ではないから誰にも自由を侵害されず、むしろ自由を奪われた奴隷たちを使役し管理する立場の人々。そんな彼ら自由市民に求められる気風を表す言葉がラテン語の「liber」だった。
 なお、この時代の“奴隷”は結婚や転職の自由が認められていないこと以外はおおむね現代における一般サラリーマンと似たような立場。奴隷という言葉を聞いて現代の私たちが想像するほど悲惨な境遇ではなかった。対する“自由市民”はそんな奴隷たちを使って事業を行うわけで、一般人というより経営者とかセレブとかのイメージに近い。
 自由市民は奴隷を使役できる特権階級なのだから、奴隷のすることに対していちいちおおげさに咎めたりせず、多少のことは笑って許してやれる度量こそが美徳なのだと語られていたわけだ。

 このことから、リベラルという言葉は単に自分の立場として“自由主義の”“何者にも束縛されない”というだけでなく、他人に対する姿勢として“おおらかな”“寛大な”というニュアンスまで内包する。
 要するに、プリキュア的にはガルガルが大暴れしてみんなに迷惑をかけちゃっても優しく許してあげますよ、不自由から解放してあげますよ、みたいなニュアンスになるだろうか。

犬の十戒

My life is likely to last ten to fifteen years. Any separation from you will be painful for me. Remember that before you get along with me.
 ぼくの寿命はだいたい10~15年。いつか君とさよならすることを思うと今から辛いよ。一緒に暮らす前に、君もそれはわかっていてほしいな。

Give me time to understand what you want of me.
 ぼくね、君が伝えたいことを理解するのにちょっと時間がかかるんだ。

Place your trust in me- it’s crucial to my Well-being.
 ぼくを信じて。君に信じてもらえると、ぼく、とっても嬉しいんだ。

Don’t be angry at me for long and don’t lock me up as punishment. You have your work, your entertainment and your friends. I have only you.
 たくさん怒ったり、罰で閉じこめたりしないで。君にはぼく以外にも居場所とか、楽しみなこととか、友達関係とかあるでしょ。でもね、ぼくには君しかいないんだ。

Talk to me. Even if I don’t understand your words, I understand your voice when it’s speaking to me.
 いっぱいお喋りしよ。ぼく、君の言ってる言葉はわからないけど、君が伝えようとしてくれてる思いはわかるから。

Be aware that however you treat me, I’ll never forget it.
 ぼく、君がどういうふうに接してくれたか一生忘れないよ。

Remember before you hit me that l have teeth that could easily crush the bones of your hand but that I choose not to bite you.
 ぶたないで。ぼくも君を本気で噛んで大ケガさせてやろうだなんて思ったことないんだよ。

Before you scold me for being uncooperative, obstinate, or lazy, ask yourself if something might be bothering me. Perhaps I’m not getting the right food or I’ve been out in the sun too long or my heart is getting old and weak.
 もしぼくが君の思いどおりにしなかったら、君のことが嫌いなんだとか、イヤなやつなんだとか、怠けてるんだとか決めつける前に、どうして言うことを聞こうとしないのか一度考えてみて。ごはんとか、おうちとかで辛い思いをしてるのかもしれない。もう体が思うように動かないのかもしれない。

Take care of me when I get old ; you, too, will grow old.
 ぼくがお爺ちゃんになっても一緒にいてね。君も歳を取ったとき独りだったら悲しいでしょ?

Go with me on difficult journeys. Never say, “I can’t bear to watch it .” or ” Let it happen in my absence.” Everything is easier for me if you are there. Remember I love you.
 ずっと一緒にいようね。ヨボヨボになっても「もう見てられない!」とか言わないでね。ぼくね、君のいる暖かいところで眠れたらきっと幸せだと思うんだ。大好きだよ。ずっとずっと、いつまでもだよ。

 『犬の十戒』という、犬を飼うときの心構えを犬視点から語った英語詩です。調べてみたら日本で流行ったのもう20年も前だったんですね。えー。
 ちなみに日本語訳は私がざざっとテキトーに意訳したもの(これ正式な訳詩が無いので)なので、もう少しまともな翻訳が読みたかったら検索してみてください。私の英語の成績は2です。

 ここに書かれている要旨はつまるところ3つ。

 「犬の寿命は短くて大抵飼い主より先に死ぬ」
 「犬は飼い主と仲よくできなければ幸せに生きられない」
 そして、「犬と飼い主は言葉でのコミュニケーションができない」

 いろははそのつもりでこむぎを飼っています。
 こむぎが言うことを聞かないときがあるのも、反対にこむぎが何をしてほしいのかわからないときがあるのも、最初から全部織り込み済み。ままならないこと全部、いろはががんばってこむぎの幸せを守ってあげるつもりでいます。それが犬を飼うと決めた自分の責任だから。

 だから、いろははこむぎと気持ちがすれ違ってしまってもそこまで深刻に受け止めません。そもそもそういうものだから。全部一緒は無理なんだから。
 こむぎのほうはこの世の終わりみたいに重く考えます。だって、それを通じあわせたくて言葉を話せるようになったんだから。全部一緒になりたかったんだから。

 このすれ違い、どうしたら解決するでしょうか?
 そう。言葉を使うんです。犬と飼い主がわかりあうのを難しくしている原因が言葉の壁なら、今のこむぎといろはなら乗り越えられるはずです。せっかく言葉を話せるようになったわけですから。

 「・・・その傷、ユキちゃんに引っかかれたの? うわあ、いっぱい!」
 「ああ――、うん。足も傷だらけだよ。引っかかれることもよくあるし、言うこと聞いてくれないこともたくさんあるよ。思うとおりになんて全然ならないけど、でも、大好きだから。痛いことされても、ワガママされても、かわいいんだよね」
 「――だね。・・・うん! ほんとそうだね!」

 ただ、こむぎといろはだけが持つ特別なアドバンテージ、残念ながらいろははまだ気付けていません。
 いろはにとってこむぎと会話できるようになったことの価値は、ただ前よりももっと楽しい時間を送れるようになったというだけ。
 犬と飼い主の間で起きたトラブルは全部飼い主が責任を負うというのが当たり前すぎて、こむぎと話しあって解決しようという発想がまだ生まれてきていないんです。

 だから、今回はひとまず、こむぎのほうに話しあうことの大切さに気付いてもらうことになります。(フタを開けてみたらだいぶ変化球気味でしたが)

雨は上がったのに、まだこぼれつづけて

 「そろそろ帰るよ。・・・うん? もっとお散歩したいのか? しょうがないなあ。じゃあもう少しだけだぞ」

 どこかよその犬が飼い主にワガママを言っています。

 きっとこむぎにとっては見慣れた光景。
 犬が飼い主にワガママを言って困らせるだなんて日常茶飯事。当たり前のこと。
 だけど、はっとします。

 「・・・そっか。いろはとケンカしておうちを出たんだワン。――でも大丈夫! こむぎはひとりでも人間になれるし、行きたいところへ行って思いっきりお散歩しちゃうワン!」

 ついさっきまで、どうにかして家出したことでの良かった探しをしようとしていたところでした。
 どこにでも自由に、飽きるまでお散歩しにいける。それはきっと最高に楽しいことのはず!

 ・・・そう、思ってたのに。

 振りかえってみれば、いろははいつもこむぎのワガママを聞いてくれていました。
 お散歩に行きたいってお願いしたらいつも連れていってくれました。
 いろはがいると好きなだけお散歩することはできない・・・なんてことはありませんでした。
 いつもいろはは優しくて、たくさんお世話してくれて、大好きで――。

 そんないろはと一緒にいられなくなったことでの良いことって、何?

 ううん。
 悲しい気持ち以外、こむぎの胸のうちには他に何ひとつありませんでした。

 「こむぎちゃんはどうしてプリキュアになったの?」

 それは、いろはが危なかったから。もしくは自分が一緒にいたかったから。

 いろはとお話ししてみたいとずっと夢見ていました。
 だけどそれは必ずしもバラ色の夢というばかりじゃなくて、もしかしたらいつかいろはに愛想を尽かされてしまうかもしれない。自分を置いていろはがどこか遠くに行ってしまうかもしれない。・・・そういう焦燥感から来る思いでもありました。

 いろはとずっと一緒にいたい。
 だから、いろはがガルガルに襲われて危険な目に遭っていたら、何としてでも助けてあげたい。最初はその一心でプリキュアになったものでした。

 2回目の変身はいろはに危険が及ばないところでのことでした。
 ガルガルになった動物を助けてあげられれば絶対いろはは喜んでくれる。そう思ってのことでした。

 いろはの役に立てる。
 いろはに必要だと思ってもらえる。
 いろはのかけがえのない存在になれる。

 そのために今日までプリキュアを続けてきました。

 「こむぎ! 下がっててって言ったでしょ! どうして出てきたの!?」(第6話)

 ・・・だから、プリキュアとして一生懸命がんばったことでいろはに怒られてしまうのは、こむぎにとって完全に予想外の出来事だったのでした。

 「どうして嫌われたって思うの?」

 だって、いろはが怒ったから。
 フレンドリータクトを使うことができなくて、ライオンが恐くてバトルの役にも立てなくて、困らせて、怒らせて。

 だって、自覚がありました。
 いろはを困らせていたのはいつものこと。たくさんワガママ言って、たくさんお世話させて、なのにこむぎからは何ひとつお返しできていなくて。

 プリキュアになっていろはのお手伝いができて、それでやっと釣りあいが取れると思ったのに。
 そのプリキュアですらいろはに迷惑をかけてばかりだったら、もういろはが自分のことを嫌いになってもおかしくない。

 そう、思ったから。

 「犬飼さんがそう言ったの?」

 ・・・言ってないけど。

 「ちゃんと聞いてないんだね。なら、犬飼さんがこむぎちゃんのことをどう思ってるのか、本人に聞いてみなよ」
 「・・・聞く?」
 「言葉はね、自分の気持ちを伝えるだけじゃない、相手の気持ちを聞くこともできるんだよ。話しあい、してみなよ」

 こむぎがいろはとこれまで一度だってしたことがなかったことを、悟はまるで簡単なことであるかのようにアドバイスしてきました。

 「やっぱりいいね、話せるって。僕は大福のことが好きで大切に思ってるけど、大福はどう思ってるのか――。犬飼さんとこむぎちゃんはそういうことも話せるんだよね」

 言葉があればそういうことができるんだって、こむぎはこれまで考えたこともありませんでした。
 言葉が話せるって、とにかく嬉しいことで、楽しいことで、いろはがお母さんや友達とニコニコ笑顔でしているのを見ていつも羨ましく思っていて、だからこむぎもいろはとやってみたいって思っていただけで、だから、こむぎにとってはただそれだけのものでした。

 青天の霹靂でした。

 いろはの本当の気持ち、まだわかっていないかもしれない。
 そんなの考えたこともありませんでした。言葉なんてなくたって、そのくらい伝わってくれているものだと思っていました。
 だって、いろははこむぎのワガママなんでも聞いてくれていたから。こむぎが嬉しいこと全部してくれていたから。こむぎのこと全部わかってくれていたから。そう思ってたから。

 ううん。だけど・・・。

 いろはとこむぎと同じくらい大福と仲よしでいる悟が、まさか大福の気持ちを聞いてみたいと思っていただなんて。
 こんなに通じあえていても、まだ知りたいと思うこと、たくさんあるんだ――。

知ってた思いの、もっと深いところの、いつもの思い

 「悟。『マブダチ』って何?」
 「え? ええと、親友のことだと思うけど・・・?」
 「大福、悟のことマブダチだって言ってるよ。仲よしだね! むふー!」

 悟もしみじみ不思議なことを知りたがっているものです。
 あの仲よしの大福が悟のことを悪く思っているわけがないのに。
 こんなのわざわざお話ししなくたって普通伝わるものだと思うけど。

 こむぎならそう思います。こむぎもいろはのことが大好きだから。当たり前のようにいつも大好きだから。
 そして、きっといろはもこむぎのことを大好きでいてくれているはずだって信じてるから。

 ・・・不思議。それだったら、どうして?

 どうしていろはに嫌われたって思っちゃったんだろう?

 「いろはは優しいから困ってる子たちを放っておけない。それがどんな相手でも助けようとする。助けられた子たちはみんな嬉しそうで。いろはも嬉しそうで――」

 そう。こむぎはいろはがそういう子だってわかっていたから、自分もプリキュアになって動物たちを助けてあげようと思いました。ただ、いろはのために。いろはに喜んでもらうためだけに。いろはに見捨てられないようにするために。

 いろはは優しい子です。保護犬だったこむぎのことも同じように助けてくれました。
 すごく嬉しかった。
 だからいろはのこと、大好き。
 いろはに恩返ししたい。もっともっと嬉しそうにしていてほしい。これからもずっといろはと一緒にいたい。そのために自分にできること全部、いろはのためにしてあげたい。

 いろはに喜んでもらうためにはどうしたらいい?
 プリキュア活動?
 ・・・ううん。それもきっと喜んでもらえるけど、だけど、それよりももっと他に、そういえば。

 「あ。そっか――。こむぎもそうだった――」

 いろはは優しくて、どんな動物でも助けようとして、助けられた子が嬉しそうにしているといろはも嬉しい。
 “こむぎもそうだった”。
 こむぎも拾われたときはすごく難しい子で、だけどいろはに拾ってもらえてすっごく嬉しくて、嬉しいなあって思っていたら、なんだかいろはまで嬉しそうにしてくれて――。

 そして、いろはが嬉しそうにしてくれることがまた、こむぎにとってもやっぱり嬉しくて。

 「怖い・・・。でも、いろはを助けたいから!」

 “こむぎもそうだった”。

 いろはにしてもらえたことがすごく嬉しくて、だから、いつか自分もいろはに同じことをしてあげたいと、ずっと思っていました。
 そうすればきっと、いろはも嬉しいと思ってくれるはずだから。
 そして、いろはが嬉しそうにしてくれたら、こむぎもやっぱり嬉しくなるはずだから。

 同じでした。
 そのふたつが同じことだってことに、こむぎは今の今まで気付くことがありませんでした。

 「みんな元気! みんな仲よし! うーっ、ワンダフルー!!」

 悟の言うとおりでした。

 普通、犬は人間の言葉なんてわかりません。わかるのはその言葉に乗せた飼い主の思いだけ。
 だけどそれで充分だと思っていました。それだけで必要なことは全部伝えあえているものだと思っていました。
 悟みたいに聞かなくてもわかりきっていることをわざわざ言葉として改めて聞いてみたいだなんて、そんなの意味わからないと思っていました。

 だけど、前にいろはが言っていた言葉の意味を、今、改めて噛みしめます。

 「いろはのワンダフルを守りたい。だから私はプリキュアに、キュアワンダフルになったんだよ!」

 ちなみにちょっと無粋なことを書きますが、実際のところこむぎは悟にアドバイスされたような“話しあい”は一切していません。なんかわかったふうに「話しあいっていいね!」と悟にアイコンタクトを送っていますが、悟が想定していたようなことをこむぎは今回全然やっていません。後でいろはに事の一部始終を聞いたら派手にずっこけることでしょう。お前何やりきったふうのいい笑顔を見せていたのかと。
 当たり前です。こむぎはともかく、いろはがまだ話しあいの必要性を感じていませんから。話しあいなんてものは普通、ひとりでできることではないわけで。

 だから代わりに、こむぎは過去のいろはの言葉と語らったわけですね。
 それが本当はどういう意味だったのか、今の自分にとってどういう意味が生まれるのか、そういうところを素直な言葉で振りかえってみただけです。

 すると、いろはがいつも言ってる「ワンダフル」って言葉がなんだかすごくいい言葉だったんだなって、改めて思ったわけです。

 いろはは優しくて、どんな動物でも助けてあげたいって思っていて、それで助けられた動物が喜んでいると、いろはも一緒に嬉しくなる。みんなが幸せな気持ちでいっぱいだから、この世界はワンダフル。

 そしてそれはこむぎも同じ。

 いろはに喜んでもらいたい。その手段はきっと色々あるけれど、たとえばそう、こむぎが嬉しそうにしていれば、いろはも嬉しそうにしてくれる。ワンダフル。

 そして重ねて、それはこむぎも同じ。

 いろはに喜んでもらいたい。その手段はきっと色々あって、たとえばプリキュアとしてガルガルになった動物たちを助けてあげることなんかができる。こむぎがうまくできたらいろははきっと喜んでくれる。そしていろはが喜んでくれれば、“こむぎも一緒に嬉しくなる”んだ。ワンダフル!!

 この気付きをもって、フレンドリータクトはこむぎにも力を貸してくれるようになります。

 いろはだけじゃない。みんなで一緒にワンダフルになろう。自分自身も、他の動物たちも、みんなで一緒に。
 だって、誰を喜ばせるのも一緒だもん。誰かが嬉しそうにしていると、いろはも嬉しそうにしてくれるし、こむぎだって嬉しいもん。

 だからみんなを助けよう。
 いろはのためだけじゃなく、今度はみんなのために。

 「私、こむぎと――、ワンダフルと一緒にいるときが最高にワンダフルだよ!」
 「いろは・・・! 大好き!!」

 フレンドリータクト。ワンダフルを君に。
 それは動物たちに喜んでもらうためであり、いろはに喜んでもらうためでもあり、そしてこむぎ自身が喜ぶためでもあります。みんなが笑えば世界はワンダフル。

 誰かに迷惑をかけてしまうことは、必ずしもその相手に嫌われてしまうばかりとは限りませんでした。
 誰かのためにがんばりたいと思う人。誰かに喜んでほしいと思う人。そういう人がこむぎの身近にいましたし、その人を見習って育ったこむぎ自身もそういう人になっていました。

 これからもいろはと一緒にいよう。
 いろはにたくさん甘えるために。
 いろはをたくさんお手伝いするために。
 そして、いろはと一緒にたくさん嬉しい笑顔をつくるために。

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    コメント

    1. 与方藤士朗 より:

      今回のテーマは、「ことば」の持つ基本的な機能の再確認とその可能性について、でした。
      確かにこむぎにとって、人間のことばを話聞き理解できるようになっただけでなく、人間どころかプリキュアにさえなれるという「僥倖」を得られたわけですが、その熱狂がいささか落ち着いてくれば、いやでも元の属性(イヌ≠ヒト)というものの宿命というか宿痾(しゅくあ)とでもいうべきか、そこに立ち返らざるを得ないところですね。

      しかしながら、ことばを使って意思表示と意思確認ができるという段階に至ったこむぎならではの、彼女しかできないことがこの度できていることには、御意見番としてはあっぱれを出すにやぶさかではありません。

      しかし、あのおとなしい大福君、しゃべり方が昭和のヤンキー、言うなら私が中学生の頃の横浜銀蝿のファン層みたいで、思わず感激。

      悟はマブダチ?!

      君は銀蝿一家か?!
      と思わず叫んでしまいました。
      これはどう見ても、こむぎがそんな言葉を自分で思いついて話すとは思えませんから、明らかに大福君の言葉でしょう。

      それはようこむぎ~、いろはサンとあってしっかり話してみなよ。
      マジ嫌われたとは、俺には思えないぜベイベー。
      まずは、しっかり飯食って腹ごしらえして、落ち着きな。
      そこんとこ、夜露死苦!

      とでも言ったかな、彼は。
      しかし大福君、そんな言葉をどこで覚えたのだろうか?
      ~ あ、私が教えたわけではありませんよ(一応名誉のため)。

      へびのあしです。
      大福君の声優を杉本哲太さんがやったら、マジでマブイぜ。

      • 疲ぃ より:

         プリキュアになる前のこむぎがどのくらい人間の言葉を理解していたのか実際のところはわかりませんが、自分でも言葉を話すようになったことで“言葉”との接しかたが少し変わったんでしょうね。
         普通の人間主人公なら言葉の裏に隠れた真意を探る話になるところ、こむぎはその反対、最初から会話の内容抜きでいろはの喜怒哀楽を読み取ろうとしていたから、その容れ物たる言葉になかなか目が向かなかったというべきか。

         大福、人間の姿になる前からやたら濃い味のキャラ付けされてるので、一周まわって私は最後まで今のまま表向き喋らないキャラでいてほしいと思いはじめました。
         『HUGっと!プリキュア』の薬師寺さあやのように目立たないところで密かにトチ狂ったキャラを極めていってほしい・・・。

    2. ピンク より:

      いやー、ネット検索でなかなか欲しい情報が出ない時「言葉って不便だなぁおい!」とかよく思いますよ?w

      ペットドアを使っても、庭は小型犬が脱走するには少々高そうな柵に囲まれてますからねえ。
      次回予告の人間態で柵飛び越える姿はちょっとツボでした。私も小学生の頃はああいうことばっかしてたので、何も言えない……。

      何はともあれ、ようやくプリキュアチームとしての土台が固まってきてよかったです。
      ちょっと前ならちょうど春映画のために初期メンバー全員揃ってる辺りですし、猫屋敷家をちらつかせられてるだけで話の進み具合自体は案外遅くないのかなと。

      • 疲ぃ より:

         私も固有名詞は一切覚えられないし覚える気もないので検索するとき結構苦労しますねー。とはいえ最近はChatGPTに聞けばいくつか候補を考えてくれるので多少楽になりました。
         で、ChatGPTと会話しているとやっぱり言葉って便利だなーとしみじみ実感するわけですよ。なにせあの野郎パッションが全然通じない。こっちはうろ覚えだから質問しているんだってのに、少しでも解像度上げてディテールを言語化していかないと話が一向に進まないんですよね。やっと答えに辿り着いたときには「お前に言われんでも自分で気付いたわ!」ってなる。いやまあ、話し相手がいるからこそ言語化が捗るわけで、本当はめっちゃ助かっているわけですが。

         春映画があった時代も最初にどばっと仲間が増えてから後出しで過去とか関係性とか掘り下げていたので、順番が前後しているだけでストーリー進行のペースが変化している印象は今のところないですかね・・・?

    3. 亀ちゃん より:

      前週のわんだふるぷりきゅあはこむぎといろはが仲直り出来て、こむぎはタクトを1人でも二人三脚でも使えるようになった話でした
      いろはのお父様が「なーんて。あるワケないよね」というセリフはシックリ着ました!!☆☆♬
      キュアホワイトソックスがたった1人で次々とウザイナーを浄化していくプリキュア小説の第2話では5つのダイスの出目で素数を作り上げるゲームで、主役のキュアホワイトソックスは出目を並べただけの奇数を答えました
      するとキュアベースボールギャンブラーモドキはそれを認めず、挙句の果てにはキュアホワイトソックスはキュアベースボールギャンブラーモドキや私に苛立ちを覚えます
      それでも今怒っても意味がないことに気づいたキュアホワイトソックスは「なーんて。今怒っても意味ないよね」と諦めました
      さらにアイカツフレンズでも第1の主人公であるあいねも「なーんて。アタシと釣り合うワケないよね」と諦めました
      だから98%から99%の割合でプリキュア的に感慨深く、小学生までの女の子に人気があるアニメ的にもそれと同じぐらい感慨深いです!!☆☆♬
      さらに悟も「犬飼さんはそういう人だから」もシックリ着ました!!☆☆♬
      チャンピオンの漫画のギャンブルフィッシュではそのマンガの世界では世界一の軍需企業のご嬢令をギャンブルフィッシュの主人公が泣かし、実はギャンブルフィッシュの主人公が転入した学園の舎監の仕業と目星がつきました
      その際、ギャンブルフィッシュの主人公は同じ寮のルームメイトで同じクラスの同級生に対してあの舎監は「そういう男だ」と返しました
      だからプリキュアが登場する私が好きになった二次元作品的に感慨深いです!!☆☆♬
      さらに私の経験談的にも感慨深いです!!☆☆♬
      戦闘の前後ではキュアワンダフルが「こっち、こっち」と口にしたのはシックリ着て、プリキュア的に感慨深いセリフがさらに続きました!!☆☆♬
      それからキュアワンダフルは他にも「いろはもそうだった」というセリフもシックリ着ました!!☆☆♬
      宇宙の軍人美少女アニメ・ギャラクシーエンジェルの1期では部隊のリーダーのフォルテが「アタシもそうだった」と返すセリフは印象的で、数割私が好きなアニメ的に感慨深いです!!☆☆♬
      あとキュアワンダフルに関しては「でもいろははそれだけじゃない」というセリフもあったのもシックリ着ました!!☆☆♬
      遊戯王にてビッグ5との最終決戦の中、主人公の遊戯はブラックマジシャンと炎の剣士を融合させた特殊能力付きのモンスターは倒れますが、今度は光属性のモンスターとして生まれ変わることを知らせるために
      「それだけじゃない」
      と口にしました!!☆☆♬
      だから土日に放映歴があるアニメ的に感慨深いですね!!☆☆♬
      話は変わりますが弟が生誕した病院の近くのファミリーマートでは、税込み205円でボーナスポイントがつくゼリーがなかったので、ファイブミニとプリキュアのグミを買いました!!☆☆♬
      プリキュアのグミが76円で129円のファイブミニとセットで買うと、Tカードでは、丁度良い値段になったのがうれしかったです!!☆☆♬
      で、次回はまゆの転校初日ですね

      >で、プリキュアとは完全に無関係なことで言いたい雑談は
      前週の土曜は弟の誕生日で、広島県西部のファミリーマートで買い物した後で、そっから1番近くのガストに行きました!!
      するとスパイファミリーのジャンボパフェがあって、そのメニューを発見した時は食べたくなったワケですが、発売休止になっていたことを知りました
      ガストなのでレギュラーメニューのパフェと同じような味わいで間違いないと思いますが、スパイファミリーはアーニャがかわいいし、おまけよりパフェを食べることを楽しみたかったですね!!☆☆♬

      • 亀ちゃん より:

        脱字に気づいたので、ほんのちょっとだけ訂正します
        私は広島県福山市西部の…という風に書き込もうとしたワケですが、その福山市という言葉がすっかり抜けていたことに今日チェックして初めて気づきました
        岡山から広島県福山市西部と広島県西部では全然距離が違い過ぎます!!
        もっとも広島県西部とは広間県庁がある広島市やその広島市より西の地域にある大竹市などです
        で、明日はまゆの転校初日の話で、まゆ関連のプリキュアはユキも該当するので、どっちが先にデビューするのか?という意味では読めません!!
        さらにユキかまゆのネタバレ変身動画もYou Tubeで配信されていたこともちょっと前に知った気がします
        でも私は変身シーンは、デビュー当日に視たいタイプなので、ユキかまゆのプリキュアに変身ネタバレ動画はまだ観ていません!!
        もちろんユキかまゆのネタバレ変身動画を見た人は今どんな心境であるかを知りたい気持ちは、管理人さんがここで書き込むことで知ることが出来ると私は幸いなところです
        もしこういうことはメールで!と申し付ける場合は、メールで知らせるよう努めます!!

        >で、プリキュアとは完全に無関係なことで言いたい雑談は
        私の現職の会社の後輩である元同僚を連れに、香川県高松市のキリンさんに行くと、やっぱり素材の良さは感じられたのに、旨味を感じることもやっぱりなく、シックリ来ることもありませんでした!!(半分・汗)
        だから私が3回目に行った時こそ、今度は三度目の正直で、旨味を感じられることも、シックリ来ることも願いたいです
        それと江戸時代の末期に開業した高松市内の吉岡源平餅さんのフィナンシェは旨味は車にちょっと放置してしまったせいか、抜けていても、やっぱりまた食べたくなる不思議なスパイスは効いていました!!☆☆♬
        そんなこんなで今週の水曜の北四国旅行で心残りなのは、愛媛県松山市の林仙堂でシュークリームを買い食い出来なかったこととお母様へのお土産に抹茶味のクリーム大福を買ってあげられなかったことですね!!(汗)
        それでもチャンスはまだあるものだと思っていますよ!!<プラス思考に
        それと銀のあんのたい焼きは当然高価だけど、このチャンスは来週の土曜が30日で、高校野球観戦も兼ねた広島市がおかやま山陽高校がある地域から1番遠くになる旅行の時に挽回しようとハラに決めました!!☆☆♬

      • 疲ぃ より:

         悟、いろはに対して意外とはっきり青春してるのがかわいいですよね。

         少なくとも公式チャンネルでは3人目の変身シーンはまだ出ていないです。
         私自身はネタバレ全然気にしない人なので私も微妙に一般的感覚を掴みそこなっているのですが、とりあえずここを読みに来る他の方々がガッカリするような重大ネタバレと法令違反な話題だけ避けていただけると助かります。

         この手の話題になると私ちょっと厳しめの口調で否定しにかかってしまいますが、これもこのブログで他のかたに不適切な情報を提供しないようはっきり訂正するためなのでご容赦ください。
         Googleのbotはコメント欄も巡回しているので、たまに変な検索ワードでヒットしてしまうことがあるんですよ。コメントを消すよりもどうせなら積極的に訂正情報を流したほうがいいかなあと。

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