Go!プリンセスプリキュア 最終回によせて

 不幸せな何ものかは、幸せな未来のために何をもたらすのか。

Go!プリンセスプリキュア vol.4 [Blu-ray]

 ステキな最終回でしたね。豊かなテーマと力強い物語。プリンセスプリキュアについてもいつか1話から語ってみたいところです。

夢と絶望、そして努力

 プリンセスプリキュアは夢を「頑張る原動力」(公式サイト・柴田プロデューサーのコメントより)と定義しました。
 対して絶望は「叶わぬ夢、失われた希望、挫折、後悔」(49話)。
 つまり絶望は夢が変化した姿なのですから、夢自体には絶望に対抗する力がありません。対抗するためには夢を原動力とした別の力、努力が必要です。
 努力し続けることで夢が絶望に変わることを防ぎ、あるいは一度絶望しても新しい夢を見出して立ち上がることができる。夢へ向かう努力こそが生きる力となるというのがこの物語の基本テーマです。
 あなたは夢と努力によってどんどん変わっていける。強くなれる。そしてそんなあなたの姿に憧れて、また誰かが夢へ向かって努力しはじめる。夢と努力が広がっていく。やがて世界中みんなが夢と努力を胸に抱いたなら、途方もなく大きな絶望、ディスピアにだって打ち勝てる。だって努力を伴う夢は絶望で終わるはずがないのだから。努力する限り絶望なんか怖くありません。「努力したらhappy come !」(オープニングテーマ 歌詞)
 それが49話までの物語。

絶望の裏側

 つまるところ夢と絶望と努力にまつわるプリンセスプリキュアの物語は49話までで一度決着がついています。
 絶望の権化であるディスピアとの決着はついたのですから、同じく絶望を象徴するクローズが今さら夢を奪おうとしたところで恐れることはありません。みんなの夢へ向かう力を託されたグランプリンセスがまたプリキュア・グランリベラシオンを放てばあっさり決着するでしょう。夢へ向かう努力は絶望に決して負けないのですから。

 なのでクローズの物語上の役割は別にあります。
 クローズは主人公・春野はるかが努力を続ける姿を見てきました。何度も彼女の前に立ち塞がり、彼女と問答を繰り返してきました。彼女の「花のプリンセスになる」夢が現実には永遠に叶わないことを指摘し、対してはるかが「ずっとずっと、いつまでも、強く優しく美しくあり続ける」(47話)、永遠に追い続けられる夢のあり方を見出した、その瞬間に立ち会いました。
 そんなクローズがはるかに宣言します。「絶望は消えない」。はるかの夢が永遠であるのと同じく、絶望もまた永遠。人は永遠に絶望と戦い続けなければならないと。
 夢と努力が絶望に負けないことはすでに証明済みですが、だからといって永遠に戦い続けなければならないというのは考えるだけでうんざりする話です。戦いに疲れて努力をやめたとき、人はどうなってしまうのでしょうか。クローズの宣言はディスピアの絶望とはまた違う形で人に不幸せな未来を示します。これを否定しなければ人に幸せな未来は訪れません。
 だからはるかは受け入れます。「夢も絶望も、その両方が私を育ててくれた」。夢と絶望が戦い続ける生き方そのものを良いものとします。
 絶望があるから、努力なしでは夢を追えないんです。絶望があるから、それを乗り越えるために努力するんです。絶望が努力を生むというなら、それは人にとって良いものなんです。この物語は努力そのものを肯定します。究極的には夢ですら努力を生むための手段でしかありません。夢を追う努力、絶望に抗う努力、そうやって自分を強くしてくれる努力こそが人の生きる力。
 そして重ねて宣言します。「夢だって消せないよ。絶望がある限り、夢だって輝き続ける」。ディスピアの言うように絶望が夢の変化した姿ならば、夢だって絶望から生まれるはずです。「(絶望の檻に閉じ込められるのは)夢なんてくだらねえモン持つからだぜ」(1話)と、他でもないクローズが認めています。絶望するのは夢があるからです。だったら、絶望の裏側には必ず夢が隠れていることになるじゃないですか。

 夢と絶望の戦いは永遠に終わりません。はるかのように永遠の夢を持つ必要すらなく、それは全ての人に保証されています。夢と絶望はそれぞれに人が努力する機会を生み続け、つまり人は無限に努力を、成長をし続けられるのです。なんてステキな、幸せな未来像でしょうか!

 ここに至って夢の担い手・プリキュアと絶望の担い手・ディスダークは存在意義を合一します。和解こそしませんが、お互いにお互いを必要とし、いずれも人の未来を豊かにするために存在し続けます。
 スイートプリキュアやドキドキ!プリキュアに近い結末ですね。
 スイートプリキュアは拒絶されていたノイズを受け入れ、幸せも不幸せも全部ひっくるめてあらゆる未来を自分のものと肯定しました。
 ドキドキ!プリキュアは絶対に抗い続けられる確信からジコチューとの永遠の戦いを認め、人の心を育むための試練と位置づけました。
 プリンセスプリキュアの導いた結論も含め、いずれも幸せな未来を積極的に肯定する、明るく暖かな物語です。現実にはなんのかのと不幸せなことがたくさんありますが、プリキュアはそういった不幸せを幸せな未来の糧とするための考え方を懸命に模索します。これがプリキュアのステキなところ、私がプリキュアを好きな理由ですね。
 誰もが幸せになれる未来のために、いい年した私もプリキュアを応援し続けましょう。プリキュアに込められた大人たちの願いが子どもたちの心を豊かにしますように。

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