魔法つかいプリキュア!第12話感想 いつだってどこだって誰にだってキラキラのワクワクがあふれてる。

魔法界と同じようにふたりで楽しいこと見つけよう!

魔法つかいプリキュア! Blu-ray vol.1

(主観的)あらすじ

 魔法界代表としてなにごとも完璧にこなそうと意気込むリコ。けれどナシマホウ界に来たばかりでいきなりなんでもできるはずもなく、むしろクラスメイトに親しみにくい印象を与えてしまいます。
 そんな彼女のために、みらいは夜空の上で思い出話を聞かせます。幼い頃、夜の山のなかでひとり迷子になってしまったこと。暗い夜は怖くて泣いてしまったけれど、見方を変えれば頭上にはキラキラ明るい星空がありました。今のリコも同じ。「まっすぐ前を見るだけじゃなくて、ぐるーっと周りを見たら、星空みたいにキラキラでワクワクなことがきっといっぱい見つかるよ」 それがいつも楽しそうなみらいの笑顔の秘訣なのでした。
 たとえ巨大なヨクバールが現れても見方を変えれば動きが鈍いだけ、怖いことなんてありません。そしてそれはリコがずっと気を張っていた学校だって同じこと。見方を変えればそこには名前で呼び合える友達がいるのです。

 ふたりが魔法界でしてきたこと、ナシマホウ界でこれからしていきたいことをつなぎ合わせるエピソード。脚本の伊藤睦美さんはフレッシュのせつな、スイートのエレン、プリンセスのトワと、異世界人が日常に溶け込んでいくエピソードを多く手がけてきた方です。黒板をはみ出す大きな展開図はエレンの自己紹介を彷彿とさせますね。
 毎日とっても楽しいよ。あなたも例外じゃないよ。楽しい日々を積極的に肯定していく哲学はプリキュアのシリーズテーマそのもの。プリキュアはいつだってあたりまえの日常を肯定するために戦います。

立派なわたし

 リコは自尊心の強い子です。第2話の描写から補習を回避するためにエメラルドを求めたと誤解されがちな彼女ですが、実際のところは補習の必要がないくらい優れていると周囲に認めさせるのが目的だったように、その志向は初期から一貫しています。誰に望まれたわけでもなく自分から自分を魔法界の代表に任ずる今回のふるまいも、そういった立派な肩書きを欲する彼女の自尊心の現れですね。
 なんでも手伝いたがったり、ままごとでお父さんお母さんを演じたがったりする幼児にとっては、特に身近な感情かもしれません。
 決して悪いことではありませんよ。自尊心は自分を大きく育てます。自尊心は向上心。理想の自分でありたいと思う気持ちは、つまり常にあるべき規範や目標とともにあるということでもありますから。実際リコは魔法の実技以外で学年トップの成績を修めていますしね。夢という長期目標と自尊心という短期目標を併せ持つ彼女は強い。

 ただ、遊びで誘われたバレーボールですら自分を実態以上に良く見せようとするのは行きすぎですね。それは自尊心ではなく虚栄心と呼ばれるものです。人知れずひとりで学び、練習する努力はカッコイイですが、そもそもの話、遊びというのはそういうことに価値を置くものではありません。失敗したっていいんです。恥をかいたっていいんです。遊びであるなら、みんなでプレーする楽しみにこそ価値があるのですから。
 「ナイスモフ!」 リコ自身は気付いていませんが、彼女とてモフルンの声援を受ける前と後でははっきりと表情が違っているではありませんか。同じ努力をするにしてもひとりよりふたり、みんなでやった方が、楽しさが加わってより良い時間となるでしょう。

 だいたいが彼女が恥だと思っていること自体そう大したものではありません。おおげさな挨拶も授業中の失敗も、それを見ているクラスメイトからの評価は「ちょっと大人っぽいよな」「なんかすげえな」「ほんとカッコイイ」 むしろ好感触です。リコが思っているほど周りの人は結果ばかりを見ているわけではありません。立ち居振る舞い、積極的に挙手する態度、そういった彼女の日頃の努力が見える姿勢にこそ(難儀なことに)人は好感を抱くものです。
 むしろ問題は完璧な自分を目指すあまり表情が険しくなっていたり、挨拶してすぐ本に視線を落としていたりと、魔法界の代表を自任しておきながらむしろ周りに意識を向けられずにいたことですね。
 ちなみに元来引きこもり気質な私は、普通に笑顔で挨拶していたリコがどうして「十六夜さんって話しかけづらくない?」 と言われたのか最初理解できませんでした。周りに意識が向いていないというのはこういうことだという好例ですね。

ワクワクの秘訣

 幼いころのみらいが山で迷子になったエピソードが父親とみらい本人、それぞれの視点から語られます。
 誰の目から見てもいつも楽しげでニコニコしているみらい。けれど彼女とて何も考えずいつも笑っているわけではありません。魔法学校の知識の森でそうだったように、夜の山でひとり迷子になってしまった彼女は怖くて泣いてしまいます。当然のことです。誰だってそうです。迷子になって不安にならない子はいません。もしそれで笑っていられる子がいたなら、それは迷子とは別の理由があったからです。みらいは人一倍そういう理由探しが得意な子だったわけですね。

 ドキドキ!プリキュア オープニングソングの2番の歌詞に「いつもの世界をタテヨコナナメに覗いてみてごらん。希望探すなら」 という一節があります。相田マナはそういう感性に富んだ主人公でした。どんな苦境にも絶対に打開する可能性を見出す、どんな人にも絶対に愛があると信じる、常に物事を多面的に見る視点を持っていました。
 みらいも同じです。暗い山のなかは恐ろしいけれど、頭上にはキラキラ明るい星空が広がっている。立派な魔法使いになれずにいると嘆くリコだけれど、彼女はそういう夢を持って頑張っている。リコを苦しめる思い出のペンダントも、それがあるからこそ自分とリコは巡り会えた。
 みらいの目に映る世界はいつだって多面的で、どこにだってキラキラワクワクするものが隠れています。だから「ワクワクもんだぁ!」と笑っていられるのです。
 それもその根拠は暗い山のなかで見た満天の星空、素朴な原体験です。それほどに素朴なものなら、きっと自分以外も、誰しもが本当は知っているはず。自分の目にはそこら中に見えるキラキラワクワクを、きっと誰もが見つけられるはずだと、みらいは直観しているのでしょう。
 「見方が変わったのね」 ほら、その証拠にリコはその直観に相応しい言葉を見つけてくれます。リコも知ってくれていました。我が意を得たりと言わんばかりのみらいの満面の笑顔。みらいの目はまたひとつステキなものを見つけたのでした。

 タンザナイトは夜空を思わせる、深くて透き通った菫色の石。パワーストーンとしては人をより良い選択へと導くパワーを持ちます。
 目の前にひとつの道しか見えないようなときでも、視点を変えればきっと無限の選択肢があるでしょう。そのなかにはきっと目の前の道を進むよりももっとステキな選択だってあるはずです。「まっすぐ前を見るだけじゃなくて、ぐるーっと周りを見たら、星空みたいにキラキラでワクワクなことがきっといっぱい見つかるよ」
 前作Go!プリンセスプリキュアは夢に向かってまっすぐ歩み続けることを推奨しましたが、みらいの世界観はこれと対立するものではありません。みなみが夢を変えたように、きららが別の道から夢を追うことにしたように、無限の選択肢があるということは夢を諦めることと一致しません。
 立派な魔法つかいになる。みらいが尊敬するリコの夢は、リコのやり方だけでは絶対に叶いませんでした。みらいがリコとともにたくさんのやり方で補習に取り組んだ結果、リコはようやく魔法が使えるようになったのです。

 夢へ至る道は本当はひとつだけではありません。たったひとりで努力しなくてもいいんです。ほんの少し周りを見渡せば、そこにはたくさんの友達と、たくさんのキラキラ、ワクワクがあなたを待っているのですから。
 だからみんなで手と手をつなぎましょう。みんなの視点が合わされば、それだけもっと多くのキラキラワクワクが見つけられるでしょうから。みんなで明るく楽しく健やかに、立派な魔法つかいを目指しましょう。

今週の魔法文字

理科の授業・左上:「ASTROLOGY」
占星術。イラストはホロスコープとかチャートとか呼ばれるものですね。星座が10個しかないのは単に簡略化してあるだけでしょうか。

理科の授業・中央:「SYSTMA SOLARE」
太陽系。このイラストなんでしたっけ。太陽系の公転軌道は平面的なはずですが、これもどこかでみた覚えがあります。

理科の授業・左下:「BENZA」
便座。便座と星座を掛けたギャグですね。

理科の授業・右下:「HOROSCOPES」
占星盤。左上のイラストにあるものですね。一昔前はゲームセンターにこれを書いてくれる占い機が置いてあった気がします。

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