魔法つかいプリキュア!第19話感想 闇の魔法つかいたちの生む闇と、小さな体に宿る大きな光。

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この樹がスマホンとはーちゃんを守ってくれたのかしら。

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(主観的)あらすじ

 はーちゃんが使った不思議な光について教えてもらおうと、みらいたちは校長先生を尋ねますが、あいにく留守。校長先生七不思議ゆかりの開かずの扉があると聞いて、みらいたちは魔法学校を支える大きな樹を登ります。
 一方闇の魔法つかいたちのアジトではバッティがドクロクシーの実在について疑義を呈します。なぜか慌てるヤモー、ついに口を開くドクロクシー。ドクロクシーからの勅命に胸を熱くしたバッティはプリキュアの元へ向かいます。
 苦労して樹の頂上へと登ったみらいたちの前に現れたのは、噂の開かずの扉と、バッティ。ガメッツとスパルダの残した力を借りたバッティはリンクルスマホンを狙いますが、はーちゃんの不思議な光と大きな樹の助力を受けたプリキュアによって撃退されます。
 はーちゃんが大きな樹にお礼を言うと、扉からリンクルストーン・アメジストが現れてはーちゃんを眠りにつかせます。同時に扉が解錠され、みらいたちは導かれるように先へと進みます。

 寝る子は育つ。思い出すべきいくつかのことを復習し、気を払うべきいくつかのことを確認するお話。校長先生の探しものとは? ドクロクシーの正体とは? はーちゃん、リンクルスマホン、エメラルドとは? 新展開を控えて再び収束をはじめた物語を、七不思議や世界樹、開かずの扉といったメルヘンたちが飾りたてます。
 プリキュアには珍しく、今回はディテールの描写に特化した純然たる溜め回です。この話数単体で語れることはほとんどありません。こういう回に七不思議や巨大毛虫のような魅力的な舞台装置を多く配置するのが魔法つかいプリキュア! の特徴ですね。魔法のあるワクワクものの世界を楽しみましょう。ハンバーグにこっそりにんじんを混ぜ込むように、大人はいつだって子どもたちが楽しいことと大切な学びの両方をバランス良く得てくれることを願っています。

光と闇の相克

 ドクロクシー(ないしは彼の背後にいる者)の目的は序盤から一貫していて「闇の魔法でこの世の全てを覆いつくすこと」 だと語られてきました。この「闇」とはどういうことかといえば、例えばガメッツは「強大なパワーを持った者が世界を手に入れる」 ことだと語っています。強い誰かが何もかもを総取りする、よくある悪役のお題目ですね。
 バッティたち3幹部がつくられた存在であり、ドクロクシーとのコミュニケーションを許されていないのが象徴的ですね。ひとりが世界の全てを掌握するならば、仲間なんて必要ないわけです。3幹部はドクロクシーの仲間ではなく、ただのコマに過ぎません。

 対して魔法つかいプリキュア! の力の源は「手をつなぐ」ことにあります。ふたりでお互いに信じあい思いやること。のみならず、モフルンやはーちゃん、さらには彼女たちの輪の外側にいる世界中のなにもかもとすら助け合って闇の魔法つかいたちを撃退してきました。今回でいうなら木の枝すらプリキュアとともに戦う仲間です。
 みらいとリコを引き合わせたダイヤは光のリンクルストーン。唯一ふたつに分かたれたこの石は、ふたりで一緒に使うことで初めて力を発揮します。

 つまりはドクロクシーの闇とは孤独、対するプリキュアの光は絆です。この戦いはひとりでいるよりみんなと一緒の方がいい、ということを証明する物語です。
 ・・・個人的にはひとりでいるのもいいものだと思っちゃったりもしますが、まあそれでも仕事くらいは同僚なり客なりがいないと成立しませんしね。
 「ドクロクシー様の闇はこんなものではない」 とスパルダが語っていましたが、逆説的に彼女ら3幹部がそれぞれの最終決戦で生み出した闇はドクロクシーの「孤独」の闇と同質のものだと言えます。そこが孤独の世界だから「手をつなぐ」プリキュアは本来の力を発揮できずピンチに陥っていたわけですね。
 だから彼らに打ち勝つには、先にその闇を晴らさなければいけなかったのです。

 不思議な光を発するはーちゃんは、ここ最近のエピソードでみらいたちのしてきたことを学んでいました。ときには彼女自身が「幸せを運ぶ妖精」として、みらいたちと同じ奇跡の魔法を行使することもありました。というか、そもそもが初めすれ違っていたみらいとリコの間を取り持ったのもはーちゃんでしたね。
 今のはーちゃんは人と人とが「手をつなぐ」力そのものです。「プリキュアは強いの!」 プリキュアを見てそういうあり方に憧れ、「みんなをいじめないで!」 そういうものを慈しむ心に目覚めました。「あまねく生命に祝福を!」 彼女は間もなく奇跡の魔法の使い手として開花しようとしています。

 「ふたりの奇跡」「ふたりの魔法」と名乗るとおり、この物語は初めたったふたりの小さな絆から始まりました。その絆を育むにつれて少しずつふたりの輪の外にも奇跡の魔法を行使してきましたが、それでも今はまだあくまでふたりの輪。どれだけ強い光を放っていたとしても、より大きな闇に包まれてしまっては輝くことができません。魔法つかいプリキュア! の戦いは今、ひとつの壁に阻まれています。
 壁を打ち破るには、大きな闇を晴らすには、たったひとつの手段しかありません。輪を拡げましょう。ふたりの輪よりも大きな闇が襲いかかるなら、その闇すらも包み込んでしまう大きな輪をつくりましょう。みんなで手をつなぎあって。みらいとリコが無自覚にしてきたことを見て育ったはーちゃんになら、それをより自覚的に行うことができます。
 闇が世界を覆い尽くそうとするならば、世界をまるごと光にしてしまえばいいだけのことです。みんなで手をつないだ輪より大きなものなんて無いのですから。

 そういえば魔法商店街や人魚の里に伝わる言い伝えによると、闇が世界を覆わんとしたのはこれが初めてのことではないようですね。ドクロクシーは長い時間を費やして延々とひとり孤独に闇を広げつづけてきたのでしょうか。
 ひとりで、といえば校長先生もひとりで問題を解決しようとしていますが、これはいかにも魔法つかいプリキュア! の物語にそぐわない行動ですね。次回予告でなにやら不吉な映像が流れていますが、はてさて。
 みんなまとめて魔法つかいプリキュア! になれるように、どうか世界中みんなあますことなく手をつなぎ合って、ひとつの大きな輪をつくれますように。世界全部の大きさよりわずかでも小さな輪になってしまっては、もしかしたら闇の大きさに負けてしまうかもしれません。(同調圧力)

今週のパワーストーンと花言葉

 アメジストは神が注いだ葡萄酒の色、穏やかな青と情熱的な赤を併せ持つ色、などと表現される紫色のパワーストーンです。聖別された葡萄酒のように邪気を払い、青と赤が濁りなく混じりあうように心の働きを高次に調和させます。さらには発想力と直観力を育むため、高次に調和した心の働きと併せて、持ち主に新たな出会い、あるいは自身の中に新たな発見をもたらします。
 まさにみらいとリコが辿ったこれまでの足跡を象徴するようであり、はーちゃんを含めてこれから拓く未来を暗示するようでもある石ですね。
 青と赤が調和するというモチーフは今回のアメジストと次回のルビーとちょうど符合するので、もしかして次回もなにかしらルビーらしいエピソードが描かれるのでしょうか。

 実際のところそのつもりで描写されたのかはわかりませんが、トベラという樹木があります。「扉」という言葉が訛って「トベラ」と呼ばれています。よく生け垣やバイパスの中央分離帯に使われている木ですね。今回の舞台である大きな樹の全体像はオープニングで描かれているのですが、これがどことなくトベラの大きく育った姿に似ているんですよ。登る者を阻む今回の樹に対して、トベラも古くから邪気払いに利用されていたという符合もあったので紹介してみました。
 ちなみに花言葉は「慈しみ」。「あまねく生命に祝福を!」 の新しいプリキュアにぴったりですね。別に作中に花が登場しているわけではありませんが。

今週の魔法文字

伝書ポットの書き置き:「-NOAIDAMA- -NISURU AT- -TANONDAZ-」
 実は画面に映っていたのはほんの一部分だけ。ローマ字書きはどうしても文字数あたりの情報量が少なくなってしまいます。

立て看板:「KOREYORISAKI NOBORUBEKARAZU」「KEEP OUT」
 知識の森といい、魔法界の立ち入り禁止表示は縦書き「KEEP OUT」が慣例なのでしょうか。ところで魔法文字は大半がローマ字書きなのでたまに英語が混じると面食らいますね。

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