キラキラプリキュアアラモード第18話感想 挫けてもへこたれても、仲間がいるよ。

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スイーツに込めた気持ちはちゃんとみんなに届いてたはず。絶対、絶対、またみんな来てくれる・・・!

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(主観的)あらすじ

 キラキラパティスリーにお客さんが来なくなりました。どうやら悪い噂が流れているようです。いちかは「スイーツに込めていた気持ちが伝わっていたならお客さんは戻ってきてくれる」と信じますが、しかしいつまで待ってもお客さんは来ません。自分にスイーツをつくる実力がないからだろうかと落ち込むいちか。
 そんないちかを励ましたのは仲間たちの諦めない気持ちでした。あきらたちは悪い噂を払拭するため、それぞれ自分にできることをコツコツ頑張っていたのでした。立ち直ったいちかも合流するとお客さんが戻ってきます。悪い噂を流していた犯人・ビブリーもやっつけて、今日もいちかは元気いっぱいです。

 今週からまた新しい命題です。スイーツを通じて「大好き」が伝わればみんなで幸せになることができますが、ではそもそもスイーツを届けられなかったら? さしあたって今話では仲間の諦めない努力によって悪い噂を払拭しました。けれどいちかの心にはしこりが残ります。
 自分に実力がないのが悪いのでは? それは進歩的に見せかけて、その実今までの自分をまるごと否定してしまう暗い考え方です。ジュリオと同じ、大切な何かを信じられなくなる心の闇です。次回、シエルへの弟子入りというかたちでいちかの心の闇が表面化します。

「大好き」が届かない

 今回、実はいちかの思いは裏切られっぱなしで、本質的な問題が解消されていません。
 「大丈夫大丈夫。これまでだってみんなキラパティのスイーツを食べて喜んでくれた。だから噂なんて気にすることない! すぐにまたみんな来てくれるよ。今までどおり、普段どおり」
 いちかはそう信じていましたが、結果的に悪い噂を払拭できたのはあきらたちが新しくはじめた営業努力のたまものです。今までスイーツに込めていた気持ちが返ってきたのではなく、新しくつくった気持ちが新しいお客さんに届いただけです。
 いちかの信念は(少なくとも今回は)叶いませんでした。

 何があっても諦めず、前向きに努力を続ける。それはいつもならいちか自身がやってきたことです。
 その努力に感化され、自分も前向きになる元気をもらう。それはいつもなら周りの人がいちかにしてもらってきたことです。
 今話の構図はそれが逆転しています。いちかが真っ先にへこたれて、あきらたちの自主的な努力に彼女が巻きこまれていきます。

 一応、今までもいちかの力ではどうにもならなかったことはいくつかありました。例えばシュークリームがうまくつくれず、みんなの気持ちがバラバラになりかけたとき。例えばお店づくりでみんなの気持ちが揃わず、キラキラパティスリーを完成させられなかったとき。
 そのたびにいちかは今回のように周りの人に助けられてうまくやってこれましたが、けれど今回のようにいちかの当初の意に沿わないかたちで問題解決したのは初めてかもしれません。なんだかんだでこれまではいちかを中心にしてみんな動いていたんですよね。

 「大好き」はスイーツに乗って必ずみんなに伝わる。これまでいちかを勇気づけてきたのはそういう信念でした。彼女は直観的にこれを信頼していて、そして実際にこの信念は真理であると実証され続けてきました。だからどんなときでも彼女は前向きに元気いっぱいでいられました。ジュリオの絶望を真っ向から否定できていました。自分の中に1本芯が通っている人は強い。
 けれど今回、その信念が初めて揺らぎます。そもそもスイーツが届けられません。スイーツが届かなければいちかの「大好き」は誰にも伝わりません。
 いちかの信念はスイーツが介在してくれることを前提としたものですから、そこからスイーツを取り除くだけであっさり崩壊してしまいます。

 「みんな美味しいって喜んでくれた」
 「スイーツに込めた気持ちはちゃんとみんなに届いてたはず」
 「絶対、絶対またみんな来てくれる!」

 信念が揺らぐ不安を、いちかは過去の実績が払拭してくれると期待します。けれどこれもダメ。
 いちかとお客さんを繋げていたものはあくまでもスイーツ。悪い噂によってその関係性を断ち切られた現在、彼女の「大好き」はお客さんに伝わりませんし、過去に伝えた「大好き」の反響も彼らから返ってくることはありません。なにせスイーツという名の関係性そのものが断絶しているのですから。

 「私のつくるスイーツがもっと美味しかったら、噂なんかなんてことなかったのかな」
 今回のお話はそういう問題ではありません。そもそもスイーツ自体とは全然関係ないところで、スイーツによる関係性を断絶されているんですから。たとえどんなに美味しいスイーツだとしても、食べたら不幸になると一度信じてしまえば、それでも食べようと思う人なんていないでしょうに。キラキラプリキュアアラモードにおいてスイーツとは食べたら幸せな気持ちになるもの。食べて不幸になるなら本末転倒です。
 けれど信念の揺らいだいちかはついついそういう安易な結論に縋りたくなってしまいます。それが整合性の取れた論理かどうかだなんて関係なしに、とりあえず目の前に浮かんだ答えを信じてしまいたくなってしまいます。何かひとつ確かなものを信じるという行為、つまり信念を持つということは、自分の心を強くしてくれるものですから。自分の中に1本芯が通っていない人は弱い。

 おそらくはジュリオも似たような経験をしているんじゃないかなと思います。
 詳しい事情は未だ明らかにされていませんが、過去にシエルと別れたことをきっかけにして、彼は現在スイーツを憎んでいます。特にスイーツで「大好き」が伝わることをことさらに否定したがっています。まるでそれらが虚実であると確信しているかのように。まるでそれらとは逆の信念を持つことによって自分を守ろうとしているかのように。
 かつてスイーツによって「大好き」が伝わると信じ、しかし今はその信念が揺らぎはじめているいちか。彼女が抱いている不安はジュリオの絶望とよく似ています。そもそもふたりの信念は鏡写しのように対照的なものだったんですから。
 このままいちかはもうひとりのジュリオになってしまうんでしょうか?

おんなじ夢をつくる仲間

 いいえ。ジュリオに無くていちかが持っているものがひとつあります。

 仲間。キラキラパティスリーはいちかひとりでやっているお店ではありません。ひまり、あおい、ゆかり、あきら、それからペコリンと長老。いちかには一緒に頑張ってくれている仲間がいます。
 しかもこの人たち、キラキラパティスリーを楽しみたいという気持ちは同じでも、そこに至る動機はそれぞれバラバラです。ひまりは「大好き」を友達と共有したい。あおいは「大好き」を自分で選びたい。ゆかりは自分の「大好き」を見つけたい。あきらはみんなの「大好き」を守りたい。ペコリンと長老は「大好き」だったものを取り戻したい。
 そんな調子ですから、いちかひとりの信念が揺らいだって彼女たちまで揺らいだりはしません。
 いえまあ、当初は気持ちの向かう先までバラバラだったんですけどね。いちかの求心力なしでは空中分解しかねなかったんですけどね。ですがキラキラパティスリーがオープンして以降はそういう危うさもなくなりました。それぞれがそれぞれの思いを認めあって、それぞれ好き勝手にキラキラパティスリーに自分の「大好き」を委ねています。
 「ときめくワケはカラフルに、みんなおそろい。『大好き』が一番のマストアイテム」

 だから、いちかひとりがへこたれたって大丈夫。
 「笑顔曇らすハプニング起きたら駆けつけるよ。だって、『大好き』は守るべき宝物」
 いちかがキラキラパティスリーに掛ける「大好き」はみんなが守ってくれます。いちかとは別の信念に従って。
 「しばらくお店休みにするしかないかあ」とは何だったのか。彼女たちにとってはそんなのビラ配りだったり噂の出どころ調査だったりお店の改装だったり新メニューの開発だったり、そういうポジティブな行動を起こすための準備期間でしかありません。いちかが立ち直らない可能性なんて髪の毛一本ほども考慮していません。
 だって、いちかの「大好き」は、少しかたちが違うだけで自分たちの「大好き」とおんなじなんですから。自分たちの信念が揺らいでいない以上、いちかだってそのうち立ち直る。

 果たしてそうなりました。
 「美味しい!」「本当!?」「うん。すっごく美味しい。噂なんて関係ないよ。美味しいよ!」
 あきらたちの努力に背中を押されて店頭に立ったいちかは、そこでお客さんと改めて関係性を結ぶことに成功します。要は自分の気持ちを乗せたスイーツを食べてもらいます。「キリンみたいに高く遠くを見て、みんなで一緒に『ワキャー!』って感じ」とかなんとか。何言ってるのかさっぱりわかりませんが、とにかくそういう彼女らしい気持ちがお客さんに伝わります。
 それさえできれば、彼女はまた自分の信念を信じることができます。「大好き」はスイーツに乗って必ずみんなに伝わる。それが実証できたなら。

 ただし、また関係性が断絶したときどうすればいいのかについては結局答えが出ていないんですけどね。今回はあくまで仲間に支えてもらっただけなので。そのときが来たらいちかはまた揺らいでしまうでしょう。
 「ダッサ!」を連呼するビブリーは見たところあらゆるものを否定したがる性質のキャラクターです。彼女と対峙しつづける限り、遠くない未来にいちかはまた自分の信念が揺らぐ瞬間に立ち向かうことになるでしょう。もしかしたら来週さっそくかもしれません。あるいは番組の節目である1ヶ月ちょっと先のことかもしれません。それまでにいちかは何か自分の信念を補強する論理を見つけなければいけません。

 ・・・とまあ、そんなタイミングで新プリキュア・キラ星シエルの登場です。パリでナンバーワンのパティシエという肩書き、やたらと自信ありげかつ気の強そうな瞳。ついでにいうとジュリオが歪んでしまった元凶。いかにも信念が揺らぎそうもないそのキャラクターは、いちかに何をもたらすのでしょうか。
 正直コテンパンにヘコまされる気しかしませんけどね。頑張れいちか、負けるないちか。あの子絶対キュアミューズやキュアエース路線だから、一度試練を乗り越えてしまえばあとはこっちのものですよ。

今週のアニマルスイーツ

 キリンミルクレープ。難易度星1つ。ミルクレープって難しそうに見えて、実は特別難しい工程が無いんですよね。それ自体が見栄えのするスイーツなのでデコレーションも簡素でいいし。
 料理は苦手だけどカレシに手づくりケーキをつくってあげたいと考えているそこのアナタ! ミルクレープはオススメですよ。ホットケーキミックスでもつくれるし。巻きクレープと違って多少破れたくらいじゃ全く問題にならないし。どうしてもダメならカルディに冷凍クレープも売ってるし。

 「Mille crapes」と書きます。元はフランス語なんですね。へー、知らなかった。普通に英語だとばかり。まあ語族が同じなので単語も文法も似てて当たり前なんですけどね。そんなわけで「千枚のクレープ」という意味になります。実際には20枚ほど重ねたら1台分の厚さになるんですけど。このあたりは「八百万の神」みたいなノリで、とにかくいっぱいだよいっぱい! くらいの意味合いだと心得ましょう。
 ちなみにクレープをちょっと厚めにすれば焼く枚数を10枚以下に抑えることもできます。クリームを挟むとクレープはある程度ふやけるので食感も意外と大きく劣ったりはしません。もっとも、お店でそんなの出されたらやっぱりちょっとションボリするでしょうけれど。

 クレープ独特の焼き色は確かにキリンのまだら模様のよう。これまでのアニマルスイーツの中でも特にすんなりモチーフがわかりやすいデザインですね。

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