犬飼こむぎのキャラクター考察レポート

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みんな大好き素敵な世界! キュアワンダフル! 一緒に遊ぼ。

↓これ何?っていう解説はこちらの記事で↓

 各キャラクターへの理解を深めるために毎年自分用につくっているメモです。
 毎年見せびらかしてるくせにあんまり読む人を楽しませるつくりになっていない自覚はあるので、せめてもの試みとして今年はスクショを添えてみます。

 なお、こむぎに関しては第35話の感想文でも一度同じメモを公開していますが、当時のものからだいぶ内容が変わってしまっています。物語が進んで私なりのキャラクター解釈が変わるたび逐一組み直しているためです。
 具体的にはこむぎといろはの関係性について、かなり大きく解釈を改めました。

犬飼こむぎ(キュアワンダフル)

【過去】――何が自分をつくったのかという認識

1【誰の役に立ちたいか】(A+C)

「いろはは優しいから困ってる子たちを放っておけない。それがどんな相手でも助けようとする。助けられた子たちはみんな嬉しそうで。いろはも嬉しそうで――。あ。そっか――。こむぎもそうだった――」(第7話)

 たくさんの動物たちと一緒にわんだふるな世界を共有したい。

 当初、こむぎにとってガルガルになった動物を助けるのはいろはの「世界中の動物たちと友達になりたい」という夢を叶えるためのお手伝いでしかありませんでした。
 だって、こむぎから見たいろはがやっていることは、動物たちみんなを幸せにするまで献身しつづける、まるで聖人のような行いに思えましたから。こむぎ自身、初めて拾われたときから何度も何度も迷惑をかけてしまったのに、いろははこむぎを嫌いになることなくいつも愛してくれたんです。

 そんなすごいいろは。だけどよく考えてみると、いろはは動物たちに接するときいつも嬉しそうでした。こむぎのお世話をしているときですら嬉しそうでした。
 プリキュアになって、少しでもいろはの役に立ちたいと思ってがんばりつづけて、それでこむぎはふと気づきます。いろはを手伝えているときってすごく嬉しいなあって。ひいては、誰かの助けになれているときって、すごく嬉しい気持ちになれるんだなあって。

 自分のなかにあるそういう気持ちに気づいたとき、こむぎはただいろはのお手伝いをしているのではなく、自分自身の考えとしてみんなを助けてあげたいと思うようになりました。
 それが、この物語の主人公としてのこむぎの、最初の一歩でした。

2【誰に支えられているか】(B+D)

「リードをつけるといろはを近くに感じるワン。いろはと一緒にいるこむぎは、ずーっと楽しくて、嬉しくて、ワンダフルなんだワン!」(第5話)

 どんなときも絶対に友達でいてくれる、いろは。

 こむぎはいろはが大好きです。どうしてそんなに好きなのかっていったら、いろはがいつでもこむぎを好きでいてくれたからです。
 どんなにワガママを言っても嫌いになったりなんかしない。どんなに忙しそうでも毎日時間をつくって遊んでくれる。だから、こむぎはいつも安心できていました。
 あえて嫌な言いかたをするなら、いろははこむぎにとってとても都合がいい存在でもあります。物語が始まった最初のころは、だから、いつかいろはが遠くに行ってしまったらどうしようって漠然とした不安を抱いていました。色々お手伝いして、役に立つ存在だと思ってもらって、いろはのことをつなぎ留めたいと思ったことすらありました。

 そのくらい、今も昔も、こむぎはいろはのことが大好きです。

3【嬉しかった想い出】(B+C)

「痛くて、寒くて、ひとりぼっちで、さびしくて、怖かったけど。いろはが抱きしめてくれてほっとしたよ。――こむぎはね、いろはがいるから毎日ワンダフルなの」(第2話)

 周りの全てに怯えていたころの自分を、いろはは心を解きほぐすように暖かく抱きしめてくれた。

 こむぎがいろはからの愛情を絶対的に信じている理由です。
 いろはに嫌われてもしかたないような酷い態度を取っていました。出会ったばかりのいろはが本当に自分を愛そうとしてくれているなんて、全然信じていませんでした。
 愛されて、突き放して。思いやられて、突き放して。慈しまれて、突き放して。優しくされて、突き放して。
 ――それでも、いろははこむぎを愛することをやめませんでした。

4【傷ついた出来事】(A+D)

「全部一緒は無理なの! 怖くて震えてたでしょ。危ないときは下がってて!」(第6話)

 いろはが危険を恐れてこむぎのやりたいことを制限しようとしてきたこと。

 プリキュアの力で人間の姿になれるようになったこむぎが最初にやろうと思ったことは、いろはのお手伝いでした。暴れているガルガルを助けてあげたら、いろははきっと喜んでくれる。
 そのためならちょっとくらい無理したり、痛い思いをすることなんて全然へっちゃらでした。なにせ、いろはもそのくらいする平気でする人でしたから。

 だけど、不思議なことにいろはは怒るんです。いいことをしているはずなのに。こむぎがどんなワガママを言ったときでも聞いたことがないくらい、恐い声でこむぎのことを厳しく叱るんです。
 それがショックでした。
 当時、こむぎにはいろはの役に立てなかったらいつかいろはがいなくなってしまうという、漠然とした不安がありました。その不安を解消したかったのに、いろははそれをやらせてくれないのです。

 こむぎが、いろははただ自分にとって都合がいいだけの存在ではないことを真に理解し、対等な友達になろうと思いはじめたきっかけでした。

【現在】――自分は何者なのかという認識

A【がんばっていること】(1+4)

「あのね! 犬と人が仲よしなんだから、人とオオカミもぜーったい、仲よしになれるよ!! ――あ! デートしたらいいんじゃない? ステキなお洋服を着て遊びに行くの、“デート”って言うんだよ」(第41話)

 みんなが仲よしになれる世界をつくりたくて、みんなに優しく接している。

 こむぎにとって最高のお手本はいつだっていろはです。みんながいろはみたいに愛情深くお互い接することができたら、きっとこの世界はみんなにとってわんだふるになるはずです。
 だから、こむぎはいつもいろはのことをマネしています。自分がいろはの影響を受けて、いろはみたいなことを続けていたら、いつかみんなもこむぎのマネをして、みんなで優しくなってくれるんじゃないかって期待して。

B【任せてほしいこと】(2+3)

「そうそう。遠吠え! 遠くにいる友達への呼びかけなんだよね? だから私、オオカミになったんだ。『わぉーん!』って聞こえたら、『わぉーん!』って返事するの!」(第39話)

 わんだふるな世界から漏れた動物すらも友達の輪に加えたくて、率先して呼びかけるようにしている。

 オオカミという絶滅動物の存在を知ったとき、こむぎが最初に思ったことは“さびしそう”でした。
 かつて、こむぎはいろはの優しさに触れてわんだふるな気持ちになりました。今、こむぎはガルガルやみんなに優しく接して、みんなをわんだふるにしてあげています。
 けれど、オオカミという存在の周りには誰もいないそうなんです。それではわんだふるになれません。優しい人に触れて初めてみんなは優しくなれているのに、オオカミのところに優しさを届けてあげられる人は誰もいないというのです。

 だから、こむぎがオオカミに優しさを届けてあげたいと思うようになりました。
 オオカミは遠吠えで仲間を探すんだって聞いたから、何度でも遠吠えで呼びかけつづけるつもりで。

C【よく気がつくこと】(1+3)

「トラメって、本当は一緒に遊びたいんじゃないのかなあ? ――みんなで一緒に遊べたらワンダフルだよね!」(第40話)

 誰かが喜んでいる気持ち、楽しんでいる気持ちにはすぐ気がつく。

 こむぎがどうしてみんなに優しくするのかといえば、それはきわめて単純な話、みんなと遊びたいからです。
 こむぎをたくさん愛してくれているいろはは、いつもたくさんこむぎと遊んでくれています。こむぎだって好きな子とは一緒にたくさん遊びたい。だから、みんながお互いに優しさを向けあい、みんながみんなを大好きでいてくれるわんだふるな世界においては、こむぎはみんなと遊ぶことができるようになるのです。
 誰かが嬉しそうにしている瞬間。誰かが楽しそうにしている瞬間。それは、こむぎにとって念願叶ったときです。見過ごすはずがありません。

D【耐えがたいこと】(2+4)

「ウソワン! ユキはまゆが大好きなんでしょ? こむぎはいろはに嫌われるなんて絶対やだワン! ユキだって、まゆと一緒に遊んだ方が楽しいに決まってるワン!」(第19話)

 自分の「好き」の気持ちにウソをつくのは許さない。

 こむぎがこわばった声を出すことはめったにありませんが、その珍しい声が出たのがこのシーン。
 こむぎの根底にある思いは、いろはに愛してもらえて幸せだなあっていう気持ちです。それがあまりに幸せなことだから、みんなにも広めたいと思っています。
 だから、大好きな人に「嫌われてもいい」だなんて、そんな気持ちがあっていいはずがありません。
 こむぎはいろはの優しさが好きだから、みんなにも優しくしたいと思っています。大好きな人に優しくしてもらえない人が、いったいどうして誰かに優しくできるというのでしょうか?

【未来】――これまでの総括とこれからの夢

α【自分の手で守りたいもの】(プリキュアになる最初の理由)(1+2+3+4)

「こむぎはここで待ってて。絶対戻ってくるから。いいね。・・・あの子たちを放っとけないから!」(第1話)

 大好きないろはと離れたくなかった。

 最初のころ、こむぎはいろはがくれる愛情を一切疑っていませんでしたが、それなのにいつかいろはが遠くに行ってしまうという漠然とした不安を感じていました。
 きっとそんな不安を感じてしまう理由のひとつは、こむぎばかり一方的に優しさを受け取っていたからなのでしょう。一方に傾きすぎた天秤の釣りあいを取り戻すがごとく、こむぎはいろはの役に立ちたいと恩返しをはじめます。

β【まだ足りないもの】(物語を通して成長するところ)(A+B+C+D)

「イヤワン。いろはと一緒に選んだのに。あれでずっとお散歩してきたのに。こむぎ、あのリードじゃなきゃイヤワン。いつものがいいワン! あれじゃないとダメワン!」(第6話)

 いろはとのこれまでの幸せな関係性に固執しすぎていた。

 こむぎにとって、最初いろはは聖人にも等しい存在でした。だって、こむぎがどんなワガママを言っても絶対に嫌いにはならないでくれるし、他の動物たちのためであっても危険を顧みず当たり前のように献身してまわるからです。
 だからといって、その無限の愛情に甘えたままでは、こむぎは何の成長もできませんでした。

 いろははこむぎを大事にするあまり、こむぎが新しい挑戦をすることにいい顔をしません。
 また、そもそも聖人じみた優しさなんて、こむぎも、これからこむぎが優しさを広めていくみんなにとっても、とても実践できたものではありません。
 このときこむぎに必要だったものは、いろはとの関係の清算。ペットと飼い主から、対等な友達への関係性の再構築でした。

γ【いつか叶えたい理想の自分】(最終的に思い描く理想)(α+β+1+A)

「昴に伝えたいことがあるんだ。フレンディ。一緒に来てくれる? ――行こ!」(第49話)

 いろはの夢だからではなく、オオカミたちがかわいそうだからでもなく、自分自身の願いとしてわんだふるな世界をつくりたい。

 今、こむぎにとっていろはは友達です。
 いろはは昔からずっと友達だったと言うでしょうが、そのころと比べてもはるかに深い絆で結ばれた、対等な友達になれました。
 オオカミとも友達になりました。今のいろはとの関係と同じ、お互いに優しく思いあい、種族を越えて仲間と認めあえる、大切な友達です。

 なお、こむぎ自身はただみんなと一緒に遊びたいだけです。
 聖人のごとき無私の献身ではなく。あくまで自分の楽しみのためにみんなに優しくしつづけたからこそ、こむぎがつくる友達の輪、わんだふるな世界の広がりは、誰との関係性も切り離された絶滅動物すら仲間に入れることができたのでしょう。

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