ゼルダの伝説 TotK 感想その3 頼る強さ。

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驚いたな。このような場所で会うとは。そなた、いつも突然やって来るんだな。

ルージュ

このブログはあなたがプレイ済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

きょうのできごと

ゲルドの街のルージュ

出会った人:ルージュ

目標

 砂嵐に取り囲まれ孤立していたゲルドの街を救う。

課題

 ゲルド砂漠に砂嵐が吹き荒れるようになって以来、ゲルドの街は外界との接点が途絶えていた。リンクが街に足を踏み入れると、行く手を遮る門番はおらず、活況だった市場も静まりかえり、代わりにギブドという動く死体のようなモンスターが我が物顔で闊歩していた。
 幸い、街の住人たちは無事で地下の避難壕に息を潜めていた。しかしギブドには武器の攻撃が通用せず、唯一有効らしいのは族長ルージュに突如発現した雷を操る技だけ。ただし、彼女はまだその技をうまく扱えないでいる。

 ルージュにはゲルド族の民を守る責任がある。力不足に絶望することなく修業に努め、族長の責任を果たそうとする彼女を支援しなければならない。

解決

 リンクが放つ矢に誘導を任せることで、ルージュの技は充分な精度を得るに至った。即座に反転攻勢に出た彼女は破竹の勢いでギブドを撃滅し、ゲルドの街を奪還。返す刀で彼らが根城にしていた雷の神殿すらも攻略し、砂漠に太陽を取り戻した。

 かつて族長の責任の重さに押しつぶされそうになっていた少女はもういない。ルージュは常に自分ができることを見定め、しかも頼るべき人に頼ることにもためらわない。

龍の泪 その1,その6

 ゼルダ姫はハイラル王国が建国されたばかりの過去の時代に迷い込んでいた。元の時代に帰る方法はわからない。

 まだ断片的にしか見ることができない記憶によると、彼女はゾナウ族の国王ラウルとハイリア人の王妃ソニアに保護され、時の賢者の力に目覚めたようだ。ただし、その力をうまく使いこなすことはできない。厄災ガノンとの戦いのときと同じく、彼女は自分の無力さに焦れていたが、その一方で当時と異なり、周りに当たり散らすような不安定さはなくなっていた。
 彼女の心にはいつもリンクがいた。心の強い人。期待に応えてくれた人。あらゆる困難をはねのけ、厄災ガノンから国と自分を救ってくれた人。彼がいてくれる限りハイラル王国は大丈夫だし、自分も大丈夫だ。その絶対的な信頼が彼女の心を強くしていた。

龍の泪 その5,その10

 ラウル治世下のハイラル王国は新興国である。古今東西、一度建国したからにはそれなりの威光を示せなければ国体を維持できないもので、かの国は周辺部族を取り込んで急速に勢力を増強させる時期にあった。
 周辺4部族のなかで恭順が最も遅かったのがゲルド族の長ガノンドロフ。野心家であることを隠そうともしない彼が異邦の国王に忠誠を誓う姿は不気味きわまったが、ラウルは彼を野放しにするより目の届くところに置いたほうが安全だと判断する。

 しかしそれは過ちだった。ゾナウの秘石を手に入れて力をつけたガノンドロフは不遜にもハイラル王国に反旗を翻した。
 未来のハイラル王城地下で彼が生き永らえていたことを知るゼルダ姫は、この内戦で敗北するのはラウルであると悟る。だが、それでもラウルは決戦から逃げなかった。万一自分が敗れたとしても、ここにはまだゼルダ姫がおり、そして未来には勇者リンクがいる。ゼルダ姫が心から信頼する彼を、ラウルもまた信じたのだった。

 予定より時間がかかりすぎている(寄り道が楽しすぎている)ので、来週あたりから先に『LOOP8』をクリアしてからこちらに戻ろうと思います。

強い人

 私とリンクは最初にゲルド地方を調査することにしました。異変の中心地以外ひととおり国中を歩き回ってみましたが、ゲルドだけ具体的に何が起きているのか伝わってこず、不気味だったからです。

 ・・・というのは建前で、地底で設計書を手に入れた砂上艦を乗り回してみたかったというのが一番の本音でした。
 なお、乗り降りが雑すぎて崖に落っことしたりして、ゲルドの街に到着するまでに2台ロストしました。快適だけどメッチャ滑るわー、あの乗り物。

 乗り物といえば世間では扇風機2個に操縦桿1個のエアバイクが流行しているみたいですが、あれ姿勢制御がちょっと難しいので、私はおきあがりこぼしを追加したスタイルの方が好きです。
 これなら常に水平を保ってくれるので私みたいなアクション下手人間でも気軽に乗り回すことができます。エアバイクに比べてスピードは劣りますし、強制的に水平を保たれてしまうことの弊害で自力ではほとんど上下移動できませんけどね。まあ、坂とか崖とか使って高度を稼ぐ乗り物だと思っていただければ。

 さて、ゲルド。

 「リンクが我が街を訪れてから目まぐるしいほど様々なことが起こった。カラカラバザールの戦い。ゲルドの街での防衛戦。地下の壁に描かれていた壁画。そして巨大な古代神殿の出現。我が祖先と思しき過去の賢者に導かれ、神殿の深奥へ向かい、ギブドの親玉を撃破すると秘石が現れ、わらわは賢者として覚醒。古代賢者の石を受け継ぎ。そして砂塵が消滅。――全て、リンクの来訪から始まった出来事だ。あやつが現れると本当に様々なことが起こる。不思議なやつだ」

 今回各地方のイベントでは前作にも増して物語性よりゲーム性を重視したストーリーづくりをしているようで、ルージュの物語としてはそれほど語るべき部分が多くありませんでした。RTS風味の防衛戦だとか、砂嵐のなかでの雷の神殿探しとか、今までとちょっと毛色の違う遊びが新鮮で楽しかったですけどね。(難易度はまあ、そこはアレ)

 ルージュ、強くなっていましたね。
 前作でも責任感の強い子ではありましたが、裏ではずっと辛そうにしていました。今回ギブドに対して自分しか有効打を与えられない、それでいて肝心の自分はこの力をうまく使いこなせずにいるというプレッシャーを前にして、彼女は諦めませんでした。焦りはし、落ち込みもし、それでもこれが今自分がやるべきことだと信じて修業に打ち込みつづけていた結果、ついに彼女はリンクと再会を果たします。
 結果的に力を使いこなせるようになったとはいっても、それはあくまでリンクの助力ありきでのこと。それでも彼女は少しも気にしませんでした。彼女の目的は自分が強くなることではなく、あくまで民を守ることでしたから。リンクなら最後まで協力してくれると信頼できましたから。

 彼女は良い統治者になりました。
 もとより国というものはひとりで動かすものではありません。ルージュにはリンク以外にも忠臣ビューラなど、彼女を慕う部下がたくさん揃っていました。自分に力が足りないというなら彼女たちを頼ればいいんです。国とは総体。王は国家そのものではなく、あくまでその導き手。
 ガノンドロフのように他を圧倒する力でもって部族を束ねるのもひとつのやりかたでしょうが、むしろルージュのありかたのほうこそが王道だと、私は思います。

 その意味ではラウルもワンマン的な統治者だったといえるでしょう。
 ゼロから国をつくりあげたんですからそうなるのも必然ではあるんですが、建国当初のハイラル王国の強みは天上人ゾナウの末裔という宗教的威光と、ロボット技術や秘石などのオーバーテクノロジーの2本立てのようでした。これは確かに有効で、リト族、ゾーラ族、ゴロン族まではすんなりと恭順させることができたようです。
 問題はハイラル王国の強みがいずれもラウル個人の持ち物であったこと。だからその力の一端をガノンドロフに盗まれてしまったとき、彼の国の威光には陰りが生まれてしまいました。圧倒的強者が統べる国だから、他に圧倒的な力を持つものが生まれたとき、対処する手段を無くしてしまうわけです。
 結局ラウルは自分自身を犠牲にしてガノンドロフを封印する道を行きました。王国にはまだ他にガノンドロフに対抗できる戦力が育っていなかったのですから、最大戦力の彼がそうせざるをえませんでした。

 「ついに国王ラウルは魔王を倒すことはできないと悟り、己を犠牲にして封印することで戦いを終わらせる選択をしたのだ。それが封印戦争。我々は生き残り、そのしばらく後、ある人物が我がもとを訪れゲルド族の宿命を決定づけた。六人の賢者がひとり、時の賢者だ。――我らに為すべきことが定まった瞬間だった」

 「そのとき彼に、剣士リンクには対抗する力がなくてはなりません。どうか彼に力を貸してください。雷を司る、ゲルド族の力を!」

 対して、ゼルダ姫は違っていました。彼女はルージュに近いタイプの統治者でした。
 自分に自信がなく、周りに示せる類いの力を持たず、いつもリンクに守られてばかり。けれど、そんな彼女だからこそ選べる道がありました。
 ラウルの死後、彼女は残された賢者たちを説得してまわります。未来の時代にガノンドロフが復活することに備え、今度こそ個ではなく集団の力でガノンドロフを上回ろうと。
 彼女は自分の強さを信じていませんでしたが、代わりに、自分以外に頼れる者ができたときの強さを信じていたのでした。

 きっとそれが、彼女があの時代に飛ばされた意味。

 ゼルダ姫もまた、強くなりました。あの儚かった少女が本当に強くなったものです。

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