URAHARA 第4話感想 ことこことことここっとことこ。

言えないよ。またひとりぼっちになっちゃう。―― 足枷

URAHARA Vol.1 (豪華版)[Blu-ray]

 さて個人回。
 ことこかわいい超かわいい。名前かわいい声かわいい仕草かわいい八重歯かわいい太眉かわいい耳ふわかわいい服もかわいい色かわいい。ことことかわいいことことことこ。

 「聞かないで! ふたりを不安にさせたくないの!」
 このコミュ障ことこと。

 ところで「コワキモカワイイ」って言葉、私初めて聞きましたよ。
 「コワカワイイ」までなら私も時代について行けてたんですけどねー。ふり返ればアレももう16年前かあ。ねえポシェポケ。お前にふさわしいソイルはウルトラショッキングピンクゥゥゥッ!

 ↑ はい、コミュ障。

この子ことこのとりとめなし

 ことこには目立つ欠点がふたつあります。

 ひとつは話をまとめるのがヘッタクソなこと。
 何かにつけいちいち語りが長いのはてっきりオタク気質のせいかと思っていましたが、この子どうやらそれ以前の問題で説明下手なところがあるみたいですね。

 「違うのまりちゃん。これには深いワケがあるの。東京で一番深い、地下鉄の六本木の駅より深ーい!」

 ええい、思いつきで話すな! 話しながら思いつくな! とめどない! かわいい!

 私もヒトのこと言えた義理ではありませんが、こういう子の会話から要点を引き出すのはなかなかに大変なことです。
 「私大変なことしちゃったー!」
 そっかー。どんな? どうして? とりあえず原因と結果さえ教えてもらえれば多少は気の利いたアドバイスもできようものですが、この子ってば困ったことに要約ってことを知らない。
 「私、何か気になることがあると、つい夢中になっちゃうところがあって」
 「うん」
 「それで、何か発見するとついみんなに言いたくなっちゃうんだけど」
 「わかるよ」
 「でもね、たいがいその発見って、自分ではいいなあって思っても、クラスのみんなにとってはどうでもいいことで。親もそんな感じで。ーー『どうでもいい』『気持ち悪い』『ウザい』・・・って言われて。学校の友達とかひとりもいなくて」
 「そっかー」
 「でもね。原宿でりとちゃんとまりちゃんに出会ったとき、ふたりとも私のこと『面白い』って言ってくれたんだ。『友達になろう』って」
 「それは嬉しかったでしょ」
 「うん! ・・・なのに、またひとりぼっちになっちゃったかも。ふたりを怖がらせて、ひどいことしちゃったから」
 「何があったの?」

 ここまで延々喋ってやっと本題ですよ。しかも本題に入ってなお肝心の“原因”と“結果”はなかなか出てこないというね。

 りととまりがこの子に懐かれるわけです。
 「ことこ。要点は?」
 「あとで聞くから。残り何匹?」

 ふたりはことこの話から重要なこととそうじゃないことを取捨選択して、今本当に話すべきことを教えてくれるから。
 ことこは頭がいいくせに口を開いているときはろくにものを考えていません。思いついたことを思いついた順に、とりとめなくひたすら吐き出しているだけです。いるよね、こういう子。アニメ感想文を書きはじめると毎回3000字とか4000字とかいっちゃうどっかのブログとか。

 まあ、そういう子なものですから、自分のかわりに要点をまとめてくれる友達がいるとすごくありがたいんですよ。これが本当におしゃべり好きな人だと途中で遮られてヘソを曲げちゃうんですけどね。
 この子、たぶん素はそこまでおしゃべりさんじゃないです。言いたいことの要点とか、そこにある自分の気持ちとかが整理できさえすれば、むしろあんまりしゃべれなくても満足するタイプ。

 「じゃあ、ふたりに話しにいかないと」
 そんな単純な結論すらメンターなしでは出せないあたり、本当に困ったちゃん。
 この子は誰かの隣でしか生きられません。

ことこと友達のこと

 今回ことこが色々と悩むハメになったのは、全部つまるところ彼女が友達に相談できずにいたせいでした。
 観ている側からするとなんともヤキモキするお話でしたね。だってアザの件なんてどう考えても最初から素直に相談すべきことでしたし。

 「言えないよ。またひとりぼっちになっちゃう」
 そんな当たり前のことができないのがことこ。
 友達という存在があまりにも貴重なせいで、友達をヒかせることを極端に怖れるせいで、ことこは言いたいことを何も言えなくなっちゃいます。言わなきゃ自分で自分の気持ちひとつ満足にまとめられないくせに。
 この子の欠点もうひとつはこういうところ。友達に遠慮しすぎ。

 もちろん気を使うのは大事なことですよ。どれだけ気が置けない相手であっても。
 普通なら。
 普通なら、です。でも、ことこみたいな子にはそういうのムリムリ。だってこの子、どうあっても誰かの隣でしか生きられませんもん。
 この子が“ことこ”らしい考え方をするには、絶対にりとやまりのような理解者の存在が不可欠です。あるいはクレープ屋のお姉さんのような超一流のメンター。ことこはことこひとりではことこになれません。
 だから、あたかもマトモなひとのフリをして一端に気遣いの人を演じてみせたところでうまくいくわけないんですよ。

 「悩み事なら一緒に考えるのに」
 「そうね。注射器持って後ろに立たれても考えてあげるべきだったわ」

 見透かされる。心配される。かえってヤキモキさせる。
 「あのね。髪の毛じゃどうしてもダメだったの。やっぱり血じゃないとダメなの。ーーちゃんと解明してからじゃないと。ひとりぼっちになっちゃう、か、ら・・・」
 そして気持ちはとりとめなくくちゃくちゃで、ひとりじゃ何をやってもうまくいかない。

 ことこみたいな子は友達に遠慮しちゃダメなんです。
 たとえ何百人に「どうでもいい」「気持ち悪い」「ウザイ」と言われようと、「面白い」と自分を受け入れてくれる奇跡のような友達を見つけるまで、そしてそういう人にべったり依存するまで、彼女は自分らしく生きられません。困ったことにそういう生き物なんです。
 だから友達に気を使うにしても、遠慮なんて似合わないことをするのは絶対にNO! です。それよりかあなたの場合は、第1話でやってたみたいにヨイショヨイショで思いっきりあざとくふるまった方がむしろステキです。最高にステキです。

 「ことこちゃんはみんなの身体のことが心配で調べ物してたんでしょう。それってふたりのためなわけだし、むしろ『ありがとう』って言うんじゃないかな。あのふたりは」
 「ほんとに?」
 「うん」
 「いきなり髪の毛抜いたりしても?」
 「うん」
 「『血ちょうだい』って言って注射器を振り回しても?」
 「うん」
 「りとちゃんの絵、破いちゃっても?」
 「大丈夫よ!」

 どうせ世のなかいろんな人がいるんです。あなたみたいなド変人がひとりくらいいたところで地球の回る速度ひとつ変わりはしませんよ。やっちまえ!

ことこことここに至りて

 さて気がついたらここまでひたすらことこの悪口を書き連ねて2800字。アカン。ことこかわいい。

 そろそろこの感想文も終わりにしたいので強引に話を戻しましょう。
 クリエイティビティについて。そういやこの記事『URAHARA』のでした。

 人はどうして創作するのでしょうか。それはつくりたいからです。自分がつくりたいと思うからつくるんです。前回そんな話をしました。
 「めいっぱい夢中になっていいわよ」
 「それができるのはことこだけだから」

 すなわち世にクリエイターたる最低条件があるとしたら、それはたぶん我慢しないことです。
 どんなに友達に迷惑をかけようと、どんなにあなたが変人だろうと、あなたらしさを押さえつけることだけはしちゃいけません。あなたが誰かの隣でしか生きられないというなら誰かの隣で生きるべきです。あなたのクリエイティビティはまずはそこから始まります。

 誰かがあなたを「面白い」と言いました。
 だったらあなたは面白いんです。あなたは、少なくともひとりふたりはファンがついた、立派なクリエイターなんです。
 あなたを見てくれる人が、あなたの“あなたらしさ”を肯定してくれます。
 クリエイターにはギャラリーが必要です。あらゆる意味で。

 「うん、うん! がんばる!」
 「ねえ、ひとつ試したいことがあるんだけど」
 「考えがあるんだ。じゃあ行ってくるね」

 我慢しちゃいけません。むしろ好き勝手やれ。どんどんやれ。あなたの愛する友達は、あなたのあなたらしさをこそ愛してくれているんだから。私だってもっともっとあなたを見たい。
 クリエイティビティとはすなわち自己表現。創造的なあなたほど魅力的な“あなた”はいません。
 「おいでおいで。――できあがり!」

 「さっきまりちゃんが撃った冷却弾はいろんなビルの壁を15回バウンドして、竹下通りに跳んできたんだ」
 今日のウラハラはことこのためのカンバス。
 ことこはりとのように絵を描けず、まりのように服も縫えませんが、たとえばこんな感じでことこらしさを表現してみせてくれます。
 「こんなこと、ことこにしかできないね」
 「ホントね。ことこってやっぱり面白いわ」

 そしてあなたのギャラリーはあなたのクリエイティビティにまた魅了されるんです。今までよりももっと好きになってくれるんです。
 遠慮しなくてよかったでしょう?

 今日はそれでめでたしめでたし。若きクリエイターたちの物語は続きます。

 ・・・ところでまりさん。いつの間に変身コスチュームのシュシュが白子になった。

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