キラキラプリキュアアラモード第39話感想 さて、追い払えない悪意をどうしましょう。

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元々俺の心のなかにあった闇のせいさ。

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(主観的)あらすじ

 ガミーたちの働きによっていちご坂妖精大会議が実現しました。集まった各地の妖精たちの前でいちかたちはノワールの脅威を訴え、そしてみんなで協力しあうことを呼びかけました。初めは反応が鈍かった妖精たちでしたが、一緒にスイーツを食べたりつくったりするなかで次第に心をつなぎあうことができました。
 ところがそんな矢先、ディアブルの力を使いこなしたグレイブが襲いかかります。100%の悪人を自称する彼にはアニマルゴーランドの力すら通用しません。プリキュアは傷つき、妖精たちも追い詰められます。
 絶体絶命の大ピンチのただ中、長い眠りについていたピカリオがついに目を覚まします。

 早いものでキラキラプリキュアアラモードも第4クール突入。さて何をするのかなと思いきや、初手からいきなり問題提起してきました。
 キラキラルクリーマー・・・というか、アニマルゴーランドは悪意の闇から心を守る破邪の力。ですがこれはあくまで守る力であって悪意を消し去る力ではありません。現実として悪意はそこら中に存在するわけですから、そんなものを全部消し去ることはそもそも不可能です。
 どんなに心をつなぎあい互いに守りあっていても、悪意はいろんなところから沸きあがってくるわけですから、結局のところいつか屈してしまうこともあるかもしれません。守るだけではない新しいアプローチが必要です。
 ・・・ということカナ? プリキュアの回答がまだなのではっきりしたことはいえませんが、そこで鍵となるのはガミーやピカリオ、ビブリーのような、自分の心に闇が潜んでいることを自覚した人々のようですね。正直なところどんな答えが飛び出すのかさっぱり見当も付かなくて、次回がすごく楽しみです。

総復習

 妖精大会議は要するにいちかたちがこれまでしてきたことの復習です。

  • ノワールの脅威を訴え、それに対抗すべく団結を呼びかける。
  • なかなかその気になってくれない妖精たちのためにスイーツを配って心をつなぐ。
  • そのスイーツはみんな自分でつくれるということを教える。

 これはちょうど第3クール→第2クール→第1クールで描いてきたテーマを逆順に遡っていったかたちですね。

  • ひとりでいては悪意の闇につけ込まれてしまう。バラバラの個性を重ねれば心の隙を補いあえる。
  • スイーツに込めた「大好き」の思いはみんなを元気にし、心をつなぎあわせてくれる。
  • そういう「大好き」いっぱいのスイーツは誰でもつくれるし、つくること自体も楽しい。

 最近は悪意との戦いが中心になっていて、「大好き」だの「バラバラの個性」だのと抽象的な話題が多くなっていましたが、けれど結局のところそれら全部、いちかたちのパワーの根源はスイーツから来ているんですよね。
 逆順に語られたおかげでこの物語におけるスイーツの立ち位置がいかに重要かが強調されます。

 「スイーツを通じて出会った者たち。そのつながりはキラキラルの輝きとともにどこまでも広がっていく。それがルミエルの――いや、プリキュアの本当の力ジャバ。スイーツとは本当にいいものジャバ」

ずっと戦ってきた、新たなる敵

 そしてこれこそが同時に、今のいちかたちの弱点すらも浮き彫りにしてしまいます。
 それは以前も何度か直面したことがある課題。たとえばジュリオに対して。たとえばビブリーの悪い噂に惑わされた街の人々に対して。
 私、てっきりこれは解決済みの話だと思っていたんですが、ここでもまたいちかたちの前に立ち塞がるんですね。そっか、だから秋映画はああいう展開になったのか。(いちおうネタバレ自重)

 スイーツをパワーの根源としたプリキュアは、スイーツを食べてくれない相手には無力です。

 これまでは食べてくれるまでずっと諦めずに頑張って、それで乗り越えてきました。悪意に侵されていたとはいえ、相手はあくまで人間(妖精)だったからです。食べてもらえる可能性はわずかながらも残っていました。
 食べてもらえさえすれば、「大好き」を伝えられさえすれば、プリキュアのパワーは必ず届きます。
 もしそこで悪意の闇に妨害されたとしても、個性の輝きでそいつをはねのけてしまえば「大好き」は伝わるはずでした。

 ところが。
 「俺は俺の闇をわかったうえでしもべになったんだ!」
 「世の中には100%の悪人がいることを覚えておきな!」

 今回いちかたちが対峙している相手は純粋な悪意そのものです。
 「悪意」はスイーツを食べません。こればかりは絶対に。

 確かにいちかたちはキラキラルクリーマーによって悪意の闇から身を守る破邪の力を手にしました。しかしよくよく考えてみると、これは悪意そのものを消し去るような力ではありませんでした。
 あの論理は、悪意とは外部から忍び寄ってくるもの、という前提で導き出されているんですよね。だからこそバラバラの個性で心の隙を徹底的に塞ぎさえすれば悪意に打ち勝てるという理屈が成り立つわけで。
 この物語はこれまで悪意そのものをどうにかするなんて大それたことは考えてきませんでした。

 だって、当然でしょう?
 現実問題としてこの世からあらゆる悪意を根絶できますか?
 全ての悪人という悪人を絶滅させることができますか?
 無理ですよ。もし可能だという人がいたら私はそっちの方が怖ろしい。ディストピアでも建国するつもりですか?

 この世から悪意をなくすことは不可能です。だからキラキラルクリーマーの破邪の力は、あらゆる悪意が外部化できることを前提に、それを追い払うところまでを効力範囲としてきました。
 逆にいえば、自分の心の内側から悪意を生み出す者、つまり根っからの悪人は相手にしていなかったんですよね。

どこにでも生まれうる悪意

 「お前が謝ることじゃねえ。元々俺の心のなかにあった闇のせいさ。それはこいつも一緒なんだろ」

 あー、そっかー。私ずっと見ないフリしてきました。
 ガミーたちやピカリオ、ビブリー。ノワールの闇の被害者たちはみんな口を揃えて、自分の心のなかに最初からあった悪意の存在を認めていたのにね。
 それらまで全部ひっくるめて単なる心の「隙」として、悪意とはまた別のものだと考えてしまっていました。
 それじゃダメか。
 それだと潔癖すぎて、この世があまりにも生き苦しくなってしまうか。
 そっかー・・・。

 いちご山内部でバリアを張って身を守るビブリー。ところがバリアを張る前から内側に入り込んでいたネンドモンスターによって、彼女は脆くも倒されてしまいます。
 敵は外側だけでなく、内側にもいる。
 だとしたならば、私たちはそいつとどうやって戦えばいいんでしょう。
 回答例はとりあえず来週になったらプリキュアがひとつ教えてくるはずですが、せっかくなので私たちも自分で考えてみたいところですね。この問題、他人事じゃないので。
 ああそうとも。こうしてキレイゴトばっかり書いてる私だって、本当は結構イヤなヤツだ。

 ヒントになりそうなものはとりあえず4つ。
 ひとつは、闇のキラキラルもキラキラルの一形態であるという事実。
 ひとつは、ビブリーの悪態。
 「スイーツで餌付けされなきゃ、こんな街さっさと見捨てたのに」
 ひとつは、倒れたビブリーを守る妖精たちの勇姿。
 そしてひとつは、復活したピカリオの言葉。
 「まったく。甘いんだよ。街の人たちを人質に取られたからって戦えないのかい? ま、君たちなら仕方ないか。どうせ一度は闇に染まった身。いいよ、ここはオレが引き受けてあげる」

 さあて・・・マジでわからんな。
 なんとなくアニマルゴーランドと同じで、バラバラの個性が鍵になっている気はするのだけれど。
 あと当然「大好き」は絡んでくるとして。
 でも追い出すんじゃダメなんですよね。言い換えると、悪意を絶対悪と見なすのはダメ。自家生産物なんだから、それを否定したら自分自身まで嫌いになっちゃう。
 スイートプリキュアのノイズ(不幸)やGo!プリンセスプリキュアのクローズ(絶望)みたいな、あるがままの受容ですかね? 少なくとも悪意なんてそうそうポジティブに変換できるものではないし。

 まあ、一週間ゆっくり考えてみましょう。

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