ポプテピピック 第6話感想 カケラ紡ぎに中指を立てろ!

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ポプテピピック -ALL TIME BEST- (CD3枚組) 2018年3月28日発売

―― なぜにこのCMを入れた回に限って歌モノを入れてこないのか。

(主観的)あらすじ

 「――ヘルシェイク矢野」 何気ない雑談のなかで自身とピピ美の存在位相がズレていることを一早く察知したポプ子は、次元断層の修復を促すため、虚数演算器の待ち受ける将棋五重塔に戦いを挑みます。しかし、最上階に待ち受けていたモノの正体は他ならぬピピ美その人でした。おっくせんまん永世名人とのネタ被りを気にしつつ、涙ちょちょぎれんばかりの死闘を繰り広げたポプ子とピピ美。その勝敗を決したのは「君の名は。- your name -」と確認しあう、お互いの素朴な友情でした。激戦の果てにリボンだけが残されたピピ美の存在確率を回復するため、ポプ子は彼女とともにご当地名物をめぐる旅に出ます。阪球甲子園一駅ほどを旅したところでピピ美の肉体はすっかり元に戻りました。さすがはボブネミミッミ。理由のない黒髪はダテじゃない。すっかり本来の絆を取り戻したポプ子とピピ美の蜜月の日々がはじまります。「ピピピッピ」 ああ、メーンカルチャーに毒された大衆どものマネをする日常のなんと反吐の出ることか。ふたりは幸せの絶頂にいました。ところがある日の何気ないライブ会場で何気なくサイリウムに向かって何気ない「ディムロォォォス!!」を叫んだ何気ないその瞬間から、再び何気ない崩壊序曲が何気なく幕を上げました。そりゃあもうギンギラギンに何気なく。「バイバイ、ポプ子。ピピ美が魂はもうバテンカイトスの彼方だよぅ。この体には残っていないよー」 おのれネレイド。再びトチ狂うピピ美。アメリカの散髪屋ばりに際限なくボールにシュガーをぶち込んでいくその様は、小学生並みの語彙力で表現するなら、まさしく変な人でした。やむを得ずポプ子は人類に残された最後の最終手段に出ます。そう。全てを夢オチにするべく二度寝を開始したのです。品質と信頼のボブネミミッミパワーはヴァーチャルユーチューバーの2.5次元とかいうふざけた次元解釈を蹴っ飛ばし、そして無事にイケメンヴォイスをげっちゅしたポプ子とピピ美は、再びヘルシェイク矢野から物語を繰り返すのでした。人生という名の物語は続く。さあ、アゲてこうか! ともに青春を謳歌しようぜ! アプリボワゼ!!

 面白いとでも思ってんの? とかそういうヤボなツッコミは禁止です。私は書き上がる瞬間までは心から面白いと思って書き進めていました。書ききった今となっては、これ以上何の感想を書けばいいのかと軽く絶望しています。

ポプテピピックはなぜ同じ話を2回繰り返すのだろうか。

 ポプテピピックのアニメを観ている以上、私たちはいずれその答えを出さなくてはいけません。
 第3話の感想でもまったく同じお題で考察していた気がするのですが、まあ気のせいでしょう。いわゆるパラレルワールドってヤツですよ。いやだなあもう。

 今さら確認するまでもありませんが、ポプテピピックは99%パロディで構成されています。アニメの尺的にはもう少しオリジナル成分の割合が多い気もしないでもないですが、今は私が「99%パロディで構成されている」と主張したいので、そこら辺全部ただのノイズとして切って捨てても構わないでしょう。
 そう。ポプテピピックは99%パロディで構成されています。どうしてこんな各方面にケンカを売る作風なのでしょうか。
 その狙いはオープニングソングに乗せて語られていました。

 「見慣れた景色に潜むイデア。いつだって君は監視されてる」
 私たちの世界には多種多様なエンターテイメントが満ち満ちています。映像作品だけに絞ってもでも数えきれないほど。今季の新作アニメに限定してすら54本もあるそうです。こんな日本に誰がした。
 そこにはそれぞれの物語があり、各制作スタッフの視点から切り取った世界のかたちが描写されています。私たちはそれらをそれぞれ独立した作品として楽しみ、あるいはクソアニメと蔑んでいます。
 ですが、私たちは忘れてしまってはいないでしょうか。全ての物語は各制作スタッフの世界観を元にして描かれており、すなわちあらゆる物語は元を辿ればただひとつのこの世界に端を発しているということを。そう。私たちはみんなひとつの世界で生きています。ならばそこには共通理解、集合的無意識、超自我とでも呼ぶべきものが一貫して存在しているはずなのです。
 忘れてしまってはいないでしょうか。ぼんやりテレビを眺めていればアニメの方から視界に飛び込んでくる現状に甘えて、私たちは自分から主体的に世界を観測することを怠けてはいなかったでしょうか。
 「無意識バイアス。誰も知らない存在理由」
 私たちは取り戻さなければなりません。あらゆる偏見を取り払い、私たちは私たちが世界に存在するその意義を、今一度問い直さなければなりません。

 そう。ポプテピピックとはそのためのアニメなのです。
 その大いなる使命のためにパロディをブッ込んでいるのです。
 「繰り返し思い描くスピログラフ。破壊と創造の幾何学模様」
 世に数多存在する物語群をひとつのアニメの中に引きずり込んで、スクラップ&スクラップ、様々な・・・(でもないな)・・・画一的な手法によって、それらの共通項を模索しているのです。
 「打ち切りの先でまた会えるよ」
 だから表層に見えるものは一見してしょうもないものかもしれません。市場原理と竹書房という汎国家的な陰謀による妨害もたびたび受けてきたかもしれません。ですが、ポプテピピックは、そして私たちアニメ視聴者は、決して敗北しませんでした。
 「パラレルワールド旅して散りばめる思いに気づいて」
 私たちはポプ子とピピ美を無数の物語群のなかへと派遣することに成功しました。AパートとBパートに分けて、限りなくよく似た物語をも同時に精査してきました。彼女たちの旅路を通じて各物語の本質を拾い集めてきました。
 もはやぼんやりと無表情で「相変わらずのクソアニメだな」と受動的にポプテピピックを眺めてでいるヒマはありません。さあ、今こそ立ち上がるのです。主体的にアニメを楽しむ善きアニメ視聴者になる日が来たのです。

 「世界をリメイク」
 私たちはポプテピピックを通じて、クソつまらなかった自分の世界観を再構成する瞬間にたどり着いたのです。
 さあ、今こそ楽しみましょう。
 ポプテピピックを。
 このアニメはクソアニメですが、私たちがこのアニメを楽しめないのはこのアニメがクソアニメだからではありません。私たちがクソ人間だからこのクソアニメを楽しめないのです。

 願わくば、あなたがポプテピピックを心から楽しめる善きアニメ視聴者になれますように。

(オチなどない)

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