三ツ星カラーズ 第7話感想 摺鉢山古墳に巣くうボスゾンビの野望を挫くため斎藤は銀杏をまぶされなければならない。

パンツいっちょうで「今年の私はちょっとだいたん!」とさけぶ。

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 びっくりするほどユートピア!
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撲殺天使

 ひとつムダ知識を披露しましょう。

 「正義感とはすなわち攻撃性である」

 自動車学校に通うとまず心理テストをやらされるものですが、そのなかには「迷惑行為を見かけたら自分は無関係でも放っとけない」だとか「マナー違反はたとえ友達でもムカムカする」だとか、正義感を問う設問が必ず含まれています。
 実はあれはあなたが善人かどうかを計るものではありません。
 あれは攻撃性の検査です。ちょっと無茶な追い抜きをされたり、後続車に煽られたりしたときでも、カッとならず冷静に安全運転できるかどうかを見ているんです。よくよく考えると自動車を運転するのに善人か悪人かなんてあんまり関係ありませんしね。

 正義感というと聞こえはいいですが、裏を返すとそれは自分のなかの正しさを他人に押しつける行為と見ることもできます。
 正しさを追求する精神はとても尊いものですが、それに固執しすぎると融通が利かなくなったり、必要以上にトラブルを拡大したりしかねません。あなたに譲れないものがあるように、相手にも大抵なにか譲れないものがあるはずです。そしてそれを曲げてもらうというのはたいへんなパワーが要る行為なんです。カッとなりそうなときはまず深呼吸して、一度相手の視点から目の前の事柄を捉えなおしてみるといいかもしれません。

 さっきから何の話かといえば、まあ、結衣のことなんですけどね。
 この子、けっこう「あれはダメ」「これは良くない」みたいなことをよく言う子なんですよね。まあ大抵はさっちゃんがバカ言うせいなんですが。
 基本気弱なお人好しで、しかも普段はツッコミ役(・・・?)、常識人枠(・・・?)としてふるまっているので、よくできた子だなあという印象になりがちなのですが、よく観察すると何気に他人の趣味嗜好に口を出したがる一面もあったりします。

 こういう子を怒らせると大変です。
 「3日かけてまだ1面やってんだー」
 「じゃあクリアするころには成人かなー」
 「ほら、1面なんか簡単だよー」

 なにせ相手に納得してもらおうとか、ほどほどに痛み分けで終わろうとか、そういう発想を持ちません。ただただひたすら相手を傷つけるための手段だけを選んで用います。あたかも鬼ヶ島にカチコミかける桃太郎のごとく、正義の錦を高く掲げて自分に非がないことを信じて疑いません。憎っくき鬼が泣いて謝るまで徹底的に斬り刻もうとします。
 まして結衣の場合は自分のクレイジーっぷりを自覚していませんからね。天使の笑顔で「これお墓ー」とかやっちゃうその狂気を同年代の友達に手加減なくぶつけたらどう思われるか、冷静に考えたことはおそらくないでしょう。

 「ひっく。ひっく。――ごめんねえ。ごめんね琴葉ぁ。嫌いになったぁ? うわーん!」
 素です。
 カッとなっている間は判断力が消し飛んでいるので、頭が冷えると同時に一気に後悔が押しよせるわけです。
 たいへんやっかいな性向ですが、まあ子どもなのでおおらかな目で見守ってあげましょう。まともに育てば大人になるまでに自分で抑え方を学んでいくはずです。改めて裏を返せば、この性向は正義感の表れでもあるので、自己コントロールさえ覚えればステキな美徳にもなりえますしね。

 「アハハハハ! まあ一件落着ってことで、一回帰ってからアジト集合な!」
 「うん!」「うん!」

 幸いこの子たちは気持ちのサッパリした良いクソガキどもです。いつまでも変なわだかまりにこだわらず、健やかに伸びやかに、お互いのステキなところをグイグイ引きだして成長してくれることでしょう。

 ちなみに冒頭の「正義感とはすなわち攻撃性である」というのは拡大解釈にもほどがある極端な考え方なので、恥をかきたくなければ心理学に詳しい人の前で口にしないことをオススメします。
 あれです。ののかがドヤ顔で良さげなセリフを吐いたときとだいたい同じ感じの空気になるはずです。

語録

 せっかくなので今話の結衣の主だった迷言を集めてみましょう。
 特に注釈とか入れなくても、今話のだいたいの流れさえ把握していれば彼女がいかにクレイジーなことを口走っていたのかがわかるかと思います。さっちゃんや琴葉も気の利いたセリフはいろいろ言うのですが、やっぱりこの子(と、ののか)だけは明らかに別の世界に生きているんですよね。

 「いるよ! ほんとにいるよ! 増えてる!」

 「人間はダメ! ダメだよかわいそうだもん!」

 「斎藤さん拾えなかったねえ」

 「じゃーん! ゴミ拾いしたって言ったら、お母さんがお小遣いくれたんだー」

 「もー! 死体は返事できないでしょー!」

 「食べれるの? 臭いのに? あっ! じゃあ集めよう、銀杏! たくさん集めてアジトの非常食にしよう!」

 「ゾンビ、ほんとに増えてるんだ。あの人たちもゾンビかなあ? ・・・うぅ。ひっく」

 「ボスゾンビめー! 結衣アターック! ・・・痛ーい」

 「え、ええと――健康には気をつけましょう!」

 ね?

きょうのさいとう

 「絶対イタズラしに来ると思ったのに。・・・来ねえなあ」
 仮に来たとして、彼はどうやってドリアンチップスを渡すつもりだったんでしょう。
 トリックとトリートの2択なら有無をいわさずトリックの方を選ばされそうなものですが。
 しかもパッケージに堂々と「くさい!!」と書いてあるのなら即その場で開封されちゃいそうなものですが。

 この人は良い人です。さすがにオヤジほど凝った仕込みはしませんが、カラーズの毎日に事件を提供しようと普段から色々考えています。
 ただ、それでも彼がカラーズからの尊敬を得られず親しいなりのぞんざいな扱いに甘んじているのは、やっぱりこういう妙な隙があるからなんでしょうね。ほんと、このドリアンチップスからどういう展開に持っていけたら成功なんでしょうか。

 例えるなら『トムとジェリー』のトムみたいな。
 本人は大人と子どもという明確な力関係を意識して、年上気取りでカラーズの相手をしてあげているつもりなんでしょうが、ぶっちゃけ思考パターンが同レベルですよね。基本、大人げない。
 そういう天然のキャラクターが子どもたちにとっては心地よいのでしょう。だってこれで警察官なんだぜ? そりゃカラーズも結成したくなるわ。自分たちで町の平和を守った方がマシな気もするわ。実際はちゃんと守ってくれているとわかっていたとしてもさ。

 それでいて、どんなイタズラをされてもズルズル引きずらないんですよねこの人。
 職場に銀杏を放り込まれたらたいがいの人は子ども相手でもマジギレしそうなものですが、この人はそこらへんその場で怒って喚いてうまいこと発散できているんですよね。
 そういうところはすごく大人です。結衣と琴葉の険悪な雰囲気をさらっと仲裁してみせたさっちゃん並みに大人です。
 そういうさっぱりした人間性、子どもにはとてもありがたい。だって子どもってたくさん間違いを犯しながら大きくなっていくものですから。どんなやらかしもほどほどに受けとめてもらえる度量は居心地がいい。安心できる、帰ってこられる場所があってこそ、子どもたちはそこに軸足を置いて日々の事件に全力でぶつかっていくことができるんです。
 こういう人が近くにいてくれる子どもはとても幸せです。

 まあ、だからといって斎藤が総合的にはオトナコドモでしかないという事実は揺るがないのだけれど。

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